共有名義(持分)の土地を売却する3つの方法。税金の払い方とは

共有名義
土地には所有権が存在し、複数の人が権利を持つ共有名義も認められています。

単独名義でも共有名義でも同じ土地ですが、共有名義には良い点も悪い点もあって、どちらかというと悪い方に作用することが多いです。

土地が共有名義になる原因は複数考えられ、例えば次のような状況です。

  • 土地の所有者が亡くなって複数人が相続した
  • 夫婦でマイホーム用の土地を購入するときに資金を出し合った
  • 親子が二世帯用住宅の土地を購入するときに資金を出し合った

複数人に相続された共有名義でも、購入時の資金的な関係で行った共有名義でも問題が発生する時があります。

それは、土地を売却する時。

共同所有者である全員が売却に同意しないと、土地は売却できないのです。

以降では、共有名義の土地を売る次の方法について、3つのパターンを解説していきます。

1つ目と3つ目は、家など他の不動産でも基本的に同じです。

  1. 持分を売る
  2. 分筆して売る
  3. 売却代金を持分割合で分ける

いずれの方法も異なる性質を持っているので、最適な売却方法については、他の共有名義人(共有者)とよく話し合いましょう。

その前に、持分の考え方や自分の持分がわからないときの説明をしておきます。

区分共有と共有持分の違い

土地や建物を共有するといっても、区分のしかたは1つではありません。

土地や建物の権利を複数人で持つ方法として、区分共有共有持分というものがあります。

区分共有とは主に、分譲マンションやオフィスビルなどのに当てられるものです。

敷地や建物の中の決められたスペース(部屋など)を所有する権利のことを言います。

エレベーターやエントランスは区分共有の権利を持った人の共有となっており、みんなで所有する部分になります。

共有持分は1つの敷地や建物を複数人で所有する権利のことです。

区分共有と違い、1つの不動産を所有する権利を◯%所有するということになります。

主に離婚や遺産相続で兄弟など数人で1つの不動産を相続した時に発生することが多いです。

区分共有と共有持分の違いは不動産を売買したり、一部リフォームなどをする際に所有者の同意が必要か否かです。

区分共有はマンションの売買が各部屋の住民が自由に行えるように、権利者が1人1人自由に行えます。

しかし、共有持分の場合、変更を加えたい不動産は自分の物であり、共有する他の共有者のものでもあります。

そのため、増築や売買など不動産に何か手を加える場合、他の共有者の同意を得ないと行えないのです。

多くの人が不動産売却の際悩むのは共有持分の場合でしょう。

共有者の同意が必要な理由

なぜ、共有者の許可を得ないと土地が売れないのでしょうか。

その理由は法律にあります。

民法251条
他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない

民法252条
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に伴い、その過半数で決する。ただし、保存行為は各共有者がすることができる。

