公示地価とは?基準地価や路線価との違いと合わせて解説

公示地価
土地には4つの価格があるとされ、公示価格はその1つです。
名前はともかく、毎年新聞やテレビで発表される地価やその変動のニュースでなじみ深いもので、他の土地価格の参考値にもなっています。

ここでは公示価格の内容や特徴を詳しく説明します。
単純に価格の参考にしたい場合は、こちらをご覧ください。

土地価格の相場や評価額を調べる5つの方法
土地価格を知る方法はいくつかあり、多くは無料で利用できます。それはそれぞれに必要性があるからですが、どれを選べばいいのか?各特徴と利用方法をまとめました。

公示地価とは

公示地価とは、国土交通省が全国に定めた地点(標準地といいます)を対象に、毎年1月1日時点の価格を公示するもので、平成28年は25,270地点が対象になっています。
土地の取引価格は公示地価に拘束されませんが、1つの重要な指標として存在します。

公示地価は標準地を1㎡あたりの価格で表し、その性質は、特別な事情がない場合の適正な取引価格(と見込まれる価格)です。
したがって、水準となる価格ではあっても、最高値や最安値を示す価格ではありません。

標準地はどのように決まるか?

標準地の選定は、国土交通省の土地鑑定委員会によって行われます。
その基準は、例えば住宅地や商業地のように、同じ用途で使われる一団の土地から、利用状況や環境、地積や形状を考慮して、標準的だと考えられる土地です。

標準地の地価は、周辺の類似する土地の水準となり、代表する性質があるため、突出した性質を持った土地は、標準地から除外されます。
例えば、極端に小さい土地や、極端に不整形な土地を標準地に選定してしまうと、周辺の土地を評価する際に参考にできません。

また、標準地が標準的であるかどうかは毎年チェックされ、標準地として不適正になった場合は、標準地が新たに選ばれます。

公示地価には公示区域がある

公示地価は全国の隅々まで公示されておらず、標準地の選定は限定的です。
地価が公示される区域のことを公示区域と呼び、公示区域には法律上の定義があります。

  • 都市計画区域
  • その他の土地取引が相当程度見込まれる区域

都市計画区域は都道府県が指定し、必ずしも市町村の行政区域とは一致していません。
一帯の都市を形成する区域であれば、複数市町村が含まれることもありますし、市街地以外の周辺地域も当然含まれます。

価格はどうやって決まるか?

公示地価を判定するのは、標準地と同じく土地鑑定委員会ですが、その過程においては2人以上の不動産鑑定士が介在します。
ただし、法律上は2人以上でも、実際には2人で行われています。

2人の不動産鑑定士が鑑定評価を行い、その結果を土地鑑定委員会が審査・調整して、最終的な正常価格として公示される仕組みです。
そして、公示地価は単に2つの鑑定評価を平均したものではありません。

重要なのは正常価格という概念で、不動産鑑定士の鑑定評価も正常価格を求めるために行われるのですが、一般にはあまり馴染みのない言葉でしょう。

正常価格は客観的に妥当な価格

例えば、今持っている土地を誰かに売るとして、まったくの他人に売る場合と、いつも世話になっている人に売るのでは、後者の場合に少し安くするのではないでしょうか?
もちろん、どのような価格で売ろうと、所有者の自由であるのは確かです。

一方で公示地価を判定するときは、土地の価値が低いから安く売るのではなく、事情があって安く売った売却価格は、土地の価値を対価に金銭で取引される前提において、「正常ではない価格」ということになります。

しかし、不特定多数が参加する市場で、売り手にも買い手にも特別な事情がない状況下では、自由な取引がされる結果、妥当な価格で成立すると考えられます。
このような価格は、土地の客観的な市場価値を表し、正常価格とされます。

公示地価は、その価格が多方面の指標となるべきもので、正常価格を表示しないと、誤った指標を国が提供することになりますから、2人の不動産鑑定士から得られた鑑定評価(正常価格)を、さらに土地鑑定委員会で精査することで正常価格を求めています。

公示地価は誰が利用しているか?

一般に公表されている地価なので、個人・法人問わず、誰でも利用できますし、公示地価を使って何かの水準とすることにも制限はありません。
むしろ、公示地価は基準・規準とされる想定で公表されています。

例えば、個人が土地の価格を知りたいときに、目安として使うこともあるでしょう。
同様に不動産会社が、顧客の所有地の価格を聞かれて、公示地価に周辺の環境と取引事例など加味して、金額を提示しているケースもあるはずです。

また、売買関係ではなくても、一般企業が自ら保有する資産を大まかに把握するため、公示地価を使って自社所有の土地を評価することも考えられます。
もっとも、企業の場合には個人と違ってアバウトな数字が許されない状況もあるため、その場合は不動産鑑定士に鑑定依頼します。

