家・マンションは売るか貸すか?どちらが得かとそれぞれの注意点

uru-kasu

きっかけは転勤、介護、相続、離婚など色々あるでしょう。
持ち家や分譲マンションを売るべきか貸すべきか…これはよくあるテーマです。
売ることも貸すことも選べるなら、利益を優先するのもよく、その後の予定を考えて決めてもよく、選べるだけ幸せなのかもしれません。

ところが、どちらも選べると自分で思っていたら、どちらも選べない可能性もあるわけで、家を売るのも貸すのも制約があるとすれば、考え直す必要はないでしょうか?
それによって将来も変わってくるのなら、一大事に発展するおそれすらあります。

ここでは、家を売る場合・貸す場合で、把握しておきたい点を説明していきます。
知っていることばかりならよいのですが、うっかりしがちな内容も含まれているので、自分が考えている以上に家は自由にできないと知りましょう。

1.そもそも売れるのか?貸せるのか?

家を売るか貸すかの問題以前に、自分の家が売ったり貸したりできる状況なのか、確認だけはしておかないと、机上の空論で計画倒れになります。
売ったり貸したりすることに、条件や懸念があるケースを取り上げてみました。

1-1.ローンが残る場合は売れない

ローンが残っていても売りに出すことはできますが、売却代金でローンが完済できないと、売るのはほとんど無理です。
ローンが残ったままの家を買ってくれるのは、近親者などに限られます。

したがって、一般市場で家を売るためには、次のいずれかを条件とします。

  • ローンを完済できる金額で売れる
  • ローンの完済に不足する金額を用意できる

近年の不動産市場動向を考えても、世帯数よりも住宅数が多い状況を考えても、途中で大規模リフォームなどして資産価値が大きく上がった場合を除くと、家をローン残債より高く売ることは、余程の好条件がなければ難しいはずです。

自己資金を加えるか、買い替えローンなどの資金準備が必要で、その資金を用意できるかどうかが、ローンが残っている場合のポイントです。

離婚や住み替えなど、住宅ローンが残ってる家を売るには?
家を売りたいときに、多くの人にとって障害になるのは、住宅ローンの残債です。 住宅ローンは一生かけて返すほどの大きな借金で、借り入れ...

1-2.借地の場合は地主の承諾が必要

自分の家を売ることに制限はなくても、土地が借地の場合は、地主に承諾をもらわなければ家を売ることはできません。
それは、家と一緒に土地の借地権(賃借権)も売ることになるからです。

家だけを売ろうとしても、土地が使えないと家も使えないのと同じで、家だけを買うという考え方自体が存在せず、家と土地(借地なので借地権)はセットです。
借地で面倒なのは、地主の承諾と承諾料(名義書換料)の存在でしょう。

たとえ地主との関係が良好でも、次の借主も同様であるとは限らないので、地主は借地権の売却を好まない傾向があります。
そして、承諾料を理由に借地権の売却を承諾するケースがあるということです。

承諾料の一般的な相場は、借地権価格の10% だと言われています。
借地権割合が土地によって違うので一概には言えませんが、仮に70%だとすると、承諾料は更地価格の7%にも相当します。

土地が高ければ、承諾料も相当な負担になるので、地価が高い借地に古い家が建つケースでは、家の売却代金よりも承諾料が高いという事態も起こり得ます。

地主と折り合わないとき

金額は地主の意向次第だとしても、地主の承諾が条件であることに変わりはないので、承諾をもらえないときは、家を売ることができません。
もしくは、地主から高い承諾料を求められ、納得できないこともあるでしょう。

このように地主との折り合いが付かない場合、裁判所に申し立てることで、地主の承諾に代わる許可を得ることが可能 です。
裁判所の許可があっても、公平性のために承諾料は発生するのが普通です。

