共有名義(共有持分)の土地を売却する3つの方法

共有名義
土地には所有権が存在し、複数の人が権利を持つ共有名義も認められています。

単独名義でも共有名義でも同じ土地ですが、共有名義の土地には扱いが難しい側面もあります。

実際に共有名義で土地や不動産を持っていて、売却に悩んでいる方も多いでしょう
記事は共有名義の土地や不動産を持っている方、特にお悩みの方向けに書いています。

土地が共有名義になる原因は複数考えられ、例えば次のような状況です。

  • 土地の所有者が亡くなって複数人が相続した
  • 夫婦でマイホーム用の土地を購入するときに資金を出し合った
  • 親子が二世帯用住宅の土地を購入するときに資金を出し合った

複数人に相続された共有名義でも、購入時の資金的な関係で行った共有名義でも問題が発生する時があります。

問題が発生する理由は、土地を売却する時、共同所有者である全員が売却に同意しないと、土地は売却できないためです。

以降では、共有名義の土地を売る次の方法について、3つのパターンを解説していきます。
共有名義の所有者同士の合意が困難な場合にできる対応についても記載しています。

1つ目と2つ目は、家など他の不動産でも基本的に同じです。

この記事の目次

1. 売却に共有者の同意が必要な理由

なぜ、共有者の許可を得ないと土地が売れないのでしょうか。

許可を得ないと共有所有の土地が売れない理由は法律にあります。

民法251条
他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない

民法252条
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に伴い、その過半数で決する。ただし、保存行為は各共有者がすることができる。

民法251条では、共有物に変更を加える際は全員の同意が必要とされています。
売却やリノベーションなどは共有物の変更にあたるので、全員の同意が必要なのです。
そして、民法252条では管理と保存行為は全員の同意がなくともできるとされています。
例えば、既に建っている建物を賃貸したい場合、共有者の過半数が同意されていれば可能です。

また、252条ではただし書きで、保存行為は単独で行うことが可能とされています。
民法252条で言う保存とは建っている建物の外壁を塗り直すなどの修繕などのこと言います。
他にも現状を維持するために、庭の木を剪定するなども保存行為に入るでしょう。

民法の正式な条文はこちらの電子政府の総合窓口の民法のコーナーにあります。

2. 共有持分の土地を売却する3つの方法

共有名義になっている土地や不動産を売却したい場合、以下のような方法が存在します。

2.1 所有者全員の合意で通常売却

まずは所有者全員の合意で通常の売却をするパターンです。
土地を売却したい、と考えている人にとってはスムーズに、かつできるだけ高値に売却できる方が良いでしょう。
それにもっとも近いのが、持分の所有者全員で合意をする方法です。
所有者全員が売却に合意すれば、通常の土地の売却と変わりなく売却することが出来ます。
そして、全員の合意による売却が最も高く売ることができる可能性がある方法です。

所有者全員の目的が揃っていたり、関係性が良好だったりと、合意の元に売却ができる場合は全員の合意による売却が良い方法です。

2.2 自分の持ち分だけを売却する(持分売買)

所有者全員の合意が出来ないが、どうしても売却をしたい、という場合、自分の持分だけを売却する方法もあります。
自分の持分だけを売却する際のメリットは個人の意思決定で売却ができるということです。
ただし、デメリットとして共有持分を手に入れても通常の土地よりも融通が利かないため、売却価格が低くなる点があります。

2.3 土地を分筆して売却する

土地ならではの方法です。
全所有者で売却の合意ができなくても、土地を分筆により分割する合意ができることもあります。
分筆とは、土地を細かく区切り直して、登記し直すことで1つの土地を複数の土地に分ける方法です。
分筆を行えば、元々共有の持ち分であった土地よりも小さくなりますが、
それぞれ独立した、1人の所有者に所属する土地にすることが可能です。
分筆によって獲得した自分だけの土地は自分で自由に売却することができます