このように、客観的な指標として公示地価の価値は高く、公示地価がないとすれば、不当に高い・安い土地の取引を誘発するおそれがあります。

公共事業でも公示地価を利用する

国や自治体が公共事業に用地取得(土地収用)を必要とすれば、地権者に対して土地の買い取り(正確には地権者が失う権利の補償)が打診されます。
よくあるパターンでは、道路の拡張に伴う後退や移転などが該当します。

用地取得の補償金は、地権者との交渉が入るとはいえ、もめても強制収用なので金額が変わることはなく、公示区域では公示地価を規準とします。
そのため、用地取得予算の概算見積もりや、地権者に補償額を提示する段階では、その根拠として公示地価が使われるというわけです。

税金にも公示地価が関係してくる

土地には毎年固定資産税が課税され、相続が発生すると相続税も課税されます。
これらの税金は、土地の評価が高いほど高額になる特徴から、対象の土地を適正に評価する必要があり、市街地では公示地価をベースとした路線価を用います。

税金は公平性が強く求められ、公示地価をベースとした路線価から算出することで、その公平性が保たれていると言えます。
(固定資産税と相続税の路線価については後述しています)

類似の呼び方について

公示地価と同じように使われる言葉として、地価公示や地価公示価格があります。
地価公示とは、文字どおり地価を公示する(広く公に発表する)行為のことを、地価公示価格とは、その公示された価格なので、意味するところに大きな違いはありません。

「公示」されていることが大切で、後述する基準地価も、公の機関である都道府県が公表していますが、一般に地価の場合には、国が公示している地価に対して公示地価という言葉が使われます。

公示地価の例

公示地価は、国土交通省のWebシステムを利用してかんたんに参照できます。

国土交通省|標準地・基準地検索システム

トップページから都道府県を選び、続いて地域を選ぶと、検索条件を設定する画面に移行するので、「対象」で地価公示を選びます。
その他の検索条件は、調べたい土地に応じて設定してください。

例として、東京都中央区の公示地価を表示すると次の画像になります。

公示地価

価格や地積、その土地がどのように利用されているか、前面道路、最寄りの公共交通、土地の形状、ライフライン等の情報も載っているので、所有者情報以外はほとんど必要な情報を得ることができるでしょう。

所在及び地番、もしくは住居表示で場所のイメージが湧かないときは、所在及び地番の表記に「地図で確認する」というリンクがあるので、クリックすると同じく国土交通省の土地総合情報システムが開き、地図上で確認できます。

また、このシステムの優れているところは、不動産鑑定士による鑑定評価書が閲覧できる点で、前述の通り地価公示は2人の不動産鑑定士を使いますから鑑定評価書も2枚です。
鑑定評価と実際の公示地価が微妙に異なっているのが分かるはずです。

公示地価と基準地価

国の公示地価と似たような位置付けの地価に、都道府県の基準地価があり、毎年7月1日時点の地価が9月頃に公表されます。
公示地価と公表時期が異なるため、公示地価を補完する形になり、参照時期によっては、公示地価よりも最近の動向を反映していることになります。

基準地価は都道府県価格調査とも呼ばれ、どちらでも通用しますが、基準地価と呼ばれるのは、公示地価でいうところの標準地に該当する基準地を、都道府県が別途定めることに由来します(公示地価の標準地と重複する地点もあります)。

なお、基準地価には公示地価と同様に、公的な地価の指標となることを期待する他にも、公示地価の公示区域外において、地価を表示している点が大きく、公示区域外の地価を知りたいときには、基準地価が重要な指標です。

基準地の選定と価格判定

基準地価の基準地は、類似の利用価値がある地域から、利用状況や環境等が通常と認められる土地が選ばれます。
この考え方は、公示地価における標準地の選定と変わりません。

基準地の価格においても、不動産鑑定士の鑑定評価を調整して判定されるため、こちらも公示地価を決めるプロセスとおおむね同じですし、基準地が公示区域にあるときは、公示地価を規準として基準地価が判定されます。

ただし、公示地価では不動産鑑定士2人の鑑定評価を要するのに対し、基準地価では1人の鑑定評価で足りる点で異なり、根拠法も公示地価が地価公示法、基準地価が国土利用計画法という違いがあります。

公示地価 基準地価
根拠法 地価公示法 国土利用計画法
調査主体 国(国土交通省土地鑑定委員会) 都道府県
調査方法 1地点につき不動産鑑定士2名以上による鑑定評価 1地点につき不動産鑑定士1名以上による鑑定評価
評価時点 毎年1月1日時点 毎年7月1日時点
公表時期 毎年3月頃 毎年9月頃
調査地域 都市計画区域とその他土地取引が見込まれる区域 都市計画区域外を含む全域
調査地点 標準地:25,270地点 基準地:21,675地点