民法251条では、共有物に変更を加える際は全員の同意必要とされています。

売却やリノベーションなどは共有物の変更にあたるので、全員の同意が必要なのです。

そして、民法252条では管理と保存行為は全員の同意がなくともできるとされています。

例えば、既に建っている建物を賃貸したい場合、共有者の過半数が同意されていれば可能です。

ここで重要なのは、過半数とは共有者の頭数ではなく、割合の過半数ということです。

つまり、4人のうち3人が賛成をしても、反対の1人が持つ権利が過半数以上であれば反対となってしまうのです。

また、252条ではただし書きで、保存行為は単独で行うことが可能とされています。

ここで言う保存とは建っている建物の外壁を塗り直すなどの修繕などのこと言います。

他にも現状を維持するために、庭の木を剪定するなども保存行為に入るでしょう。

土地の所有権と持分とは

土地の所有者が複数いれば、土地全体に対してどのくらいの権利を持っているか示す割合(持分割合といいます)が必ずあります。

すべての所有者は、土地に対して持分割合の権利を持ち、他の人から制限を受けません。

しかし、この持分割合で勘違いしやすいのが、「持分割合に応じた面積を持っている」と思ってしまうことです。

持分割合に関係なく、土地全体が共有であることに注意が必要です。

共有名義と持分割合

例えば、1つの土地が2人の共有名義であるとき、各人の持分が1/2ずつでも2/3という配分でも土地自体は1つしかない扱いです。

2人の所有者がどのような面積で分けるという考えではありません。

1つの土地の権利を2人で分けているという考えです。

先に管理を行う際の過半数は割合であると書きました。

この割合が大きい人の発言力が強く、不動産を思い通りにできるように見えますが、そうではありません。

持分がある共有者は持分割合に関係なく所有者として権利を持ちます。

自分の持分割合が大きいからといって、持分割合が小さい人の権利を妨害することはできません

管理に準ずる行為を行う際にその主張は割合の大きい人が強くなりますが、変更に関しては別です。

割合の大小に関係なく、全員の同意が必要なのです。

だからこそ、共有名義の土地はトラブルが多くなりがちです。

自分の持分がわからないとき

自分の持分がわからない場合には、土地の登記簿を確認してみるのが一番確実です。

登記簿とは、法務局に保管されている土地の情報や権利を示す記録です。

手数料600円(平成30年2月現在)を支払えば、登記簿謄本や登記事項証明書として入手できます。

土地の登記簿を確認すると、単独名義なら所有者として、共有名義なら共有者としてそれぞれの氏名が記載されています。

共有名義の場合は持分割合も記載されています。

【登記簿での記載例】

共有者
○○市○○町○○番地
持分3分の2
田中 一郎
××市××町×丁目×番×号
持分3分の1
田中 二郎

※登記簿には他にも色々な情報が含まれ、上記は「権利部(甲区)所有権に関する事項」の「権利者その他の事項」という欄で確認できます。

※登記簿には他にも色々な情報が含まれ、上記は「権利部(甲区)所有権に関する事項」の「権利者その他の事項」という欄で確認できます。

ただし、相続で共有名義になり、相続登記を済ませていない状況では、登記簿を見ても亡くなった所有者の情報が書かれているだけです。

相続の場合は、相続が開始された時点の法定相続分か、遺産分割協議で決まった相続分が、各相続人の土地の持分となります。

共有名義の土地にローンがあった場合

共有名義で取得した不動産にローンがあった場合はどうすればいいのでしょうか。

財産は共有者で分けることができますが、ローンは金融機関と個人の約束になるため、ローンも分けるということはできません。

ローンを組んだ本人が支払うしかないでしょう。

もしくは、共有名義の不動産を売却し取得した金額でローンを返済、余ったお金を権利の割合と同じ配分で分けるパターンも多いようです。

相続した家にローンが残っていた場合はどうすれば良いのでしょうか。

ローンを借りている債務者が死亡してしまった場合、ほかの財産とともにローンも相続の対象になります。

このお金は相続してローンは相続を放棄するということはできないので、相続した人がローンも支払う義務があります。

しかし、住宅ローンの場合、借りれる際に団体信用保険に加入している可能性があります。

団体信用保険とは、万が一ローン返済中に債務者が死亡してしまった場合、残債を保険で完済するというものです。

ローンを組む際に加入している方は多いので、相続される方はまずは団体信用保険に加入の有無を確認してみるといいでしょう。

加入されていた場合は金融機関から団信弁済届を金融機関から受け取り、提出しましょう。

パターン1:持分を売る

土地は1つでも、権利が持分に応じで分かれているため、共有者の誰でも、自分の持分(権利)だけを他の人に売ることは可能です。

また、自分の持分を売るだけなら、他の共有者の同意は不要です。

売却先としては大きく分けて3つになります。

第三者に買い取ってもらう

土地の購入を検討している人です。

一般の不動産同様、不動産会社に仲介をお願いし買い手を探してもらいます。

知り合いや友人などに聞いてみるという方法もあるでしょう。

しかし、この方法は最も可能性が低いと考えられます。

なぜなら、購入しても自分の思い通りに土地を使うことができないからです。

不動産会社もゼロではありませんが、買い手を見つけるのが難しいので断られてしまう可能性もあります。

共有者に買い取ってもらう

次に可能性として高いのは同じ土地の権利を持つ共有者に買い取ってもらうことです。

共有者が2人の場合はもう一方の権利を買い取ることで、土地を自分のものにできます。

共有者が2人以上いる場合も、自分が持つ権利の割合は大きくなるので、管理に準ずる行為を行う際は発言権が大きくなります。

また、後に不動産を売却する際は買い取った分、取り分も大きくなります。

共有持分買取専門業者に依頼する

しかし、全体を自由に使えない土地の持分を、第三者が買ってくれるでしょうか?

