空き家の維持費は年間いくら?具体的な計算方法とシミュレーション

維持費
相続などで空き家の所有者になったけれども、実際に住むこともなく、かと言って手放すこともできず持ち続ける人が多くいます。
実際に日本の空き家数は増え続けており、現在800万件以上です。
しかし、空き家を使わず保有しているだけでも実はかなりの維持管理費がかかっています。
以下、具体的な計算を行いながら空き家の維持にかかる費用は年間いくら位なのかを見ていきます。

1. 空き家の維持費の目安は年間48万円以上

最初に例を出して金額をシミュレーションしてみましょう。
結論からお伝えすると、例えば以下の条件を満たす空き家の年間の維持費は約50万円(48.9万円)です
具体的に見ていきましょう。

シミュレーションする空き家の基本状況

  • 固定資産税評価額は、土地:2,000万円、建物:1,000万円
  • 水道と電気の基本契約(管理の際に利用)
  • 一般的な火災保険、地震保険に加入
  • 月々の空き家管理を外部専門業者に毎月5,000円で委託

もちろん空き家や土地の状況や、管理度合いで維持費は変化します。
以下、更に具体的に見ていきましょう。

1.1 空き家の維持にかかる費用項目

まず、空き家の維持にかかる費用としては主に以下のようなものがあります。

空き家の維持にかかる主な費用項目
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 水道光熱費
  • 保険料(火災保険、地震保険等)
  • (マンションの場合)管理費・修繕積立金
  • 管理費

なお、維持費ではありませんが、年数が経つほど空き家は古くなり、市場での価値は低くなっていきます。毎年資産価値は低くなっていくので、これも広義の維持費とすることができます。
ただし、この記事ではあくまで実際の金銭的な出費を伴うものを維持費として解説しています。

1.2 具体的な空き家の年間維持費シミュレーションとグラフ

先程の条件の空き家を保有しているとして実際に維持費の概算を出してみましょう。

結論としては条件に合う空き家の概算の維持費は毎年48.9万円になります。
グラフとしては以下の通りです。
空き家の維持にかかる年間費用の棒グラフ

内訳と計算式(計算方法)を記載すると以下の通りです。

空き家の維持費の計算結果
費用項目計算式金額(万円)
固定資産税(土地)2000万円 × 1/6 ×1.4%4.7
固定資産税(建物)1000万円 ×1.4%14.0
都市計画税(土地)2000万円 × 1/3 ×0.3%2.0
都市計画税(建物)1000万円 ×0.3%3.0
水道料金1700円 × 12ヶ月2.04
電気料金1000円 × 12ヶ月1.2
火災保険12万円12
地震保険4万円4
管理委託料5000円 × 12ヶ月6
合計48.9

では、具体的な項目を1つずつ解説していきましょう。

2. 固定資産税と都市計画税

固定資産税は不動産を所有している限り負担が続く税金で、空き家でも居住していても変わらず課税されます。
都市計画税については、固定資産税とは別に、市街化区域で課税される税金です。

2.1 固定資産税と都市計画税はそれぞれいくら?

自分の空き家の固定資産税評価額と税額は固定資産税納税通知書に記載があります。
納税通知書には、固定資産税課税明細書が添付されているので、手元にあれば確認が可能です。

<固定資産税課税通知書のサンプル>
固定資産税納税通知書のサンプル
通知書がなくても固定資産税評価額がわかれば、以下のように計算可能です。

空き家の固定資産税・都市計画税の計算方法

  • 固定資産税の計算方法:固定資産税評価額×1.4%
  • 都市計画税の計算方法:固定資産税評価額×0.3%
  • ※空き家がある土地は特例により固定資産税が最大1/6に、都市計画税が最大1/3になります

2.2 固定資産税率が6倍になる、特定空き家の指定に注意

空き家問題の増加を踏まえて、空き家対策特別措置法が制定されました。
法律内には、特に管理に問題があったり、周囲に悪影響がある空き家だと見なされると「特定空き家」に指定されます。
特定空き家に指定された場合、土地の税金が割安になる住宅用地の特例が解除され、固定資産税率が6倍になってしまうこともあるので注意して下さい。

空き家対策特別措置法についてはこちらの記事に、

平成27年5月26日、空き家対策特別措置法が完全施行されました。これは誰が対象で、どういった効果や固定資産税などへの影響があるのか?噛み砕いて解説してみます。

税金が6倍になってしまうことの対策も含めた、空き家の税金に関する情報は以下の記事に記載しています。

空き家を所持すると、どのくらいの税金がかかるのでしょうか。売却という手段もありますが、人によっては所持し続けたいと思う人もいるかもしれません。しかし、放置し続けるとペナルティの原因にも。そのため、空き家にかかる税金について把握しましょう。

