空き家にかかる税金はいくら?固定資産税増加対策と節税のポイント

空き家にかかる税金は「固定資産税」と「都市計画税」の2つです。
一方、空き家は税金がかかるものというよりは、むしろ節税のために使われてきた側面もあります。
しかし、近年、空き家対策特別措置法の制定に合わせ、固定資産税率が急に6倍になる事象も起きています。

空き家を保有している人、相続などで今後空き家を保有する予定の人向けに

記事のポイント
  • 空き家にかかる固定資産税や都市計画税の2つの税金の計算方法
  • 空き家問題に端を発する固定資産税増加までの流れ
  • 税金負担を増やさないために行うべきこと
  • 売却するときに受けられる控除

について説明していきます。

空き家にかかる税金を最低限にするためのポイントをお伝えします。

1. 空き家にかかる2つの税金とは?「固定資産税」と「都市計画税」

空き家にかかる税金は「固定資産税」と「都市計画税」の2つです。1つずつ見ていきましょう。

1.1 空き家にかかる固定資産税と計算方法

人が住んでいる家や土地だけでなく、空き家にも固定資産税がかかります。
誰も住んでいない空き家でも所有者には固定資産税の納税義務が発生します。

固定資産税とは

固定資産税は、1月1日に固定資産を所有している(登録している)人が、その年度の納税義務者になる「地方税」です。

所得税や法人税と異なり申告の必要はなく、自動的に納税通知書が届きます。
4月と7月、12月、2月の年4回、3ヶ月ごとに分けて徴収される仕組みになっています。

空き家の固定資産税額はいくらなのか

固定資産税は、固定資産を評価し、税率をかけて計算するため、まず「固定資産税評価額」を知る必要があります。

固定資産税の税率は、地方自治体が自由に設定することが可能で、標準税率は1.4%です。

固定資産税評価額とは、総務省が定める固定資産評価基準に基づいて、市区町村が価格を決定したものです。
国土交通省が発表する公示価格や、都道府県が調査する標準価格などが参考にされます。

公示地価は日本の土地価格を測る指標で、よく目にする地価変動のニュースでも使われています。ここでは他の指標との関係性も含め、その特徴を分かりやすく解説しましょう。

上記のような参考価格に対し、およそ7割程度が固定資産税評価額となり、3年に1度見直されます。
基本的には、土地と家屋の固定資産税納税通知書に表記されている「固定資産税評価額」を基準にします。
他にも役所で固定資産課税台帳や、固定資産評価証明書を取り寄せることで、評価額がいくらなのかを確認することが可能です。

基本的な固定資産税評価額は以下の計算で求められます

固定資産税額の計算方法(標準税率)

課税標準額 × 1.4%

但し、空き家がある場合は、住宅用地の特例制度のお蔭で土地の税金が安くなります。
誰も住んでいない空き家が増え続ける原因には、この特例を利用した節税ができることも1つの理由です。

対象計算式
土地の固定資産税
(住宅用地の特例適用後)
小規模住宅用地の場合課税標準額×6分の1×1.4%
一般住宅用地の場合課税標準額×3分の1×1.4%

なお、小規模住宅用地と一般住宅用地の違いは土地の広さで、以下の基準で決まっています。

小規模住宅用地と一般住宅用地の違い
  • 小規模住宅用地:200m2
  • 一般住宅用地:300m2

1.2 地域によってかかる都市計画税と計算方法

必ずかかるとは限らないものの、固定資産税とは別にかかってくるのが「都市計画税」です。

都市計画税とは

都市計画税とは、都市計画区域の「市街化区域」として判断された土地および、家屋に掛かる税金です。
日本全国の25.7%が都市計画区域であり、実は日本の全人口の内91.6%が、都市計画区域に集中しているとも言われます。

自分の住んでいる地域が市街化区域なのか、確かめる方法については下記をご覧ください。

自分の土地の上に何を建てるのかは、原則として所有者の自由であるはずです。 しかしながら、現実には用途地域と呼ばれる規制によって、建てら...

都市計画税額の計算方法

都市計画税は0.3%が制限税率であり、各市町村によって、税率や分割で納付する場合の期限は異なります。
固定資産税と同じく、以下のように計算することができます。
住宅用地の特例があることも、固定資産税と同様です。

都市計画税額の計算方法(標準税率)

課税標準額 × 0.3%

1.3 空き家の税金と空き家問題の関係

空き家は年々増えており、2019年4月に公表された、最新のデータ(2018年の調査)では全国の空き家数は846万件でした。
総務省統計局平成30年住宅・土地統計調査
800万件を超えるまでに空き家が増えた背景には、節税目的の空き家保有が存在します。
先ほど説明したように、空き家があることで固定資産税や都市計画税の節税になる場合があるためです。