以上が共有名義、共有持分の土地の売却方法の全体像です。
1つずつより詳細に見ていきましょう。

3. 合意して土地を売却し、持分割合で分ける

全員が売却に同意している場合、調整の手間は比較的少なく済みます。
共有名義になっている土地を売るケースとしてはスムーズに進むことが多いケースです。

ただし、全員が所有権を持っているが故に必要なこともあるので、注意点を中心に解説します。

3.1 共有名義の土地売却と委任

共有名義の土地を売るには、全員が売主になり、合同で売る手順になるのが原則です。

手続きには共有者全員が立ち会って、売買契約書に署名と実印での押印をします。

さらに印鑑証明、住民票、本人確認書類などをそれぞれ用意します。

しかし、全員を集めて契約や決済などの手続きをしたくても、集まるのが難しい場合もあります。全員での手続きが困難な場合は、委任状を作成し、誰かが代表者になります
共有人全員(代表する人を除く)が1人に全権委任する委任状を作成すれば、1人でも売却手続きできます。

ただし、委任した共有者本人の売却意思は確認されるのが普通です。
そうしないと、不正な委任状で勝手に売却ができてしまうからです。

代理売買の委任状の作成方法

委任状のフォーマットは決まっておらず、書き方次第でどのようにも変わります。書き方の概要は次のようなものです。

  • 委任者の住所氏名と受任者の住所氏名押印
  • 委任者が受任者に委任する旨
  • 受任者に委任する権限
  • 土地の表示

委任者が受任者に委任する旨とは、「○○は××に下記土地の売却を委任する」などとすればよく、委任の事実が分かれば大丈夫です。

受任者に委任する権限については、家族間ですべてを任せるなら「一切の権限を委任する」と記載し、特定の権限を委任するなら、委任する権限を列挙して個別に記載します。
特定の権限とは、売却価格の決定、売買契約の締結、手付金・違約金の額、手付金・売却代金の受領、決済日や引き渡し日の決定、登記手続きに関する権限などです。

委任状の添付書類

委任状での委任者の押印は、実印を使うのが通例ですから、印鑑証明書も添付します。

その他に、住民票の写しと、本人確認書類(運転免許証など)のコピーも必要です。

3.2 相続直後で登記前の場合は?

相続直後は、相続人全員が法定相続分に応じて、相続する権利を持っています。

しかし各人が権利を持っている状況のままでは共有名義になってしまい、売却するのに手間がかかります。

売却も手間をなくすために、遺産分割協議で売却することが決まった場合は、誰か代表者1人の名義で登記をしておきます。

そして売却した後に代金を分配する方法が使われます(換価分割といいます)。

このとき、本来は共有名義で登記されるはずの土地を、代表者の単独名義にしてしまいます。

なお、売却代金の分配が遺産分割協議の割合と違う割合でされた場合は、分配金を過少に受け取った相続人から、過大に受け取った相続人への贈与になると考えられます。

3.3 売却時の利益も経費も持分どおりの割合になる

売却が共有者の合同でされる以上、共有名義の土地を売却して得た代金や経費は、すべて持分に応じて全員に分割されます

利益が出たときに課税される譲渡所得税も、共有者全員がそれぞれに確定申告して納税することになります。
もちろん、相続時に代表者を決めて売却し、代金を分割した場合も同じです。

