空き家を放置しているとこんなに税金がかかる?特定空き家に認定される前に

空き家にかかる税金は「固定資産税」と、空き家がある土地に応じてかかる「都市計画税」の2つです。

しかし、街を歩いていると、空き家を見かけることも良くあります。
税金がかかるなら、売却したほうが良いはずですよね?

実は実際に税金の金額を計算したうえで、売却費用と比較すると、「売らない」という選択肢もあるのです。

ここでは、

  • 空き家にかかる固定資産税や都市計画税の2つの税金
  • 売却するときに受けられる控除
  • 放置によるリスク

について説明していきます。

多角面に検討して、あなたの空き家の今後を考えてみましょう。

1. 空き家にかかる2つの税金とは

空き家にかかる税金は「固定資産税」と「都市計画税」の2つです。それぞれについて、見ていきましょう。

1.1 空き家にも「固定資産税」がかかる

固定資産税というと、実際に人が住んでいる家や土地にかかる印象があります。しかし実際には、その不動産が所持されている限り、自動的に所有者に納税義務が発生します。

固定資産税とは

基本的には、税金には以下の2つの種類が存在します。

  • 「国税」:国に治める
  • 「地方税」:地方自治体に収める税金

固定資産税は「地方税」であり、1月1日に固定資産を所有している(登録している)人が、その年度の納税義務者になります。
所有しているという事実があれば、空き家でも変わらず納付義務があります。

たとえば2018年5月2日に空き家を所有し、2019年1月1日を過ぎたら、その時点であなたは、その年度の固定資産税を支払う納税義務者になるのです。

所得税や法人税と異なり申告の必要はなく、自動的に納税通知書が届きます。
4月と7月、12月、2月の年4回、3ヶ月ごとに分けて徴収され仕組みになっています。

固定資産税額はいくらなのか

固定資産税は、固定資産を評価したうえで税率をかけて計算するため、まず「固定資産税評価額」を知る必要があります。

固定資産税の税率は、地方自治体が自由に設定することが可能で、標準税率は1.4%です。

固定資産税評価額とは、総務省が定める固定資産評価基準に基づいて、市区町村が価格を決定したものです。
国土交通省が発表する公示価格や、都道府県が調査する標準価格などが参考にされます。

公示地価は日本の土地価格を測る指標で、よく目にする地価変動のニュースでも使われています。ここでは他の指標との関係性も含め、その特徴を分かりやすく解説しましょう。

上記のような参考価格に対し、およそ7割程度が固定資産税評価額となり、3年に1度見直されます。

よって、前年と今年では評価額が違うケースもあります。以下の表は、土地における用地に応じた固定資産税の計算方法です。

対象計算式
土地の固定資産税小規模住宅用地の場合課税標準額×6分の1×1.4%
一般住宅用地の場合課税標準額×3分の1×1.4%
家屋の固定資産税一般的な家屋の場合 価格(評価額)=再建築費表点数×経年減点補正率等×評点1点当たりの価格
上記を算出したうえで:課税標準額×1.4%
新築の家屋の場合 一定の条件を満たせば新築から3~5年間120m2までの部分については固定資産税の税額が2分の1に軽減される
課税標準額×1.4%

基本的には、土地と家屋の固定資産税納税通知書に表記されている「固定資産税評価額」を基準にします。
他にも役所で固定資産課税台帳や、固定資産評価証明書を取り寄せることで、どのくらいの評価額になっているか確認することが可能です。

新たに空き家を受け継ぐことになった場合には、毎年かかる新たな出費がどの程度増えるのか、手放したほうがお得なのかを確認する、一つの基準になります。

1.2 地域によっては「都市計画税」もかかる

必ずかかるとは限らないものの、固定資産税とは別にかかってくるのが「都市計画税」です。

都市計画税とは

都市計画税とは、都市計画区域に判断された土地および、家屋に掛かる税金です。

そもそも都市計画区域とは、都市計画の観点から、より住みやすい街・都市になるよう、計画的に管理したほうが良いと判断された地域を指します。

日本全国の25.7%が都市計画区域であり、実は日本の全人口の内91.6%が、都市計画区域に集中しているとも言われ、「田舎暮らしだから関係ない」というわけでもないのです。

都市計画区域は都道府県によって、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」の3つに分類されています。
このうち、都市計画税がかかるのは「市街化区域」に指定された地域の不動産だけです。

徴収された都市計画税は、道路や公園の設備など街のインフラ整備の費用に充てられ、上下水道の整備にも活用されます。

自分の住んでいる地域が市街化区域なのか、確かめる方法については下記をご覧ください。

自分の土地の上に何を建てるのかは、原則として所有者の自由であるはずです。 しかしながら、現実には用途地域と呼ばれる規制によって、建てら...

