3つのパターンで考える田舎の土地活用方法

田舎の遊休地

田舎の土地は比較的地価が安いとはいえ、親が持っていた土地を相続すると、相続した人が固定資産税を負担し続けなくてはなりません。

どのような土地でも、固定資産税は基本的に土地の評価額に対して一定率で課税される税金であるため、税額が安くても高くても資産が毎年失われていきます。

遊休地の活用方法には、「建てて貸す」、「土地を貸す」、「太陽光発電」が考えられます。
それぞれの特徴を把握し、適切な選択ができるように知識を深めておきましょう

せっかく相続した土地を、生かせずに税金だけ支払うのはあまりに惜しいですし、どうしていいか分からず、結果的に土地のままにしているケースもあるようです。

田舎の土地にはどんな活用方法があるか確認しておくのは重要です。

13つの土地活用の基本的な選び方をまだ知らない方は、こちらをはじめにご覧ください。

土地活用は人それぞれ違った目的で行われ、それだけ判断材料があります。その方法もさまざまですが、ここでは主な13の方法を取り上げて比較、選び方を考えます。

1. 田舎の土地活用を難しくする規制

まずは、どんな土地でも活用を検討できるかというとそうではありません。

活用方法を検討する前の事前チェックが必要です。
それは、「市街化調整区域の土地かどうか」「農地法に当てはまる土地かどうか」は事前に確認をしておきましょう。

1.1 市街化調整区域の土地には注意

市街化調整区域とは、無秩序に市街化をすすめるのをやめましょう、そのためにこの土地は特定の開発以外は行わないでください、というものです。

つまり、基本的には開発許可を受けた土地以外では、建物をたててはいけないようになっています。よって、アパートやマンション経営、太陽光発電の開発などの建物を必要とするあらゆる開発ができないということです。

そこで、自分の土地が市街化調整区域であることを確認しておく必要があります。

自分の土地の上に何を建てるのかは、原則として所有者の自由であるはずです。 しかしながら、現実には用途地域と呼ばれる規制によって、建てら...

確認する方法は大きく2つあります。

  • 市役所・区役所で確認する
  • 市区町村が提供しているサービスを利用する

市役所・区役所で確認する

その土地の市役所や区役所の「開発調整課」に行って聞きましょう。
土地の住所さえわかっていれば教えてくれます。

しかし、市役所まで足を運ぶ時間がない、という方は次のサービスを利用することで市街化調整区域かどうかを確認することができます。

市区町村が提供しているサービスを利用する

市区町村で、「都市計画図」というものをサイトに掲載してくれています。
その図からどの地域が調整区域かを把握することができます。

八王子市を例にみてみましょう。

「八王子市 市街化調整区域」と検索すると「八王子市 都市計画図の閲覧|八王子市公式ホームページ」が出てきます。
上の青枠ように土地の場所を確認して、下の青枠の「ここをクリック」の部分をクリックしてください。

八王子市の都市計画のHP

すると地図がでてきます。
八王子市の場合は、白く塗られていて「調」と書かれている部分が市街化調整区域となります(青枠で囲まれている部分)。

八王子市の都市計画図

市区町村によってシステムが異なりますし、そもそも都市計画図を出していないところもあるので注意が必要です。

結論をいうと、市役所や区役所に電話して「住所が●●のところは市街化調整区域ですか」と聞いたほうが圧倒的に早いし正確です。八王子市の地図はわかりやすいほうですが、他の市区町村の地図だと、色が様々あるのと文字が小さいため、どこが市街化調整区域かがとてもわかりにくいです。電話で聞いてしまったほうが得策と言えます。

市街化調整区域の土地の売却についてはこちらに詳しくまとめました。

市街化調整区域にかかる制限は価格や融資にも影響があり、そこにある家や土地は売れにくいと言われます。その特効薬となるような方法はありませんが、比較的売れやすい物件には特徴があるので、それら知っておいた方がよいことをまとめて紹介します。

1.2 農地法にあてはまる土地は活用が特に難しい

農地法の対象は、大きく見ると「農地」と「採草放牧地」です。ここでいう農地とは、登記簿の地目に関わらず、その土地で作物を栽培している農地のことを言います。一方で、採草放牧地とは、家畜を育てる目的で使われているものです。
農地法に当てはまる土地かどうかを確認するには、各市区町村の農業委員会に問い合わせをしましょう。