一般的に言うと、まともに使えない他人の土地の持分だけを買い取る人は少なく、持分の売却はほとんどが共有者同士で行われます

そういった場合に、候補にあげられるのが、共有持分買取業者です。

共有持分買取業者のメリット

共有持分専門の買取業者のメリットなんといってもは買い手のつきにくい共有持分を買い取ってくれるところです。

一般の不動産会社では買い取った後に活かすノウハウを持っているところは少ないですし、自分で買い取ってくれる個人を探すのも大変です。

その分、専門の買取業者はノウハウもあり手慣れているので、ほぼ確実に、そして買い手を探すよりも早く買い取ってくれます。

共有者との交渉も不要になりますし、早く現金に変えたいという方には良いと思います。

共有持分買取業者のデメリット

しかし、専門の買取業者を利用することのデメリットもあります。

まず、買取価格が不動産を売却した際の金額に比べると安くなってしまうことが多いです。

買取業者は買い取った後に他の共有者に購入の交渉をしたり、逆に他の共有者が持つ権利を売却しないか交渉します。

その手間の分買取価格は安くなってしまうと考えてください。

また、上記のように他の共有者に接触するので、場合によって共有者間の関係が悪化してしまうかもしれません。

「土地を早々に手放した」「身内なら交渉したのに、知らない不動産会社から交渉された」そう思う人もいないわけではないでしょう。

しかし、共有者間の受け取る印象は人によってさまざまです。

共有者との関係が気になる場合は買取前に相談をしておく、買取業者から連絡が行くかもしれないと連絡を入れておくのも手です。

そういった行動を取っておけば、最悪の結果になることは防げるのではないでしょうか。

それに、親族ならまだしも離婚する夫婦の場合ならそのような関係悪化は気にならないかと思います。

買取専門で有名なところだと、センチュリー21で有名な株式会社中央プロパティーが行う共有名義の不動産売買を専門に扱うサービスでしょう。

一般的に買取は仲介よりもその価格が安くなりますが、離婚などで話がまとまらない場合は、候補の1つと考えてもいいかもしれません。

Century21の無料相談

共同相続人が勝手に持分を売ってしまったら

相続が発生して故人の土地が複数の相続人に相続されると、持分が登記されていなくても、相続権により各相続人には法定相続分の持分があります。

各相続人は、自分の相続分を第三者に譲渡できますし、相続分の一部である土地の持分も譲渡できます。
(見解は分かれますが一部譲渡も認められているのが通説です)

では、遺産分割協議の前に共同相続人の誰かが、自分の土地の持分を勝手に第三者へ売却してしまうと、どのようになるのでしょうか?

まず、誰かが自分の相続分全体を、他の相続人に無断で第三者に譲渡したとします。

その時は譲渡されてから1ヶ月以内であれば、他の相続人が一方的に相当の対価で取り戻す、相続分取戻権があります。

この相続分取戻権は、主に第三者に相続分が譲渡されることによって、遺産分割協議へ第三者が介入してくるのを防止する目的で使われます。

相続分取戻権によって、相続分に含まれる土地の持分“も”取り戻すことができます。

一方で、相続分のうち土地の持分だけが第三者に売却された場合、相続分取戻権によって、他の相続人が持分を取り戻せるのでしょうか。

譲渡されたのが相続分全体ではなく、特定の不動産の持分に過ぎないときは、判例が相続分取戻権を否定しています。

そのため、土地の持分だけ第三者に売却されてしまったときは、その第三者から同意を取り付けて、持分を買い戻すしか方法がなくなります。

こういった問題が起こることは少ないですが、混同しやすいので覚えておきましょう。

パターン2:分筆して売る

分筆とは、1つの土地を2つ以上に分けてしまうことで、分筆された土地は、それぞれに所有権がある2つ以上の土地に変わります。

共有名義の土地を分筆するときは、それぞれの持分に応じた面積で分け合い、それぞれを単独の土地にするのがよく使われる方法です。

分筆前:1つの土地、共有者全員の共有名義
分筆後:複数の土地、個人の単独名義
分筆をすると、独立した単独名義の土地が複数できて共有の概念がなくなり、売却も自分の意思だけで可能になります。