2. 空き家対策特別法と固定資産税率の増加

空き家と税金について語る上では、空き家問題と、空き家対策特措法が大きなポイントを占めています。
税金とは切っても切れないこのポイントを解説します。

2.1 加速する空き家問題

空き家に関する問題として、管理不足の空き家が荒れて、環境面や衛生面の問題になったり、周囲とのトラブルになったりするケースが増えてきました。

具体的には

管理されていない空き家に関する問題の例
  • 地震や家事などの際の東海懸念、被害拡大懸念(防災対策がされていない)
  • 害虫や害獣の発生源となる
  • 犯罪温床となり、犯罪の増加につながる

等が広がり、周辺住民とトラブルになるケースも出てきました。

空き家問題は国としても無視できないほどに大きく、空き家問題解決のために空き家問題解決に向けた「空家等対策特別措置法」が制定されました。
空き家対策特別措置法によって、空き家問題の拡大への手段が作られましたが、その中に税金と密接に関係する内容が出ていています。
空き家特措法と税金の関連について、詳細に記載していきます。

なお、空き家問題について具体的に知りたい場合は、以下の空き家問題の詳細を書いた記事をご参照下さい。

メディアで空き家問題の話題が増えていますが、人口は減っていても世帯数はまだ増えており、問題が深刻になるのはこれからです。空き家問題の今後と対策を紹介しましょう。

2.2 特定空き家に指定されると固定資産税率が6倍に

空き家対策特別措置法により、各自治体は周辺に悪影響を及ぼす可能性のある空き家に対して、「特定空き家等」という指摘を行い、所有者に対応の是正を勧告したり、勧告に従わない場合は、強制的に空き家解体などを行えるようになりました。
そして、税金と密接に関わるのが、「特定空き家等」への指定です。

「特定空き家等」への指定が行われると住宅用地の特例がなくなり、固定資産税率が一気に6倍になってしまいます。

2.3 特定空き家等に指定される空き家の条件

空き家対策特別措置法には、「空家等」の定義 を「居住その他の使用がなされていないことが状態である建築物とその敷地」としています。
しかし、実際の運用上は概ね年間を通じて使用されていないことが、指針として打ち出されました。

また、特別措置法はすべての空き家を措置の対象にしておらず、次のように周辺への影響が大きい空き家を「特定空家等」と定義しています。

特定空き家等に指定される空き家の条件
  • 放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

空き家が特定空き家に指定されて、税金が増えることを防ぐためには、管理や活用などの方法を用いて、空き家の状況をコントロールする必要があります。

なお、空き家対策特別措置法の詳細については、以下の記事で解説していますので、ご覧ください。

平成27年5月26日、空き家対策特別措置法が完全施行されました。これは誰が対象で、どういった効果や固定資産税などへの影響があるのか?噛み砕いて解説してみます。

3. 空き家の所有者が節税(増税対策)のためにできること

では、特定空き家などに指定されて、固定資産税、都市計画税が増えることを避けるためには何ができるのでしょうか。
具体的に対策を見ていきます。

3.1 適切な活用や管理を行えば税率は押さえられる

特定空き家などに指定されて固定資産税率が上がってしまうのは、あくまでその空き家が適切に管理されていないためです。
適切な対応によって空き家を管理すれば、増税を防ぐことが可能です。

空き家を活用する

人の利用が無く、管理されていない空き家は急速に老朽化します。
シンプルな対策として有効なのは空き家を利用することです。

例えば、通常の賃貸に出す他、最近増えている民泊や、月額固定で済み放題のADDRESSなど、空き家を有効活用する方法は多くあります。
他の人に有償で貸すことができれば、固定資産税が上がらないだけでなく、そこから収益を得ることもできて一石二鳥です。

詳しくは、以下の空き家活用の記事もご覧ください。

空き家の活用は貸して貸家とするか、売却して他の活用を考えるのが大半ですが、思い通りにいく物件ばかりではありません。そこで今回は、住居以外にした事例や自治体の取り組みも含めた、空き家活用の方法を紹介します。

空き家を管理する

活用が無くても適切に管理されている空き家であれば、特定空き家になる可能性は低いです。

もちろん自分で管理することも可能ですし、多忙や遠方に住んでいるために難しい場合は、管理会社に委託するという方法もあります。

外部の管理会社への委託の場合は月5千円程度からが委託料の相場です。
空き家が適切に管理され、かつ税負担の増加を防げると考えると十分支払える金額ではないでしょうか。

空き家管理のコツについて詳しく知りたい方は、下記も合わせてご覧ください。

空き家の悪影響は植栽や防犯面などを考えると、新しい家でもあり得る話です。空き家の水道や庭の管理、郵便物の対応、害虫や防犯の対策は何をどのように行えばよいのでしょうか?また火災や地震保険は入った方がよいのでしょうか?

