不動産を売却する方法には、不動産会社に仲介をしてもらう方法と買取をしてもらう方法の2つがあります。
初めて不動産を売るとなると、どちらの方法を選んだほうが自分にとってメリットが大きいのか疑問に思うでしょう。仲介と買取、それぞれ特徴があり、おすすめの方法も人によって異なります。
記事では、不動産買取と仲介の違い、選び方、売却に向けての流れを紹介します。
不動産買取とは?
不動産の買取とは、不動産会社が不動産を買い取ってその対価を不動産の売主に支払う売却方法のことです。
不動産の売却方法には、不動産会社に仲介をしてもらう方法と買取をしてもらう方法の2つがありますが、何がちがうのでしょうか。
仲介と買取の違い
「仲介」と「買取」の違いは、「買主」・「売却手続期間」・「売却価格」の3つです。
下の表を見てください。
多くの人が依頼する仲介売却は、不動産会社が仲立ちとなり不動産の売主のために買主を探します。そのため、不動産の買主は一般の個人、売却期間も買主を探すのに4~6カ月かかります。
一方、買取の場合は、不動産会社が不動産の買主となります。買主を探すのに時間がかからないため売却期間も仲介に比べて少なく済みます。ただし、不動産の売却価格は仲介の7~8割となります。
(詳しい理由は「第2章 不動産買取のメリット・デメリット」で解説)
買主 | 売却期間 | 売却価格 | |
---|---|---|---|
仲介 | 個人 | 長い(4~6カ月) | – |
買取 | 不動産会社(=買取業者) | 短い(1~2ヶ月) | 仲介の約7~8割程度 |
買取には2種類の方法がある
不動産買取には、「即時買取」と「買取保証」の2種類があります。
より短期で売却できる「即時買取」
即時買取は、不動産会社と買取価格の取り決め後、その場で不動産を買い取ってくれる方法です。
即時買取では、仲介のように一般個人から買主を募集する売却活動が一切なく短期間で現金化されるため、早く不動産を売却したい人におすすめです。
ただし、即時買取での不動産の買取価格は市場価格の7~8割程度になってしまうことに注意が必要です。
仲介と買い取りを組み合わせた「買取保証」
買取保証は、仲介と買取を組み合わせた売却方法です。
まずは仲介として一般個人の買主を探し、一定の期間を経ても売買が成立しなかった場合に不動産会社に買取してもらいます。仲介だと不動産がいつ、いくらで売れるのかが分かりませんが、買取保証であれば売却後のスケジュールや資金計画が立てやすいという側面があります。
買取保証は、一定の期間内に仲介にて売却が成立した場合、不動産市場での価格で売却することができます。この場合、不動産の売主は不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。(仲介が成立しない場合は支払う必要なし)
買取保証は、即時買取と比べ不動産を引き渡すまでに時間がかかるため、時間的な余裕がない人には向きません。
不動産会社の仲介による売却と買取はどのように違うのか、何となくわかっていただけたかと思います。ですが、不動産によって買取と売却どちらが良いのか異なってきますので、不動産会社にどちらが良いか相談してみると良いでしょう。1社だけだと足元を見られて不利な情報を伝えられる可能性もありますので、複数の不動産会社へ相談してみることをおすすめします。
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2001年11月 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 700万人 | |
提携会社数 | 1,300社 | |
同時依頼社数 | 6社 |
それでは、不動産買取のメリットとデメリットを詳しく解説します。
不動産買取のメリット・デメリット
次に、不動産買取のメリット・デメリットについてみていきましょう。
不動産買取のメリット
不動産買取のメリットには、以下のようなものがあります。
- 不動産をすぐに手放す(現金化)ことができる。
- 仲介手数料がかからない
- 近所に知られることなく売却できる
- 瑕疵担保責任が免除される
不動産をすぐに手放す(現金化)ことができる
買取の最も大きなメリットは、不動産をすぐに売却(現金化)できることです。
仲介での売却期間は、最低でも3~6ヶ月となる一方で、買取では買主を募集する期間がないため1~2ヶ月で現金化することができます。
転勤、離婚などで不動産の売却を急いでいる場合、売却期間が短いことは魅力的でしょう。
また、買主を募集する必要がないため、不動産の内覧に応じる必要もなく不動産を売るためにかかる手間も軽くなります。
仲介手数料がかからない
仲介の場合は、売買が成立したと同時に仲介を依頼した不動産会社への仲介手数料の支払いが生じます。
仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限額が設けられており、売買代金の3.3%+6.6万円(消費税10%込み)という費用が必要です。
例えば、2000万円の不動産を仲介で売却すると、「2000万円×3.3%+6.6万円=72.6万円」の仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料の仕組みについて詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
不動産を売却するとき、不動産会社に支払う仲介手数料や税金などの費用がかかります。この不動産会社に支払う仲介手数料はいくらかかるか、初めて不動産を売却する際は相場がわからず、またどのタイミングで支払うことになるのかわからず、不安になる[…]
