太陽光発電の日射量確認と年間発電量や採算の計算方法

田舎の土地を活用する方法の1つとして、野立ての太陽光発電が注目されています。
放置していても何も生み出さない遊休地は、固定資産税が負担になるだけではなく、管理されていない土地は荒廃し、ゴミが不法投棄されるなど、デメリットは少なくありません。
しかし、本当に自分の土地でも太陽光発電が成り立つかどうか、試してみてから答えを出すのでは、投資が必要なだけに踏み切れないでしょう。

そこで、太陽光発電の発電量を計算し、収益を見積もってみましょう。発電量は天候などによって変わりますが、おおよそでも発電量を見積もり収益を出してみることで投資するべきか否かの判断材料になるはずです。

発電量の計算方法とともに導入を検討する際に確認するべきチェックポイントも紹介していくので、合わせて確認してみてください。

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年間発電量を計算してみる

まずは、計算方法について解説します。天候によって発電量は左右されますが、おおよその発電量を算出することで、どれくらい生産性のある土地かが分かります。天候により発電量は上下しますが、目安として計算しておきましょう。

年間発電量の計算式

まず、基準となる計算式がありますので、一応理解しておくと計算が楽になります。

年間発電量(kWh/年)
=年間日射量×太陽光発電システム容量×損失係数÷標準日射強度

年間日射量(kWh/㎡):年間平均日射量×365日
太陽光発電システム容量(kW):設置する予定のシステム容量
損失係数:発電ロスを考慮した数値(0.7~0.85程度)
標準日射強度(kW/㎡):日射による標準のエネルギー量でJISの規定は1kW/㎡

面倒な計算式ですが、システム容量を1kWとすると、標準日射強度が1kW/㎡なので、計算式は次のようにかんたんになります。

1kWあたりの年間発電量(kWh/年)=年間日射量×損失係数

また、損失係数はシステムの性能や設置環境に大きく影響を受けるため、事前に予測できるものではなく、一般には0.75程度と考えられている ので0.75で固定します。

1kWあたりの年間発電量(kWh/年)=年間日射量×0.75

年間平均日射量から1kWあたりの発電量を計算

では、実際に計算式を使って計算してみましょう。後ほど詳しく使い方を解説しますが、日照量は国立研究開発法人であるNEDOの日照データベースから年間平均日射量を調べます。

気を付けたいのは、得られる日射量が、発電パネルの方位角と傾斜角によって違う点です。
そのため、どの方角にどのくらいの傾斜で発電パネルを設置するのか、前提条件を決めておかなくてはならないでしょう。
ここでは、前提条件を次のように設定して、以降の説明をしています。

【前提条件】
エリア:東京
地点:青梅
方位角:0°(真南)
傾斜角:30°

青梅のデータ一覧表から、方位角0°傾斜角30°の年間平均日射量は3.90kWh/㎡・日です。
365日では365×3.90=1423.5kWh/㎡・年になり、損失係数0.75を掛けて計算します。

1kWあたりの年間発電量=1423.5×0.75≒1,067kWh

自分の土地に何kW設置できる?

1kWあたりの年間発電量が求められたら、実際に設置できるシステム容量がわかれば、かんたんな掛け算により総発電量が求められます。
しかし、土地の広さから設置できるシステム容量を求めるのは容易ではありません。

土地に対して水平に発電パネルを敷き詰めるのなら、かんたんに割り出せるでしょう。
ところが、普通はなるべく多くの日射量を得るために、発電パネルを傾けます。

傾ける(発電パネルが起きる)ほど、発電パネルの裏側に生じる影は長くなり、後ろの発電パネルに影が入って発電量が落ち込みます
しかも、影になった面積の比率よりも、発電量が落ちる比率は大きい点は見逃せません。

他にも、発電パネルを傾けることによる風圧の影響など、多くの考慮するべき条件があるため、設置できるシステム容量を求めるのは非常に難しいのです。

ちなみに、目安としては「1kWあたり10㎡~15㎡」が一般的な考えです。
(最初から傾斜がある屋根では、1kWあたり10㎡あれば設置できるようです)

