不動産の財産分与でかかる税金。算出方法と節税対策を知っておこう

離婚をする際には、現金や不動産などの財産分与を行います。財産分与には、課税対象になるものがあるため注意が必要です。財産分与を受け取る側、そして財産分与をする側も、税金の支払いが必要になる可能性があります。

財産分与で課税対象になるものは、節税対策をすることが可能です。税金の知識を持っておくことで、発生する税金を上手く抑えられます。これから解説することを参考にして、不動産を手元に置いておくべきか否かを判断しましょう。

1. 財産分与で税金の対象になるもの

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財産分与とは離婚などで財産を分けることを言い、多くは2分の1に分けます。財産分与は現金や土地、家、マンションの不動産、美術品、その他さまざまなものが対象です。そして、それらの中には、課税対象になるものが含まれています。例えば、下記にあるものは課税対象です。

  • 土地をはじめとした不動産
  • 株式や有価証券
  • ゴルフなどの会員権
  • 高額な美術品や骨とう品

現金の財産分与も行われますが、基本的に現金でのやりとりに税金の支払いは発生しません。不動産の財産分与では、譲渡所得税などの支払いが必要となる場合があります。

財産分与が行われる際に、土地などの不動産をどうするのかという議論が出ることがあります。不動産を2分の1に分けることは難しいため、不動産を売却して現金化してから財産分与を行うと分与がスムーズにまとまります。もう、揉めるのは嫌だ早く決めちゃいたい…そんな場合は、いっそのこと売却してしまうのも手です。

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2. 不動産の財産分与を受け取る側にかかる税金について

財産分与にかかわる税金

不動産の財産分与を受け取る側は、特に不動産に思い入れや必要性がなければ、不動産ではなく現金として受け取ったほうがよいです。不動産で受け取った場合、固定資産税や登録免許税がかかります。場合によっては、贈与税や不動産取得税の支払いが必要なってしまいます。

名義人が相手の場合でも、名義人の許可を得れば代わりに売却可能です。委任状をもらい売却してしまう方法もあるため、検討してみましょう。

2.1 贈与税の支払いが必要な場合とは

例えば、離婚により財産分与を行ったとします。受け取った財産は、もともと自分の持ち分であるとみなされて贈与には当たらないため、贈与税を支払う必要はありません。

ただし、「もらった額が多すぎる場合」や「贈与税の支払いを免れるための不正な離婚だった場合」は、贈与税の支払いが必要になる可能性が出てきます。

もらった額が多すぎる場合

もらった額が多すぎる場合ですが、いくら以上などという金額の指定はありません。婚姻中の夫婦間の事情や、平均額などを考慮して判断されます。

一般的に財産分与の割合は、2分の1とされていることが多いです。はるかに超えていると判断された場合は、超えている金額分に贈与税がかかります。もらった不動産などが購入時より高くなっている場合も同様に贈与税が発生します。

贈与税の支払いを免れるための不正な離婚だった場合

また、財産分与には贈与税がかからないことを利用し、脱税のための不正な離婚だと判断された場合は、「離婚でもらった額」または「不動産の全て」が課税対象になります。

2.2 不動産取得税の支払いは必要?

不動産取得税も贈与税と同じく、財産分与はもともと自分の持ち分だったものを、受け取っただけだとみなされるため、基本的に課税されません。しかし、受け取った財産が多すぎる場合には、例外として贈与税の支払いが必要です。

不動産取得税の金額は、住宅として利用する土地や建物は3%、住宅以外の建物は4%です。ただし、分与された住宅に住む場合、不動産取得税の軽減を受けられる可能性が高いため、課税の負担が少なくなるかもしれません。減税については各都道府県によって異なるため、公式ホームページを確認しましょう。

2.3 登録免許税や固定資産税もかかる

不動産をもらったら登記が必要になるため、不動産の登録免許税が必要になります。さらに、取得後には固定資産税もかかります。財産分与の場合、土地も建物も固定資産税評価額の2%です。