しかし、この段階まで来てしまうと、そこまでして家を売りたいかどうか、事情によって変わってくるので、家を売ること自体をよく考えなくてはなりません。

1-3.共有名義や土地の名義が異なる場合

家が共有名義となる主な理由は、夫婦や親子が出資して家を購入した場合や、相続で複数人が所有者となった場合など考えられます。
共有名義の家を売るには、共有人全員の同意を得る必要があります。

夫婦や親子関係であれば、共有名義でも売ることにそれほど支障はないと思われますが、相続人が多い場合には、意思の統一が難しいケースも考えられます。
共有名義では、全員が売主となって売買契約を結びますから、人数が多いと調整のために奔走することになるでしょう。

また、家は自分、土地は親というように、家と土地の所有者が異なる場合でも、借地の場合と同様に、土地が使えない家を買う人はいませんから、家の買主が土地を使えるように何か方法を考えなくてはなりません。

その場合、買主に土地を貸す、土地の所有者も一緒に売る、土地を先に買い取ってから家と一緒に売る、家を土地の所有者に売るなど考えられますが、いずれにしても土地の所有者がダメだと言えばそれまでです。

1-4.ローンが残っている場合、その契約次第では貸せない

住宅ローンは、資金の使途が住宅に限られており、なおかつローンの名義人がその住宅に住むことを条件に融資が行われています。
転勤等で本人が住まなくても、親族(扶養家族と両親程度)の居住なら認められますが、あくまでも居住用住宅への融資です。

ローンが残っている状態で家を貸すと、ローン契約上は契約違反となり、金融機関に相談しても大抵は断られますし、どうしても家を貸したければ、ローンは一括返済を求められるのが通常です。

しかし、契約約款をよく読むと、「届出なく」や「承諾なく」など、無断で住宅以外に使用した場合に適用される、条件付きの規定になっていることもあります。
契約約款次第なので、一度は契約書で確認してみましょう。

実際に、ローンで購入してから転勤等の事情で住めなくなり、賃貸にして返済を続けている物件は相当数あると思われるため、契約上の問題と実状は大きく異なるようです。

ローン契約約款確認のポイント

住宅ローン契約の約款は、細かい内容が数多くあるのですべてに目を通すのは大変です。
関係してくるとすれば、一括返済に関する内容を規定している箇所で、「全額返済義務」や「期限の利益喪失」などと書かれた項目を探してみます。

一括返済を求められるのは、多くが滞納や破産等による理由ですが、その中に、住宅の使用目的や用途の変更も含まれているはずです。
もし見つからなくても、虚偽の情報提供、債務者の責めに帰すべき事由など、いくらでも該当する規定はあるので、契約上で賃貸が許されると思ったら間違いです。

金融機関の対応

事情があって家を貸したいと、金融機関に相談したとします。
金融機関で対応は違うとはいえ、契約違反として一括返済を求められるのが濃厚で、契約違反を知っていながら、賃貸を容認する担当者はいません。

住宅ローンというのは、居住用住宅に特化して低利にしているため、賃貸用物件には事業者向けローン(アパートローンなど)が用意されています。
賃貸用物件に住宅ローンの低い金利を適用する理由はなく、事業者向けローンへの借り換えを勧めるパターンもあります。

ただし、転勤や出向などで一時的に住宅を離れる事情は、サラリーマンなら普通にあることだと知っているので、柔軟に対応している金融機関も多く、それは返済できる顧客ならキープしておきたいからです。

この辺は、建前では契約違反でも、本音では契約を続けたい意図が見え隠れしますが、特に、契約約款でも条件付きで例外を認める規定になっていると、事情によっては賃貸も可能と解釈もできることから、裁量の幅が広がって認められやすいでしょう。

無断で貸した場合

金融機関に無断で家を貸しても、発覚するまでは大丈夫ですし、ローンの名義人が住んでいるか定期的に調査するような金融機関もまずありません。
ですから、約定日にきちんと返済している限りは、見つからないで貸せるはずです。

問題は発覚したときですが、居住用と偽って融資を受けている事実は消せず、信用がなくなって一括返済を要求されるかもしれません。
それでも、知っていて黙認するケースや、発覚の時点で相談に応じるケースもまったくないとは言えず、建前と本音のどちらが優先するか金融機関次第です。

