空き家の活用方法一覧とその特徴

親から相続した、予期しない転勤が決まったなど、家を持て余して空き家にしてしまうのは、維持費がかかるだけに少しもったいないでしょう。
何とかして空き家を活用することで、うまくいけば生活に余裕も生まれます。

しかし、不動産を活用した経験のない人にとっては、持て余しているからといってかんたんに空き家を活用できるものではありません。

  • 誰かに貸す
  • 自分で使う
  • 売却する

大きく分けると3つありますが、この3つはまったく異なる特徴を持ちますので、自分で可能な活用方法を探してみることです。

1.居住用賃貸(貸家)

貸家

本来の家の目的である、住むために空き家を借りたい人が対象です。
貸し出すまでは、不動産会社に入居者の仲介を依頼することに始まり、入居審査、入居者との契約と進み、契約後に入居の流れです。

いわゆる大家となって、入居者から毎月家賃を受け取るのですが、居住用賃貸には契約方法と空き家の貸し方に種類があります。

契約方法の種類

建物を貸す契約方法は、「普通借家契約」「定期借家契約」という2種類で、どちらの契約方法を使うかは、非常に重要な選択です。
契約方法を誤っただけで、計画が狂ってしまうほどなので正しく理解しましょう。

普通借家契約

戸建・アパート・マンションによらず、ほとんどの貸家で使われる契約方法です。
一般的には2年契約が多く、契約期間が満了すると更新によって延長されていくので、一度でも賃貸住宅に住んだことがあれば、馴染みのある契約ではないでしょうか。

普通借家契約では、入居者から退去を申し出ない限り、原則として契約は更新されます。
つまり、普通借家契約は借主保護の性質が強く、貸主が出ていって欲しいと思っても、正当な理由がなければ退去させることはできない契約です。

将来空き家を使う予定があるなら、明け渡してもらえないリスクを伴いますので、普通借家契約はあまり適しません。

定期借家契約

契約時に定められた期間で契約が満了する借家契約を、定期借家契約と呼びます。
定期借家契約には更新の概念がなく、契約満了時には再契約をするか、再契約せずに退去してもらうかのどちらかです。

したがって、更新されて無期限に住み続けられる状態を、契約で防ぐことが可能です。
しかし、借主にとっては、再契約を拒否されることで居住環境が不安定になる不利益を伴いますから、定期借家契約の家賃相場は、普通借家契約よりも下がる傾向があります。

転勤や渡航などで、一時的に空き家を賃貸に出す場合に、空き家を業者に委託して貸し出す、「リロケーション」というサービスも定期借家契約を利用します。
リロケーションでは、家賃の集金から入居者管理まで専門業者に任せることが多いです。

貸し方の種類

空き家を貸すときには、契約だけではなく貸し方も考えておきましょう。
空き家を一軒として貸すのか、シェアハウスとして複数人に貸すのかという違いですが、両者の経営は異なり、契約方法にも関係してきます。

一軒で貸す

空き家全体を一軒として貸すと、入居率が100%か0%のどちらかになります。
結果として大家に入る家賃収入は、満額か0円のどちらかです。

長く住んでくれる人が見つかればよいですが、入居者を探している期間はまったく収入が無くなることを考えると、空室期間は無視できません。
元々は空き家だから…と思えるならそれでもよく、賃貸経営としてどう考えるかです。

シェアハウスで貸す

空き家の各部屋を異なる入居者に貸し出し、キッチン、リビング、風呂、トイレなどは、共用の施設として使用させる形態の貸し方です。
東京都内では珍しくないですが、地方ではまだそれほど普及していないようです。

シェアハウスでは、満室のときの合計家賃を、一軒で貸すときよりも多くすることができ、なおかつ1人でも入居していれば家賃収入があるので、経営的には安定します。
その代わり、複数人が同時に生活する環境はトラブルも多く、入居者のモラルに影響してしまう点は、デメリットになるでしょう。

また、シェアハウスの場合、大半が1年未満の定期借家契約で貸し出されます。
普通借家契約にしてしまうと、トラブルを起こす入居者でも契約更新を拒めなくなり、他の入居者が出ていってしまう最悪の事態になるからです。

2.事業用賃貸

古民家カフェ

例えば、保育施設や介護施設、古民家カフェ、販売店舗、サークル活動、コミュニティスペースなど、用途は借りる側によって変わりますが、空き家を事業者に貸し出し、家賃収入を得る方法は居住用賃貸と同じです。