価格設定で揉めるなど、面倒が起きない利点を持ちます。

ただし、分筆自体がやっかいなので、簡単に考えない方が良いのも確かです。

土地をどのように分けるか

分筆の場合、持分の割合に応じて土地の面積を分けます。

そのため、どのように境界線を引くかによって、土地の価値に影響生じる可能性があります。

権利者としては分筆後の土地の価値が、持分に応じなければ納得できないでしょう。

例えば、一辺だけが道路に接している状態の土地があります。

これを、道路に接する土地と接しない土地に分けてしまうと、道路に接していない土地の価値は非常に低くなってしまいます。

土地の分筆

向かいあった二辺が違う道路に接している土地では、互いに1つの道路に接するように分筆したとき、道路の路線価によって土地の価値に差が付きます。

土地の分筆

繋がった二辺が違う道路に接する角地では、分筆で角地以外の土地ができてしまい、角地と角地以外の土地は、同じ面積なら普通は価値が異なるものです。

土地の分筆
三辺が道路に接する場合、四辺を道路に囲まれている場合も同じです。

簡単な例で持分が1/2ずつだとして、土地の面積が半分になるように分筆してしまったとします。

分筆後の一方が、著しく価値が下がるようではトラブルになるということです。

したがって、面積を持分で分けると簡単ですが、価値を持分で分けるのは難しいのです。

分筆の流れ

分筆には手順があり、仕組みを理解していないと混乱します。

分筆しただけで、自動的に個人所有の土地ができるわけではありません。

1.測量と境界確定
分筆することで、新たに境界が発生するので、境界線の確定が必要です。

土地家屋調査士に依頼し、面積(地積といいます)を正確に測り、境界杭を設置して、測量図を作ってもらいます。

すると、費用として50万程度はかかります(土地の広さ次第)。


2.分筆登記申請
分筆登記は共有者全員で行う必要があります。

なぜなら、分筆したからといって土地の権利は共有名義のままだからです。

分筆登記を土地家屋調査士に依頼すると、だいたい5万円程度はかかります。


3.所有権移転登記
分筆登記直後は、分筆後の土地1つずつが、共有者全員の名義になっています。

それぞれの土地の持分も分筆前と変わりません。

それぞれの土地の持分を交換(所有権移転)すると、ついに単独名義の土地にすることが可能です(共有物分割といいます)。

費用は土地価格の0.4%に相当する登録免許税と、司法書士報酬5万円程度です。

分筆登記と所有権移転登記が終わってしまえば、分筆後の土地は個人所有になるので、各所有者が自由に売却できます。

分筆登記と所有権移転登記が終わってしまえば、分筆後の土地は個人所有になるので、各所有者が自由に売却できます。

パターン3:売却後に持分割合で分ける

パターン1と2は主に共有名義人の中で、売却に対して意見が割れているときの方法です。

最後は全員が売却に同意しているケースで、この場合の調整の手間は比較的少なく済みます。

ただし、全員が所有権を持っているが故に必要なこともあるので、それを中心に解説します。

共有名義の土地売却とその委任

共有名義の土地を売るには、全員が売主になり、合同で売る手順になるのが原則です。

手続きには共有者全員が立ち会って、売買契約書に署名と実印での押印をします。

さらに印鑑証明、住民票、本人確認書類などをそれぞれ用意します。

しかし、全員を集めて契約や決済などの手続きをしたくても、中には遠くに住んでいる、高齢で動けない、日程が調整できないなどあるでしょう。

そこで、誰かが代表して売買するためには、他の人からの委任状を用意します

委任状があると、委任状で与えられた権限の範囲内において、本人に代わって売却手続きが可能になります。

共有人全員(代表する人を除く)が1人に全権委任する委任状を作成すれば、1人でも売却手続きできます。

なお、委任状と添付書類のすべてがそろい、手続きする上では問題のない状態であっても、委任した共有者本人の売却意思は確認されるのが普通です。

そうしないと、不正な委任状で勝手に売却ができてしまうからです。

代理売買の委任状

委任状とは、委任者(各共有人)から受任者(手続きを代理して土地を売る人)に対して、代理権を与える(委任する)ための書面です。
口約束でも委任はできるとはいえ、書面に残さないとトラブルになること、買主にとっては口約束の委任など信用できないことから、必ず委任状を作成します。