登録免許税の額は「固定資産評価額×2%」で算出できます。例えば、評価額が1,000万円だった場合の登録免許税の額は、「1,000万円×2%=20万円」です。

固定資産評価額は、市町村役場または都税事務所で、固定資産評価証明書を取得することで把握できます。もしくは、固定資産税の納税通知書内にも記載があるため、送付されたら確認しましょう。固定資産税は、「固定資産評価額×1.4%(標準税率)」の額を支払います。

登録免許税=固定資産評価額×2%
固定資産税=固定資産評価額×1.4%(標準税率)

2.4 税金の他にも気をつけることがある

財産をもらった際には税金の他にも気をつけることがあります。特に「名義変更」と「残債の確認」には注意が必要です。

不動産や車などをもらった際は、法務局にて名義変更の手続きをします。自分で行うことが難しい場合は司法書士などの専門家に依頼して行いましょう。所有権が移動していないと、勝手に処分されても気づかないことがあるため、名義変更の手続きはとても重要です。

不動産をローンの残債がある状態でもらう場合は、トラブルになりやすいため注意しましょう。ローン付きの不動産を受け取ってしまうと後にローンの支払いを請求されることもあります。相手に支払ってもらいたい場合は、離婚協議書に「いつまでにいくら支払う」という返済計画と具体的な数字を記載していただきましょう。

3. 不動産の財産分与を譲渡する側にかかる税金

財産分与する側の税金

不動産を譲渡する側は、不動産が購入時より値上がっていると贈与税がかかるため、そのまま手元に残しておくほうがよいです。ただし、不動産のかわりに相手側に相応の現金を渡すことがあります。現金での支払が難しい場合、現金化して分与することを検討したほうがよいでしょう。

3.1 譲渡所得税がかかる

不動産の財産分与をする側には、譲渡所得税の支払いが必要になります。財産分与が現金のやり取りであれば、譲渡所得税の支払いはありません。しかし、財産分与が土地や建物などの不動産のやり取りになると、税金を支払わなくてはいけません。

3.2 譲渡所得税について

譲渡所得税は、土地や建物などの不動産の財産分与の際にかかる税金で、所得税法で「資産」にあたるものに課税されます。不動産以外では、株式、ゴルフの会員権などの譲渡も課税対象です。

ただし、不動産や株式、ゴルフ会員権などの財産分与では、必ず課税対象になるということではありません。課税されるのは、売却時に不動産が購入時よりも価格が値上がっている場合です。

3.3 譲渡所得税の額は所有期間によって変わる

不動産の所有期間が、譲渡(対価として代金を受け取る)した年の1月1日から5年を超えていれば「長期譲渡所得」に分類されます。譲渡した年の1月1日から5年以下の所有期間であれば「短期譲渡所得」です。それぞれ税率が異なり、譲渡所得税の額に違いが出ます。

譲渡所得には、「所得税」「復興特別所得税」「住民税」という3つの税金が存在しており、それぞれ税率が異なることがポイントです。

3.4 譲渡所得金額の計算方法

課税譲渡所得金額の計算方法は、「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」です。計算式を覚えるとともに、「譲渡価額」「取得費」「譲渡費用」「特別控除」のそれぞれの意味を把握しておきましょう。

  • 譲渡価額:土地や建物などの不動産の売却額
  • 取得費:不動産の購入額、購入手数料、改良費など
  • 譲渡費用:土地や建物の売却のために支出した費用(測量費、印紙代、仲介手数料、借家人などに支払った立退料など)
  • 特別控除:場合により指定の額までの税金が控除されることがある