土地の場合、発電量を計算して予測収支を求めるときは、1kWあたり15㎡を使って控えめのシステム容量で計算することをおススメします。
なぜなら、予測より多くの容量を確保できれば、それだけ収支はプラスに向かいますが、予測より少ない容量では、収支目標が崩れてしまうからです。

ここで、1kWあたり15㎡として、発電量の計算式にあてはめてみましょう。

土地全体の年間発電量=1kWあたりの年間発電量×土地の広さ(㎡)÷15

青梅の方位角0°傾斜角30°では、年間発電量が1kWあたり1,067kWhでした。
200㎡(60.5坪)の土地なら、年間発電量は1,067×200÷15=14226kWhになります。

発電量から採算を計算する

自分の土地での発電量が計算できると、売電収入と設備投資額から、収支計算ができます。

売電収入

1kWhあたりの売電価格は、次のように国が定めています。

平成26年度平成25年度平成24年度
余剰買取
(10kW未満)
37円38円42円
全量買取
(10kW以上)
32円+税
(34.56円)
36円+税
(38.88円)
40円+税
(43.20円)

システム容量が10kW未満と10kW以上では価格が違うことに注意してください。
また、10kW未満の余剰買取は買取期間が10年、10kW以上の全量買取は買取期間が20年と異なるため、11年目以降の収支も変わってきます。

発電量を求める段階では、1kWあたりの発電量を計算できていたので、先に1kWあたりの売電収入を求めることもできます。
青梅の方位角0°傾斜角30°では、年間発電量が1kWあたり1,067kWhなので、売電収入は1kWあたり36,875円になりました。

1kWあたりの売電収入
=1kWあたりの年間発電量×売電価格
=1,067kWh×34.56
=36,875円
※平成26年度、全量買取の場合

1kWあたりの売電収入が求められれば、あとは土地の広さに応じたシステム容量を掛けて計算できます。
土地の広さに応じたシステム容量は、土地の広さ÷15㎡として考えます。

例:200㎡の土地の場合
売電収入=200㎡÷15㎡×36,875円=491,666円

設備投資額

太陽光発電のコストは多くが初期投資で、ランニングコストはそれほどかかりません。
しかし、土地の状況によって、造成費が発生するため、あまりにも多額の造成費が発生するようなら、それだけ回収が遅れてしまいます。
造成費は一様ではないため除外して、システム費用とランニングコストで考えます。

10kW~50kW未満の太陽光発電では、システム費用の平均値は32.2万円/kWというデータが、経済産業省から出されています(平成26年10~12月期)。
ランニングコストについては、10kW~50kW未満の平均値は、年間0.6万円/kWというデータが得られています。

経済産業省 太陽光発電市場の動向

あくまでも平均値であって過信できませんが、参考にはなるでしょう。
また、より詳しくはこちらの記事でも取り上げています。

https://www.tochikatsuyou.net/taiyoukou/syoki-hiyou

収支計算

太陽光発電における収入は売電収入だけですが、支出は個別に異なるため、不確定要素を除外して計算します。

【事例で計算された値と経済産業省のデータ】

  • 売電収入は36,875円/kW
  • システム費用は36.9万円/kW
  • ランニングコストは0.7万円/kW

すべて1kWあたりで揃っているので、これだけで利回りの計算が可能です。

利回り
=(売電収入-ランニングコスト)÷システム費用
=(36.875円-7,000円)÷369,000円
=8.1%

実際の売電収入、システム費用、ランニングコストは、自分で設置するシステム容量と運用年数を掛けて求めます。

例:200㎡の土地で20年運用した場合

売電収入=200㎡÷15㎡×36,875円×20年=9,833,320円
システム費用=200㎡÷15㎡×369,000円=4,920,000円
ランニングコスト=200㎡÷15㎡×7,000円=1,866,666円

・20年後の収支結果
9,833,320円-4,920,000円-1,866,666円=3,046,654円

試算では20年で300万円以上の収益を得られていますが、収支に影響する要素は様々です。
考えられる不確定要素は次のようなもので、あまりに収支が低下するなら太陽光発電を見送る決断も必要でしょう。

