家や土地の売却時にこれだけは知っておきたい5つの注意点

注意点

家や土地は高額で資産になるのですが、手放すのは決断が必要です。
不景気が長く続き、買うよりも売るほうが難しくなってしまった近年では、自分の思っている価格で売れたらとても幸運でしょう。

ここでは、家や土地を売るときに、知っておいたほうがよいことに注目してみました。
不動産売却は失敗が多いと言われているので、今の時点で売るかどうか迷っているなら、読んでおきたい内容をまとめています。

1.物件について

売却対象の家や土地は、商品として市場に流通するわけですから、売主としては自分の商品について理解が不可欠です。
できれば不動産会社任せにせず、自分でも物件の特徴を知っておくと役に立ちます。

現況と登記内容は異なることがある

土地でも家でも、物件の現況と登記内容は異なることがあります。
特に多いのは土地の地積で、地積が異なれば当然に境界も異なってくるため、そのまま売るとほぼ確実にトラブル含みです。

正確な地積は測量しなければわからないので、とりあえず法務局で地図(公図)を取ってみると、隣地との境界や土地の形状を確認できます。
明らかに現況と違わないか、あらかじめ確認しておくべきでしょう。

また、家の場合は登記されていない増築があると、現況と登記内容は変わります。
表題部変更登記には義務があるため、登記していないと法令違反ですが、それ以前に買主から登記を求められるはずです。

その理由は、増築部分が登記されていないと買主が融資を受けられないからで、現況と登記内容が異なる状況は、正しておかないと後で面倒になります。

購入時と法律が変わっている場合も

建築物の法律である建築基準法は、歴史的に何度も改正が行われており、その度に建築基準も変わっていきます。
しかし、法律の施行前から建っていた建物にまで現行基準を適用するのは、あまりにも負担が大きく、建築当時に適法であれば、現行法でも適法とされる運用です。

その結果、日本中の至るところで、基準の異なる建物が存在するようになり、現状を維持している限りは問題になりませんが、一度建物を取り壊してしまうと、もはや現行基準でしか建物を建てられなくなります。

現行基準を適用すると建てられない土地、建てられるとしても以前より小さな建物しか建てられないケースもあるため、自分の土地が現行法でどのような扱いになるか、売る前に確認しておきたいところです。

そのままで売れるとは限らない

土地の境界については、測量して境界確定するべきですが、古い家の場合でもリフォームや解体して売ることを、不動産会社から勧められるかもしれません。
リフォームや解体は、してもしなくてもよいため迷うでしょう。

キレイな家や、更地のほうが売れやすいのは確実でも、リフォームや解体には費用がかかり、その費用の分だけ高く買ってもらえるなら、それほど抵抗はないはずです。
ところが、手を加えて高くした結果、売れない場合には困ってしまいます。

買主が手を加えた物件を欲しがるのか、買主が自分で手を加えたいのか、事前に知ることは不可能なので、リスク回避で考えると買主に任せたほうがメリットは大きいです。
リフォームや解体はせずに、その費用の半分でも値引きすると喜ばれるでしょう。

抵当権が付いている場合はローンの完済が原則

家や土地を売るときの1つの目標が、ローンを完済できる金額で売ることです。
それ以前に、売却代金に自己資金を加えてでもローンを支払うことができないと、原則として不動産を売ることはできません。

ローンが残っていると、家や土地には抵当権という権利が設定されています。
この抵当権は、ローンを借りた金融機関がローンの保証としている権利で、ローンの滞納が続くと、抵当権によって家や土地が差し押さえられます。

抵当権を残したまま(ローンを残したまま)で家や土地を売ろうとしても、買主は差し押さえられる危険がある物件を買おうとしないでしょう。
売却代金のすべてが手元には残らないので、ローンを完済できる資金計画が大切です。

2.売却価格について

家や土地を売るときに一番気になるのは、やはり売却価格です。
最低でもローンが払える価格で売りたい、できればプラスにしたいというのは、売主なら誰でも思うことですが、現実はそれほど甘くはありません。

査定価格は売れる価格ではない

家や土地を売るときには、不動産会社に売却査定を依頼することになります。

しかしながら、仲介を前提とした査定価格は不動産会社が考える「売れそうな」価格であって、実際に売れる価格ではなく、そのつもりでいないと残念な結果になります。
しかも、この場合の「売れそうな」とは、本当に売れそうな価格ならまだしも、売れそうだと思わせて、媒介契約を誘うための営業的な価格かもしれません。

本当に売れそうな価格なら、相場的な価格になって市場の反応もあるのですが、営業的な価格に引っかかると、高すぎて反応がなく売れ残ります。
査定価格は売却を保証する価格ではないので、勘違いしないようにしましょう。