委任状のフォーマットは決まっておらず、書き方次第でどのようにも変わるため、詳細までは説明しませんが、必要な内容は次のようなものです。

  • 委任者の住所氏名と受任者の住所氏名押印
  • 委任者が受任者に委任する旨
  • 受任者に委任する権限
  • 土地の表示

住所・氏名・押印は問題ないとして、委任者が受任者に委任する旨とは、「○○は××に下記土地の売却を委任する」などとすればよく、委任の事実が分かれば大丈夫です。

受任者に委任する権限については、家族間ですべてを任せるなら「一切の権限を委任する」と記載し、特定の権限を委任するなら、その権限を列挙して個別に記載します。
特定の権限とは、売却価格の決定、売買契約の締結、手付金・違約金の額、手付金・売却代金の受領、決済日や引き渡し日の決定、登記手続きに関する権限などです。

土地の表示とは、売却の対象になる土地の情報(所在・地番・地目・地積など)のことで、登記簿に記録されている情報をそのまま使います。
他に記載するとすれば、受任者に禁じる行為、委任契約が有効な期間などです。

代金の分配と委任状の関係

例えば、売却代金の受領において、委任状で受任者に受領させる権限を与えるとします。

そうすれば各持分の売却代金は、委任者に直接支払われず受任者に集まります。

しかし、持分の売却代金を与えたのではなく、代わりに受け取ってもらうだけなので、贈与にはなりません

受任者から委任者に売却代金を渡すのも贈与ではありません。
もし、手付金・売却代金の受領に心配があるなら、受任者に受領の権限を与えず、各共有人に対して振込などで直接支払う決済も可能です。

その場合は、事前に各委任者が作成した領収書を用意して、買主には全員分の領収書を渡すことになります。

委任状の添付書類

委任状での委任者の押印は、実印を使うのが通例ですから、印鑑証明書も添付します。

その他に、住民票の写しと、本人確認書類(運転免許証など)のコピーも必要です。

また、登記簿上の住所と住民票の住所が異なる場合、住所変更登記についても委任状で委任しなくてはなりません。

さらに登記簿上の住所から、住民票上の住所(現住所)へ移転したことが証明されなくてはなりません。

つまり、住民票の前住所(前回の移転が同一市区町村内なら現住所の履歴)が、登記簿上の住所と一致しなくていけないのです。

住所移転を複数回していると、前住所と登記簿上の住所が一致しない状況も生まれるので注意が必要です。

そのままでは住所変更登記ができず、登記簿上の住所から現住所に至るまでの住所移転をすべて証明する必要があります。

しかし、移転した履歴を辿って、複数の市区町村に住民票を請求するのは面倒です。

以前の住民票は除票になり、保存期間を経過して失われているかもしれません。

このような場合は、戸籍の附票といって、戸籍と一緒に管理された住所移転の履歴を確認できる書類があるので、そちらを使います。

該当する人の本籍地の役所で交付してもらい添付しましょう。

相続直後で登記前の場合は?

相続直後は、相続人全員が法定相続分に応じて、相続する権利を持っています。

しかしそのままでは共有名義になってしまい、売却するのに手間がかかります。

そのため、遺産分割協議で売却することが決まった場合は、誰か代表者1人の名義で登記をしておきます。

そして売却した後に代金を分配する方法が使われます(換価分割といいます)。

このとき、本来は共有名義で登記されるはずの土地を、代表者の単独名義にしてしまいます。

実質的な名義変更が代表者への贈与、代金の分配が各相続人への贈与に該当しそうですが、相続時の換価分割では贈与税の問題にはなりません

ただし、遺産分割協議書などに換価分割であること、手続上の便宜から代表者1人の単独名義にすることを明記して、税務署に理由を説明できるようにしておきましょう。

売却代金の分配が遺産分割協議の割合と違う割合でされた場合もあるでしょう。

その場合、分配金を過少に受け取った相続人から、過大に受け取った相続人への贈与になると考えられます。

不動産の適正価格を知る

不動産の売り方を決めたら、不動産会社や買取業者と連絡を取る前に行うべきことがあります。

それはざっくりとでも売却する不動産の価格を知っておくことです。

不動産は1つとして同じものはなく、価格もすべて異なります。

また、不動産を何度も売買したことがある人なら別ですが、多くの人がその土地の相場が分かりません。

自身の不動産やその周辺の価格を分かっていないと、不動産会社に査定をしてもらい金額を提示されても判断できません。

それでは、交渉もできませんし、損しているのか得しているのか分かりません

また、不動産を売却する際は、1つの不動産会社ではなくいくつかの不動産会社に査定をしてもらうのが鉄則です。

なぜなら、同じ価格の不動産が1つとして無いように、査定額も不動産会社によってさまざまだからです。

さらに、今回売却するのは、共有持分のかかった不動産売却です。

通常の不動産の売買価格より7~8割程度だということを覚えておいてください。

価格の出し方は行かのページで確認してください。

土地の評価額には様々な指標が有り、「一物四価」あるいは、 不動産鑑定士の鑑定による鑑定評価額を加えて「一物五価」と言われたりします...