相手は事業者なので、業績に左右される点は仕方がないとはいえ、個人よりも滞納トラブルは抑えられ、契約方法も普通借家契約と定期借家契約を選ぶことができます。

ただし、普通の住宅を事業用に使うとすれば、事務所など用途は限られますし、居住用には必要な設備が、事業用では不要になる場合(例えば風呂)もあるので、改装を可能にするなど、柔軟な契約に対応できるほうがニーズは高まります。

また、事業用であるからには、立地条件が居住用よりもシビアになりやすいこと、他にもマンションの一室を貸し出すときは、管理規約で住居用に限定されていることもあるので、未然にトラブルを防ぐためには必ず確認しておきましょう。

3.事業経営

宿泊施設

空き家を賃貸するのではなく、空き家を使って自ら事業を展開します。
投資が少なくてもできるのは、空き家をそのまま宿泊施設として利用する方法です。

可能性としては貸別荘(主に別荘地)、民泊、ライダーハウス でしょうか。
最近では、民泊の需要が高まり、世界中の旅行者がAirbnbなどのサービスを経由して、個人の家に泊まるスタイルが定着化してきました。

宿泊施設には旅館業の許可が必要

宿泊施設としての名目に関係なく、お金をもらって人を泊める事業は、旅館業の許可がなければ行うことができません
貸別荘は明らかに宿泊施設なので該当しますが、旅館業の許可を得ていない民泊やライダーハウスについては、現在でも黙認されているのが現実のようです。

旅館業法における宿泊とは、寝具を提供している場合はもちろん、寝具が持ち込みであっても該当しますし、お金を宿泊料として受け取っていなくても、実質的に部屋を利用させて宿泊させれば、休憩料や水道光熱費の名目ですら該当します。

そして、営利目的で継続的に行われるかどうかも重要で、常時他人を受け入れて宿泊させ、宿泊料を受け取る空き家活用は、確実に旅館業法が適用されるはずです。
旅館業の許可を受けるためには、衛生面・防災面で多くの投資が必要になって、空き家の活用方法としては採算に疑問を残します。

しかしながら、ここ数年の外国人旅行者の増加と、東京オリンピックに向けた宿泊施設の不足が問題視されている中、少なくとも民泊については規制緩和の動きがあります。

民泊とは?問題点やトラブルと東京・大阪における規制緩和について
定義としての民泊は範囲が広く、民家に泊まることの総称を民泊といいます。 例えば、友人の家に泊まりに行くことも民泊ですし、旅行先で知...

法令に抵触することが不安であれば、公式の見解が示されるまで保留として、別な方法を検討している間も動向はチェックしましょう。

4.解体して土地活用

土地活用

空き家の活用がどうしても難しいときは、視点を変えて空き家を一度解体し、土地としての活用も一考の余地があります。
資産価値が十分に残った空き家なら、売却も考えられるところですが、手直ししないと活用できない古い空き家なら、その費用をかけても活用できるとは限らないからです。

ここでは、空き家を解体することによるメリットとデメリットを解説します。
土地活用については、別記事を用意しているのでそちらをご覧ください。

土地の有効活用方法一覧
田舎での土地活用は、市場が活性化しておらず、どうしても制限されるのは否めません。 だからといって、せっかく手に入れた土地や建物を、...

解体は、解体業者への見積もりに始まり、解体業者との契約、解体工事、解体後の滅失登記(法務局で建物が失われたことを申請する手続き)で終わります。

空き家を解体するメリット

空き家も資産なので、解体は単純に資産を失うことに等しいです。
しかし、空き家は税金の対象にもなり、管理されていないと行政指導の対象になるおそれもあって、維持管理には費用も手間もかかります。

空き家で行政指導を受けるとは聞いたことがないかもしれませんが、空き家対策特別措置法の施行によって、周辺に悪影響を与える空き家は、指導対象になりました。

空き家対策特別措置法(空き家法)を分かりやすく解説
平成27年2月26日に施行された空き家対策特別措置法は、一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。...

空き家を解体することで、維持管理の手間から解放され、土地を利用したいニーズへと活用の場を転換することになります。
また、空き家の活用方法はどうしても建物の活用に限られており、解体して更地になれば、賃貸物件から土地を貸す方法まで選択肢が広がります。

空き家を解体するデメリット

空き家を解体するデメリットは、何と言っても費用面での影響です。
まず、解体には費用がかかり、木造住宅でも坪3万円程度はかかってしまいます。

家の解体費用の相場と見積もりの事例(木造・軽量鉄骨他)
使いたくても使えない…田舎の空き家事情は深刻で、空き家対策特別措置法によって行政指導を受ける可能性が高まりました。 使い道がないか...