3. 水道光熱費や保険料

空き家の場合は水道や電気はほとんど使いませんが、利用がなくても基本料金の支払いは必要です。
同様に保険料も払い続けるケースが大半です。

3.1 電気代

電気は契約している限りは、少額でも必ず基本料金がかかります
従量電灯の基本料金は、電力使用量が0なら半額です。
但し、管理などを行う場合には電気を使うことが多いですので、利用料0にはならないケースも多々あります。

電気料金の目安

東京電力の従量電灯Bを例にすると、契約アンペア数に応じて基本料金が決まります。
標準的には、月額1,000円前後になる場合が多いです。

電気料金について更に詳細に見る
東京電力の電気基本料金
契約アンペア基本料金
10A280円80銭
15A421円20銭
20A561円60銭
30A842円40銭
40A1,123円20銭
50A1,404円00銭
60A1,684円80銭

一般には30A~50A程度が多い契約です。

なお、基本的な電気料金の契約期間は1年です。途中期間での解約は難しいほか、細かく契約を解除したり、再開したりすることはできません。

3.2 上下水道代

空き家といえども水を全く通さないと水道管に錆が生じ、老朽化の原因になります。
また、水が流れていない水道管からは悪臭が発生し、周囲への影響も懸念されます。
現実的には空き家の場合も水道は契約し続けることになるでしょう。

水道料金は、一般的には上下水道合わせて月額1,600円程度が標準です。

なお、上下水道は自治体の水道局が運営しており、料金体系はある程度共通していますが、料金は自治体によって変わります。
そのため、正確な料金は水道局のホームページで確認してください。

上下水道の水道料金

上下水道の料金体系は、呼び径(道路の排水管から引き込んだ給水管の口径)で決まる基本料金と、使用量によって決まる従量料金を採用している自治体がほとんどです。
都市圏であれば自治体ごとの差は少ないので、上下水道合わせて、上記の月額1,600円を目安にすると良いでしょう。

水道料金について更に詳細に見る

例として、一般的に使われる20mmの呼び径で3大都市を比べてみましょう。

三大都市圏の上水道利用料金
基本料金(税別)備考
東京23区1,170円5㎥まで基本料金
名古屋市(2ヶ月分)2,140円12㎡まで基本料金
大阪市850円(一律料金)10㎥まで10円/㎥

名古屋市は2ヶ月分なので、平均的には1ヶ月1,000円前後だとわかります。

三大都市圏の下水道利用料金
基本料金(税別)備考
東京23区560円8㎥まで基本料金
名古屋市(2ヶ月分)1,120円20㎥まで基本料金
大阪市550円10㎡まで基本料金

なお、水道料金を節約するために、呼び径を小さくして基本料金を抑えたいと考えるかもしれませんが、呼び径の変更は工事が必要で、工事費を回収できません。

3.3 火災保険/地震保険/家財保険

空き家の場合、居住中と異なり損害を受けても、住む家として修繕・再建築が必要とも限らない点を考えると、保険の優先度は低くなります。
しかし、空き家への直接被害だけではなく、近隣に被害を与える可能性まで考えると、何らかの保険には入っておくべきです。

空き家の火災保険と料金

出火原因で最も多いのは、放火(放火の疑いを含む)だとご存じでしょうか?
公衆の面前で放火する人はいませんので、人の気配がしない空き家の場合、放火のターゲットにされやすい傾向にあります。
それだけでも火災保険に入る意味はあります。ただし、空き家の場合通常の居住住宅用の保険と比べて割高になる場合があるのでご注意下さい。
以下のように月額1万円程度が目安です。

火災保険の例:THEすまいの保険(損保ジャパン日本興亜)
建物・家財の保険
ベーシック(I型)
臨時費用(支払割合30%、限度額100万円)
自己負担額0円
地震火災特約(地震火災50プラン)、類焼損害特約

年間保険料:130,200円

地震保険の料金と料金

地震保険は、火災保険ではカバーできない、地震、噴火、津波のために加入します。

保険金額は、火災保険の30%~50%と決まっており、保険料は地域によってリスクが異なるため、地域格差が数倍あるのも特徴です。
地震保険の金額は月額3,000円~5,000円程度が相場です。

地震保険制度や保険料については、財務省のサイトが詳しいので紹介しておきます。

財務省 地震保険制度の概要

家財保険の料金

家財保険は、火災保険や地震保険の対象を家財とする保険で、家財のみの加入も可能ですが、空き家の火災保険ですから建物+家財に加入します。
火災保険のところで紹介した例も、家財保険込みのプランです。

保険料の目安としては、500万円の保険金額で、地震保険ありなら年間15,000円~20,000円、地震保険なしなら年間10,000円~15,000円程度です。

4. 空き家管理費と修繕費

空き家は放置していると傷みが早く、劣化のスピードが進んでしまいます。
周辺トラブルの回避や、特定空き家に指定されて固定資産税が増えないためにも管理は重要です。
また、建築から時間が経った古い空き家の場合どうしても酒膳が必要になってきます。
これらも維持費と見ることができるため、具体的に金額を見ていきましょう。