更地にして空き家リスクを無くす

空き家を解体してしまう、というのも一つの手です。
解体した場合、結局建物はなくなるので土地に対する固定資産税は増えてしまうのですが、解体工事に補助金が出ている自治体もありますし、家の分の固定資産税は支払い不要になります。
地域によっては解体後も固定資産税率が1/6で済む自治体もあります。

こんにちは、土地カツネット編集部です。この記事は、空き家を更地にしたいけれど、固定資産税が高くなるか不安という方に、空き家を更地にした際の固定資産税増加額と節税対策を解説しています。この記事を読むと、空き家を更地にすべきか意思決定できます。

売却を検討する

空き家を持ち続けたい、という気持ちが強くない場合は売却も可能です。
家は時間が経つほど価値が劣化するので、売却の場合は早期の対応が重要です。

活用するか、売却するか迷う場合、まずは家の査定をして売却価格の目安を入手し、どちらが得蚊を検討するのも有効です。

いますぐ空き家の売却を検討する

空き家バンクに登録して利活用してもらう

空き家バンクは、主に自治体や自治体から委託を受けた団体によって運営されており、空き家の所有者と利用希望者のマッチングをする仕組みです。

詳しくはこちらにまとめましたので、ご覧ください。

空き家問題は田舎に限りませんが、需要がより少ないのは明らかです。それを改善するための取り組みが空き家バンクで、実は利用者のメリットが大きい仕組みになっています。

リスクが大きければ相続放棄する

相続によって空き家を継ぐ予定の場合に限りますが、空き家を相続することにより税金納付など維持負担が大きい場合、相続放棄をするという選択肢もあり得ます。
他の資産の相続もできなくなりますが、相続資産が空き家のみでマイナスの資産となりそうな場合は検討しましょう。

土地や家を売る方法はまだしも、処分に関する情報があまりありません。もし不動産が売れずに固定資産税で苦しむことになった時のため、寄付の方法や税金についてまとめてみます。

4. 空き家の税金減免措置やお得な制度

空き家に関連した税金の減免措置やお得な制度を確認しましょう。
主に空き家の解体や売却に関わるものです。

4.1 更地にしても固定資産税が上がらない制度

福岡県豊前市の「老朽危険家屋除去後の土地に対する固定資産税の減免」制度のように、特定条件に合致する空き家を解体して更地にした場合、住宅用地の特例を解除して固定資産税率を6倍にするのではなく、1/6の税率を維持したり、固定資産税の上がり方を緩やかにする制度がある自治体もあります。

このような場合では、空き家を解体して更地にした場合、空き家の固定資産税評価額が0円になりますし、土地の固定資産税率も低く据え置かれるので、解体によりかなりの節税が実現できます。

同様の制度に対応している自治体数はまだ少ないですが、鳥取県の日南町など、複数の自治体で取り組みがあります。

4.2 空き家解体費用の補助金

解体費用の補助金交付は、空き家対策特別措置法以前から行われており、空き家再生等推進事業という名目で国が補助をしています。

国と自治体が補助金を出しあって、解体費用の負担を軽減している代わりに、自治体に予算枠があり予算枠を使い切ると申請が締め切られます。

解体費用の補助は、多くの自治体で行われているので、自分の所有する空き家の地域で、補助事業が行われていないか確認してみましょう。

全国の空き家に関する補助金は、厚木市の空き家解体費用補助(最大50万円の補助金)のように各自治体で取り決めていて、空き家活用の匠のサイトで、全国の各自治体の補助金を探すことが可能です。

補助金の金額は自治体の予算次第ですが、30万円~100万円程度までが多いようです。

4.3 空き家の譲渡所得の3,000万円の特別控除

相続した空き家を売ったときに発生した譲渡所得から、3,000万円を控除できるというものです。結果的に譲渡所得税が安くなります。

譲渡所得とは、不動産を売却した際に発生した利益のことで、次のような計算式で求められます。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得=売却価格-(取得費用+売却費用+印紙税など諸費用)

空き家の場合は、相続税を取得費用に入れたり、この特別控除を使うことで、売却時の税金を抑えることができます。

以上、空き家に関する税金の減免制度などについて、ご説明しました。
今後も、空き家対策特別措置法の施行によって、財政的な支援基盤を得た自治体が、さらに今後空き家対策に予算を投じると予測されるため補助金には注目です。

以上です。なお、空き家に関わらず家や土地に関する税金の全体像を知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。

購入では家賃との比較材料として、相続では維持費として、税金の話になります。そこで今回は土地と家にかかる税金の種類と特徴、調べ方、そして計算方法と順に解説します。
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