住宅売却の基礎知識|大きな決断の前に全体像を把握しよう

「家を売ろう」と決断することは、人生でそう何度もありません。そのため、実際に家を売ることを考えると、何から手をつければよいのか分からなくなってしまうことは、誰にでも起こりうることです。

この記事では、何から始めればよいのか、どんなことをすればよいのか、住宅売買の基礎知識を流れに沿って解説します。見落としがちな諸費用や必須書類も押さえて、住宅売買を成功させましょう。

1. 住宅売却の理由や希望条件を整理する

まずは「なぜ住宅を売るのか」を明確にしましょう。住宅を売却する理由は、不動産会社や住宅を買いたいと希望する人に対して、説明することもあるため、分かりやすくまとめておくと便利です。

1.1 売却理由を確認する

「なぜ住宅を売るのか」という理由は、はっきりとさせておきましょう。たとえば、子供が生まれて今の家が手狭になってしまったのであれば、より大きな家に引っ越すことが理由となります。反対に子供の独立とともに、都心のより便利なマンションへ引っ越したいという理由もあるでしょう。

「○○だから、××のために家を売りたい」と簡潔に言えると、人に説明しやすくなります。理由が具体的に整理できたら、確認事項として「今の住まいは完全に手放したいのか」という点や「手元の資金」を明確にしましょう。

1.2 売却の希望条件を確認する

希望条件とは「売却希望価格」や「いつまでに売りたいか」「新居は購入か賃貸か」といった、新たな暮らしのための希望条件です。もし、今の住まいにローンが残っているのであれば、そのローン以上の売却額なら、ローンを一括返済して次の住まいに移ることができます。

その場合は「売却希望額はローン残高以上にしたい」と不動産会社に相談したり、ある程度ローンを返済してから売却を検討したりできます。

また、売却完了時期を決めることで、いつ頃から住宅売却活動に手をつければよいのか、逆算しやすくなります。新居を購入するのであれば、手元資金から考えて、あとどのくらい貯めたほうが良いか、しっかり検討することも必要です。

2. 住宅売却の流れを確認する

家を売るまでの期間は、条件にもよりますが3カ月から半年が目安と言われます。どのような流れになっているのか、見ていきましょう。

2.1 住宅の相場を調べて売却価格の目安を立てる

「住宅の相場」が分かると「売却価格の目安」が具体的に分かるようになります。方法はいくつかありますが、分かりやすいのは次の3つです。

  • 同じような条件の家を、不動産情報メディアで探す
  • 土地総合情報システム(国土交通省)で、実際に行われた不動産取引情報を検索
  • 一括見積もりを利用して査定額を出す

実際に行われた取引が掲載されているという点で、土地総合情報システムの活用はおすすめです。ただしあくまでも参考に留め、実際に不動産会社による査定を受けることが大切です。

実際に売却価格の相場を調べる方法を知りたいという方は、も合わせてご覧ください。

家やマンションの売却相場を調べる4つの方法
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2.2 不動産会社を探し住宅の査定を依頼する

住宅を売却する際は、信頼できる不動産会社を見つけることがとても大切です。まず、売却価格は不動産会社によって異なりますが、これは不動産会社ごとに、得意分野と得意地域が異なるためです。

そのため、住宅の査定は複数の不動産会社に依頼することがおすすめです。「ここぞ」と思う不動産会社を見つけたら、少なくとも2社に、実際に自宅を見てもらう訪問査定を依頼しましょう。

一括見積もりサイトでは、あくまでも築年数や家の広さ、立地条件といった大まかな査定しか受けることができません。こだわりのある住宅や手入れの行き届いた住宅は、築年数が経過していても、訪問査定でより高い値段が付く可能性があります。

2.3 不動産会社に仲介を依頼し媒介契約を結ぶ

不動産会社が決まったら、売買契約という売買の仲介を、正式に依頼するための契約を結びます。媒介契約の形態は「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類で、自分の売却方針に合った媒介契約を結ぶことが大切です。媒介契約は、次の3つのポイントで大きく異なります。

  • 売買契約の有効期間
  • 指定流通機構(レインズ:不動産会社への情報提供システム)への登録
  • 定期業務報告

このポイントの違いを含め、契約形態の違いを以下の表にまとめました。

売買契約の有効期間 他社へ重ねて仲介依頼 自分で売却先を見つける 指定流通機構(レインズ)への登録 定期業務報告
専属専任媒介 3カ月 できない できない 契約締結日から5日以内 1週間に1回
専任媒介 3カ月以内 できない できる 契約締結日から7日以内 2週間に1回
一般媒介 法的な制限がない できる できる 任意で登録可能 任意で報告を求めることは可能

契約形態によって、簡単に言えば不動産会社の宣伝具合が変わります。たとえば、不動産売買が活発ではない地域なら、専属専任売買契約を結ぶことで、3カ月間週1回の業務報告を定期的に受けつつ、しっかりと売却先を見つけてもらえます。

一方で、自分自身にも住宅を買ってくれる心当たりがある場合は、専任媒介契約や一般媒介契約を結んで、そちらに打診する方法もとれます。どの契約もメリットとデメリットがあるため、そうした側面も含めてしっかり説明してくれる不動産会社は、信頼度が高いと言えるでしょう。