3.4 売却の窓口を一本化しておく

委任状を持って1人が売却する際も、権利者が少なく全員で売却をする際も窓口は1人に絞った方がいいでしょう。

不動産会社との対応、買主対応、銀行対応、司法書士対応をさまざまで手分けをしたくなりますが、契約などに漏れがあると大変です。

持分が最も大きい人が窓口になるのが一般的ですが、年齢や住んでいる所が遠く離れている場合は不便でしょう。

最も持分の大きい人が窓口になるのが難しい場合は共有者同士でよく話し合い決定しましょう。

3.5 売却額を相談しておく

売却額は揉める火種の一つです。

販売中ならまだしも、「こんな金額じゃ納得できない」「勝手に価格決めた」と売却後に言われては大変です。

販売を開始する前に共有者と話し合い、売却額の理想と価格を下げるならいくらまで大丈夫か決めておきましょう。

共有者が多ければ多いほど1つ1つの判断に時間がかかります。

共有者の同意を待っている間に買主が他の不動産に決めてしまったとなっては、今までの苦労も水の泡になってしまいます。

販売を始める前に方針やお金が関わる判断は共有者同士で決めておきましょう。

売却額の他に、古い家を売却するのなら、中古住宅として販売するのか解体して更地にして売るのかも決めておきましょう

窓口の担当になった人は一緒に売却後に文句を言わないというような約束を取り付けておくのも手かもしれません。

4. 自分の持ち分を売る(持分売買)

土地は1つでも、権利が持分に応じで分かれているため、共有者の誰でも、自分の持分(権利)だけを他の人に売ることは可能です。
自分の持分を売るだけなら、他の共有者の同意は不要です。

ただし、価格が通常の土地売買の価格に対して安くなるのが難点です。
売却先としては大きく分けて3つにあります。
まずは価格についての注意点を、その後3つの売却先を見ていきましょう。

4.1 共有持分の売却価格は市価よりも安くなる

自分の持分だけを売却する場合は、通常の市価よりも安くなることが大半です。
売り先や売り方にもよりますが、市価に対して7割の価格がつけば良い方で、半値以下を覚悟しなくてはいけないケースも出てきます。

例えば3,000万円の価値のある土地を3人で均等に共有していた場合、それぞれの持ち分は1,000万円分のはずですが、これを売却しても1,000万円は手に入らず、700万円や、場合によっては500万円になってしまうこともあるということです。

権利の一部だけを手に入れただけでは通常通り土地を扱うことができないため、売却価格が安くなってしまう点には仕方がない側面もあります。

4.2 第三者に買い取ってもらう

土地の購入を検討している人に買い取ってもらう方法です。

一般の不動産同様、不動産会社に仲介をお願いし買い手を探してもらいます。

知り合いや友人などに聞いてみるという方法もあるでしょう。

しかし、第三者に共有持分のみを買い取ってもらう方法は最も可能性が低いと考えられます。

なぜなら、購入しても自分の思い通りに土地を使うことができないからです。

不動産会社もゼロではありませんが、買い手を見つけるのが難しいので断られてしまう可能性もあります。

4.3 共有者に買い取ってもらう

次に可能性として高いのは同じ土地の権利を持つ共有者に買い取ってもらうことです。

共有者が2人の場合はもう一方の権利を買い取ることで、土地を自分のものにできます。

共有者が2人以上いる場合も、自分が持つ権利の割合は大きくなるので、管理に準ずる行為を行う際は発言権が大きくなります。

また、後に不動産を売却する際は買い取った分、取り分も大きくなります。

4.4 共有持分買取専門業者に依頼する

実際の問題として、全体を自由に使えない土地の持分を、第三者が買ってくれるでしょうか?

一般的に言うと、まともに使えない他人の土地の持分だけを買い取る人は少なく、持分の売却はほとんどが共有者同士で行われます

そういった場合に、候補にあげられるのが、共有持分買取業者です。

共有持分買取業者のメリット

共有持分専門の買取業者のメリットなんといっても買い手のつきにくい共有持分を買い取ってくれるところです。

一般の不動産会社では買い取った後に活かすノウハウを持っているところは少ないですし、自分で買い取ってくれる個人を探すのも大変です。

専門の買取業者はノウハウもあり手慣れているので、ほぼ確実に、そして買い手を探すよりも早く買い取ってくれます。

共有者との交渉も不要になりますし、早く現金に変えたいという方には良いと思います。

共有持分買取業者のデメリット

しかし、専門の買取業者を利用することのデメリットもあります。

まず、価格は先程記載した通り通常の取引価格よりも安くなります。

買取業者は買い取った後に他の共有者に購入の交渉をしたり、逆に他の共有者が持つ権利を売却しないか交渉します。
交渉などの手間の分買取価格は安くなってしまうと考えてください。