共有名義の土地を売る際の注意点

共有名義の土地が個人の自由で売却できないことは、これまで説明してきたとおりです。

ここからは、売却時におけるその他の注意点について説明していきます。

売却の利益も経費も持分どおり

売却が共有者の合同でされる以上、共有名義の土地を売却して得た代金や経費は、すべて持分に応じて全員に分割されます

そのため、利益が出たときに課税される譲渡所得税も、共有者全員がそれぞれに確定申告して納税することになります。

これは、相続時に代表者を決めて売却し、代金を分割した場合も同じです。

名目上は、代表者の名義で売却されるとしても、実質的には共同で売却しているのです。

代表者だけが譲渡所得税を負担するようなことにはなりません。

窓口を一本化しておく

委任状を持って1人が売却する際も、権利者が少なく全員で売却をする際も窓口は1人に絞った方がいいでしょう。

不動産会社との対応、買主対応、銀行対応、司法書士対応をさまざまで手分けをしたくなりますが、契約などに漏れがあると大変です。

また、不動産会社や銀行なども「それは違う人が担当している」と言われると困りますし、契約など本人でないといけない場合もあります。

持分が最も大きい人が窓口になるのが一般的ですが、年齢や住んでいる所が遠く離れている場合は不便でしょう。

そういった時は共有者同士でよく話し合い決定しましょう。

売却額を相談しておく

売却額は揉める火種の一つです。

販売中ならまだしも、「こんな金額じゃ納得できない」「勝手に価格決めた」と売却後い言われては大変です。

販売を開始する前に共有者と話し合い、売却額の理想と価格を下げるならいくらまで大丈夫か決めておきましょう。

共有者が多ければ多いほど1つ1つの判断に時間がかかります。

共有者の同意を待っている間に買主が他の不動産に決めてしまったとなっては、今までの苦労も水の泡になってしまいます。

販売を始める前に方針やお金が関わる判断は共有者同士で決めておきましょう。

売却額の他に、古い家を売却するのなら、中古住宅として販売するのか解体して更地にして売るのかも決めておきましょう

窓口の担当になった人は一緒に売却後に文句を言わないというような約束を取り付けておくのも手かもしれません。

共有の土地にかかる税金

不動産の権利を移したり、取得すると税金が発生します。

それは複数人で不動産を取得した場合も同じです。

相続の際にかかる税金

不動産を相続した場合、相続税が発生します。

1人で相続する場合は相続税も1人ですべて支払いますが、複数人の場合は全員で1つの不動産にかかる相続税を支払います

全員で相続税を支払いますが、その金額は等分ではありません。

不動産の共有持分の割合と同じ割合で相続の支払いも分割になります。

例えば、権利を50%ずつ持った兄弟が1000万円の不動産を相続した場合、それぞれ500万円が相続税の対象となります。

相続税の計算方法はこちらの記事で確認してください。

不動産を相続することになったときに、真っ先に気になることが相続税についてです。相続税はどのくらいになるのでしょうか。この記事では、不動産相続税の計算方法をわかりやすくお伝えするとともに、今すぐ取り掛かりたい節税対策についてお伝えします。

ちなみに、相続とは少し違いますが、夫婦が婚姻関係中に購入した共有名義の家の場合は税金はかかりません。

こちらは財産分与にあたるからです。

無償で名義変更すると贈与

共有名義の場合、簡単かんたんに考えるなら、共有者同士で持分を売買するのは面倒でしょう。しなくても、
誰か1人の名義に変更してから、他の人に売ってお金を分けたほうが楽です。

