土地評価額が下がると売値も下がる?【監修記事】

路線価の発表や固定資産税評価額の改定などで土地の評価額が増減すると土地の売値がいくらになるか気になるものです。

特に、評価額が下がると土地の売値も下がってしまうのではないかと不安になるでしょう。

しかし、土地の評価額と売値は別物です。

この記事では、土地の売却額を知りたい人に向けて、5種類の土地の評価額と評価額と売値の関係を解説します。

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福谷陽子
【監修】福谷 陽子
京都大学法学部卒業の元弁護士
保有資格:司法試験合格、簿記2級
不動産の売買や相続、破産管財、任意売却など多種多様な経験を積んでいる。

5種類の評価額の種類と定義

5種類の評価額の種類と定義
まずは、土地にどのような評価額があるかみていきましょう。土地には「1物5価」といわれるように5種類の評価額が存在します。

土地の評価額の種類

  1. 実勢価格
  2. 公示地価/基準地価
  3. 相続税評価額(相続税路線価)
  4. 固定資産税評価額(固定資産税路線価)
  5. 鑑定評価額

5種類の評価額それぞれにどのような意味があるのか以下で見ていきましょう。

実勢価格

実勢価格とは、実際の不動産市場で売買されている土地の価格です。

土地の売値を知りたい方は実勢価格を参考にするとよいです。

実勢価格は、実際の取引価格なので取引状況によってリアルタイムに変動します。

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土地の実勢価格

公示地価/基準地価

公示地価・基準地価とは、国または都道府県が公表している標準地/基準地の価格です。

標準地・基準地とは、国が取引の目安にするため土地価格の指標として選定した土地のことです。標準地・基準値はそれぞれ全国に約26,000地点存在しています。

公示地価・基準地価は、土地取引の目安となる指標の数字なので、実際の取引価格(実勢価格)に近いものになります

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公示地価

参考:国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」

東京都財務局「東京都基準地価額」

相続税評価額(相続税路線価)

相続税評価額(相続税路線価)とは、相続税や贈与税を計算する際に用いる評価額です。

相続税評価額の算出方法には路線価方式と倍率方式の2種類があります。市街地などは路線価図に基づく路線価方式で、路線価が無い地方などでエリアごとに決まった倍率を固定資産税評価額に掛ける倍率方式で評価します。

相続税評価額は市場価格(実勢価格)の8割程度になります。

参考:全国地価マップ|資産評価システム研究センター

固定資産税評価額(固定資産税路線価)

固定資産税路線価とは固定資産税を計算するための基礎となる土地の評価額です。

各自治体が個別に決定している価格で、土地や家の状況に合わせて決定されます。

固定資産税評価額は市場価格の7割程度になることが多いです。

鑑定評価額

鑑定評価額とは不動産鑑定士による鑑定評価によって算出された価格です。

不動産鑑定士とは、不動産の価値を調べる専門家であり「不動産の鑑定評価に関する法律」によって定められた国家資格です。

鑑定評価額は専門性と客観性に裏付けられた価格であり、実際の売却価格に近くなる傾向にあります。

5種類の土地評価額と売値の関係

各土地評価額の金額の相対関係を棒グラフで表記
第2章では5種類の土地評価額と売値の関係性を見ていきましょう。

売値に最も近いのは実勢価格

5種類の評価額のうち土地の売値に近い評価額は、実勢価格公示地価/基準地価鑑定評価額です。このうち最も売値に近いのは実勢価格です。

公示地価/基準地価は限られた標準値・基準値の土地の価格を示しているので、実際の売却価格と全く同じになりません。また、鑑定評価額は不動産鑑定士による鑑定で売値に近いものの売値そのものではありません。また鑑定には費用が60~70万円かかるため、現実に鑑定を利用するケースは少数です。

一方、実勢価格は実際に不動産が取引された価格を表しているのでほとんど「取引価格そのもの」と言ってもよく、最も売値に近くなります。

評価額が低くても売値が低くなるとは限らない

土地の路線価や固定資産税評価額などの評価額が低くても売値が低くなるとは限りません

路線価や固定資産税評価額は公示地価/基準地価を基準にそれぞれ8割、7割で計算されているため実際の売値よりも低いです。

また、基準となっている公示地価/路線価は1年に1回しか計測されません。そのため、常に変動する土地の価格が反映されておらず、実際の売値と異なってきます。

さらに、公示地価/基準地価には売買価格を決める要素となる「土地の特性」や「売り手と買い手の事情」が反映されていないため実際の売値と価格が異なります。
実際の土地の売値は以下の観点で決まります。