近所に知られることなく売却できる
離婚や事故物件などで近所に知られることなく不動産を売却したいという方もいるでしょう。
不動産の買取であれば、不動産の買主を募集するために公告を大々的に打ち出すことがないため近所に知られることなく売却することができるというメリットがあります。
ただし、不動産会社によっては買取と同時に売却活動を開始する会社があります。近所に知られたくないといった人は、信頼のできる不動産会社に事情を説明することが大切です。(詳しくは「第4章 買取にしても仲介にしても不動産会社選びが大切」で解説します。)
瑕疵担保責任が免除される
通常の仲介売却では、不動産を売却した後に不動産に何らかの瑕疵(シロアリ被害や地中埋設物など)が見つかった場合、不動産の売主は買主に損害賠償金を支払わなければいけません(瑕疵担保責任)。
しかし、不動産買取によって不動産を手放した場合、売主は瑕疵担保責任が免除されるため、瑕疵担保責任に問われることにおびえる必要がありません。
不動産の瑕疵担保責任について詳しく知りたい方は以下の記事をお読みください。
不動産を売却する機会は一生のうちにそう何度もありません。そのため、売却時にトラブルが起きないかと不安を感じる人も多いでしょう。トラブルを回避するために不動産売却時に必ず知っておきたいことが瑕疵(かし)担保責任です。瑕疵とは、[…]
不動産買取のデメリット
次に不動産買取のデメリットについてみていきましょう。
不動産買取のデメリット
- 売却価格が市場価格の7~8割になる
- 不利になりやすい条件がある
売却価格が市場価格の7~8割になる
不動産買取の最も大きなデメリットは売却金額が市場価格の7~8割になることです。
不動産の買取額が仲介による売却価格よりも安いのは、買い取った不動産を再販売するための手数料が差し引かれているからです。
具体的には、買い取った不動産をリフォーム・修繕・リノベーションする費用や再販するときの広告費用などが差し引かれます。
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不利になりやすい条件がある
築年数が浅い不動産を売却するときは不動産の買取が不利になることが多いです。
築年数が浅い不動産は大規模なリフォームやリノベーションをする必要がないため、市場価格の7~8割で買い取られてしまうと損をするからです。
不動産の買取は古い物件や事故物件など売れない不動産を売却するのに向いています。
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不動産買取のメリット・デメリットまとめ
第2章で扱った不動産買取のメリット・デメリットを表にまとめました。
買取 | 仲介 | |
---|---|---|
売却期間 | 1~2カ月 | 3~6カ月 |
仲介手数料 | かからない | 売却価格×3%+6万円 |
機密性 | 保たれる | 保たれない |
瑕疵担保責任 | なし | あり |
売却価格 | 仲介の7~8割 | – |
不動産の買取と仲介どちらを選べばいいの?
ここまで、不動産の買取と仲介の違いについてみてきましたが、実際のところどちらを選べばいいのでしょうか?
不動産の買取が向いている人
不動産の買取は以下の条件のいずれかに当てはまる人に向いています。
- 今すぐに不動産を現金化したい(即時買取)
- 不動産を現金化する期限が決まっている(買取保証)
- 築年数が古い家が売りたい
- 市街化調整区域内の不動産を売却したい
- 不動産の売却を近所の人に知られたくない
不動産の売却金額でなく、早さを何よりも優先させたいという人に不動産の買取は向いています。また、早さだけでなく、築年数が古い家や市街化調整区域内の不動産など売りにくい不動産を現金化したい場合も買取がいいでしょう。
不動産の仲介売却が向いている人
不動産の仲介売却が向いている人は以下の条件のいずれかに当てはまる人です。
- 売却時期にはこだわりがない
- 不動産をできるだけ高く売りたい
- 住宅ローンが残っている
- 立地が良い、築年数が浅い不動産
不動産をできるだけ高く売りたいという方は、不動産の売却仲介のほうが向いています。
また、すぐに売却したいと思っている不動産が好立地で築年数が浅い、人気のある物件であれば買取を選ばなくても通常の売却ですぐに売れる可能性が高まります。そのため、そのような不動産を売却したい場合は仲介を選択したほうがお得です。
住宅ローンが残っている不動産を売却するときは、住宅ローンを完済し抵当権を抹消することが条件となります。そのため、仲介を選びできるだけ高値で不動産を売却したほうが良いでしょう。
以下のような物件をお持ちの方は買取が向いています
市街化調整区域や接道義務を満たしていない土地など法律の規制上売りづらい不動産をお持ちの方は買取が向いています。
市街化調整区域とは、農地や緑地を保全するために建物を建ててはいけないと定められた区域です。建物を建てられない土地を欲しいと思う人はいないため、仲介で買い手を探すよりも不動産会社に買い取ってもらうほうがよいでしょう。
また、接道義務とは幅4m以上の道路に2m以上接していないと建物を建ててはいけないという規制をいいます。詳しくは以下の記事をお読みください。
「市街化調整区域の売却について」「接道義務について」
築年数が古い、立地が悪くて買い手がつかない家も不動産の買取が向いています。