相続時に代表者名義で登記してから、売却代金を分ける方法と理屈は同じです。

ところが、相続が絡まない状況で単に名義変更してしまうと、それは贈与とみなされて贈与税の対象です。

贈与税の税率は高く、共有者同士の売買では発生しないお金が税金で持っていかれてしまいます。るため、

贈与にすると結局損をします(年間で110万円以内の贈与なら非課税です)。

よって、共有者全員の合意が取れているのであれば、委任状による委託が妥当です。

不動産を売却した場合

では、共有の不動産を売却した場合はどうなるのでしょうか。

売却時にかかる税金も複数人で分割、その配分も相続税と同じく共有持分の割合になります。

大きいものでは譲渡の際に発生する所得税と住民税でしょう。

売却時にかかる税金とその計算方法はこちらの記事で確認してください。

相続税が最大55%と最も高い税率で負担した上、売却時にも譲渡所得税、登録免許税、印紙税、仲介手数料にかかる消費税と、実にさまざまな名目の税金があります。タイミングによっては控除や税率が下がるので、把握しておくに越したことはないでしょう。

共有者の中に売却した不動産に住んでいた人がいた場合、3000万円まで控除が受けられます。

控除を受けるには、以下の条件に当てはまることが条件です。

自分の住んでいる家を売ること
住まなくなった家の場合、住まなくなって3年を経過する日の年末までに売ること
売却した年の前年やその前の年に、同じ特例を利用していないこと。譲渡損失の損益通算及び、繰り越し控除の特例も受けていないこと
売却した年を含めて過去3年間に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていないこと
収用等の特別控除の特例を受けていないこと
親子などの特別な関係での譲渡ではないこと

ここでポイントなのが、3000万円の控除は上記に当てはまる人の分だけ控除されるということです。

所得税は個人にかかる税金になります。

そのため、1人1人で適用されるのです。

税金の支払い方法

税金は共有者全員が自分の割合に合わせて支払います。

しかし、納税を行うのは代表者の1人になります。

課税台帳には「代表者名前 外◯名」と書いてあるので、この代表者のところに納税通知書などが届きます。

代表者は納税するとともに他の共有者からその費用を回収しなくていけないのです。

代表者が他の共有者の分も全額負担して支払うことは可能です。

まとめて支払うために一時立て替えた(貸した)という状態なら問題はありません。

しかし、代表者が他の共有者の税金を払うというのは、金銭の譲渡とみなされ贈与税が発生してしまうので注意が必要です。

また、不動産をそのまま所持するなら固定資産税が発生します。

その固定資産税を代表者が滞納し、督促されても支払わない場合は各共有者に請求がまわってきます

固定資産税は納付期限日から1ヶ月の遅れなら年利2.9%それ以降なら年利9.2%の延滞金が発生します。

代表者に任せきりだとこういった状態にも気がつくことができず、問題が大きくなってしまう可能性もあります。

代表者と共有者は定期的に連絡などを取っておいた方が良いでしょう。

まとめ

共有人同士の関係が良好であれば、共有名義の問題は表面化しないでしょう。

しかし、例えば仲たがいして離婚する、相続した兄弟同士の意見が割れるなど、共有名義では人間関係がそのまま土地の流動性にも影響します。

自分だけの判断で土地を売ることができないのはもちろん、分筆をするにしても売却してお金を分けるにしても、関係の悪化している人が協力することは少ないです。

うまく売却ができなくて困るでしょう。

とはいえ、自分の持分だけ売ろうとしても、今度は第三者の買主が見つかりません。

共有人同士が協力できないのなら、親族や共通の知人などが間に入って持分を買い取るなど、間接的にでも土地全体を売りやすい単独名義に進めていく方法も考えてみてください。

売りたくても売れない状況が続くと、いつか相続が起きて共有人が増えていくので、ますます調整が難しくなって後悔することになります。

不動産会社8社に査定を依頼したら
不動産会社8社に査定を依頼したら330万円の差があった

今後の目安のため、一括査定サイトを使って実家の査定を依頼したところ、安い会社と高い会社の差が330万円ありました。
簡易査定なら情報を入力するだけで、その日の内に連絡が来る会社も多く、売却相場がすぐに分かります。

主な不動産会社
ただし、一括査定サイトもすべての不動産会社と提携しているわけではありません。 1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)または人口が多い地域の不動産の場合、大手企業6社が集まった「すまいValue」も合わせて検討するとよいでしょう。

すまいValueの無料一括査定

「でも、わずらわしい営業電話はこないのか?」
「どのような感じで連絡がくるのか?」
そんな疑問に身をもって体験した結果はこちら。


「そもそも不動産一括査定サイトって何?」
「メリットあるの?」
「デメリットは?」という方はこちら。