土地の売値を決める観点

  • 土地の特性
  • 流通量
  • 売り手と買い手の事情

土地の特性

土地の特性とは、土地そのものがもつ個別事情のことで、立地面積形状などが関係します。

立地に関していうと、都市部、駅から近い、商業施設や職場、学校が近くにあるといった利便性の高いエリアにある土地価格が高くなります

面積は、大きければ大きいほどよいというわけではなく、土地の用途に応じた適切な大きさの土地の価格が高くなります

例えば、規制によりマンションが建てられる土地であれば、マンションを建設できる大きさの土地、戸建てしか建てられない土地であれば、広すぎない土地が好まれるでしょう。

形状は、正方形や長方形などのきれいな形の土地だと価格が高くなります。形状が整っていると土地を利用しやすいからです。

流通量

一般に、流通量の多い土地は価格が高くなる傾向にあります

流通量が多い状態とは、土地の需要が供給よりも多い状態です。

田舎にある土地よりも都市部の土地の人気が高いので自然と流通量が増えます。また、同じ土地でも、1年のうちで人の移動の多い2月~4月は流通量が増えるので価格が高くなる傾向があります。

売り手と買い手の事情

売り手と買い手の事情は、評価額に反映されない項目です。

基本的に売り手が取引を急ぐ場合、じっくり買い手を待てないので、通常相場よりも価格は安くなりがちです。

土地の売買価格が安くなりがちな状況

  • 相続や税金の関係で早く土地を手放したい
  • 負債があるので急いで手元に資金を用意したい
  • 離婚などの要因で早く財産処分をしたい

逆に買い手が急いでいる場合には価格が高くなりがちです。買い手がその土地をどうしても欲しいと強く希望している場合も同様です。

また、複数の買い手が現れる場合は競争が起こるので、通常よりも高い価格になる可能性が高いです。

土地の売値の調べ方

土地の売値の調べ方
土地の売却価格を知りたいなら、土地の取引実績である実勢価格を見るようにしましょう

第2章では、実勢価格から土地の売却価格を予想する3つの方法を解説します。

実勢価格から土地の売却価格を予想する3つの方法

  • 不動産会社の査定価格を見る
  • 土地情報総合システムを使う
  • 仲介業者の販売価格を見る

不動産会社の査定価格を見る

不動産仲介業者は、土地を査定して実勢価格を提供するサービスを行っています。

査定は無料で依頼できますし、土地の面積や立地など個別事情が価格に反映されるため、これから紹介する他の2つの方法と比べ正確な価格を知ることができます。

また、価格査定には簡易査定と詳細査定(訪問査定)の2つがあります。簡易査定は登記事項証明書などの資料をもとに住所、広さ、前面道路などの情報のみから算定するのに対し、詳細査定では不動産仲介業者が実際に現地を訪れて、周囲の環境なども考慮しながら算定します。

簡易査定と訪問査定

家の場合には、個々の家で傷み具合も異なることから、簡易査定と詳細査定で差が付きやすいのに対し、土地の場合はほとんどが立地と近隣の取引事例から査定できるため、家よりも簡易査定の精度が高くなります。土地の実勢価格を知りたいなら、是非とも土地査定を利用し依頼してみてください。

査定を依頼するときにおすすめなのが、不動産一括査定サイトです。

不動産一括査定サイトを使うとWEBサイトから無料で複数の不動産会社に土地や建物の査定を依頼できます。

またサイトでは、簡易査定と詳細査定のうち好きな方法を選ぶことができます。相場を把握したいだけの場合、まずは訪問のない「机上査定」を選択するとよいでしょう。

一括査定サイトは、「HOME`S」と「すまいValue」の同時利用がおすすめです。

「HOME’S」は不動産一括査定サイトの中で最も多い1700社の不動産会社と提携していて、多くの不動産会社の査定額を比較することができます。

HOME'S運営会社株式会社LIFULL
運営開始時期2014年
対象エリア全国
累計利用者数612万人
提携会社数約1,700社
同時依頼社数6社

また、不動産仲介1位の企業など大手6社のみが集まっている「すまいValue」は不動産会社数は多くはないものの経験と実績のある大手に査定をしてもらえるという魅力があります。
相場を知るためには、取扱実績の豊富な大手企業の声は貴重です。

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HOME`SとすまいValueを組み合わせて査定を依頼することで、大手から地域密着不動産会社まで幅広い不動産会社に査定をしてもらえます

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電車などに乗っていると、「あなたの不動産を大手6社が一括無料査定」というすまいValueの広告を見かけます。すまいValueを使うと、不動産の売買仲介手数料でTOPを占める小田急不動産、住友不動産販売、東急リバブル、野村の仲介、三井[…]

すまいValue

紹介した以外のサービスや、一括査定のメリット・デメリットが気になった方は以下の一括査定に関する記事もご参照ください。

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不動産一括査定

土地情報総合システムを使う

国土交通省は、不動産取引を行った当事者にアンケート調査を行い、アンケート結果から得られたデータを集めて公表しています。このデータを集めたサイトが「土地情報総合システム」です。

土地情報総合システムを使えば、実際の取引で適用された実勢価格がわかります。ただし、あくまでサイトに載っている情報は近隣のデータに過ぎず実際の土地の個別事情は考慮されない点、取引事例の少ない地域の情報は掲載されない点を考慮すると、正確性は不動産一括査定サイトに劣るといえるでしょう