農業委員会(※八王子市の例)

農地の活用方法については、別途こちらにも合わせて記載しましたのでご覧ください。

農地の活用は「転用」ができるかどうかが分かれ目で、できなければ農地以外の用途では利用できません。まずは転用できるかどうかの基準と、できる・できないそれぞれの活用パターンを紹介します。

では、これらの規制を踏まえて具体的に活用方法をみていきましょう。

2. 建てて貸す方法

移住者、転勤者、旅行者、高齢者など、人に貸す建物を建てて賃料を得る方法です。
大きな投資を必要としますが、建物や土地を担保にしてローンでも調達できます。

それぞれにおいて、成功すれば安定的な収益に繋がる一方で、規模に応じたデメリットも発生するため、投資して運用した後のことまで見据えて始めなくてはなりません。

2.1 アパート・マンション

マンション

田舎ではアパートやマンションの需要は小さいですが、交通の要所になる駅の周辺、外部の人が集まる大学や大きな工場が存在すれば、学生や労働者向けに賃貸も可能です。

ただし、特定の需要を対象にして賃貸物件を建てると、移転・閉鎖・撤退によって、入居対象者をすべて失ったときに立て直しが効きません。
長期的な展望を予測するのは難しいですが、大学や工場も経営的な判断が必要ですから、それを頼りにするなら、最低でも入学者数の推移や企業業績くらいは把握しておくべきです。

土地活用でもアパマン経営は特にメジャーです。それはそれだけの利点がある(あった)からですが、長期経営ゆえ、これからの時代を踏まえたリスクも知っておいてください。

2.2 戸建賃貸経営

家

戸建住宅は、家族向けでなおかつ比較的長期の住居として利用されるため、田舎暮らしを希望する移住者や、周辺の企業等への転勤者が対象です。

また、実家があるならリフォームをすれば費用が抑えられますが、そもそも田舎の戸建賃貸は、入居者の絶対数が少なく安定しづらいデメリットも持っています。
1戸なので入居者がいなければ収入はまったく入らず、それでも賃貸物件として使うからには管理も必要になるなど、需要の見極めが大切です。

2.3 ペンション、貸し別荘

別荘

群馬県吾妻郡 愛ふる貸別荘 リゾート・ビラ

近隣にレジャー施設、リゾート施設、テーマパーク、スキー場などがあれば、旅行者に貸し出す方法も有効です。

有料で人を宿泊させる施設は旅館業の適用を受けるため、消防署や保健所の検査等をクリアしなければならない面倒さがあります。
なお、Airbnb等を使って短期に宿泊させる民泊も最近話題ですが、一般に行われている民泊は旅館業違反とされているので(2016年時点)、合法化を待つ方が無難でしょう。

2.4 サービス付き高齢者向け住宅

ふくふく荘

大阪府堺市 ふくふく荘

サービス付き高齢者向け住宅とは、いわゆる老人ホームと異なり、高齢者用の賃貸住宅に介護や医療サービスを付加しているので、分類は賃貸住宅の一種です。

静かな田舎は、環境的にサービス付き高齢者向け住宅の需要もあるのですが、付加サービスに対する人材不足やサービス事業者の確保が難しい側面を持っています。
また、個人が行うには規模が大きい事業なので、サービス付き高齢者向け住宅を建てたい企業に、事業用地として貸す方法も考えられます。

一般的な土地活用は立地に左右されますが、「サ高専」は田舎にも需要があり、賃料も高いというメリットがあります。その分のデメリットやリスクもありますが、社会的な必要性から補助金もあるので、それらをまとめて紹介します。

2.5 建てて貸す方法の注意点

遊休地には、原野や雑種地のように、建物を前提としていない土地もあります。
地目が原野や雑種地でも、宅地として利用した過去があり、地目変更していないだけなら問題ないですが、現況でも原野や雑種地なら、すんなり建てられないかもしれません。

建物を建てるには建築基準法の制限を受けますし、建てられたとしても電気・ガス・水道の敷設に膨大な工事を必要とするケースも考えられます。
電気は電線を見れば容易にわかりますが、ガス管・水道管は地中のため、最低でも前面道路にこれらの埋設管が存在するか調べてみましょう。