3.5 長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率と税額の計算

長期譲渡所得と短期譲渡所得では、税率が異なります。下記の表はそれぞれの税率を比較したものです。

長期譲渡所得短期譲渡所得
所得税15%30%
復興特別所得税2.1%2.1%
住民税5%9%
合計22.1%41.1%

復興特別所得税とは、東日本大震災で被災地の復興を目的として収める税金です。復興特別所得税の支払いは、2013年~2037年までの期間のみです。また、特別控除の適用で所得(売却益)が0円であった場合、復興特別所得は非課税です。

所得税と住民税は、長期譲渡所得のほうが税率が低いことがわかります。税率の違いで、税金がどれくらい差が出るのかを知るために、譲渡所得金額が1,000万円だったと仮定して、それぞれの税額を計算してみましょう。

長期譲渡所得短期譲渡所得
所得税1,000万円×15%=150万円1,000万円×30%=300万円
復興特別所得税1,000万円×2.1%=21万円1,000万円×2.1%=21万円
住民税1,000万円×5%=50万円1,000万円×9%=90万円
合計1,000万円×22.1%=221万円1,000万円×41.1%=411万円

譲渡所得税額が1,000万円だったと仮定した場合、合計で190万円も差が出ました。したがって、長期譲渡所得になるように、所有期間が5年を過ぎてから譲渡を行ったほうが、節税になります。

3.6 3,000万円まで譲渡所得税の特別控除の特例が受けられる

譲渡所得税がかかるのは、あくまでも土地や建物などを売却した額が、購入した額よりも高くなった場合です。例えば、1億円で購入したマンションを譲渡する場合、時価が1億2,000万円であれば、差額の2,000万円に譲渡所得税がかかります。

ただし、そのマンションが自宅として住んでいるものであれば、2,000万円の譲渡所得税を支払う必要はありません。居住用の財産分与では、「3,000万円までは譲渡所得税を支払わなくてよい」という特例があります。そのため、課税対象となっている2,000万円の譲渡所得税は控除されます。

3.7 登録免許税がかかることもある

登録免許税は、一般的に譲渡する側ではなく譲渡される側が支払います。登録をして利益を得る人が支払うとされていますが必ずではありません。当事者間で合意した場合は、折半したり譲渡する側が支払うこともあります。

土地の所有権の移転登記や建物の登記を行う際に、その登記の手続きに登録免許税がかかります。贈与の場合、土地も建物も登録免許税にかかる額は固定資産評価額の2%です。

また、登録免許税は節税する方法がありません。可能な場合は先方と交渉し、登録免許税も支払ってもらう交渉をしましょう。例として物件が1000万円だった場合は、2%の税率で20万円になります。2%と聞くと少なく感じますが不動産の場合は金額が大きいため負担になります。

3.8 子供に不動産を贈与する場合

離婚による財産分与は夫婦間で行うため、子供に不動産などの財産分与を行うことはできません。しかし相手ではなく子供に家を与えたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。もし子供に不動産を渡したい場合は贈与という形であればできます

贈与には年齢制限がないため、子供が未成年でも可能です。ただし、未成年者が贈与を受ける場合は親権者の同意を得る必要があります。税務署から贈与について確認されることがあるため、贈与の事実を証明するために「贈与契約書」の作成も必要です。

また、未成年者でも贈与税を申告しなければなりません。成人している子供への贈与であれば本人が申告しますが、未成年者の場合は親権者が代理で申告をします。

なお、子供に不動産を贈与することはできますが、その場合、固定資産税を支払っていくのは子供です。子供が成人している場合は不動産の贈与についてよく話し合ってから決めたほうがよいでしょう。

財産分与ではないので、贈与税は発生しますが確実に子供に資産を残してあげることが可能です。ただし、空き家になってしまったり、築年数が経ちすぎて、売却が子供の負担になってしまうこともあるので、贈与する不動産が子供の資産になるかどうか、よく検討をする必要はあります。

4. 離婚時の財産分与の注意点

財産分与にも税金がかかる

離婚時に財産分与の注意点として税金の発生や期限、残債処理の問題があり見落としてしまうとトラブルや不利な条件になってしまう原因になります。注意点を確認して問題なく財産分与を進められるようにしましょう。