4.1 空き家の管理費

空き家を自分で管理できれば良いですが、遠方である、多忙であるという理由で自己管理が難しい場合も多いでしょう。
そのようなときに活用したいのが、空き家の管理サービスです。

管理サービスとは、1ヶ月に1回程度、依頼した管理サービス会社が巡回チェックしてくれるもので、目視での外観チェックだけではなく、依頼内容次第では内部のチェックや換気等も含まれます。

空き家管理サービスの費用目安は月当り5,000円~10,000円が目安です。

具体的な管理方法や、管理サービスの比較などは以下の記事を御覧ください。

空き家の悪影響は植栽や防犯面などを考えると、新しい家でもあり得る話です。空き家の水道や庭の管理、郵便物の対応、害虫や防犯の対策は何をどのように行えばよいのでしょうか?また火災や地震保険は入った方がよいのでしょうか?

4.2 マンションの管理費用

マンションの場合は戸建ての費用に追加して、管理費用がかかります。
相場の目安はマンションのクオリティや広さ、戸数などにもよりますが、月1.5万円~3万円程度が多いようです。

また、マンションの場合は修繕積立金も毎月積み立てています。
修繕積立金については次項でご説明します。

4.3 メンテナンス費/修繕積立金・大規模修繕金

空き家にしたことが理由ですぐに発生する費用ではないですが、建物は必ず朽ちていくので、どうしても修繕のための費用負担が避けられません。
マンションでは、「修繕積立金」などの名目で支払い、金額はマンション次第です。
修繕積立金の目安としては月額1万円から2万円程度です。

ただし、マンションの修繕積立金は、築年数が経つほど値上げする方向で修繕計画を立てている(新築時に安くしないと売れにくくなる)ことが多く、今後値上げされることもあると覚悟しておきましょう。

戸建てのメンテナンス費は、外観と内部設備に分かれます。
ここで説明するのは、外装に関わるメンテナンスで、給湯器・洗面台・トイレ・キッチンなど内部設備類については、壊れると交換が多いので取り上げません。

空き家のメンテナンスで必要になるとすれば次のような費用です。

空き家のメンテナンス・修繕費

  • 外壁の塗装
  • 屋根の塗装
  • 庭木の剪定

外壁の塗装

外壁の塗装は、大体10年が目安と言われており、日射による変色だけではなく、塗膜の剥がれ、雨水の侵入といった不都合が多くなります。
外壁塗装の費用は家の広さと、利用する素材によって変わります。

目安としては30坪程度で1回50万円~70万円です。

外壁塗装の費用について更に詳細に見る
外壁の広さは空き家で異なるため、㎡あたりの単価で説明します。

外壁塗装費の目安
㎡単価の目安備考
足場+養生1,000円3階建は割増が多い
高圧洗浄300円
下塗り700円
上塗り1,000円~1,500円アクリル系
1,500円~2,000円ウレタン系
2,000円~3,000円シリコン系
3,000円~5,000円フッ素系
サイディング壁コーキング1,000円打ち増しと打ち替えで異なる

外壁の面積については、建物の形状で異なるとはいえ、普通は四角い家が多いので、一般的には次のように求められます。

外壁面積≒延床面積×1.2

屋根の塗装

外壁と同じく、屋根も10年程度で塗装が劣化すると言われています。
ですから、塗り替えをするときは外壁と一緒に行うことで、足場などの費用が一度で済み、費用の節約に繋がります。
費用の目安は一般的な2階建ての家で40万円~60万円程度です。

また、屋根の塗装単価については、外壁の塗装単価と基本的には変わりません。

庭木の剪定費用

剪定費用には決まった相場がありません。それは植木職人の腕とスピードが関係すること、樹木の高さ・種類によって手間が変わるからです。
費用は、職人の日当で請求される場合と、樹木の単価で請求される場合があり、どちらで請求してくるかは植木屋次第です。

職人の日当で請求される場合、目安は2万円程度×人数×日数で計算できます。

まとめ

住んでもいない空き家に費用がかかるのは、多くの人にとって頭が痛い問題です。
しかし、自分の目が届かない状態だからこそ、費用をかけて管理しなければ、周りに迷惑をかけたり、老朽化して使いものにならなくなったりします。

維持費用は確かに高いですが、無駄な費用と考えるなら手放すしかなくなります。
手放すとしても、管理されていない空き家を引き取る人は、そういないでしょう。

また、今は使い道が思い浮かばなくても、将来はどうなるかわからず、空き家または敷地を活用して資産運用を考えるかもしれません。
そのときに、放置された空き家と、すぐに使える空き家では大きな差が付くはずです。

空き家の活用を考える場合は、以下の記事もご参照下さい。

空き家の活用は貸して貸家とするか、売却して他の活用を考えるのが大半ですが、思い通りにいく物件ばかりではありません。そこで今回は、住居以外にした事例や自治体の取り組みも含めた、空き家活用の方法を紹介します。
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