1-5.賃貸業にかかる手間

家を貸したら後は入居者任せとはいかず、大家としての仕事が残っています。
軽い気持ちで家を貸そうと考えるかもしれませんが、賃貸業という立派な事業なので、事業者として経営に臨む気持ちが大切です。

また、大家としてするべき業務は、外部に委託することで負担は減ります。
管理サービスを利用すると、費用が発生して判断をせまられる状況以外で、基本的に大家の出番はなく、入居者管理のほとんどは管理業者の対応です。

例えば、面倒な家賃トラブルやクレーム対応も、管理会社に任せてしまうと楽です。
管理委託料を支払うことで、家賃収入は当然落ちてしまいますが、相場としては家賃の5%程度なので、費用対効果を考えて判断することになります。

入居者管理

毎月発生するのが家賃の回収で、振込を使うとしても、毎月遅れないで家賃を支払ってくれるかどうかは入居者次第です。
家賃トラブルで頭を悩ませる大家は多く、滞納したから出ていけとも言えないのです。

また、入居者・近隣住民からのクレーム対応や、契約違反行為(例えばペット禁止、喫煙禁止などを守らない)をしたときにも対応しなければなりません。

他にも、退去時には立ち会って、入居者と修繕箇所(原状回復)の確認、敷金等の精算、ハウスクリーニングの手配など、意外と大家の仕事は多く、問題のない入居者ですら手間はかかると覚えておきましょう。

マンションでは所有者が組合員

分譲マンションを賃貸した場合でも、管理組合の組合員は所有者で変わりません。
組合員として議決権を行使し、組合員が負うべき義務も当然に所有者に責任があります。

総会など会合への出席が絶対ではないとしても、所有者が何もしなくてよいというものではなく、モラルのない入居者が管理規定を守らない場合、しわ寄せは所有者に来るので、これも大家の仕事になるでしょう。

1-6.初期費用は?

家を売る場合でも貸す場合でも、その時点で商品として市場に提供するわけですから、売り物件・貸し物件として質を求められるのは当然です。
しかしながら、売る場合と貸す場合では視点が異なり、それは将来の所有者になる買主と、一時的な入居者に過ぎない借主の違いにも関係してきます。

家を売る場合

買主は事前に家を見ているのが普通で、その家を現状渡しで買うために契約します。
したがって、不具合がなければそのまま引き渡すだけで初期費用はないのですが、空き家の状態で売るときに、高く売る目的や見た目をよくする目的で費用が発生するなら、それは初期費用に該当します。

・清掃費用

きれいなほうが売れやすいのは確かだとはいえ、常識的な清掃状態なら買主から不満が出るとも思えず、売買契約にハウスクリーニングまで盛り込むことは、それほど多くないと考えられます。

そのため、あえてメリットを挙げるとすれば、空き家にして売るときに、「ハウスクリーニング済み」と広告に記載できることです。
その程度ですから、清掃費用は何が何でも発生するものではありません。

・設備費用

家が引き渡されてから設備の不具合がトラブルになるのを防ぐ目的で、売買契約時は家の設備について一覧表を提供し、買主と設備の状態や引き継ぎについて確認します。
そのとき、動かない・故障している・保証期間切れの設備については、買主が新品交換するかもしれませんし、売主に修理・撤去を求められるかもしれません。

これらはすべて買主との協議で行われるため、設備費用がいくらかかるかを事前に知ることはできず、最大値ではすべての設備が問題なく動くための費用となります。

・リフォーム費用

リフォームについては、構造的に不具合がある場合や、家が古くて見た目が悪い場合に、価値を高める目的で行われます。
壁紙等の小規模なリフォームから、耐震補強などの大規模なリフォームまであって、対象箇所で費用は異なるので一概には言えません。