国土交通省の「土地情報総合システム」の使い方を見ていきましょう。

土地情報総合システム

トップ画面では、左側中央にある「種類を選ぶ」から土地を選びます。
選択時に、宅地を選んでしまうと、土地と建物の情報も含まれるため、必ず土地、農地、林地のいずれかを選びましょう。

地域は画面中央の日本地図で選ぶこともできますが、画面左側下部の「地域を選ぶ」で選択したほうが使い勝手はよいです。
「この条件で検索」と書かれたオレンジ色のボタンを押すと、一覧が表示されます。

土地情報総合システム

アンケート回答で得られたデータなので、当然に土地取引のすべてを網羅しているものではなく、自分の地域の情報が少ないようなら、別の手段も考える必要があります。

仲介業者の販売価格を見る

現在売りに出されている土地の価格を調べてみることで、ある程度まで目的の土地の価格を推測することは可能です。

ただし、他の人が売りに出している価格が、売りに出している価格のまま自分の土地も同じ価格(坪単価)の価値となるわけではありません。

また成約時は買主と交渉が入るため、たいてい売り出し価格よりも低い価格で取引されます

売り出し価格から値下げして再掲載

販売価格の情報を集める場合、インターネット上でかなり多くの情報を拾うことができて便利な反面、公的な指標ではないので、売主の意向や仲介業者の意向を含んでいるので不正確になるデメリットも併せ持っています。

なお、不動産ポータルの中でもリクルートグループのSUUMOは、土地の相場についてわかりやすいデータを提供してくれています。
駅や地域を絞って、平均的な坪単価と過去からの推移が整理されています。
簡単に概要をつかめるので、興味があれば見てみると良いでしょう。

SUUMO運営会社株式会社リクルート住まいカンパニー
運営開始時期2012年
対象エリア全国
提携会社数約2,000社
同時依頼社数最大10社

土地の価格は今後どうなるの?

土地の価格は今後どうなるの?
第4章では土地の価格が今後どのように推移していくのかを見ていきましょう。

首都圏

首都圏の土地の価格の推移をみると、東京、神奈川、埼玉、千葉のうち東京のみにおいて、毎年土地の価格が高くなっています。

公示地価をもとにした首都圏の住宅地の平均㎡単価の対前年変動率

2019年以降も全国から東京に人が流入してくることが予想されるので、東京都の土地の単価は上がり続けるでしょう

ただし、注意しなければならないのは、東京のすべてのエリアで地価が増加し続けるわけではないことです。

東京都23区内でも、高齢化が進んでいる地域や、郊外の一戸建てメインの住宅街などでは地価の横ばいか下落といった現象が考えられます

東京の土地価格はエリアによって上昇と横ばい・下落の2極化が進んでいくでしょう。

名古屋圏

トヨタ自動車のおひざ元である愛知県は2013年以降地価の上昇が進んでいますが、近隣の岐阜・三重県では10年ほど前から下落が続いています。

公示地価をもとにした名古屋圏の住宅地 平均㎡単価の対前年変動率

2019年以降も、名古屋圏では上記傾向が続くと予想されます。

名古屋県ではリニア開通や駅前の開発によりさらなる人口流入が見込まれるからです。

関西圏

関西圏の土地価格は2010年から下落を続けています。しかし、大阪府と京都府の対前年変動率は2016年からプラスが続いており回復の兆しが見えています。

公示地価をもとに下の関西圏の住宅地 平均㎡単価の対前年変動率

大阪府では、2025年の万博開催に向けて市の開発が進められること、京都では観光産業のさらなる発展が見込まれます。

大阪万博、そして京都の観光業の発展によっては今後地価が上昇していく可能性があります

地方主要都市

札幌市、仙台市、福岡市などの地方主要都市の地価は近年三大都市圏を上回る上昇を見せています。

公示地価をもとにした地方主要都市の住宅地の平均㎡単価の対前年変動率

2019年以降もしばらくは上昇が続くでしょう

近年、コンパクトシティーといわれるように、地方の人口が比較的栄えた地方主要都市に集中する傾向もあります。ただ当分はこの傾向が続くとしても、地方では全体的に人口が減少しているため、数年後に下落に転じる可能性があります。

まとめ

土地の評価額は5種類もあります。評価額の中には、固定資産税評価額など実際の売値よりも価格が安いものもあ流ので、評価額から売値を算出しようとするときは注意が必要です。

もし、土地の正確な売却価格が知りたいのであれば、不動産会社に査定を依頼して実勢価格を出してもらうのが最も良いでしょう。

なお、今回は土地にフォーカスしましたが、戸建てやマンションなど、家の評価額を調べたい場合には以下をご参照ください。

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家 売却 相場

 

HOME'S運営会社株式会社LIFULL
運営開始時期2014年
対象エリア全国
累計利用者数612万人
提携会社数約1,700社
同時依頼社数6社
一括査定の申し込み手順はこちら!
不動産一括査定を使ったら、価格に330万円の差がありました。