空き家を更地にすると固定資産税は上がる?メリット・デメリットを徹底解説

空き家

空き家を保有している方の中には、
空き家を解体して更地にするのと、そのまま維持して住宅用地の特例を活用するのと、どちらが得なのだろうか」と迷っている方がいると思います。

空き家を解体して更地にするとその分の固定資産税評価額は下がりますが、同時に住宅用地の特例の対象外となり、固定資産税率が上がり、結果的に固定資産税が増えてしまうからです。

但し、平成26年に成立した、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家特措法)で「特定空き家」に指定されると、結局更地にせずとも固定資産税が増えるようになりました。

空き家を更地にしても固定資産税は増える、かと言って、そのまま管理せずに放置して「特定空き家」と指定されるとそれでも固定資産税が増えてしまいます。

この記事では、以上のような状況の中で、空き家を解体して更地にするべきかどうかを自分で判断できるよう、

この記事のポイント
  • 更地の固定資産税額
  • 空き家対策特措法と特定空き家
  • 更地の固定資産税額を安くする方法

を中心に解説していきます。

スクロールして内容を読み、空き家をそのままにするか、更地にするか意思決定できるようになりましょう

1. 更地の固定資産税

更地として保有している土地には、その他の土地と同じく固定資産税がかかります。
また、市街化区域に指定されているエリアの土地に対しては都市計画税も課税されます。
それぞれの税額の計算方法は以下の通りです。

固定資産税の計算方法

固定資産税評価額(課税標準額) × 固定資産税の標準税率(1.4%)

都市計画税の計算方法

固定資産税評価額(課税標準額) × 固定資産税の標準税率(0.3%)

どちらも標準税率という名の通り、絶対にこの税率というわけではなく、市区町村毎に設定の変更が可能です。
但し、実運用上は標準税率に近い自治体が多く、この税率を意識しておけば大丈夫です。

土地にかかる税金について、更に詳しく知りたい場合は以下の記事をご参照ください。

購入では家賃との比較材料として、相続では維持費として、税金の話になります。そこで今回は土地と家にかかる税金の種類と特徴、調べ方、そして計算方法と順に解説します。

また、税金ではなく課税標準額の方を調べたい場合は、こちらの記事に参考情報が書いてあります。(基本的には納税通知書に評価額、税額ともに記載してあります)

土地の評価額には様々な指標が有り、「一物四価」あるいは、「一物五価」と言われます。 土地の評価額の種類 実勢価格 ...

2. 空き家(建物つき)と更地の税金を実際の計算で比較

早速空き家を維持する場合(建物付きの土地)と、更地にした場合で固定資産税がどうなるか、計算してみましょう。

2.1 空き家を更地にすると固定資産税が6倍になる

最初に前提の確認です。
家付きの土地を更地にすると、固定資産税が6倍近くにはねあがります。
土地に家が付いていると、住宅用地の軽減措置特例が適用されて、各税金が減額されます。

そのため、空き家付きの土地を更地にすると固定資産税が上がるのです。

住宅用地の軽減措置特例概要
固定資産税都市計画税
更地減額なし減額なし
敷地面積200㎡以下1/6減額1/3減額
200㎡を超える部分1/3減額2/3減額

参考文献: 住宅用地及びその特例措置について|東京都主税局

2.2 建物付きと更地の固定資産税計算用具体例


空き家付きと更地で、どのように固定資産税が変わるか計算してみましょう。

土地の固定資産税軽減率は、土地の敷地面積200㎡を境に変わります。
想定する土地の例として、200㎡以下の土地とそれより大きい土地を比較して考えてみましょう。

比較のポイントは、土地に対する固定資産税が更地に変わって高くなる点と、空き家に対する固定資産税がなくなる点です。

想定とする空き家と敷地の評価額は次の通りです。

家:2,000万円、土地:2万円/㎡家の評価額土地の評価額
例1:木造築30年、土地200㎡280万円280万円
例2:木造築15年、土地300㎡560万円420万円

どちらの例も再建築価格2,000万円の家を想定、その7割=1,400万円を新築の評価額として、20年で2割の280万円まで減価償却(1年で56万円)しています。

例1は築30年で2割まで償却されていますが、例2は築15年で完全に償却が終わっておらず、1,400万円-15年×56万円=560万円が残価です。

土地はどちらの例でも地価2万円/㎡を想定、価格の7割を評価額としています。
例1は200㎡×2万円×0.7=280万円、例2は300㎡×2万円×0.7=420万円です。