他に大きいのは、固定資産税・都市計画税が高くなることで、住宅が建っている土地は、固定資産税が最大で1/6まで、都市計画税が最大で1/3まで軽減されます。
空き家を解体すると、軽減措置が失われ税金が高くなります。

解体で家の税金がなくなるとはいえ、土地が高い地域では、解体後の維持費と土地活用の実現性も考慮して、解体を検討しなくてはなりません
無計画に空き家を解体しただけでは、解体費用と税金増になるだけでしょう。

5.自己使用

別荘

空き家から収益を上げる方法が現実的ではなく、なおかつ空き家を解体するのもためらうときは、自己使用できないか今一度考えてみるべきです。
使わないから空き家になっているのですが、常時使う前提だけではなく、セカンドハウスとしての利用も含まれます。

自宅としての活用

現在の自宅と空き家を、入れ替えて活用する方法があります。

両者が離れていたり、環境が違ったりする場合には難しいかもしれません。
しかし、空き家の活用が難しくても、現在の自宅は活用できるかもしれない点と、自分で住むなら、他人に貸すほど手直ししなくても許容できる点を考慮すれば、現在の自宅を賃貸に出して、自分は空き家に住む方法でも、十分に賃貸経営が成り立ちます。

セカンドハウス

セカンドハウスにしたところで、あくまでも意識の違いでしかなく、年間のほとんどは空き家になって管理コストも発生します。
しかし、重要なのは「管理されている空き家」だということです。

前述の空き家に対する行政指導では、概ね年間を通じて利用実績がない空き家を対象としているため、少しでも利用があると、指導の対象外にできるメリットがあります。
もちろん、将来活用できる可能性は否定できませんし、子や孫の代で必要とするかもしれないので、セカンドハウスにしておくことは無駄になりません。

自分で管理できなくても、管理サービスを提供している専門業者を利用することで、大きな負担なく空き家を管理できます。

6.売却

売却は、直接空き家を利用するものではありませんが、空き家ならびに土地という資産を現金化して、他の資産に転換していくという発想において、資産活用の1つです。

売却するときは、賃貸と同じように不動産会社への仲介依頼に始まり、購入希望者が現れたら価格交渉と契約、売却代金の決済、所有権の登記(買主に所有権を移す)をしてから、家と土地を引き渡す流れです。

売却のメリットとデメリット

同じ資産価値の不動産と現金を比べると、不動産は所有しているだけで税金が発生し、土地は地価の影響を受け、家の価値は年々低くなります
また、不動産はすぐに処分ができない流動性の低い資産で、使い道が限定されない現金の方が、圧倒的に資産運用の自由度が高いメリットを持ちます。

そう聞くと、売却するのが正解のように思えますが、不動産を売却すると諸費用が発生して、不動産の価値と同じだけの現金を手にすることはできません。
価値よりも諸費用の分だけ高く売れなくては、必ず資産は目減りします。

そして、不動産は収益を生み出す可能性を持つのに対し、(債権などを除く)現金だけで利益を生み出すには、低金利の預金に頼るしかなく、収益性については不動産に分が上がります。
どちらの資産運用がよいという話ではなく、あくまでも可能性の話です。

税金の負担が無駄、価値の下落が心配という動機で売却するのはよくありますし、それも1つの資産運用なのですが、現金化した資産を次にどうするのか、長期的な視点でプランを立ててから売却できるとよさそうです。

その相場については、こちらを参考にしてください。

家の売却相場を調べる4つの方法と築年数や修繕との関係
日常的に購入するどんな物でも、高ければ売れず安ければ売れる原則は変わりません。 不動産には定価がないので、高いか安いか判断が難しそ...

まとめ

何もしないことが、損失を防ぐ最良の方法だと考えてしまうと、空き家活用は何も始まらず、家が朽ちていくのを見ているだけです。
せっかく不動産という資産を所有しているのであれば、活用していかないと宝の持ち腐れになってしまいます。

自宅以外の不動産を持っている人は、誰でも有効活用を考えているでしょう。
ライバルは多いですが、空き家の価値は常に下がっていくことを意識して、使えるうちは空き家活用を考えてみてもよいのではないでしょうか。

場合によっては解体して土地を活用、もしくは売却して現金化するといった、発想の異なる活用方法も視野に入れ、何がベストなのか模索することはとても大切です。

不動産会社8社に査定を依頼したら
不動産会社8社に査定を依頼したら330万円の差があった

今後の目安のため、一括査定サイトを使って実家の査定を依頼したところ、安い会社と高い会社の差が330万円ありました。
簡易査定なら情報を入力するだけで、その日の内に連絡が来る会社も多く、売却相場がすぐに分かります。

主な不動産会社

「でも、わずらわしい営業電話はこないのか?」
「どのような感じで連絡がくるのか?」
そんな疑問に身をもって体験した結果はこちら。