2.4 住宅の売り出し価格を決めて売却活動を始める

売り出し価格は、その後の売却活動に影響します。そのため、自分の希望だけでなく、不動産会社の査定価格や周辺の売却事例、相場の動向などを踏まえて、慎重に決める必要があります。 住宅購入希望者も、周辺の相場や売却事例を調べてから物件を選んでいます。

そのため、あまりにも周辺の相場より売却価格が高すぎると、それだけで選択肢から外れてしまい、最終的に希望額より値下げすることを、余儀なくされることもあるためです。

売却活動が開始されると、あなたの住宅に興味を持った「購入希望者」が物件の見学(内覧)に来ます。その際には、以下のポイントを踏まえたうえで、購入希望者と売買価格や引渡し時期、代金支払い方法など交渉しましょう。

  • 家の中は水回りを中心に掃除をしっかりしておく
  • 清潔な服装を心掛ける
  • できるだけ口出しせず自由に見学してもらう
  • アピールポイントは事前に不動産会社へ伝えておく

条件交渉は、売る側と買う側の事情を踏まえて、不動産会社のアドバイスを聞きつつ、妥協点を探りながら進めることが大切です。

2.5 売買契約を結ぶ

購入希望者との交渉がまとまったら、売買契約を結びます。基本的に、あなた自身が受け取らなくてはならない書類以外は、不動産仲介業者が必要書類をそろえてくれるので、情報提供や重要な取り決めを行うことが大きな目的になります。

その際に、買主から手付金を受け取りますが、トラブルを避けるためにも、住宅に関する情報を、正確に買主に提供することが必要になります。たとえば「家のここが水漏れをするが、引き渡しまでにはリフォームを完成させる」「住宅に太陽光発電システムがあり、定期的なメンテナンスを受けたほうが良い」などの注意点です。

もし、こうした不具合や注意点を伝えずに引き渡すと、嘘をついて物件を売ったとみなされ、後々裁判になるケースもあります。

2.6 住宅を引き渡す

買主から売買代金を受領するのと同時に、抵当権抹消や所有権の移転等の登記申請を行いましょう。抵当権とは、住宅ローンを借りるときに、その住宅に対して銀行が設定した権利のことです。

この権利によって、もしローン返済が滞ったとしたら、銀行は代わりにその住宅を競売という方法で売却し、ローン残高を回収することができます。抵当権付きの状態だと、自由な売り買いに支障が出ます。

抵当権抹消を行うと、その住宅をあなた自身が売り買いすることができます。方法として、買い主から売却代金を受領し、その代金でローンを返済して、物件を引き渡す同時決済が一般的に用いられます。

また、所有権の移転等登記申請は、あなたが持っている家の所有権を、買主へと変更することです。自分で行うことも可能ですが、一般的には司法書士に依頼します。

そして物件を売り渡すまでに、それまで利用した公共料金の精算や、引っ越しの用意もしておかなくてはなりません。引き渡し日当日には、買い主と現地立会いのもとで、備品等の取扱いや敷地内の設備について、最終的なチェックを行い、お互いに合意のうえで引き渡をして、売却の手続きが完了します。引き渡し後には、税務申告や諸費用の支払いなど、手続き漏れがないように注意しましょう。

3. 住宅売却にかかる諸費用について

住宅売却は、手続きや書類請求などに伴い、諸費用がかかります。「決まってかかる費用」と「売却額で異なる費用」があります。

3.1 住宅の売買契約時に支払う費用

売買契約時に支払うのが「仲介手数料」と、売買契約書に必要な「印紙税」の2つです。特に大きいのが仲介手数料ですが、以下の計算式を元に上限金額が決められており、売買契約が成立しない限りは発生しません。

また支払い条件も不動産会社側と協議することができ、通常の仲介業務などで発生した費用は請求してはならないとされているため、仲介手数料についてもしっかり確認しましょう。

仲介手数料 印紙税
内訳 ・200万円以下の部分:200万円×5%+消費税
・200万円超400万円までの部分:売却価格×4%+消費税
・400万円を超える部分:(売却価格-400万円)×3%+消費税

・100万円超500万円以上は1,000円
・500万円超1,000万円以下は5,000円
・1,000万円超5,000万円以下は1万円

*売買価格に応じて変化

支払い例

売却価格が1,000万円の場合:

200万円×5%=10万円
200万円×4%=8万円
(1,000万円-600万円)×3%=18万円

合計:36万円+消費税

1,000万円の場合:

5,000円(軽減特例適応)

支払い時期 ・売買契約締結時
・残金支払い時
売買契約締結時

3.2 登記手続きにかかる費用

家を売却すると、持ち主は買い主へと移ることになりますが、その所有権移転に伴う法的な手続きが「住居変更登記」です。基本的には買い主側が請け負うため、売り主に費用の負担は掛かりません。

売り主側で行う必要があるものは「抵当権抹消」で、登録免許税として不動産1個につき1,000円と、司法書士への手数料は15,000円ほどかかります。不動産登記は、制度も複雑で時間がかかるため、司法書士に依頼することが一般的です。