不確定要素収支備考
システム容量の増加プラス1kWあたり15㎡以下の可能性は高い
システム費用の減少プラス実勢価格は30万円/kW程度と考えられる
土地が広いと単価が下がる
補助金・助成金プラス自治体で制度が異なる
ランニングコストの増減両方故障率は運用してみなければわからない
造成費用マイナス土地の現況で異なる
送電設備の敷設費用マイナス地域で異なる
行政への申請費用マイナス農地転用許可、伐採許可、宅地造成許可など
売電価格の下落マイナス制度改正の可能性は高い
システム費用の低下である程度相殺できる
その他の設備マイナス盗難防止フェンス、管理費など

発電量の計算に必要な日射量を調べる

年間の発電量を算出するために必要な日照量は先程も解説した通り、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)で調べることができます。

ここでは、自分の地域がどれくらいの日照量かが分かる、日射量データの調べ方を説明していきます。

NEDOのデータベースシステムにアクセスする

NEDOでは、Webから日射量データを確認することができます。

日射量データベース閲覧システム

表示される画面では、「年間時別日射量データベース」、「年間月別日射量データベース」、「全国日射量マップ」の3つがあります。

日射量データベーストップ

今回は真ん中の「年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)」を選択します。
このとき、ブラウザでタブを多く開いて多段表示になっていると、画面下が切れることがあるため注意しましょう。

地域を選択する

年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)を選択すると、全国地図と右側にスクロールできるエリアのリストボックスが表示されます。

年間月別日射量データベース

リストボックスからエリアを選ぶのですが、今回は「東京」を選びます。
東京を選ぶと、さらに右側に地点が表示されるので、今回は「青梅」を選びます。
エリアと地点を選んだ段階で、画面右下の「この地点のグラフを表示」ボタンが、グレーからオレンジ色に変わるのでボタンを押します。

年間月別日射量データベース

データ一覧表を表示する

次の画面では、様々な記号で結ばれた折れ線グラフ「月別の日射量グラフ1月」が表示されているはずです。
このグラフはとりあえず使用しないので、画面左下の「データ一覧表を表示」ボタン(オレンジ色)を押します。

年間月別日射量データベース

データ一覧表では、「月平均斜面日射量(kWh/㎡・day)」の表が表示されます。
すぐ下に地点の表示がありますので、選んだ地点(今回は青梅)に間違いないか、念のため確認しておきます。

月平均斜面日射量

データ一覧表の見方(横軸)

データ一覧表の横軸は、方位角、傾斜角、月、年、季節の順に並んでいます。
表の中の数字は、1日あたり1㎡で受けられる日射量を表します。

①方位角
真南を0°とした、方位(方角)のズレのことで、15°なら東または西に15°傾いた状態を意味します。
真南の0°から、真北の180°までそれぞれの方位角で日射量は変わります。
真北に向けてしまうと、発電量が真南よりも大きく落ちていることがわかります。
②傾斜角
発電パネルを傾けたときの角度で、10°から90°まであります。
0°で水平ですが、水平では方位角が関係なくなるので、表の2行目に水平面として別途表示されています。
③月/年/季節
それぞれ月別、年間、季節別の平均日射量で、発電量を計算するときには、年間の平均値を365倍した値を使います。

データ一覧表の見方(縦軸)

データ一覧表には、0°から180°までの方位角と、それぞれに応じた傾斜角が10°から90°まであり、すべての組み合わせの日射量データが表示されています。
表の下部には、月別最適傾斜角、月別最適傾斜角における日射量、年間最適傾斜角における日射量など、多くのデータが示されていますが、重要なのは月別最適傾斜角と年間最適傾斜角における日射量です。

太陽光発電では、できるだけ太陽光を垂直に受けるのが最もロスの少ない傾斜角になるため、最適な傾斜角は毎月異なります。
月別最適傾斜角は、その月の太陽高度に合わせた傾斜角になっており、太陽高度が高い月は傾斜角が小さく、太陽高度が低い月は傾斜角が大きくなります。

月別最適傾斜角を見ると、夏至が含まれる6月は最も小さく、冬至が含まれる12月は最も大きくなっているのがわかります。
このように、毎月傾斜角を変えていくのが理想で、極端に言えば毎日少しずつ傾斜角を変えていくのが本来はベストです。

しかし、傾斜角を変えるのは現実的ではないことから、年間最適傾斜角も示されており、その値は「月別最適傾斜角」と「年1-12月」の交わるマス(青梅の場合33.5°)になります。
現実にベストになるかどうかは別問題ですが、参考にするのは正しい考え方です。