築年数が古い家を売れるようにするためには、リフォームやリノベーションを行う必要があります。しかし、リフォームやリノベーションには最低でも100万円以上かかるため自分で行うのはリスクです。
また、家を売りに出してなかなか売れないと「あの家には何かいえない事情があるのではないか」と思われさらに買い手がつかなくなってしまいます。
「古い家の売却方法」「田舎の土地を売る方法」
買取にしても仲介にしても不動産会社選びが大切
不動産の売却をするとき、買取を選ぶにしても、仲介を選ぶにしてもどの不動産会社を選ぶかが売却の成功のカギを握ります。
第4章では、信頼できる不動産会社を選ぶための2つのコツを紹介します。
信頼のできる不動産会社を選ぶための2つのコツ
- 不動産一括査定サイトを使う
- 不動産会社は担当営業者で決める
不動産一括査定サイトを使う
信頼のできる不動産会社を選ぶ一番のコツは、不動産一括査定サイトを用いて複数の不動産会社に査定を依頼し、その中から印象の良かった不動産会社を1つ選ぶことです。
不動産一括査定サイトとは、不動産を売りたい売主と複数の不動産会社を結ぶマッチングサービスです。
「不動産を高く売りたいなら不動産一括査定サイトを使おう」という文言をよく見かけます。不動産一括査定サイトは、以下のようにサイト上に査定したい不動産の情報を入力するだけで複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスですので、不動産を高く[…]
「優良な不動産会社を探す」といっても現在日本に存在している約12万業者をすべて見て検討することは不可能です。不動産一括査定サイトを使えば、すでにサイト運営者によって選抜された不動産会社の中からあなたにおすすめの不動産が紹介されます。
おすすめな動産一括査定サイトは、全国の1,700を超える不動産会社と提携している「HOME’S」です。多くの不動産会社に査定額を出してもらえるため、正確な査定額を知ることができます。正確な査定額の把握により、相場より高い価格での売却も可能です。
さらに、住み替えや買取、売るか貸すか幅広く無料で相談できますので、不動産や個人に1番合った方法を考えられるでしょう。
運営会社 | 株式会社LIFULL | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2014年 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 612万人 | |
提携会社数 | 約1,700社 | |
同時依頼社数 | 6社 |
ホームズ(HOME`S)と聞くと、賃貸物件を探すときに使うサイト、新築・中古戸建て/マンションを購入するときに情報を得るサイトというイメージが強いのではないでしょうか。そんなイメージとは裏腹に、ホームズ(HOME`S)は不動産の売却[…]
不動産会社は営業担当者で決める
査定を依頼した不動産会社の中から売却を依頼する不動産会社を1つ選ぶときには、不動産会社の営業担当者の人柄に注目して選ぶのがおすすめです。
不動産会社の実績などを見なくていいの?と驚くかもしれませんが、不動産の売却に関しては実際に買主を探すところから交渉を担当する営業マンの力量が売却成功のカギを握るのです。
交渉力の高いできる営業マンを見極めるには以下を参考にするとよいでしょう。
- 明るくてさわやか。人として印象がいい
- 質問をするとわかりやすく教えてくれる
- 不動産を売却するときの方法やコツを複数知っている
- メールや電話での返信が早い
また、別の記事で仲介売却、不動産買取のそれぞれで依頼する不動産会社を選ぶコツをまとめました。
仲介売却でおすすめの不動産会社を選ぶ方法はこちら
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第5章では不動産売却仲介と買取の流れを見ていきましょう。
不動産仲介の流れ
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不動産仲介の流れ
- 相場の把握
- 不動産会社の決定
- 売却開始(買主を探す)
- 買主との交渉
- 物件情報開示
- 売買契約の締結
- 不動産の引き渡し
- 確定申告
各工程についてより詳しく知りたいという方は以下の記事をお読みください。
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不動産買取の流れ
一方、不動産買取の場合は、不動産仲介の流れの中にあった「買主を探す」「買主との交渉」というフェーズがありません。
買主を探す手間が省ける分、不動産の買取は仲介と比較して不動産を手放すまでにかかる期間が約2カ月ほど短くなります。
不動産買取の流れ
- 買取価格の査定を行う
- 買取価格を提示してもらう
- 打ち合わせと条件の確定
- 売買契約を締結する
- 決済と引渡し
- 確定申告
まとめ
不動産の売却方法には、仲介と買取の2つがありますがそれぞれおすすめな人が異なります。
仲介を選ぶにしても、買取を選ぶにしても、売却を成功させるためには信頼のできる不動産会社を選ぶことが大切です。
まずは、記事で紹介した不動産一括査定サイトを使って複数の不動産会社に査定依頼をすることから始めましょう。
運営会社 | 株式会社LIFULL | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2014年 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 612万人 | |
提携会社数 | 約1,700社 | |
同時依頼社数 | 6社 |