それでも、査定価格はどのくらいで売れそうか目安になる価格であり、相場を把握しておくためにも査定は必要なプロセスなのです。
一括査定において、明らかに高すぎる・安すぎる査定価格を省いて考えるのも有効でしょう。

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早くと高くが両立できるケースは極わずか

不動産市場における「早く売れる」と「高く売れる」は、相反する関係にあります。
安いものから早く売れていくのは、不動産でも別な商品でも同じです。

土地は地価の変動がなければ、それほど価格が変わることはなくても、家には経年劣化があるため、売るのが遅いほど安くなります。
ということは、早く売ると値下がり前に売れることになって、一応は高く売れます。

しかし、普通に考える「高く」とは、家や土地の持つ価値よりも高い価格で売れて、いわゆる「儲かる」ことを意味するでしょう。
そのような状況は、非常に人気が高い地域を除き、今ではほとんど考えられません。

相場価格を基準にすると、価格を高くすれば売れにくくなり、安くすれば売れやすくなりますから、どうしても欲しいと言い出す人が現れない限り、早く高くは難しいです。

仲介と買取

不動産の売却には、仲介と買取があって、仲介は不動産会社に買主を探してもらい、成約すると手数料(仲介手数料)を支払う売却方法です。
買取は不動産会社に買い取ってもらうので、仲介とは異なり手数料はありません。

手数料だけでは、買取のほうが有利なように思えますが、仲介で売る価格を市場価格とすると、買取価格はその6割程度が相場と言われ、価格面では仲介が有利です。
ところが、仲介は買主がいなければ、いつまでも売れないリスクを伴います。

売却に期限がないときは、仲介で長期間売り出すこともできるのですが、事情によっては期限が決まっていることもあります。
そのような場合は、価格を犠牲にして買取を利用する選択肢もあります。

また、仲介と買取のメリットを両方生かすため、組み合わせることも可能です。
例えば、最初は仲介で売り出し、徐々に価格を下げながら、数ヶ月間売れなかったら買い取ってもらう方法で、このような売却方法は買取保証と呼ばれます。

3.売却にかかる費用について

買主が支払う売却代金は、当然に売主の収入になるものですが、売却には費用がかかり、残るお金は減るので、収支の把握が必要です。
費用で大きいのは仲介手数料で、その他にもケースに応じて費用がかかってきます。

仲介手数料は法律で決まっている

不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料は、宅地建物取引業法(宅建業法)で定められており、その上限も決められています。
売却価格によって異なる仲介手数料になりますが、以下の速算式が便利です。

仲介手数料の速算式

仲介手数料=売却価格×3%+6万円(消費税別)
※売却価格が400万円を超える場合

勘違いしやすいのは、売れなくても不動産会社に支払いが発生するかどうかで、通常の営業行為としての広告費等は、不動産会社の負担で行います。
売主が独自に高額な広告を依頼するなど、売主の承諾において行う特別な営業行為については、実費請求が認められています。

そのため、原則的に仲介手数料以外に不動産会社に支払う費用はありません。
また、売買契約が成立しなければ、仲介手数料を請求できない決まりです。

税金は売却益があると高額になる

家や土地を売るときの税金は、売却益(譲渡所得といいます)が出ると高い税率で課税されるので、売却価格次第で大きく変わります。
他の税金は、費用全体としては小さいもので、気にするほどではないでしょう。

印紙税

必ず納付する税金で、売買契約書に貼りつける収入印紙で納付します。
契約金額(売却価格)で金額は変わりますが、高くても数万円です。

登録免許税

登記で発生する税金で、所有権移転の登記費用は、買主負担が通例です。
そのため、売主が登録免許税を負担するケースは、ローンがあって抵当権が設定されているときと、登記簿上の住所が現住所と異なる場合です。

抵当権抹消登記:不動産1つにつき1,000円
住所変更登記:不動産1つにつき1,000円

また、税金とは異なる費用ですが、上記の登記は司法書士に依頼するので、司法書士報酬で最低1万円程度かかります。

譲渡所得税

税金で高額になるとすれば、売却で利益が出た場合の譲渡所得税です。
売却益には譲渡所得税(所得税と住民税)が課税され、不動産の所有期間が5年以内と5年超に応じて税率が異なります。

所有期間5年以内:所得税30%、住民税9%
所有期間5年超:所得税15%、住民税5%(6,000万円までは軽減あり)

現在の不動産事情では、売却益の出る売却は考えにくく、譲渡所得税を心配する必要はないのですが、不動産の取得費(購入金額から購入費用を引いた額)が不明なときは、売却価格の5%を取得費とするので、大半が売却益になってしまいます。