また、上記のように他の共有者に接触するので、場合によって共有者間の関係が悪化してトラブルになってしまうかもしれません

共有者との関係が気になる場合は買取前に相談をしておく、買取業者から連絡が行くかもしれないと連絡を入れておくのも手です。

買取専門で有名なところだと、センチュリー21で有名な株式会社中央プロパティーが行う共有名義の不動産売買を専門に扱うサービスでしょう。

一般的に買取は仲介よりもそ売却価格が安くなりますが、離婚などで話がまとまらない場合は、候補の1つと考えてもいいかもしれません。

Century21の無料相談

5. 共有名義の土地を分筆して売る

分筆とは、1つの土地を2つ以上に分けることです。分筆された土地は、それぞれに所有権がある2つ以上の土地に変わります。

共有名義の土地を分筆するときは、それぞれの持分に応じた面積で分け合い、単独の土地にするのがよく使われる方法です。

分筆前:1つの土地、共有者全員の共有名義
分筆後:複数の土地、個人の単独名義
分筆をすると、独立した単独名義の土地が複数できて共有の概念がなくなり、売却も自分の意思だけで可能になります。

価格設定で揉めるなど、面倒が起きない利点を持ちます。

ただし、分筆自体がやっかいなので、簡単に考えない方が良いのも確かです。

5.1 土地をどのように分けるか

分筆の場合、持分の割合に応じて土地の面積を分けます。

どのように境界線を引くかによって、土地の価値に影響生じる可能性があります。

権利者としては分筆後の土地の価値が、持分に応じなければ納得できないでしょう。

例えば、一辺だけが道路に接している状態の土地があります。

一変だけが道路に接している状態の土地を、道路に接する土地と接しない土地に分けてしまうと、道路に接していない土地の価値は非常に低くなってしまいます。

土地の分筆

向かいあった二辺が違う道路に接している土地では、互いに1つの道路に接するように分筆したとき、道路の路線価によって土地の価値に差が付きます。

土地の分筆

繋がった二辺が違う道路に接する角地では、分筆で角地以外の土地ができてしまい、角地と角地以外の土地は、同じ面積なら普通は価値が異なるものです。

土地の分筆
三辺が道路に接する場合、四辺を道路に囲まれている場合も同じです。

簡単な例で持分が1/2ずつだとして、土地の面積が半分になるように分筆してしまったとします。

分筆後の一方が、著しく価値が下がるようではトラブルになるということです。

したがって、面積を持分で分けると簡単ですが、価値を持分で分けるのは難しいのです。

5.2 分筆の流れ

分筆には手順があり、仕組みを理解していないと混乱します。

分筆しただけで、自動的に個人所有の土地ができるわけではありません。

1.測量と境界確定
分筆することで、新たに境界が発生するので、境界線の確定が必要です。

土地家屋調査士に依頼し、面積(地積といいます)を正確に測り、境界杭を設置して、測量図を作ってもらいます。

すると、費用として50万程度はかかります(土地の広さ次第)。


2.分筆登記申請
分筆登記は共有者全員で行う必要があります。

なぜなら、分筆したからといって土地の権利は共有名義のままだからです。

分筆登記を土地家屋調査士に依頼すると、だいたい5万円程度はかかります。


3.所有権移転登記
分筆登記直後は、分筆後の土地1つずつが、共有者全員の名義になっています。

それぞれの土地の持分も分筆前と変わりません。

それぞれの土地の持分を交換(所有権移転)すると、ついに単独名義の土地にすることが可能です(共有物分割といいます)。

費用は土地価格の0.4%に相当する登録免許税と、司法書士報酬5万円程度です。

分筆登記と所有権移転登記が終わってしまえば、分筆後の土地は個人所有になるので、各所有者が自由に売却できます。

境界線の種類や引き方などの詳細は以下を確認してください。

土地を売却する際には、測量をした方が良いケースがありますが、測量には数十万円程度の費用が必要なため、予め費用や手順について押さえておくと良いでしょう。これから土地の売却を検討している場合は大体の費用を把握し、スムーズな売却を目指しましょう。

