第一種中高層住居専用地域は、その名の通り「中高層」の住宅が見られる地域です。
具体的には、低層住居専用地域の絶対高さ制限がなく、容積率は最大500%まで認められているため、4階建て以上のマンションを建てることが可能になります。
また、店舗に対する制限が、業種・面積ともに緩和されており、小規模な食品スーパーやファミリーレストランなどの飲食店も営業できます。
これは、低層住居専用地域にはない大きなアドバンテージでしょう。
店舗の出店状況しだいですが、日常生活なら近くで済んでしまう第一種中高層住居専用地域は、利便性が良くマンションがあることで、それなりに人口密度の高い地域です。
もちろん、低層住宅も多いので、高さの異なる建物が入り混じっています。
その反面、あくまでも住居専用地域ですから、人が集まりやすい大型店舗や遊戯施設は立地できず、静けさも持ち合わせている良環境を形成しています。
第一種中高層住居専用地域で受ける制限
30%、40%、50%、60%のうち都市計画で定める値
100%、150%、200%、300%、400%、500%のうち都市計画で定める値
適用距離:前面道路の反対側の境界から20m、25m、30m、35m(容積率による)
高さ制限:前面道路の反対側の境界からの距離×1.25 (特定行政庁指定区域は1.5)
隣地境界からの距離×1.25+20m(特定行政庁指定区域は2.5+31m)
北側隣地境界(道路の場合は反対側の境界)からの距離×1.25+10m
※日影規制の対象区域は除外
適用対象:高さが10m超
測定面の高さ:4mまたは6.5mを自治体が条例で指定
時間制限:以下の1~3を自治体が条例で指定
1.隣地境界から10m以内は3時間、10m以上は2時間
2.隣地境界から10m以内は4時間、10m以上は2.5時間
3.隣地境界から10m以内は5時間、10m以上は3時間
第一種中高層住居専用地域で建てられる建物・建てられない建物
【建てられる建物】
建物の用途 | その他の制限 |
---|---|
住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿 | |
兼用住宅(非住宅部分1/2未満かつ50㎡以下) | 非住宅部分の用途制限あり |
店舗等で500㎡以下(2階以下) | 飲食店、物品販売店舗等 |
幼稚園、小学校、中学校、高等学校 | |
大学、高等専門学校、専修学校等 | |
図書館等 | |
巡査派出所、一定規模以下の郵便局等 | |
神社、寺院、教会等 | |
病院 | |
公衆浴場、診療所、保育所等 | |
老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等 | |
老人福祉センター、児童厚生施設等 | |
単独車庫 | 300㎡以下、2階以下 |
建築物附属車庫 | 3,000㎡以下、2階以下 |
洋服店、畳屋、建具屋、自転車店等(作業場の床面積50㎡以下) | 原動機0.75kW以下、2階以下 |
パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋等(作業場の床面積50㎡以下) | 自家販売、原動機0.75kW以下、2階以下 |
【建てられない建物】
- 3階以上または500㎡超の店舗等
- 事務所等(兼用住宅を除く)
- ホテル、旅館
- 遊戯施設、風俗施設
- 自動車教習所
- 3階以上または300㎡超の単独車庫
- 3階以上または3,000㎡超の建築物附属車庫
- 倉庫
- その他、建てられる建物に記載以外の工場
第一種中高層住居専用地域での土地活用の考え方
第一種中高層住居専用地域では、マンションが建てられること、営業できる店舗の種類が増えていることで、土地活用は悩むかもしれません。
まずは、住宅・店舗にするか、それとも土地で活用するか決めてはどうでしょうか。
マンションについては、大学・高専・専修学校(専門学校)が建てられる地域なので、もし近くにあれば単身用のワンルームマンション、なくても家族向けマンションのニーズが高いことは予想できます。
もし、マンションを建てる資金に不安がある場合、等価交換方式でマンションの一部を手に入れれば、部屋を賃貸することで賃貸経営を始められます。
不動産会社やコンサルタントなどに相談して、最適な土地活用を探りましょう。
また、店舗面積が500㎡まで許されることや、基本的に住宅地なので、周辺住民をターゲットにした販売業・サービス業も需要は高いと思われます。
低層住居専用地域と同じく、倉庫が建てられずコンテナ倉庫は置けません。
その他、駐車場は賃貸経営に比べて収益性は低いですが、他に転用しやすいメリットがあり、2階までの機械式駐車場やコインパーキングも可能です。