2.3 空き家付きの固定資産税を求める計算方法

空き家付きの固定資産税額は以下の式で求められます。

敷地面積が200㎡以下の場合

固定資産税=土地価格×1/6×1.4%

敷地面積が200㎡より大きい場合は、200㎡を超える部分に限り以下の式で計算します。

固定資産税=土地価格×1/3×1.4%

それぞれの固定資産税額を計算していますが、例2では土地が広いので、土地の一部は特例による軽減率が変わっています。

家は評価額をそのまま課税標準額としますが、土地は特例適用後の価格を課税標準額とすることに注意してください。

【例1】
家の固定資産税:280万円×1.4%=3.92万円
土地の固定資産税:280万円×1/6×1.4%=0.653万円
土地の固定資産税は、200㎡までは特例で1/6に減ります。
【例2】
家の固定資産税:560万円×1.4%=7.84万円
土地の固定資産税:280万円×1/6×1.4%+140万円×1/3×1.4%=1.306万円
※例2の土地では、広さが200㎡を超えているので、200㎡までは特例で1/6に、200㎡を超える100㎡は1/3の軽減です。
家の固定資産税土地の固定資産税合計額
例13.92万円0.653万円4.573万円
例27.84万円1.306万円9.146万円

2.4 更地の固定資産税を求める計算方法

更地になると、家の固定資産税はなくなり、土地の固定資産税は特例がなくなります。

更地の固定資産税は以下の式で求められます。

固定資産税=土地価格×0.7×1.4
【例1】
土地の固定資産税=280万円×0.7×1.4%=2.744万円
【例2】
土地の固定資産税=420万円×0.7×1.4%=4.116万円

例1と例2のどちらも、更地にした方が固定資産税は安くなっています。

このような例では、解体費用を出しても抵抗は少ないかもしれません。

2.5 どのような場合に固定資産税が高くなる?

更地にした場合に固定資産税が高くなる場合は計算で求められます。

敷地面積が200㎡以内で全体が特例対象の場合

次の式を利用します。

空き家付きの固定資産税:土地の固定資産税+家の固定資産税
更地の固定資産税:土地の固定資産税×4.2
※特例がなくなって6倍×0.7=4.2倍

更地の固定資産税>空き家付きの固定資産税

土地の固定資産税×4.2>土地の固定資産税+家の固定資産税

土地の固定資産税×3.2>家の固定資産税

計算から敷地が200㎡以下では、家の固定資産税が土地の固定資産税の3.2倍より小さくなると、更地にしたときに固定資産税が上がります

敷地面積が200㎡を超える場合

敷地が200㎡を超えると、特例の軽減率が変わってくるので計算は複雑です。
例えば、500㎡なら200㎡までの固定資産税が4.2倍、残りの300㎡は2.1倍になります(家の床面積が50㎡以上の場合)。

また、特例の適用は床面積の10倍までと決まっているので、土地が広いほど更地にしたときの固定資産税は上昇率が下がります(広いと特例の対象外となる部分も増えるので)。

その結果、200㎡を超える敷地を更地にしたときの固定資産税は、解体前の土地の4.2倍 を確実に下回ります。

まとめると、結論は次の通りです。

【敷地の広さに関係なく、家の固定資産税が土地の固定資産税の3.2倍以上あれば、更地にしても固定資産税は上がらない】

以上、これまでの過程から、次のような傾向になるので参考にしてみてください。
(都市計画税の計算は省略します)

空き家と更地の固定資産税比較時の要点
  • 家の固定資産税が土地の固定資産税の3.2倍以上なら、解体しても固定資産税は上がらない
  • 地価が高い地域ほど更地にしたときの固定資産税は大きくなる(単純に2.1~4.2倍になるので)
  • 土地が広いほど更地にしたときの固定資産税は上がりにくい(1/6の特例の対象外部分が増えるので)

田舎の土地では、地価が安く土地が広い傾向から固定資産税の上昇が抑えられ、更地にするリスクは都市部よりも小さいと考えられます。

特に対策の必要性がある田舎では固定資産税が増えるケースよりも、解体費用がネックで放置されている可能性もあるのです。

3. 更地でなくても固定資産税率が上がる「特定空き家」の指定

ここでは、更地でなくても、固定資産税率が上がるケースとして、空き家対策特措法と特定空き家の指定についてみていきます。

3.1 空き家等対策の推進に関する特別措置法

空き家対策特別措置法とは、老朽化した空き家に潜む危険の防止と、空き家や敷地の資産活用を促すために制定された法律です。

この法律は、国が基本方針を打ち出し、自治体が必要な施策を行うためのガイドラインでもあり、なおかつ自治体による措置の根拠法にもなっています。

したがって、今後は空き家対策特別措置法によって、空き家は地域の自治体により整備される可能性が高くなります

3.2 特定空き家とは?

特定空き家とは、空き家対策特別措置法第2条で次のように定義されるものをいいます。

特定空き家等の条件
  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれがある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

但し、定義は抽象的であることから、国土交通省は特定空家等の是正措置についてガイドラインを示しています。

「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)

特例空き家に認定されると、住宅用地軽減措置特例が廃止され、更地と同額の固定資産税が課税されます

また、自治体から空き家の対策を迫られ、自治体からの指導や勧告に応じないと自治体が特定空き家を強制的に解体などして所有者に費用請求できます。(空き家対策特別措置法14条)

そのため、空き家は放置することなく、何かしらの対策を講じることが大切です。

H26年11月に成立した、空家等対策特別措置法により、空き家が、特定空き家に認定され、持ち主が何も対策を行わなかったときに行政が行う...

