太陽光発電の種類(パネル原料と設置方法)

太陽光発電の種類
太陽光発電の導入を本格的に考えている、導入するという人が気になるのは太陽光発電に欠かせない太陽電池、ソーラーパネルの種類ではないでしょうか。ソーラーパネルは種類が豊富ですし高価で設置してから変えることもそうないため、選ぶ際には多くの人が悩むところです。

さらに、設置できる場所の制限やパネルに投資できる金額も人それぞれでこれが1番良いと言えないのがさらに選択を難しくしています。しかし、パネルの原材料による違いと設置場所との相性によっては、選択肢は絞れます。人によって正解はさまざまですが、このパネルを選んで良かったと思えるように、違いや特徴を把握し、ソーラーパネルを選択できるようにしましょう。

1.太陽電池は素材で選ぶ

太陽電池には家庭用から宇宙で使用するものまであり、研究段階のものも含めると非常に多くあります。太陽電池の種類は素材で分けることができ、大きく分けるとシリコン系・化合物系・有機系の3つになります。

太陽光発電の種類とは

現在、有機系は開発中になり、個人で使用をするのならシリコン系か化合物系のいずれから選ぶことになります。普及しているのは主に以下の表のものになります。これらの素材の太陽電池を詳しく解説していきます。

原材料価格発電効率高温特性
シリコン系単結晶シリコン高い15%~20%悪い
多結晶シリコン普通12%~15%悪い
アモルファスシリコン安い5%~10%良い
ハイブリット(HIT)高い18%~21%良い
化合物系CIS系安い11%~14%良い
CdTe系安い11%~15%良い

2.最も普及するシリコン系

最も普及している太陽電池で、ソーラーフロンティアを除くと、国内の主要メーカーはほぼシリコン系を主力商品にしています。
シリコン系の弱点である高温時の性能低下を補うため、技術革新がされてきました。

単結晶シリコン

最も歴史がある太陽電池です。変換効率が15~20%と一般向けに普及している太陽電池の中でも高く、世界中で生産されている主流のタイプです。

高純度シリコンを使用しているため材料コストが高くなり、製造にも手間がかかるため高価格になってしまうのがネックです。しかしながら、歴史が長い分研究も長く続けられているので耐久性や信頼性は非常に高く、ほとんどのメーカーで扱っていますし、多く採用されています。
東芝のSPR-250NE-WHT-Jは、メーカー公表値で変換効率が20.1%と、量産レベルのパネルでは世界一を称しているほどで、250Wの希望小売価格も182,500円と高価です。

多結晶シリコン

多結晶シリコンの基本的な原理や構造は単結晶シリコンの太陽電池と同じですが、製造の手間を省き、単結晶シリコンの端材を再利用できることから価格を安く抑えることに成功した太陽電池です。価格は安くなっても耐久性・信頼性は単結晶シリコンと変わりません。性能・価格ともに中間的なバランスの良さで現在主力の太陽電池として普及しています。

しかし、製造コストを下げるために構造が単結晶シリコンより劣っており、その分発電効率も落ちてしまっています。

多結晶シリコンを比較的多く扱っているのは京セラで、KJ210P-3DD4CGは、15.8%の変換効率、210Wで希望小売価格が96,600円ですから、東芝の単結晶シリコンに比べ半分の価格にもかかわらず、出力は3/4程度までしか落ちていません。

アモルファスシリコン

シリコン系の中でも薄膜型と呼ばれるアモルファスシリコンは、ガラス基板にシリコンの薄膜を生成する製造方法が使われています。このため原材料の製造コストを抑えることができ、低コストでの生産を可能にしています。さらに、その薄さから自由に折り曲げることができるシート状のフレキシブルソーラーパネルを作ることもできます。

他にもアモルファスシリコンは高温環境に強く、可視光での発電に優れている点で、高温環境下でも出力低下が少ないです。結晶シリコンでは高温環境下に弱く、アモルファスシリコンのメリットと言えるでしょう。

しかし、結晶シリコンより変換効率は低く5~10%程度です。大面積の太陽電池を容易に作れることもあり、効率よくしたい設置面積よりもコスト重視の地域などに向けて大量生産されています。