自分で購入した家や土地なら、契約書などで取得費は判明しても、相続した場合に取得費不明になることが多く、売却益も多くなって譲渡所得税が高額になりがちです。
譲渡所得税は、家や土地を売却した翌年の確定申告で納付します。

場合によっては高額な費用が発生

家や土地を売るためには、売れる状態にするための費用がかかることもあります。
現状渡し(そのままの状態で引き渡すこと)ができれば一番よいのですが、手を加えたほうが売れやすくなる場合や、買主の要望でも変わってきます。

家の場合

仮に現状渡しでも、礼儀として掃除くらいは自分でするとはいえ、傷や汚れが目立って、内覧時に印象が悪くなる程度になると、ハウスクリーニングを必要とします。
リフォームして綺麗にすることもありますし、リノベーションをして大がかりに手を加え、付加価値を高めて売る場合もあるでしょう。

費用が高額になると、売却価格に上乗せして売るのですが、必ずしも市場の反応がよくなるとは限らず、自腹で手を加えることもあります。
また、古すぎて家の価値がまったくないときは、解体して土地を売る方法もよく使われます。

土地の場合

一般的に、土地はそのまま売ることができると思いがちですが、測量をして売らなくてはならないケースが2つあります。
1つは、現状の地積(土地の面積)が、登記簿上の地積と異なるときで、売買は登記簿上の地積を基準にされるので、実測の地積が広くても狭くても問題が起こります。

登記簿上の地積<実測の地積:売主が実際より狭い土地として安く売ることになる
登記簿上の地積>実測の地積:買主が実際より広い土地として高く買うことになる

もう1つは境界が不明瞭なときで、境界トラブルは誰でも嫌うため、土地(建物があっても)を売るときに境界確定は必須の作業です。
その際は、測量図を元に隣地の所有者と協議するため、測量が必要となるのです。

測量や境界確定は、土地家屋調査士に依頼するのですが、費用は数十万円かかるのが普通で、代々受け継がれたような土地ほど、境界確定にも時間がかかります。

4.不動産会社について

不動産会社に売りたい家や土地を広告してもらい、購入希望者を仲介してもらうための契約を、媒介契約と呼びます。
知り合いに売る場合を除くと、自分で広く購入希望者を探すのは難しいので、不動産会社との媒介契約は避けて通ることができません。

媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類あって、専属専任媒介が最も契約に拘束され、一般媒介が拘束の緩い契約です。

複数契約 定期報告 契約期間 直接取引
専属専任媒介契約 できない あり 3ヶ月 できない
専任媒介契約 できない あり 3ヶ月 できる
一般媒介契約 できる 規定なし 規定なし できる

どの媒介契約にするか悩むのですが、大抵は専属専任媒介か専任媒介でしょう。
複数の不動産会社と契約する一般媒介は、不動産会社を信頼できないときや、不動産会社同士で競合させたいときに利用されます。

専属専任媒介と専任媒介は担当者次第

1社の不動産会社に仲介を任せてしまう専属専任媒介と専任媒介は、やる気のない担当者にあたってしまうと、積極的な営業が期待できず売り遅れてしまいます。
とはいえ、不動産会社の営業活動までは、売主が詳しく知ることはできません。

しかし、専属専任媒介は1週間に1回、専任媒介なら2週間に1回の定期報告が義務付けられており、報告期間に行った営業活動や問い合わせの有無を知ることは可能です。
いつまでも市場から反応がない場合は、対策を考えるよい機会になるでしょう。

不動産会社や担当者に信用が置けないなら、そもそも契約を解除して別な不動産会社と契約するべきですが、不動産会社を変えずに一般媒介に変更して、他の不動産会社と契約するのも1つの方法です。

大手不動産会社がよいとは限らない

最初に媒介契約を結ぶ不動産会社は、知名度が高い大手不動産会社になりがちです。
実績が豊富であることは、同時に抱えている顧客も多く、ノウハウも蓄積されているので、信用できる大手不動産会社があるのも確かです。

ただし、不動産の仲介業界では、売主と買主の両方を1つの不動産会社が仲介する、「両手取引」と呼ばれる取引を目指したいのが不動産会社の本音です。
両手取引では、売主からも買主からも仲介手数料が得られるため、1つの物件で2倍の手数料を得られる両手取引は、不動産会社にとって「おいしい」からです。

両手取引に法的な問題はありませんが、問題とされているのは、意図的に両手取引を目指して、他社からの問い合わせを遮断する「囲い込み」と呼ばれる営業があることです。
囲い込みをされると、依頼した不動産会社が買主を見つけない限り売れません。

囲い込みは、早く売りたい売主の意向を完全に無視して、自社の利益のために不動産会社が勝手にする行為で、次のような方法が使われます。
大手不動産会社ほど扱う物件数が多く、囲い込みの割合も高いと言われています。