ただし、すべての購入希望者がリフォーム済み物件を探しているとは限らず、現状渡しの家を自分でリフォームしたい層まで考えると、安易なリフォームは考えものです。
リフォーム費用を丸ごと売却価格に上乗せできなければ、現状渡しのほうが得です。

家を貸す場合

家を貸す場合は、基本的に現状渡しという考えはなく、住環境を貸主がある程度整えなければ、そもそも借りたい人が現れません。
借りてから自分でリフォームする人がいないのも、売る場合との違いです。

・清掃費用

借主が退去するときのハウスクリーニングについては、敷金で精算するか、契約で借主負担に定めておくことで、持ち出しにならなくて済みますが、最初の入居者に備える際は、当然に貸主負担です。

設備はそのままで貸し出せても、不衛生な家に住みたい人はいませんし、他人に貸し出す家としてクリーニングをしておくのは当然でしょう。
汚れが落ちなければ、カーペット・畳・壁紙の張り替えまで、視野に入ります。

料金については、家の広さも関係してくるので一概に言えませんが、クリーニングだけなら10万円を目安にしておけば、大抵の家はカバーできるはずです。

・設備費用

家を売る場合と違い、家を貸す場合の設備は、借主が入居時から使用していくので、正常に動作することが大前提となり、点検費・修理費・交換費は初期費用です。
現在住んでいる家なら、設備は特に問題ないと思いますが、点検だけはしておかないと、設備故障はすぐクレームに繋がるので要注意です。

また、自分で使う分には問題ないレベルでも、他人が使うには抵抗があることも多く、特に水回り(キッチン・トイレ・風呂)ではその傾向が強いです。
ハウスクリーニングで改善されないときは、交換する費用も発生します。

・リフォーム費用

リフォームは家の築年数にも依存するとはいえ、借主が重要視するのは内装のきれいさなので、カーペット・畳・壁紙、場合によってはフローリングの張り替えまで考えておかないと、いくら外装がよくても中が汚ければ敬遠されます。

家を売る場合は、汚れていても買主の好みでリフォームするのに対し、自分では何もできない借主だからこそ、家を貸す場合には初期費用が多くなりやすいということです。

1-7.二重ローンが組めるとは限らない

家を貸すときに、次の家の購入でローンを組む予定があるのなら、ローンが組めずに計画どおりにいかない可能性も考えておかなくてはなりません。
貸し出す家のローンが終わっているなら問題はないので、ここではローンが残っている家を貸す場合を想定しています。

どの金融機関でも、住宅ローンの審査にはすべての借入金を申告しますが、他の借入金も含めて新たなローンの返済が可能であるか審査されます。
収入によっては借入金が多くなりすぎると判断され、ローンが組めなくなります。

このとき、貸し出す家から得られるだろう家賃収入を、収入としてみてくれる可能性もないとは言えませんが、前年の家賃収入を、事業実績として提出できるならまだしも、これから貸し出すのなら難しいかもしれません。

2.売却額や賃料はいくらか?

売却額や賃料にある程度の予測すらつかないと、売却に支障をきたしたり、収支計画が立てられなかったりと不便です。
しかし、正確に知ることは無理なので、大体の金額までを調べることになります。

また、売却では買主との価格交渉が当たり前にされるのに対し、賃貸で借主が価格交渉してくることは少ないでしょう。
貸主が提示した賃料は、借主が賃貸物件を探す過程で考慮されており、普通は提示されている賃料と内見の印象で、借りるかどうか決めているからです。

したがって、交渉次第では数百万円単位で動く売却額と違い、仮に価格交渉があっても上下5,000円程度の賃料の方が、金額は把握しやすいことを付け加えておきます。

2-1.周辺の物件を見る

かんたんに売却額や賃料の相場を掴むには、周辺の売り物件・貸し物件を探すことです。
もちろん、自分の家とまったく同じ家は存在しませんから、似たような土地の広さ、似たような家の間取り・構造・築年数などを参考にします。