都市計画税額はいくらなのか

都市計画税は0.3%が制限税率であり、各市町村によって、税率や分割で納付する場合の期限は異なります。
固定資産税と同じく、固定資産税評価額が元になり「固定資産税評価額×決められた税率」で算出されます。

住宅用地には、税負担を軽くする目的から、特例措置が設けられています。
住宅用地とならない土地は、「業務用家屋(店舗、事務所、工場、倉庫、旅館等)の敷地、駐車場、資材置場、空地」等です。
よって、空き家のある土地も住宅用地となります。

マイホームや住宅用の賃貸マンションなど、建物が存在する土地に対し、住宅1戸につき200m2までの部分は小規模住宅用地として、固定資産税評価額を3分の1にできます。

また、それ以外の一般住宅用地は固定資産税評価額に対し、3分の1または3分の2として計算するため、その分だけ都市計画税が軽くなります。

例えば、500m2の住宅用地であれば、

  • 小規模住宅用地:200m2
  • 一般住宅用地:300m2

となります。

2. 放置し続けると「特定空き家」に認定されペナルティを受ける可能性も

もしも空き家を売却せず、手入れもしないで放置すると、どのようなペナルティがあるのでしょうか。

2.1 「特定空き家」になってしまう判断基準とは

では、どのような基準で特定空き家になってしまうのでしょうか。

その基準は、

の4つです。

更に細かく1つ1つ見ていきましょう。

倒壊する恐れがある

建物が倒壊する恐れがある場合、特定空き家になる可能性が高まります。

地盤の不均等な沈下、部分的に破損していることが原因で、建築物が著しく傾きが見られるかなど、総合的に判断されます。

衛生面上良くない状態にある

そのまま建築物を放置しておくと、衛生面で有害になる可能性がある場合にも、指定されることがあります。
例として、以下のような状態だと指定される可能性が高まります。

  • 石綿(アスベスト)など、有害物質が飛散する可能性が高い
  • 汚物や異臭により、地域住民の生活に悪影響を及ぼしている
  • ごみの放置や不法投棄によって発生する悪臭や、それに伴う害虫や害獣による被害

いわゆるゴミ屋敷状態の空き家も、この衛生面上良くない状態にある空き家とされます。

適切な管理がされず景観を著しく損なっている

景観法に基づき、景観計画を策定している都市などでは、建築物等が適切な管理をされずに、著しく景観を損なっている状態であると、特定空き家に認定されることがあります。

  • 屋根や外壁等が汚物や落書き等で、大きく痛んだり汚れたりしている状態
  • 窓ガラスが多数割れた状態
  • 立木等が建築物前面を覆う程度まで、繁茂している状態
  • 敷地内にごみが散乱して、山積みになっている状態
  • 看板等が原型をとどめずに、本来の用をなさない程度に破損し、放置されている状態

建物の窓ガラスが割れている空き家は、ゴミの不法投棄が起こりやすく、今以上に景観が壊される可能性があります。

また樹木を放置すると、後々家自体にもダメージを与えるほか、枝の落下などで通行人に被害が出るリスクも高まります。

放置すると周辺の生活が危険にさらされる可能性がある

周囲の生活環境を、保全できないと判断された場合にも、特定空き家に指定されることがあります。

  • 樹木が原因で歩行者の妨げになっている
  • 近隣住宅や道路に枝が大量に飛散している
  • 管理が適さず、道路に砂利等が飛散している
  • 管理が適さず、施錠されていない、ガラスが割れたりして不審者が侵入できる状態のまま放置している
  • 害虫や害獣が発生し周辺の家に侵入して、地域住民に悪影響を及ぼす可能性がある

上記の例のように、周辺で生活する人や、近くを通る人に対してどのような影響を及ぼすか、その危険度や緊急性も重視されます。

すでに不審者の侵入が起きていたり、害虫が多数発生していたり、悪臭被害などが寄せられていたりすると、特定空き家であるとの判断がされやすくなります。

空き家放置で起こりうる問題やトラブルに関しては、こちらをご覧ください。

空き家を放置するとどうなるのか、噂には聞いても詳しくは知らないものです。空き家対策特別措置法による固定資産税の実質増額や強制解体はよく聞くところですが、所有者が直面しうる4つのリスクを、法的な根拠と合わせて紹介します。