なお、日射量データはあくまでも参考値で、実際にデータが示す地点(今回は青梅)の全域で同じ日射量を保証するものではありません。
天候は毎年違うので、平均的なデータであることは頭に入れておきましょう。

太陽光発電の導入を検討、地目別の特徴を押さえる

野立ての太陽光発電は、どの地目に設置するかで適性や手間が変わってきます。
現在保有している土地の地目を確認しておきましょう。

宅地・雑種地

宅地や雑種地では、電柱がないことは考えにくく送電はできるので、周りに建物さえなければ太陽光発電には適した土地です。

太陽光発電の設備は建築基準法上の建築物に該当しないので、市街化調整区域でも建築許可は必要なく、パワーコンディショナーを収納するコンテナについても、積み上げない限りにおいては建築物に該当しません。

太陽光発電設備と建築基準法についての国土交通省通達
パワーコンディショナーを収納するコンテナについての国土交通省通達

したがって、宅地や雑種地では特別な許可なく太陽光発電の設置ができます
なお、雑種地を宅地にしてから使う予定のときは、宅地造成工事規制区域内では許可が必要な場合もあるので確認が必要です。

宅地や雑種地で気を付けたいのは、近隣建物で影ができる場合や、将来に建物ができて影になる可能性を否定できない点です。
住宅の密度によって影響度は異なりますが、南に建物があると影響が大きく、東西では中くらいの影響、北にある建物では影響を考えなくても良いでしょう。

また、意外と見過ごしやすい問題として、光の反射による光害があります。
反射は不可避なので、近隣に迷惑がかからない設置を心掛けなくてはなりません。

農地(田・畑)

耕作には日照が不可欠なため、農地の場合には日射量を稼ぎやすい土地柄です。
しかし、農地は法律で規制があり、太陽光発電にはハードルが高い土地の1つです。

農地で太陽光発電をするには2つの方法があり、1つは農地を転用してから、太陽光発電の設備を設置する方法です。
この方法では、転用できる第2種農地、第3種農地であることが必須条件になります。

もう1つは営農型と呼ばれ、支柱を立てて上方に発電パネルを設置し、その下では今まで通り耕作を続ける方法です。
転用できない農地でも運用できるメリットを持ちますが、制度上は一時転用という扱いになり、3年間の許可を更新しながら続けなくてはなりません。

また、水田を転用して太陽光発電に利用する場合、水田の特性上、水を引くために低い位置にあることと、粘土質の土壌から造成を必要とするでしょう。

https://www.tochikatsuyou.net/farmland/taiyoukou

山林

周りに樹木があり、日照を遮られることが多いため難易度が高い地域です。
山奥になると、そもそも電力需要が小さいために、送電設備が不十分ということもあって、他の地目では起こりづらい、送電コストの問題が付いてまわります。

他にも、開けた土地にするために、周りの樹木を伐採したり、造成したりする必要があるようでは、採算性についても検討の余地があります。
ちなみに、伐採には面積に応じて届出または許可を要します。

また、特に広葉樹が多い山林では、落ち葉の存在を無視できません。
平地に比べると格段に落ち葉の量が多く、発電パネルが落ち葉で覆われるようでは、発電量に大きく影響します。

将来伸びた樹木に邪魔される可能性や、土地が開けていないので東、南、西のいずれかの方角を犠牲にするケースもあるでしょう。
なかなか難しい山林の太陽光発電ですが、同じ山林の地目でも、集落の近くから山奥まで幅広いので、一概にできないと言えないのは確かです。

https://www.tochikatsuyou.net/forest/taiyoukou-2

原野

原野というくらいなので、高い樹木もなく開けている土地ですから、太陽光発電には適していると考えられます。
ただし、近くに森や林がある場合には、影が差す可能性もあるため、特に南側には注目して確認してみましょう
また、海側の原野では、塩害による設備の耐久性低下にも考慮が必要です。

造成コストも比較的小さく、更地にしやすい原野ですが、問題は送電設備です。
送電設備がなければ売電ができないので、設置コストと採算性は検討を要します。

太陽光発電の発電量に影響する要因

太陽光発電の発電量は日照量だけでなく、さまざま要因によって変わってきます。地域の日照量はもちろん、発電設備でも発電量は異なります。どのような要因で変わっていくのかそれぞれ確認していきましょう。