6. 売却が難しいが手放したい場合、共有持分は放棄も可能

土地の保有はしたくない、ただし売却が困難であるなどの事情がある場合、共有持分を放棄することも可能です。
民法にも以下のように定められています。

民法255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

放棄自体は単独行為なので、共有持分の所有者が放棄すると意思表示すれば放棄したことになります。
ただし、放棄が行われた場合、放棄された所有権は他の共有者に移転します。
放棄の際には持分放棄の登記が必要です。
登記については、他の共有者と合同で行う必要があるのでご注意ください。

また、共有持分の放棄にはもう1点注意点があります。
注意するのは贈与税がかかるケースがあることです。

実質的には放棄は権利譲渡と同じです。
共有持分の放棄が贈与とみなされ、共有持分を新たに所有した人は場合により贈与税を支払う必要があります。
共有持分を放棄した際の贈与税の詳細は税理士などに相談するほうが良いでしょう。

7. 不動産の適正価格を知る

不動産の売り方を決めたら、不動産会社や買取業者と連絡を取る前に価格を調べましょう。
自身の不動産や周辺の価格を分かっていないと、不動産会社に査定をしてもらい金額を提示されても判断できません。

また、不動産を売却する際は、1つの不動産会社ではなくいくつかの不動産会社に査定をしてもらうのが鉄則です。

なぜなら、同じ価格の不動産が1つとして無いように、査定額も不動産会社によってさまざまだからです。

さらに、今回売却するのは、共有持分のかかった不動産売却です。
売却価格に対して客観的な保証が無いと、全員が納得して売却に合意することが難しくなります。
また、通常の不動産の売買価格より安くなる点に注意しましょう。

土地の価格の出し方は以下のページで確認してください。

土地の評価額には様々な指標が有り、「一物四価」あるいは、「一物五価」と言われます。 土地の評価額の種類 実勢価格 ...

8. 共有の土地にかかる税金

不動産の権利を移したり、取得すると税金が発生します。

それは複数人で不動産を取得した場合も同じです。

8.1 相続の際にかかる税金

不動産を相続した場合、相続税が発生します。

1人で相続する場合は相続税も1人ですべて支払いますが、複数人の場合は全員で1つの不動産にかかる相続税を支払います

全員で相続税を支払いますが、相続税の金額は等分ではありません。

不動産の共有持分の割合と同じ割合で相続の支払いも分割になります。

相続税の計算方法はこちらの記事で確認してください。

不動産を相続することになったときに、真っ先に気になることが相続税についてです。相続税はどのくらいになるのでしょうか。この記事では、不動産相続税の計算方法をわかりやすくお伝えするとともに、今すぐ取り掛かりたい節税対策についてお伝えします。

8.2 無償で名義変更すると贈与税の対象になる

共有名義の場合、簡単に考えるなら、共有者同士で持分を売買するのは面倒でしょう。しなくても、誰か1人の名義に変更してから、他の人に売ってお金を分けたほうが楽です。

相続時に代表者名義で登記してから、売却代金を分ける方法と理屈は同じです。

ところが、相続が絡まない状況で単に名義変更してしまうと、それは贈与とみなされて贈与税の対象です。

贈与税の税率は高く、共有者同士の売買では発生しないお金が税金で持っていかれてしまうため、贈与にすると結局損をします(年間で110万円以内の贈与なら非課税です)。

共有者全員の合意が取れているのであれば、委任状による委託が妥当です。

8.3 共有不動産を売却した場合譲渡所得税

では、共有の不動産を売却した場合はどうなるのでしょうか。

売却時にかかる税金も複数人で分割、配分も相続税と同じく共有持分の割合になります。

売却時にかかる税金と計算方法はこちらの記事で確認してください。

相続税が最大55%と最も高い税率で負担した上、売却時にも譲渡所得税、登録免許税、印紙税、仲介手数料にかかる消費税と、実にさまざまな名目の税金があります。タイミングによっては控除や税率が下がるので、把握しておくに越したことはないでしょう。