売却額であれば、国土交通省が不動産取引の当事者にアンケートをしてデータを収集しており、実際の取引事例を検索できるシステムを用意しています。
過去のデータに過ぎないとはいえ、実例であるだけに有力な情報になるでしょう。

国土交通省|土地情報総合システム

他にも、不動産会社等が運営する、売り物件・貸し物件を扱うポータルサイトは無数にあり、いくつか見ていけばぼんやりした価格イメージは持てるはずです。
同じ価格で売れる・貸せるとは限らない(特に売り物件は価格交渉で値下がりしやすい)ので、価格は参考程度になります。

なお、家の売却額には土地の価格を含み、賃料も土地のコストが転化される性質上、相場には地価に応じた地域差が存在します。
したがって、同じ築年数で同じ間取りの家を離れた地域で探しても、あまり意味を持たない点には注意しましょう。

2-2.一括査定サービス

こちらも大まかな価格帯までしか知ることはできませんが、一括査定サービスを利用して、複数の不動産会社が提示した査定価格を比較する方法があります。

売却一括査定:イエイの無料一括査定
賃料一括査定:無料賃料査定

そもそも売り出しや貸し出しを行う際、その価格を決めなければ行えないので、査定はそのために行う不動産会社の業務です。
そのため仲介を行っている多くの会社が無料で行っており、ある程度の精度で知ることができます。

ただし、一括査定サービスに参加している不動産会社は、その後契約に結び付けたい意向があるため、査定価格を高めにしてアピールする場合があります。
売主や借主が決まるまでには値下げ交渉が入ることもあるため、その価格で売れる・貸せると思わないことが大切です。

それでも、一度に複数の査定価格を得られるメリットは大きく、簡易(机上)査定であればネットとメール・電話で完結するのでさほどの手間もかからず、査定相場を知る目的としては試しておいて損はありません。

3.それぞれの手取りは?

売った場合でも貸した場合でも、想定している売却額や賃料が、そのまま収入として手元に残るわけではなく、経費や税金が引かれます。
売るか貸すかで、発生する経費や税金は異なりますので解説していきます。

3-1.売った場合

  • 印紙税
  • 仲介手数料
  • 測量費用(土地の測量をした場合)
  • 登記費用(ローンがある場合)
  • 繰り上げ返済手数料(ローンがある場合)
  • 所得税と住民税(詳細は後述)

印紙税と仲介手数料は売却価格に応じた金額となり、一概に金額を示すことはできませんが、印紙税ならよほど高額な家でもない限り30,000円以下、仲介手数料は売却価格×3%+6万円(売却価格が400万円を超える場合、消費税別)で求められます。

測量費用は発生するかどうか分からず、登記費用は決済時の司法書士次第、繰り上げ返済手数料は金融機関次第と相手によって変わる費用です。
これらの費用の他、売却で利益が出たか損失が出たかで、税金の扱いが異なります。

売却益と売却損の税金

売却益が出た場合、その金額によっては、翌年の確定申告で譲渡所得税(所得税・住民税)が課税される可能性もあります。
一般的には売却益が出ることは少なく、マイホームなら売却益から3,000万円控除できる制度があるため、売却益の心配はそれほどない でしょう。
ただし、取得金額が分からないときは、売却額の5%と相当安い金額で取得したとみなすことになるので、注意が必要です。

なお、売却益に対する税金は、所有期間が5年以下と5年超で大きく変わります。
もし所有期間が5年に近い状況なら、5年を超えてから売ると、利益が出ても税額が小さくなるので、判断の1つにはなるはずです。

逆に売却損が出た場合、給与所得者であれば翌年の確定申告で所得税が還付され、それに応じて住民税も減額される可能性があります。
ただし、所得税の還付や住民税の減額は、5年を超えて所有したマイホームを売却・買い替えした場合で、なおかつ特定の要件を満たさなければ適用はされません。