4. 空き家を解体するメリットとデメリット

多くの人が空き家の解体をデメリットと考えて躊躇しますが、注意したいのは、空き家を解体することは必ずしもデメリットではないという点です。

4.1 空き家解体のメリット

まず、現在のデメリットになっている、空き家の持つ潜在的な負の要素を考えてみます。

老朽化した空き家では倒壊の危険が、誰も関心を示さなければ犯罪の温床や失火の原因に、換気や手入れがないと害虫や害獣被害が、不法投棄による悪臭、地域の景観に悪影響を与えるケースもあり得ます。

空き家を放置するとどうなるのか、噂には聞いても詳しくは知らないものです。空き家対策特別措置法による固定資産税の実質増額や強制解体はよく聞くところですが、所有者が直面しうる4つのリスクを、法的な根拠と合わせて紹介します。

空き家を解体すると、空き家を放置した場合に発生し得る負の要素を事前に防ぐことができます。

また、更地にすることで見栄えがよくなり、土地が売れやすくなるメリットもあります。

解体を先にすると費用は売主負担ですが、売却価格に上乗せにもできるので全体的な損失にはならず、売れやすくなる利益と相殺できます。

4.2 空き家解体のデメリット

デメリットは何と言っても解体費用です。
木造でも坪2万円~3万円と呼ばれる解体費用は、使わない家に支払うにしては高額です。

更地としての売却予定が明確なら、解体費用は譲渡費用として計上されるのですが、田舎の空き家で売却差益を得られる可能性は低く、大抵は単なる負担金です。

危険な空き家は固定資産税の軽減対象から外される動きが出ています。今後は空き家が解体されるケースも増えることから、解体費用の相場と構造別の事例をまとめました。

また、解体することで建築基準法の接道義務(原則として幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない)に抵触し、再建築不可物件として扱われると、価値が非常に低くなってしまうデメリットもあります。

他に大きいのが、冒頭でも述べた通り、家を解体すると固定資産税の特例から外れ、固定資産税率が6倍になってしまう点で、解体費用+固定資産税増加分の負担は大きいでしょう。

5. 行政の解体費用の支援を利用しよう

前章で空き家を解体し、更地にするデメリットとして、主に解体費用・固定資産税の増加などの経済的な損失が生じる点について述べました。

実は、その経済的な損失を補う方法として、行政の解体費用の補助金交付を利用する方法があります。

解体費用の補助金交付は、空き家対策特別措置法以前から行われており、空き家再生等推進事業という名目で国が補助をしています。

国と自治体が補助金を出しあって、解体費用の負担を軽減している代わりに、自治体に予算枠があり予算枠を使い切ると申請が締め切られます。

解体費用の補助は、多くの自治体で行われているので、自分の所有する空き家の地域で、補助事業が行われていないか確認してみましょう。

補助金の金額は自治体の予算次第ですが、30万円~100万円程度までが多いようです。

なお、空き家対策特別措置法の施行によって、財政的な支援基盤を得た自治体が、さらに空き家対策に予算を投じると予測されるため補助金には注目です。

6. 更地の固定資産税額を安くする方法

更地固定資産税を安くする方法

前章で、空き家を解体して更地にしたとしても、家の固定資産税が土地の固定資産税の3.2倍以上あれば、更地にしても固定資産税は上がらないと書きました。

一方、家の固定資産税が土地の固定資産税の3.2倍より小さかった場合、更地にすると固定資産税は上がります。

では、更地の固定資産税を安くする方法はないのか?

あります。それは新たに土地活用をするという方法です。
土地活用の例として、

土地活用方法の例
  • 駐車場経営
  • 太陽光発電
  • 貸地
  • マンション経営

などがあります。

自分にあった土地活用方法を探したい方は、ぜひ、以下の記事をご覧ください。

今回は各土地活用を評価しつつ、失敗しないためのポイントを中心に13の活用方法について紹介します。土地活用方法ごとに、失敗するポイントは様々です。その土地のニーズや特徴、関連する業者を適切に把握し、自分で考えて決められれば成功に近づきます。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

空き家つきの土地を更地にすると固定資産税が莫大に高くなると思っていたけれど、家の固定資産税が土地の固定資産税の3.2倍以上あれば、更地にしても固定資産税は上がらないという事実は知らなかったという方が多かったのではないでしょうか。

空き家は放置しておくとご近所トラブルにまで発展したり、自治体から特定空き家ににんていされてしまう可能性もありますので、この機会を機に、更地にする方法や更地を活用する方法を検討してください

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