共有者の中に売却した不動産に住んでいた人がいた場合、3000万円まで控除が受けられます。

控除を受けるには、以下の条件に当てはまることが条件です。

自分の住んでいる家を売ること
住まなくなった家の場合、住まなくなって3年を経過する日の年末までに売ること
売却した年の前年やその前の年に、同じ特例を利用していないこと。譲渡損失の損益通算及び、繰り越し控除の特例も受けていないこと
売却した年を含めて過去3年間に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていないこと
収用等の特別控除の特例を受けていないこと
親子などの特別な関係での譲渡ではないこと

ここでポイントなのが、3000万円の控除は上記に当てはまる人の分だけ控除されるということです。

8.4 税金の支払い方法

税金は共有者全員が自分の割合に合わせて支払います。

しかし、納税を行うのは代表者の1人になります。

代表者は納税するとともに他の共有者から税金分の費用を回収しなくていけないのです。

ただし、代表者が税金を滞納した場合各共有者に請求がまわってきます

9. 区分共有と共有持分の違い

混乱しがちな概念として、区分共有と共有持分の違いを補足しておきます。

土地や建物の権利を複数人で持つ方法として、区分共有共有持分というものがあります。

区分共有とは主に、分譲マンションやオフィスビルなどのに当てられるものです。

敷地や建物の中の決められたスペース(部屋など)を所有する権利のことを言います。

エレベーターやエントランスは区分共有の権利を持った人の共有となっており、みんなで所有する部分になります。

共有持分は1つの敷地や建物を複数人で所有する権利のことです。

区分共有はマンションの売買が各部屋の住民が自由に行えるように、権利者が1人1人自由に行えます。

しかし、共有持分の場合、変更を加えたい不動産は自分の物であり、共有する他の共有者のものでもあります。

そのため、増築や売買など不動産に何か手を加える場合、他の共有者の同意を得ないと行えないのです。

多くの人が不動産売却の際悩むのは共有持分の場合でしょう。

10. 土地の所有権と持分とは

所有権と持分についても誤解が生じやすい点を解説します。
土地の所有者が複数いれば、土地全体に対してどのくらいの権利を持っているか示す割合(持分割合といいます)が必ずあります。