土地はあくまで保有する資産の1つで、自己使用や現金に切り替える売却も、“資産活用”の1つです。
その上で、一般的に土地活用と呼ばれる賃貸経営を行うのであれば、1つでも多くの可能性を探り、十分検討することが欠かせません。
各社のプランはバラエティ豊かなので、最初はプランを見比べるところから始めるだけでも勉強になるでしょう。
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3. 土地をそのまま貸す方法

土地をそのまま貸すと、所有者は投資がほとんど不要ですぐに収入を得られます。

3.1 事業用地

コンビニ

店舗や事務所など、沿道が有利な事業用地もありますが、比較的場所を問わない工場、サービス付き高齢者向け住宅など、広い敷地を必要として交通の利便性がそれほど問われない用途もあるため、事業展開したい企業があれば需要はあります。

事業用定期借地権は10年から50年までの契約期間で、契約満了後は更地で返還されるため、安心して貸せるメリットもあります。

3.2 駐車場

駐車場

田舎での駐車場需要は低いですが、地域によって格差があるため、土地を借りてでも駐車場が成り立つ地域もあります。

投資をせずに土地を貸して地代を得る方法だけではなく、駐車場は投資が小さいので自分で始めることも可能です。
どちらを選択するのかは、リスクとリターンの大きさで判断すれば良いでしょう。

土地を所有し、その活用を考えた際、月極駐車場は初期費用が少なくて済む分、非常に高い利回りとなります。紹介するのは表面利回りですが、舗装の種類による違いも掲載し、また実質利回りの計算における費用も取り上げました。
駐車場経営は、労力・資金・流動性の面でメリットがある一方、運用効率や節税効果の低さがデメリットで、ローリスクローリターンの土地活用方法です。ただ、リスクがまったくないわけではなく、あえてそちらを重点的に考えてみましょう。

3.3 資材置き場

資材置き場

資材の置き場所に困るほどであれば大きな会社か、または一時的に大きな公共工事が付近で始まった場合にも考えられます。

連結する道路にある程度の幅があれば成り立つのですが、問題はむしろ需要にあり、局所的で一時的な需要をアテにしてしまうと安定しません。
また、借主が現れたとしても、一時使用であることや建物を認めない契約にするなど、法的に気を付けなければならない点もあります。

3.4 太陽光発電

太陽光発電

太陽光発電は長期的な事業計画を必要とし、安定収入を得られる反面、土地を長期間貸し出す契約になり、将来をあらかじめ考えておくことが大切です。

また、田舎では太陽光発電に適した土地が多く、遊休地の活用方法として優れています。
日照が確保できる土地で、送電に問題がなければ収益を得られる手堅い事業でありながら、大きな投資を必要としないので、自分で行う選択肢もあるでしょう。

土地を貸すことは低リスクを優先した活用方法で、中でも太陽光発電は立地が不利でも成り立つメリットがあります。ここではそれ以外に求められる条件などをみてみましょう。

3.5 土地をそのまま貸す方法の注意点

借主がいる前提なら、費用が発生するとしても整地費用(借主負担の場合もある)くらいしかなく、土地をそのまま貸す方法のメリットは投資と手間の少なさです。

ただし、土地を貸すと借主にも法的な権利が発生し、別な活用方法を思いついても容易に切り替えることはできず、土地の流動性が低くなります。
相続があると、相続人に地主としての権利も受け継がれますが、このとき土地を貸していることで、次世代が困らないようにするべきです。

土地を貸すことのメリットデメリットや収入相場はこちらでまとめました。

土地をそのまま貸すことができれば、費用負担を負うことなく収益源を作れる上、場合によっては税金も軽減できます。田舎でもできるパターンと収入例について調査しました。

4. 太陽光発電で利用する方法

土地をそのまま貸す方法でも触れましたが、日照が確保できる土地なら、長期安定収入が見込める太陽光発電は注目される事業モデルです。

買取需要以外の第三者による需要を必要としない点で、他の活用方法とは一線を画しており、条件がそろえば運用できます。

4.1 太陽光発電に必要な条件

太陽光発電の設備は建築物に該当しないので建築基準を満たす必要はなく、ほとんどの遊休地で可能になる事業です。
だからといって無条件とはいかず、次のような条件は必須になります。