いずれにしても、発生するのは確定申告後なので、売却時の手取りには直接影響しませんが、翌年に発生する費用や収入として考えておく程度です。

3-2.貸した場合

  • 固定資産税と都市計画税
  • 火災保険料
  • 仲介手数料(入居者ごと)
  • 事業所得に対する所得税と住民税
  • 管理委託料(管理を委託する場合)
  • 修繕費(もしくは積立金)

固定資産税や都市計画税、火災保険料のように、家を貸さなくても発生する費用については、それまでも支払っているので詳しくは取り上げませんが、売却すれば必要なくなる費用も、貸し出す場合は継続して支払う必要があります。
さらに家を貸すことで新たに発生するのは、不動産会社への仲介手数料、事業所得に対する税金、管理委託料、修繕費または修繕積立金です。

不動産会社への仲介手数料は、建前として家賃の1ヶ月分以内の金額で、借主負担の習慣もあるため、貸主には発生しないこともあるようです。
それでも、広告料などの名目で、不動産会社に支払うと思ったほうがよいでしょう。

事業所得に対する所得税・住民税は、家賃収入から事業経費を引いた結果、プラスになった金額に応じて発生する税金です。
もし経営が赤字になれば、給与所得など他の所得と相殺することも可能です。

管理委託料は、自分で管理するなら不要で、委託する場合は家賃の5%が相場です。
どこまで委託するかによって変わるので、金額は管理業者次第です。

なお、修繕費については、マンションなら積立金を支払っているはずで、家を貸したからといって発生する費用ではありません。
しかし戸建住宅では、自分で住む場合に意識しなくても、他人に貸すとなるとある程度の劣化で修繕する必要があり、修繕費を毎月積み立てておく必要があるでしょう。

4.将来的な家を売る場合の注意点、貸す場合の注意点

家を売るとしても貸すとしても、今すぐに家を売る場合を除くと、将来的にどうするか考えて家という資産を運用しなければなりません。
例えば、貸しながら値上がりを待つ、相続させたいから売らずに貸すなどです。

ところが、判断を後回しにしたことで、想定外の結果になるかもしれず、特に家を貸す場合において、自由に処分できなくなることは念頭に入れておくべきです。

4-1.家の劣化と地価動向

今は売らずに貸す、または貸す予定がなくてもとりあえず今は売らない場合、家と土地の資産価値が将来どうなっていくか、想定しておきたいところです。
少なくともはっきりしているのは、家には経年劣化があって価値が下がるので、将来高く売れるかもと考えるのは間違っています。

貸していればその間に賃料は下がり、売るときには売却額も下がります。
もっとも、将来の売却額が下がる分より、その間に得られる賃貸経営での所得が上回れば、資産運用としては1つの成果です。

一方の土地ですが、都市圏や再開発などで需要が増加する例を除くと、値上がりを見込んで待つ戦略は、よくて現状維持くらいでしょうか。
少しの値上がり程度では、毎年発生する土地の税金分でマイナスになります。

地価の長期的な展望を予測するのは難しく、地方では地価公示が下落傾向にあることを踏まえれば、大抵の地域では将来地価が上がる期待ができません。
家の価値は下がり、地価は上がらないとなれば、売れるうちに売る決断も重要です。

4-2.借り手は守られている

家を借りた借主は、貸主の都合で出ていけと言われても路頭に迷ってしまいます。
そこで、借主保護の観点から借主に借家権の存在を認め、正当な理由がなければ、契約更新を望む借主に、出ていけとは言えないことになっています。

その結果、借主が出ていくと言わなければ、永久に住み続けることができてしまい、将来を見据えた家の活用にとって大きな障害になるでしょう。
例えば、転勤中や渡航中に家を貸し、戻ってきたら住むことを考えていても、借主が出ていくと言わない限り住むことはできません。

このような不都合を解消する方法として、契約期間の満了で更新がない「定期借家契約」という契約形態があり、一時的な家の貸し出しにはよく使われています。
※一般に使われる更新がある契約は「普通借家契約」と呼ばれます。