すべての所有者は、土地に対して持分割合の権利を持ち、他の人から制限を受けません。

しかし、持分割合で勘違いしやすいのが、「持分割合に応じた面積を持っている」と思ってしまうことです。

持分割合に関係なく、土地全体が共有であることに注意が必要です。

10.1 共有名義と持分割合

例えば、1つの土地が2人の共有名義であるとき、各人の持分が1/2ずつでも2/3という配分でも土地自体は1つしかない扱いです。

持分の割合が大きい人の発言力が強く、不動産を思い通りにできるように見えますが、そうではありません。

持分がある共有者は持分割合に関係なく所有者として権利を持ちます。
自分の持分割合が大きいからといって、持分割合が小さい人の権利を妨害することはできません

持ち分割合に関わらず全員の合意が必要になるため、共有名義の土地売却はトラブルが多くなりがちです。

10.2 自分の持分がわからないとき

自分の持分がわからない場合には、土地の登記簿を確認してみるのが一番確実です。

手数料600円(平成30年2月現在)を支払えば、登記簿謄本や登記事項証明書として入手できます。

【登記簿での記載例】

共有者
○○市○○町○○番地
持分3分の2
田中 一郎
××市××町×丁目×番×号
持分3分の1
田中 二郎

※登記簿には他にも色々な情報が含まれ、上記は「権利部(甲区)所有権に関する事項」の「権利者その他の事項」という欄で確認できます。

10.3 共有名義の土地にローンがあった場合

共有名義で取得した不動産にローンがあった場合はどうすればいいのでしょうか。

共有名義の不動産を売却し取得した金額でローンを返済、余ったお金を権利の割合と同じ配分で分けるパターンが多いようです。

また、住宅ローンの場合、借りる際に団体信用保険に加入しており、残債が無くなっている可能性があります。

団信に加入されていた場合は金融機関から団信弁済届を金融機関から受け取り、提出しましょう。

11.共有持分でよくある質問

権利者が複数人いることで悩みもさまざまです。ここではよくある質問をいくつか解説します。

Q1:離婚時、購入した共有持分の家はどう売却すれば良い?

離婚時、家の共有持分を売ることは相続同様、自分の持分だけ売却することは可能です。ただし、お互い売却を考えているのならそれぞれ売るのではなく、まとめて仲介で売却してしまった方が高く売れます。片方名義の場合、売却額は半分で割ることが多いですが、共有持分の場合、共有持分と同じ割合で分けることになるでしょう。

しかし、共有持分を売るのが難しい場合もあります。それは住宅ローンが残っている時です。住宅ローンは離婚時に夫婦それぞれに分けることができません。共同でローンを借りていたり、夫がローンを借りて妻が保証人になっている場合などは、離婚時にローンを完済していることが望ましく、ローン完済のため家を高く売る必要があり、自分だけで売るというより夫婦合わせて売ることになるでしょう。

離婚による財産分与では、不動産をどのように分配するのかが問題になることがあります。均等に分割しやすいために売却してお金に変えたいと思うのは仕方のないことかもしれません。そのため、まずは財産分与の基礎知識を身につけて、様々な注意点を理解しておきましょう。

Q2:土地の共有名義を解消するにはどうすれば良い?

土地の名義を解消したい場合は、他の権利者に贈与するか売却する方法の他に放棄という選択肢もあります。放棄した場合、土地の権利は他の権利者に渡ることになります。

詳しくは記事の前段を確認してください。

所有者が死亡してしまった場合は他の権利者に所有権が渡るのではなく、所有権は相続人に渡ります。また生きていても病気などで判断が難しい場合は成年後見制度の利用が可能です。家庭裁判所の審判を受れば、本人に代わって子供などが売却や譲渡などを行えます。

Q3:売却額をまとめて代表者に振り込んでもらっても大丈夫?

問題ありません。それぞれに振り込んでもらうことも可能ですし、代表者の口座にまとめて振り込んでもらい代表者から他の権利者に振り込むことも可能です。

代表者から他の権利者にお金を振り込む行為はお金を一時的に預かり渡しただけになるので、贈与税はかかりません。しかし、確認を取られる可能性もあるので、しっかりと振込をした記録を残しておきましょう。

12. まとめ

共有人同士の関係が良好であれば、共有名義の問題は表面化しないでしょう。

しかし、例えば仲たがいして離婚する、相続した兄弟同士の意見が割れるなど、共有名義では人間関係が、土地の流動性にも影響します。

自分だけの判断で土地を売ることができないのはもちろん、分筆をするにしても売却してお金を分けるにしても、関係の悪化している人が協力することは少ないです。

うまく売却ができなくて困るでしょう。

とはいえ、自分の持分だけ売ろうとしても、今度は第三者の買主が見つかりません。

共有人同士が協力できないのなら、親族や共通の知人などが間に入って持分を買い取るなど、間接的にでも土地全体を売りやすい単独名義に進めていく方法も考えてみてください。

売りたくても売れない状況が続くと、いつか相続が起きて共有人が増えていくので、ますます調整が難しくなって後悔することになります。

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