3.3 売却で利益が出た場合にかかる「譲渡所得税」

住宅の売却によって得た譲渡益には、譲渡所得として所得税と住民税が課税されます。譲渡益とは、住宅売却額が住宅購入費や諸費用を引いた際に、プラスになった場合の利益のことです。

たとえば、3,000万円で購入した家が4,000万円で売れ、手数料が140万円かかったとすると、「4,000万-3,000万-140万=860万」で、売却益は860万円になります。

ただし、マイホームの場合は、3,000万円の特別控除や買換えの特例、軽減税率の特例などがあるため、基本的には譲渡所得税を支払うことはありません。しっかりと確定申告をして、控除や特例を活用しましょう。

3.4 住宅のある土地の測量の際にかかる費用

土地の境界線や越境物の有無、面積の確認のために測量が必要になる場合に、測量費用がかかります。依頼する業者や敷地面積によっても異なりますが、一般的には100坪前後までで50万円程度、国や市の立ち合いが求められる場合は、80万円近くかかることもあります。

この測量が正しくないと、誤った金額を買い主に請求することになるため、確かな測量情報がない場合は、行ったほうが賢明です。

3.5 引っ越しの際にかかる費用

引っ越し費用や不用品の処分費用についても、しっかりと諸費用に含めて計算しておきましょう。とくに、仮住まいに一度暮らす場合は、引っ越し費用が2回かかることになります。また不用品の処分費用は、量や業者によっても異なるため、処分品が出ることが分かった時点で、処分業者についても複数業者の見積もりを取り、きちんと比較検討しましょう。

3.6 その他の諸費用

その他の諸費用として、印鑑登録証明書、ローン残高証明書、住民票などの取得費用がかかります。ただしこれらは、物件の条件や売却物件と住所が異なる場合など、条件次第でかかる費用です。そのため、一律でどの程度かかるかは不明確であり、基本的には売却決定後に支払うことになります。

4. 住宅売却時の必要書類

書類の準備段階としては「売却を依頼するとき」「売買契約をするとき」「確定申告」の3つの段階があります。

4.1 住宅売却を依頼する際に必要な書類

住宅の売却を依頼する際に必要な書類は、必須とされる書類のほか、不動産会社によって違うものもあるため、必ず確認しましょう

一戸建て マンション
必須 登記事項証明書
固定資産税納税通知書
住宅購入時の売買契約書
重要事項説明書
物件の図面
設備の仕様書
あったほうが良いもの 建築確認済証 マンションの管理規約
土地測量図 マンションの維持費など明細
境界確認書 マンションのパンフレット

必須とされる登記事項証明書は、売却したい住宅のある地域を管轄する、法務局にて申請できます。固定資産税納税通知書は、毎年支払いのために郵送されてきたもののうち、最新のものを用意しましょう。

4.2 売買契約をする際に必要な書類

無事に買い主が見つかったあとで、売買契約を結んだ際に、引き渡し時までに用意すべき書類は次の通りです。

  • 身分証明書
  • 印鑑証明書・実印
  • 銀行口座の通帳
  • ローン残高証明書
  • 住民票(登記上の住所と売り主の現住所が違う場合)

必ず必要になるものは、身分証明書など本人確認ができる書類と実印、印鑑証明書です。実印があると、不動産売買において証拠能力や信用度が高まるため、もし持っていなければ早めに作り、あらかじめ実印として届け出をしておきましょう。

5. 住宅売却に成功するポイント

住宅を売却するなら高く売りたいところですが、成功のポイントは「売り出し価格」と「不動産会社」です。

5.1 適正な売り出し価格を設定する

不動産会社に査定をしてもらったとしても、必ずしもこれを売り出し価格にする必要はありません。査定価格は不動産会社にとって、「これなら何カ月以内かには売れるだろう」と推測した金額であり、売り出し価格自体には、こちらの希望額も反映させることが可能です。

周辺の相場も踏まえて、値引き交渉も可能な適切な売り出し価格を設定することで、より多くの家を買いたい人の目に止まります。また、ローンの相殺を考えている場合は、最低売却額を決めておき、それ以下にならないようにすることも大切です。

5.2 複数の不動産会社に査定依頼をする

高く売りたいのであれば、査定価格を高く出してくれる業者を中心に、依頼することも一つのポイントです。個人経営の不動産会社がマッチする場合もありますが、入居後の不安解消まで含めた保証制度など、大手ならではの安心感も大きなメリットです。

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6. 住宅売却を検討する際は基礎知識をしっかり身に付けよう

「家を売る」ということは、とても大きな決断です。一方で、勢いで売却を決定するとリスクが跳ね上がり、あなた自身が損をしてしまうかもしれません。耳慣れない言葉も多いため、話を聞いてみても良く分からず、かえって混乱する場合もあります。

したがって、まずは基礎知識をしっかり身に着けて、住宅売却を今すべきなのか、売却するならどんな不動産会社とどう契約を結ぶべきかを、検討していくことが大切です。自分の話をきちんと聞いてくれて、マイナス面や価格の根拠も把握した不動産会社に巡り合えるといいですね。

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