田園住居地域の特徴と土地活用の考え方

田園住居地域は、平成30年4月から追加された住居系の新たな用途地域で、都市農業と低層住宅の共存による良好な住環境の構築をコンセプトとしています。
したがって、基本的には都市部で指定される用途地域です。

建物の制限は、第二種低層住居専用地域に準じているのですが、農業用途に関する緩和が行われており、農産物を生かした一定規模以下の直売所やレストラン、農業用の倉庫も建てられるようになっています。

実際には、低層住居専用地域の中でも、緑地としての農地保全が特に必要な地域で指定されると考えられますので、緑地不足になりやすい大都市圏や、地方の大都市を中心に今後増えていくでしょう。

田園住居地域で受ける制限

・建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)
30%、40%、50%、60%のうち都市計画で定める値
・容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)
50%、60%、80%、100%、150%、200%のうち都市計画で定める値
・道路斜線制限(前面道路から一定距離までの高さ制限)
適用距離:前面道路の反対側の境界から20m
高さ制限:前面道路の反対側の境界からの距離×1.25
・北側斜線制限(北側隣地境界から一定高さ以上の高さ制限)
北側隣地境界(道路の場合は反対側の境界)からの距離×1.25+5m
・絶対高さ制限(建物の高さ上限)
10mまたは12mのうち都市計画で定める値
・日影規制(冬至日において隣地にできる日影の時間制限)
適用対象:軒高7m以上または3階以上
測定面の高さ:1.5m
時間制限:以下の1~3を自治体が条例で指定
1.隣地境界から10m以内は3時間、10m以上は2時間
2.隣地境界から10m以内は4時間、10m以上は2.5時間
3.隣地境界から10m以内は5時間、10m以上は3時間
・外壁後退(隣地から外壁までの最短距離)
都市計画で定める場合は1.5mまたは1m

田園住居地域で建てられる建物・建てられない建物

【建てられる建物】

建物の用途その他の制限
住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿
兼用住宅(非住宅部分1/2未満かつ50㎡以下)非住宅部分の用途制限あり
店舗等で150㎡以下(2階以下)日用品販売、食堂、理髪店等
店舗等で300㎡以下(2階以下)農産物直売所、農家レストラン等
幼稚園、小学校、中学校、高等学校
図書館等
巡査派出所、一定規模以下の郵便局等
神社、寺院、教会等
公衆浴場、診療所、保育所等
老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等
老人福祉センター、児童厚生施設等600㎡以下
建築物附属車庫建築物面積の1/2以下、600㎡以下、1階以下
自家用倉庫農産物及び農業生産資材の貯蔵用途
洋服店、畳屋、建具屋、自転車店等(作業場の床面積50㎡以下)原動機0.75kW以下、2階以下
パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋等(作業場の床面積50㎡以下)自家販売、原動機0.75kW以下、2階以下
危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場農産物の生産、集荷、処理及び貯蔵用途

【建てられない建物】

  • 3階以上または300㎡超の店舗等
  • 事務所等(兼用住宅を除く)
  • ホテル、旅館
  • 遊戯施設、風俗施設
  • 大学、高等専門学校、専修学校等
  • 病院
  • 自動車教習所
  • 建築物附属車庫以外の車庫
  • 倉庫業倉庫
  • 農産物の生産、集荷、処理及び貯蔵用途以外の自家用倉庫
  • その他、建てられる建物に記載以外の工場

田園住居地域での土地活用の考え方

田園住居地域では、所有する土地が宅地なのか農地なのかで土地活用は変わります。
宅地の場合、第二種低層住居専用地域だと考えれば良く、戸建て・アパートの賃貸経営や、床面積150㎡以下の小規模な貸店舗が中心になるでしょう。

そのため、宅地では従来と変わらない土地活用になるのですが、問題は農地です。
田園住居地域は、農地の宅地化を規制する方向で新設された用途地域ですから、開発行為には自治体の許可が必要です。

宅地化はもちろん、造成が必要な駐車場や、資材置き場としての活用も規制されますので、自治体の許可が得られない限り、農業を継続する前提で考えなくてはなりません。
つまり、土地活用の視点では不自由になったと言えます。

その反面、これまで住居専用地域では禁止されていた農業関連の施設が建てられます。
農産物の直売・加工など、生産だけの農業よりも収入を上げることは十分可能なので、規制緩和のメリットは積極的に利用すべきでしょう。

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