4.2 財産分与の期限に注意

財産分与の請求は、離婚成立の日から2年間までが期限です。慰謝料の請求期限は3年間であるため、それよりも1年短くなります。

期限を過ぎると請求の権利を失うため、注意しましょう。離婚成立前に財産分与の詳細を決めておくことが理想です。離婚成立後になると、財産を2分の1にした金額から減額され損をする可能性があります。

4.3 マイナスの財産も分与の対象になる

個人的に借りていた借金は分与の対象外になりますが、夫婦共同の財産である住宅のローンや車のローンなどのマイナスの財産は分与の対象です。

ローンが残っている不動産の財産分与は特にトラブルになりやすいため注意しましょう。
残債ができてしまう場合は、手段として任意売却があります。任意売却をすることで不動産売却の収入でローンを支払い、それでも残債が残ってしまった場合は分割返済が可能となります。任意売却はローン滞納者の登録をされてしまうことや売却額が安くなってしまう場合があるため、あまりおすすめはできませんがそのような手段があることは覚えておきましょう。
財産分与の対象は、不動産の時価から分与時のローンの残債を引いた額です。不動産を売却して利益が出ればその額を分与しますが、売却にかかる税金もどちらが支払うのかという点でトラブルになることがあります。

売却益からかかった税金の金額を差し引き、分与することをおすすめします。

5. 財産分与で支払う税金の節税方法

財産分与、節税方法

少しでも、税金の負担を減らすためにできることがあります。特に、譲渡所得税は節税できる可能性が高いです。財産分与で支払う税金の節税方法を知り、できることがあれば試してみましょう。

5.1 3,000万円までの特別控除を受ける

居住用の財産の譲渡であれば、3,000万円までは譲渡所得税がかかりません。ただし、夫婦間や親子間で不動産を譲渡する場合は、特別控除の対象外になるため注意しましょう。

離婚に伴う不動産の譲渡の場合は、離婚後に財産分与を行うことで、特別控除の対象になります。そのため、離婚してから不動産の財産分与を行えば、譲渡所得税額が3,000万円までは、税金の支払いは発生しません。

5.2 長期譲渡所得税の軽減税率の特例を受ける

長期譲渡所得税には、軽減税率の特例があります。居住用不動産を売却した年の1月1日の時点で、所有期間が10年を超える場合に税率が軽減されるというものです。

通常、長期譲渡所得の税率は所得税が15%、住民税が5%です。軽減税率の特例を受ければ、所得税が10%、住民税が4%になり節税できます。

5.3 配偶者控除の特例を受ける

婚姻関係が20年以上の夫婦間で、居住用財産の譲渡を行う場合、配偶者控除の特例を受けることが可能です。配偶者控除の特例が適用されれば、最大で2,110万円まで節税することができます。

控除額の内訳は、贈与税の基礎控除が110万円、配偶者からの贈与で2,000万円の合計で2,110万円です。

ただし、離婚後にちゃんと払ってもらえるように、書面にしておくなど、約束が曖昧にならないように対策をとっておいてください。

6. 不動産の財産分与は節税対策をして売却を考えよう

財産分与で節税する

不動産を財産分与の際にもらうと「そのまま環境を変えずに生活を続けられる」というメリットがありますが固定資産税をはじめとした税金を払い続けなくてはいけません。
生活環境は変わらないですが、近所の目や夫婦の思い出が残った家に住み続ける辛さがあると思います。子供の有無や離婚原因など個人で状況は異なりますが、一度家を手放して住み替えを検討してみることも大切です。売却を行う際はまず、下記の一括査定サイトを利用しましょう。検討している途中の場合であっても現在の家の相場を知ることで財産分与後の選択肢が増えます。

参考: HOME’S 売却査定