日射量

日射によるエネルギー量を日射量と呼び、高緯度(北)ほど太陽高度が低く、低緯度(南)ほど太陽高度が高くなるので、太陽高度が高い南の方が発電には有利です。
ところが、それだけでは日射量は決まらず、降水量は地域で異なりますので、雪の多い日本海側と、少ない太平洋側では日照時間が変わるので日射量も変わっていきます。

全体的な傾向としては、関東以西の太平洋側に日射量の多い地点が多く存在しますが、北海道東部の太平洋側でも十分な日射量を得られるように、地域に特性があります。

また、その地形に特有の日照不足があるケースも考えられます。
例えば、朝は東の地平線から太陽が昇るのに、夕方は西の山に早く太陽が隠れてしまうなど、土地としては開けているのに、特定の時間帯で日射量が不足する場合です。

太陽光発電は日照がすべてなので、こうした固有の現象を意識しなくてはなりません。

設備

規模が大きくなれば発電量が増えるのは当然として、大きく影響を与えるのは発電パネルの性能(変換効率)です。
変換効率が良ければ、効率の良い発電が可能になり、同じ面積なら発電量も増えます。
ただし、変換効率の高い発電パネルは高価になり、投資として適切か要検討です。

さらに、長期間使用していると性能の劣化があり、また、パワーコンディショナーを始めとする付属設備でもロスが生じることから、設備の違いは無視できない要素です。

方角

東から昇って南を通過し、西に沈む太陽からの光を最も多く受けるには、南向きがベストになるのは言うまでもありません。
地面に設置する野立てでは、発電パネルの方角を自由に決められますが、屋根に設置する場合には屋根の方角が大切になります。
また、山林で太陽光発電をする場合にも、方角は重要になるでしょう。

温度

発電パネルは、太陽光のすべてを電気に換えることはできず、熱を発生します。
そして、半導体を使っている特性から、高温になると発電量も落ちます

冬よりも夏の方が暖かいように、太陽エネルギーも大きくなるので、発電量が大きい代わりに温度も上がり、変換ロスも増えていきます。
効率の良く発電量を得るためには、発電パネルを冷やしながらの運用が理想ですが、コスト的に採算が合わないことから、導入はほとんどされていません。

ちなみに、風を冷却に使う方法は、同時に風圧を受けることになるため、強度の面で考慮すべき点が多く、冷却効果が風速に影響される面も現実的ではないでしょう。
風の強い日は天候の悪い日が多く、発電量が少ないのに冷却しても意味が無いからです。

傾斜角

傾斜角とは発電パネルに傾斜を付けることで、太陽光をできるだけ垂直に受けるための角度のことです。
太陽は真昼でも真上に来るのではなく、季節によっても高度が異なります。
太陽の高度に合わせて傾斜角を変えられると理想的ですが、そのような装置を搭載するのは、設備投資の面から現実的ではありません。

そのため、平均的な高度になる春分と秋分に合わせて傾斜角を決めるのがセオリーです。
しかしながら、発電パネルに傾斜を付けることで影ができる問題があり、発電に最適な傾斜角と設置上のベストな傾斜角は一致しない現実があります。

まとめ

山林や原野ではコスト面、農地は転用、宅地・雑種地なら近隣との関係をクリアできれば、概ね太陽光発電は手堅い土地活用です。

ただし、試算上はプラスでも、太陽光発電に関する現行の制度は、普及促進のため収支がプラスになるように設計されています。
買取制度の動向は常時チェックして、見極めることが大切です。

また、日射量データを過信しすぎて、最大の日射量で計算するのは良くありません。
少し割り引いた数値を使っても、採算が取れるような計画を立てましょう。
初期投資だけではなく、管理費用の見積りも抜け落ちやすいマイナスの1つです。

とはいえ、どんな事業も机上の計算だけで成り立つことはないので、始めてみたら意外とプラスになる、思ったよりも儲からないというのは良くあります。
何もしなければ何も変わらない現実を踏まえ、まずは一歩踏み出してみるのも一考です。