実用的には単結晶シリコンと組み合わせたハイブリット(HIT)や、多接合型と呼ばれる他の結晶シリコンと組み合わせた利用方法が主流です。

ハイブリット(HIT)

既に説明済みですが、単結晶シリコンとアモルファスシリコンを組み合わせ、両者の長所を引き出すように工夫されています
そのため、単結晶シリコンより変換効率が高く省資源、省エネルギー。さらに、結晶シリコンより高温時の出力低下も小さいので、日射量の多い地域ほど有利になるというメリットもあります。

しかし、その分製造工程が複雑で手間がかかるため、コストがかかってしまいます。優れている部分が多い分、太陽電池の価格は高価になってしまいます。

HIT製品は、パナソニックで販売されており、VBHN250SJ31は250Wで希望小売価格が163,000円、変換効率は19.5%です。

3.製造コストが強み化合物系

化合物系のパネルは歴史が浅く、原料としてシリコンを使用せず薄膜の化合物を用いる太陽電池で、海外では普及しています。
安価で高温特性も良く、コストパフォーマンスに優れています。

CIS系

原材料の銅(C)、インジウム(I)、セレン(S)の頭文字からCISと呼ばれ、国内ではソーラーフロンティが扱っています。

化合物系の特徴でもある高温時に出力が低下することもなく、直射日光に当たることで出力が一時的に向上することもあり、真夏の日差しが強い時期などにその力を発揮します。

また、パネル内でセルが並列に接続されており、パネルの一部が影になっても、発電能力が大きく落ちない特性から、設置場所によっては有利になる可能性があります。

結晶シリコンに比べると製造コストが小さく、技術的にはこれからのパネルです。現在は多結晶シリコンより変換効率が低いですが、変換効率が高まってくれば、多結晶シリコンをしのいでいくでしょう。

CdTe系

低コストで製造でき、光吸収係数が高いなど他の化合物系と同様の性能を持っており海外でよく使用されていますが、現在日本では製造されていません。

その理由は製造時に使用する物質です。CdTe系は、カドミウム(Cd)とテルル(Te)を組み合わせて製造されているのですが、このカドミウムが毒性の強い物質です。以前日本ではカドミウムが原因でイタイイタイ病が発生しており、環境への悪影響が懸念されているためです。

素材別にソーラーパネルの特徴を見てきました。
では、どのように選ぶといいでしょうか次からはその方法を見ていきましょう。

4.設置場所で太陽電池を選ぶ

太陽光発電は、パネルをどこへどのように設置するのかでも分かれます。
設置場所で必要な工事も変わるので、コスト面への影響は大きく、広い場所ほどコストが下がって収益率が高まる傾向にあります。

屋根に設置するならシリコン系を検討

住宅、事業所、店舗、工場、役所、学校など建物の屋根に設置します。
屋根の形状・傾斜・方角に大きく影響を受け、パネルの設置を考慮せずに建てられた建物では、十分な日射量が得られない可能性もあります。

例えば、片流れ屋根と呼ばれる、斜めの屋根が1面だけの形状では、屋根が南向きか北向きかで、設置の可否が決まってしまうほどです(もちろん南向きがベスト)。
逆に、陸屋根と呼ばれる水平な屋根では、架台の設置によって、パネルの傾斜・方角を自由に選ぶことができて有利でしょう。

設置面積が小さいため、面積あたりの発電量が多い単結晶シリコンやハイブリット(HIT)が選ばれやすい傾向にありますが、影に強いとされるCIS系、予算次第では多結晶シリコンも選択肢に入れたいところです。

なお、屋根設置では架台を利用しますが、屋根の傾斜とパネルの傾斜が大きく異なると、風圧の影響を無視できず、陸屋根以外では屋根と平行に近い設置が一般的です。

屋根材一体型なら予算を踏まえてCIS系が無難

分類としては屋根設置ですが、架台を使ってパネルを固定するのではなく、パネル化された屋根材を使って設置する方法です。
最大のメリットはデザイン性で、屋根そのものですから自然な形状が得られ、風の影響を受けにくい点と、後載せの施工不良でありがちな雨漏りも防ぐことができます。