定期借家契約の締結とデメリット

定期借家契約を結ぶには、公正証書等による書面契約と、期間の満了で契約が終了することを書面で交付する制約があります。
これらの制約は大きな問題にならないのですが、問題は賃料が下がる点です。

更新がない定期借家契約は、契約期間が終わって借主が再契約を望んでも、貸主は断ることができ、借主にとっては普通借家契約よりもデメリットが大きいです。
そのため、普通借家契約と定期借家契約では、定期借家契約の方が賃料は低い傾向で、この点は貸主にとってデメリットです。

周辺物件や一括査定から、参考賃料を求める場合においても、普通借家契約を前提としているので、定期借家契約を考えているなら、少し割り引くべきでしょう。

4-3.賃貸中に売る場合は収益物件の扱いに

家を売る場合、空き家の状態で引き渡すのと、貸している状態で引き渡すのとでは、物件としての価値が異なる場合があることには要注意です。
例として、家が500万円、土地が1,500万円の戸建住宅だとします。

2,000万円の価値がある住宅を、2,000万円で売り出すのは適正価格ですから、需要があればそれほど苦労せずに買主は見つかると思われます。
この住宅を、家賃10万円の入居者がいる状態から売り出すと変わってきます。

入居者がいる家賃10万円の物件は、年間120万円の家賃収入になり、2,000万円に対する利回りは120万円÷2,000万円×100%=6%です。
利回りが6%では、収益物件として見たとき高い方ではありません。

本来は2,000万円という価格で評価される物件から、入居者がいることで、6%という利回りで評価される物件に変わってしまうということです。
利回りを10%として売り出すには、1,200万円まで価格を下げなくてはならず、これは損失が大きすぎて承知できないでしょう。

4-4.大切に使ってくれるとは限らない

自分の家は愛着があって大事にしますが、借主にその気持ちまで求められません。
借主の退去時には、敷金を使って原状回復するとしても、自分で住んでいたら到底考えられない汚れやキズだらけ…という光景は、賃貸経営で珍しくはないです。

家を大切に使って欲しいのは、大家なら誰でも同じですが、家に対する想いの違いですから借主に求めるのも酷ですし、賃貸物件と居住用物件は最初から違うと思って、家を貸す場合には割り切る覚悟も必要です。
特に将来的にもう1度住みたいと考えている場合は、見過ごせない点でしょう。

この辺は、入居者選びにも関係してくるとはいえ、入居前にその人が家を大切に使うかどうか予想できるはずもありません。
故意に家を破損させているならまだしも、大切に使っていないことがわかっても、主観の範囲かもしれず、退去を求めることもできないのです。

まとめ

使わない家をどのように活用するかは、家がただの物ではなく、生活の拠点で家族のよりどころとなる場所であるだけに、行動が鈍くなりがちです。
売るとしても貸すとしても、他人の手に渡るか他人が住むことに抵抗もあるはずです。

不動産の活用では、最終的にその不動産をどうするのか将来設計をして、活用方法を検討していくのが正しいとされます(出口戦略という言い方をします)。
しかし、資産活用として考えていない家が、いざ活用の対象になると迷うでしょう。

この記事では、家を売る場合と貸す場合について説明してきましたが、どちらが優れているという結論は出していません。
それは、人によって考えが異なり、置かれている事情によっても異なるからです。

ただの物ではないからこそ、損得だけにとらわれず、自分が後悔しない方法を選ぶべきで、それも1つの出口戦略ではないでしょうか。
本サイトでは、その判断ができるように今後も情報を提供していきます。

不動産会社8社に査定を依頼したら
不動産会社8社に査定を依頼したら330万円の差があった

今後の目安のため、一括査定サイトを使って実家の査定を依頼したところ、安い会社と高い会社の差が330万円ありました。
簡易査定なら情報を入力するだけで、その日の内に連絡が来る会社も多く、売却相場がすぐに分かります。

主な不動産会社

「でも、わずらわしい営業電話はこないのか?」
「どのような感じで連絡がくるのか?」
そんな疑問に身をもって体験した結果はこちら。