2.2 「特定空き家」に認定されたときの税金の支払い額

「特定空き家」とは

2015年に国が制定した「空き家対策特別措置法」に基づき、固定資産税や都市計画税の軽減措置の適応が受けられなくなるなど、放置するほどペナルティを受ける空き家のこと。

でした。

空き家対策特別措置法については、こちらにわかりやすくまとめましたのでご覧ください。

平成27年5月26日、空き家対策特別措置法が完全施行されました。これは誰が対象で、どういった効果や固定資産税などへの影響があるのか?噛み砕いて解説してみます。

実は、空き家を建てたままだと、都市計画税を軽減する措置が使えるため、空き家を解体せずに放置するケースあとを絶ちません。
そのほうが、固定資産税と都市計画税を両方支払っても安くなり、なおかつ解体費用も掛からないためです。

ところが、そのまま空き家が放置され続けると、害虫発生や悪臭、不法侵入、犯罪の温床、倒壊による危険、通行人への被害など、さまざまなリスクが増え続けます。

そこで、立ち入り調査や指導などの段階を踏み、それでも状態が改善されなければ、最終的に各市町村の代執行による解体や補修が、強制的に行われるようになりました。

このときの解体費用や認定による看板の設置など、費用はすべて空き家の持ち主に請求して良いと定められています。

参考:行政代執行とは | NPO法人 空家・空地管理センター

これ以上、空き家を増やさないために制定された国の対策であり、固定資産税や都市計画税に関しては、計算式が次のように変わります。

税金の種類計算式家屋(1,000万円)+土地(1,500万円)の税額
固定資産税固定資産税評価額×1.4%(1,000万×1.4%)+(1,500万×0.3%)=18万5,000円
都市計画税固定資産税評価額×0.3%(1,000万×0.3%)+(1,500万×0.3%)=7万5,000円
合計26万円

こうして実際に計算すると分かるように、固定資産税と都市計画税を合わせて、毎年26万円の出費が続くことになります。

2.3 認定されると固定資産税が6倍になる

特定空き家に認定されると、今までの小規模住宅用地の優遇処置を外されてしまいます。

すると、優遇措置で6分の1に軽減されていたのがなくなるので、計算上は固定資産税が6倍になってしまいます。

ただし、軽減措置が使えれば土地の評価額を6分の1にできるため、それなら毎年数万円で済むことになります。

したがって、特定空き家のペナルティを受ける前に、空き家をどうするか対策する必要があります。

特定空き家としてのペナルティが、込みになった固定資産税が請求されるのは、特定空き家に指定された翌年からです。
特定空き家に指定されても、原因になっている状態を改善できれば、解除することは可能です。
よって、まずは特定空き家になる基準を満たしていないか確認し、早めに対策を練りましょう。

2.4 特定空き家にならないためには

(a)更地にして放置する

空き家を放置して特定空き家に認定されると、多額の税金を支払わなけらばならないことがわかりました。

では、空き家を解体して更地にするとどうでしょうか。
下記に、空き家と更地の固定資産税比較についてまとめましたのでご覧ください。

空き家が年12万戸のペースで増えており、解体を促すため「空き家対策特別措置法」が施行されました。では更地にすると固定資産税はどうなるのか?空家と比較してみます。

(b)管理する

基本的には、月に一度は通い、空き家の手入れを行います。

また自力だけでなく、管理会社に委託するという方法もあります。
なぜなら空気の入れ替えや清掃、庭の手入れなどをする必要があるため、遠方に暮らす場合は労力が大きくなりがちなためです。

空き家管理のコツについて詳しく知りたい方は、下記も合わせてご覧ください。

空き家の悪影響は植栽や防犯面などを考えると、新しい家でもあり得る話です。空き家の水道や庭の管理、郵便物の対応、害虫や防犯の対策は何をどのように行えばよいのでしょうか?また火災や地震保険は入った方がよいのでしょうか?