公示地価と路線価との関係

市街地的形態(市街地や市街地とまで言えなくても近い形態)の道路には、接する土地の税額算出で使われる路線価という評価額が存在します。
土地の価値は立地に影響を受け、道路の存在はその利便性に影響する大きな要因であるため、道路に1㎡あたりの価格を設定して、その道路に接する土地を評価するものです。

路線価には相続税路線価固定資産税路線価があり、相続税は国税なので路線価は国税局(税務署)が、固定資産税は地方税なので路線価は市町村が決定します。

相続税路線価

毎年1月1日時点の価格が、おおむね7月に国税庁から公表されます。
相続税路線価においても標準地を定めますが、標準地の選定は公示地価や基準地価の調査地点以外にも独自に定められます。

相続税路線価の決定には、売買実例、公示地価、不動産鑑定士の鑑定評価額、精通者意見等をベースとし、公示地価と同じ標準地なら基本的に公示地価と同一です。
そして、相続税路線価は公示地価の8割程度を水準に決められています。

相続税路線価が公示地価の8割程度なのは、価格決定が1月1日時点であることにも関係しており、相続税路線価は1年間変わりません。
しかし、相続はいつ起こるかわからないので、相続発生時点の土地の評価を、1月1日時点の相続税路線価で評価することになってしまいます。

この状況は、年の途中で地価が大きく下落した場合、相続発生時点の時価評価に比べて、相続税路線価による評価の方が高くなってしまう危険を伴います。
そこで、8割程度の水準に下げて地価変動を吸収し、安全性を確保しています。

固定資産税路線価

3年に1回、1月1日時点の価格が、4月頃に市町村から公表されます。
3年に1回となっているのは、固定資産税の評価替え(価格を見直して適正に変更すること)が3年ごとに行われるからです。

固定資産税路線価は、主要な道路に接する標準宅地(奥行、間口、形状などが標準的であるとみなされる宅地)を定め、標準宅地の価格に応じた路線価が設定されます。
その他の道路では、主要な道路の路線価に準じて設定されていきます。

本来であれば、標準宅地の価格は売買事例から適正価格を求めるのですが、当面の経過措置として、公示地価や鑑定評価の7割を目処とすることになりました。
不動産鑑定士の鑑定評価は、公示地価を規準としなければならないと法律で定められており、鑑定評価を使っても実質的には公示地価と同等の価格です。

この経過措置は、市町村で異なる基準だった固定資産税評価から、公示地価を基準に用いることで、全国的に均衡化される結果をもたらし税の公平性に寄与しています。

また、相続税路線価が公示地価の8割程度であるように、固定資産税路線価が公示地価の7割程度になっているのは相続税路線価と同じ理由で、土地の価格が下落しても、固定資産税路線価が時価より低い状態を維持するためです。

ただし、相続税路線価は毎年更新されるのに対し、固定資産税路線価の変更は原則3年ごとなので、3年間の変動を考慮して7割程度にしています。

路線価が同じでも土地の価値は異なる

路線価の存在は、税金以外にも土地の価格を調べる方法の1つとして有用です。
ごく一部の例外を除き、同じ道路なら路線価は同じになり、同じ道路に接する隣同士の土地や、向かいあった土地は同じ路線価で評価されます。

しかしながら、同じ道路に接する土地でも、向かいあった土地は間口の方角が正反対、接する道路の車線方向が正反対にもかかわらず、路線価では同じ評価になるのですから、単純に路線価が同じ=同じ価値の土地とはなりません。

例えば、店舗を出店するとして、郊外に向かう車線と、市街地に向かう車線でマーケティング上の評価に差が生まれて当然ですし、住宅なら道路に南向きで接するか、北向きで接するかは、日照に関わる大きな違いです。

こうした違いは、路線価上には表れなくても、取引価格(実勢価格)で吸収されていくので、路線価だけを頼りに土地を評価しないように注意しましょう。

まとめ

公示地価は、標準地の周辺を代表している価格なので、本来の土地取引は公示地価に近づいていくのが理想なのかもしれません。
しかし、不動産市場は流動的で、需給バランスや社会情勢、局所的な地域事情によっても変動する実勢価格は、公示地価とまったく違うものです。

公示地価で示される価格は、正常な価格だとされますが、この場合の正常とは、公示地価と外れた価格を異常だと言っているのではなく、通常は成立すると考えられる価格ですから、自由取引を制限するものではないのです。

したがって、公示地価に捉われて実勢価格を軽視するのも、公示地価と実勢価格を比較して、高い方(または安い方)を正しい地価だと思ってしまうのも間違いです。
公示地価が仮の定価だとしても、買いたい人が多ければ価格は上がり、誰も欲しがらなければ価格を下げるしかありません。

それでも、実勢価格を掴めないなど情報が欲しい場合、公示地価が国から公表されていることは、消費者にとって大きな助けになるはずです。
土地の価格は難しいですが、公示地価を鵜呑みせずに1つの指標として捉え、地域差を調べてみるなど、有用な方法で使っていきましょう。

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