また、別途屋根材を必要としない点は、建材の節約や屋根の軽量化、工期の短縮などをもたらす代わりに、将来交換するためには屋根を葺き替えるのと同じになります。
好みの問題にもなってくるので、どちらがよいと言いきれるものではありません。

他に屋根材一体型の違いとして、固定資産税が家屋評価を受ける点も大きいです。
後載せタイプでは、住宅用の10kW未満で課税対象外ですが、屋根材一体型は10kW未満でも家屋の価値が上昇したとして評価され、家の固定資産税が高くなります。

屋根材一体型は、自然通風での冷却効果が小さいことからパネルが高温になりやすく、高温特性にも注目して選ぶ必要性が高まります。
発電効率と高温特性で、高価でもハイブリット(HIT)を選択したくなりますが、固定資産税の上昇もあって、CIS系が無難かもしれません。

地上設置(野立て)なら収益性をみて多結晶かCIS系

主に事業者が広大な土地で大規模に行っており、野立てとも呼ばれます。
電柱・電線さえ敷設可能であれば、むしろ市街化していない地域のほうが日射量を得られやすく、なおかつ土地の取得コスト小さくなるため、原野や山林でも行われています。

土地が平坦である必要はないので、利用価値が低い斜面を利用して、屋根設置のようにパネルを並べるか、階段状に整備して設置する方法もよく利用されています。
他には、農地を利用して農業と兼用するソーラーシェアリングと呼ばれる方法も、一部の農業者が実践しており、一時転用の許可を受けることで可能です。

架台を固定するために、ある程度地盤に強度を求められますが、コスト面から舗装してまで行われることは少なく、屋根設置と違って土ぼこりが舞い上がる環境も多いことから、定期的な清掃回数も増えるでしょう。

大規模で日射量も得られる野立てでは、発電効率よりもコスト重視でパネルを選ぶ傾向と、大量導入によるスケールメリットを生かし、多結晶シリコンやCIS系を採用して、収益性を高める手法が用いられます。

5.外国製と日本製どちらを選ぶか

太陽光発電を選択する際に、日本製か海外製が迷う人もいるのではないでしょうか。結論から言うと、高価ですが日本製をおすすめします。

まずは以下のシェア率を見てください。

世界シェア
1位 ジンコ・ソーラー
2位 ロンジ・ソーラー
3位 カナディアンソーラー

国内シェア
1位 パナソニック
2位 京セラ
3位 シャープ
(2018年時)

現在、世界的には安価な中国製の太陽電池が人気を集めており、1、2位は中国メーカーとなっています。しかし、1位のジンコ・ソーラーでさえそのシェア率は10%程度と複数の企業がせめぎ合っています。
日本企業は2015年からトップ10入りをはたしておらず、現在、世界で見ると主要メーカーとは言えません。しかし、国内シェアは1位~3位までを日本企業が占めています。

国内で日本製が選ばれる理由として上げられるのは、耐久性の強さとサービスです。現在、海外製より日本製の方が稼働期間が長いと言われており、10年で初期費用が回収できると言われている太陽光発電では長く使用できることを重視している人も多いようです。

長期間使うとなると、修理やメンテナンスも必要になってきます。故障かなと思った時にメールや電話などで相談できるなどアフターサービスが充実している点でも国内の大手メーカーを選ぶ人が多いようです。

初期費用を抑えたいのなら海外製という選択もありますが、太陽光電池は長く使用するので、耐久性も変換効率も高い日本製のものから選ぶ方が設置後も考えると安心です。

6.性能・コスト・設置場所が比較のポイント

太陽光発電全体の費用では、パネルの比率が最も高く、パネル選びは非常に重要です。
だからこそ、パネルの特性を良く知って、設置する環境に適したパネルを選択したいところですが、単純に発電効率(変換効率)だけを鵜呑みにはできません。

一方で、価格を目安に選んでも、安かろう悪かろうでは意味がないので、性能・コスト・設置場所の3つを総合的に検討する必要があります。
選択肢が多くなったことは、消費者にとって確実に有利ですから、頭ごなしに特定のパネルを除外するのではなく、どのパネルも十分に検討してみましょう。