(c)活用や売却を検討する

空き家を管理する場合も、管理費用がかかります。

空き家は放置せずに、売却や活用を視野に入れてみましょう。

空き家の活用は貸して貸家とするか、売却して他の活用を考えるのが大半ですが、思い通りにいく物件ばかりではありません。そこで今回は、住居以外にした事例や自治体の取り組みも含めた、空き家活用の方法を紹介します。

いますぐ空き家の売却を検討する

(d)空き家バンクに登録して利活用してもらう

空き家バンクは、主に自治体や自治体から委託を受けた団体によって運営されており、空き家の所有者と利用希望者のマッチングをする仕組みです。

詳しくはこちらにまとめましたので、ご覧ください。

空き家問題は田舎に限りませんが、需要がより少ないのは明らかです。それを改善するための取り組みが空き家バンクで、実は利用者のメリットが大きい仕組みになっています。

3. 知っておきたい空き家売却の控除

空き家を手放すことを決意したとき、ぜひ活用したい特別控除について知っておきましょう。

3.1 空き家の譲渡所得の3,000万円の特別控除とは

空き家の売却促進のために新設された特例であり、相続した空き家を売ったときに発生した譲渡所得から、3,000万円を控除できるというものです。

まず譲渡所得とは、不動産を売却した際に発生した利益のことで、次のような計算式で求められます。

譲渡所得=売却価格-(取得費用+売却費用+印紙税など諸費用)

そこで制定されたのが「空き家売却時の3,000万円の特別控除の特例」です。

相続した空き家を売却する際は、事前に譲渡所得を控除できるか、できない場合はどのくらいの税金を支払うことになるか、知っておきましょう。

相続した空き家は、実際に自分で購入した空き家とは異なります。
よって、上記の計算式に基づくと、取得費用がとても少なくなり、利益が出やすくなります。
利益がでやすいということは、その分税金がかかりやすくなる、ということです。

既存の「居住用財産売却時の3,000万円の特別控除の特例」は「マイホーム特例」とも呼ばれるように、譲渡する人(売主)が居住している必要がありました。
しかし、新しく「空き家売却時の3,000万円の特別控除の特例」ができたことで、空き家にも3000万の控除が適用できるようになったのです。

参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

3.2 控除を受けるための条件とは

控除を受けるためにクリアする条件は、

  • 「適用期間条件」
  • 「家屋の条件」
  • 「譲渡する際の条件」

の3つのポイントに分かれています。

条件
適応期間相続日から起算して、3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ特例の適用期間は平成28年4月1日から平成31年12月31日まで
家屋・相続した家屋は相続開始の直前において、被相続人が一人移住していた
・昭和56年5月31日以前に建築された、区分所有建築物以外の建物である
・相続時から売却時まで、事業・貸付・移住のように供されていない
・相続により土地および家屋を取得すること
譲渡する際・譲渡大家の額の合計額が1億円以下であること
・家屋やその土地を含めて譲渡する場合、譲渡する際に該当家屋が、現行の耐震基準に適合するものであること
・現行の耐震基準に適合するものでない場合、相続人が耐震リフォームして売却すること。または、相続人が家屋を取壊して売却すること

また、自己居住用財産の「3,000万円特別控除」もしくは、自己住居用財産の「買い替え特例」のいずれかと併用可能です。したがって、相続物件と自宅を売却したとしても、どちらにも特例制度を適応できますが、その場合は限度額が6,000万円ではなく、合計で3,000万円になります。
このように条件がかなり難しく、老人ホームに入居してから相続が発生したなど、個人差も大きいため、売却のプロに相談することをおすすめします。

補足:特定空き家はどのくらいあるのか?

2013年の調査では全国の空き家数は840万件であることがわかっています。

2014年の空家実態調査より、調査した空き家のうち
・人が住んでいない割合:65.0%
・人が住んでいない家のうち「二次住宅」「賃貸用住宅」「売却用住宅」を覗いた割合:74.6%

よって、およそ400万件の特定空き家がある計算になります。

※注意:ここでは、「二次住宅」「賃貸用住宅」「売却用住宅」を覗いた空き家を特定空き家として計算しています。

参考:空家実態調査 集計結果 | 国土交通省住宅局

4.空き家はそのまま放置しないほうが良い

空き家を放置するということは、お財布を道端に置きっぱなしにするようなものです。

固定資産税や都市計画税は、よほど低い価値でない限りは決して0円にはならないので、毎年同じ額を支払います。

思い出の詰まった家であれば、なおさら活用方法を考えて、財産の一つとしてこれからの生活に役立てましょう。

またお金はかかりますが、更地にすれば高く売却できるケースもあるため、まずは特定空き家に指定されないように手入れをして、早いうちに対策を検討しましょう。

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