レインズに登録しない・登録を削除

専属専任媒介と専任媒介には、不動産会社だけが閲覧可能な、レインズという全国的な業界データベースへの登録義務があります。
登録しない不動産会社は、法令違反になってしまうので、登録しない場合は問題外ですが、登録したとしても削除することは可能です。

レインズに登録すると登録証明書が発行されるので、不動産会社から登録証明書を受け取った記憶があるのではないでしょうか。
しかし、裏で削除されていても知らされないので、本当にレインズで全国に情報が広がっているかどうかは定かではありません。

商談中にして対応しない

レインズに登録していても、他社からの問い合わせに対して、商談中を理由に依頼した不動産会社が対応しないケースです。
もちろん、実際には商談など行われておらず、両手取引を実現するための方便です。

これは以前から問題になっていて、いわゆる紹介拒否なので、レインズ側でも禁止規定を設けるなどして対応してきました。
しかしながら実効性に乏しく、都合の良い断り文句として、現在でも横行しています。

他社の広告を不可にする

レインズには登録しても、他社の広告を制限することは可能です。
建前としては、売主が近所に知られたくないなど事情がある物件に対応するためです。

しかし、レインズは不動産会社しか見ることができないため、広告不可になると、不動産会社が抱える顧客程度にしか拡散されません。
必然的に、それだけ売れにくいという結果を生み出します。

広告不可には、紙媒体を不可にする、インターネットでの掲載を不可にする、不動産会社の自社サイトだけ許可し、ポータルサイトは不可にするなど種類があります。
いずれであっても、売却を依頼した不動産会社の都合で広告が制限されているだけです。

5.その他の注意点

これまで説明した以外にも、家や土地を売るときには多くの注意点があります。
ケースバイケースの注意点をすべて説明するのは難しいですが、普通は起こりにくい事態も想定しておくべきです。

契約破棄にはお金がかかる

無事買主が見つかり売買契約を結ぶと、買主から10%前後の手付金が支払われます。
物件の引き渡しまで何もなければ、手付金は売却代金の一部として扱われ、決済時は残金の精算になるだけです。

しかし、途中で事情が変わり、売主から契約を解除したいときは、買主から受け取った手付金を返すだけではなく、さらに同じ金額を買主に支払います。
もし買主都合で契約が解除される場合は、買主が支払い済みの手付金を放棄するので、どちらの都合で契約を解除しても、手付金を損することになります。

買主がローン審査に落ちると白紙解除になる

不動産は高額なので、買主はローンを利用して購入資金を用意するのが普通です。
ローンの利用自体は問題にならないのですが、ローンの審査には売買契約書を必要とする性質上、先に審査を受けてから売買契約することができません。

そのため、売買契約後にローンの審査に落ちてしまった場合、買主が支払いをできなくなってしまう可能性が残ります。
ローンの審査に落ちた買主に対し、契約どおり代金の支払いを請求するのは、あまりにも酷ですし、現実として支払いができないでしょう。

このようなケースに備えるため、不動産の売買契約では、ローンの審査に落ちたら契約を白紙解除できる「ローン特約」と呼ばれる特約を付けておきます。
ローン特約の存在は、売主にとって何のメリットもないですが、ローンを利用したい買主は、ローン特約を付けないと売買契約を結んでくれないので仕方がありません。

瑕疵担保責任がある

瑕疵担保責任とは、売主が知り得なかった物件の不具合(瑕疵)について、買主に物件を引き渡した後も、瑕疵に対して責任を負うことです。
民法上は、買主が瑕疵を知ってから1年間は、売主の責任を追及することができます。

しかしながら、長期間経過した後でも売主が瑕疵担保責任を負うのは、不利益が大きすぎる点を踏まえて、一般には瑕疵担保責任の期間を売買契約で定めます。
期間は買主との協議次第で、通常は数ヶ月から1年程度でしょう。

なお、瑕疵担保責任の期間を定めても、売主が知りながら隠していた瑕疵は、期間経過後も責任を免れることはできず、売主は誠実に買主へ瑕疵を伝える必要があります。

まとめ

家や土地は、買うときにも費用や税金がかかり、売るときにも費用や税金がかかるので、物件の価格以上にお金がかかる存在です。
金額が大きいだけに、甘く考えていると重大なトラブルを引き起こします。

費用の問題以外にも、査定から不動産会社の選定、法律的な問題、契約関係の決まりごとなど、覚えておきたい知識はとても多いです。
ところが、人生に何度も家や土地を売る人は少ないので、慣れるものではありません。

うまくいかない事例も多い不動産の売却ですが、すべてを不動産会社任せにせず、トラブルに巻き込まれないように自分でも知識を蓄えておきましょう。

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