  • 日照がある
  • 発電パネル設置用の架台を固定できる地盤がある
  • 電気が通じている
  • 電力会社に買取需要がある
  • 長期間土地を使用しない
  • 1kWあたり30万円程度の設備資金を用意できる

日照は説明の必要もありませんが、発電パネルが受ける風圧の関係である程度は強固な地盤を必要とし、土地によっては地盤改良もあり得ます。
電気が通じているというのは受電と送電の両方の意味で、太陽光発電の設備自体を動かすための受電と、発電した電気を売る送電です。

他にも、電力会社に買取を制限されないことの確認、10年以上は土地を他の用途で利用しない計画性、最もコストがかかる初期投資用の資金が必要とします。

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4.2 太陽光発電では制度の動向にも注意

太陽光発電の固定買取価格制度は、多くの一般消費者と営利企業の興味を引き、以前までの補助金制度も拍車をかけて、普及が急速に進みました。

しかし、毎年買取価格が下がっている現状は、導入コストが下がった結果でもあり、太陽光発電の認知度は制度開始前よりも格段に高くなっています。
また、自然エネルギーは太陽光発電だけではなく、太陽光発電は他の自然エネルギーよりも優遇されていた経緯から、制度是正の検討も始まりました。

既に導入済みの一切を無視して、根底から変えることはないとしても、買取価格の低下は当然ですし、利益が出る前提の買取制度はいつまで続くか定まっていません。

太陽光発電の売電価格については、こちらにもまとめました。

2012年7月に固定価格買取制度がスタートし、太陽光発電は一気に普及が進みました。それに伴って買取価格も年々下がっています。それは周知の事実ですが、ここではこれまでの推移と今後の予想を交えて、売電価格について考察しています。

5. 相続した田舎の空き家は活用できる?

遊休地とは少し違いますが、相続された空き家の活用には注意が必要です。

相続された空き家を人に貸してしまうと、売却する際に、譲渡所得の金額から最高3,000万円までの控除を受けることができなくなります。
これを被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例と言います。

ちなみに、この特例は2019年中に売ることが条件の1つです。
よって、活用するか売却するか悩んで放置しているのであれば、いまのうちに1度売却の査定をしておくのが得策です。(※空き家の売却には、約半年かかると考えておいてください)

そもそも、空き家の場合は人が集まりにくい場所ににあることが多いです。
そうすると、貸したり利用したりすることが難しい場合が多くなります。
ゆえに、売却してしまったほうが良いことが多いです。

相続された空き家は活用することも可能ですが、まずは売却を検討しみてみてください。

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空き家の活用について知りたい方は、こちらも参考にください。

空き家の活用は貸して貸家とするか、売却して他の活用を考えるのが大半ですが、思い通りにいく物件ばかりではありません。そこで今回は、住居以外にした事例や自治体の取り組みも含めた、空き家活用の方法を紹介します。

6. まとめ

遊休地の土地活用は、選択肢は多くても地域における需要や資金調達から、選択できる方法は限られてくるでしょう。
売らない限り手元に残り次世代へと受け継がれていくのが土地なので、出口戦略として将来どうするのか今から計画を立てなければなりません。

不動産として長期的な運用を考えるなら、建物を建てる方法、事業用地として貸す方法、太陽光発電などありますが、土地を自由にできなくなるデメリットを持っています。
流動性をあまり下げず、駐車場や短期の資材置き場として最適な時期を待つのも1つの戦略であり、制度や需要の動向を見誤らないことです。

また、土地の運用だけにこだわらずに現金化することも、土地を資産の1つと捉えた活用方法です。
田舎の土地を売るポイントは別記事でまとめていますので、合わせてどうぞ。

田舎の家や土地は独特の特徴があります。それでも、その独自のコミュニティから近隣住民の需要が考えられ、自治体によっては空き家バンクの利用もできるでしょう。売却のための7つのポイントとともに、紹介します。
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土地活用プラン一括比較

土地はあくまで保有する資産の1つで、自己使用や現金に切り替える売却も、“資産活用”の1つです。
その上で、一般的に土地活用と呼ばれる賃貸経営を行うのであれば、1つでも多くの可能性を探り、十分検討することが欠かせません。
賃貸経営は数十年の長期的な運営となるため、スタートしてからの方向転換は困難で、最初の準備にすべてがかかっていると言っても過言ではないのです。

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