空き家からのシェアハウス経営。運営の始め方とメリットデメリット

シェアハウスのリビング
近年、核家族化が進んだ日本では、世帯を構成する人数が減り、広すぎる家は売れない・貸せない状況で持て余されています。
しかし、広い家を細かく部屋で区切って貸すシェアハウスが増えていることで、広い家の活用が見直されるようになりました。

現在のシェアハウスは、全国の半数以上を東京23区内が占めており、単身者が多い都市圏を中心としていますが、全国に広がりつつあるのは確かです。
シェアハウスはどのような種類があるのか、どのように始めるのか解説します。

シェアハウスとは

シェアハウスとは、複数人が1つの物件に集まり、LDK、トイレ、浴室などを共同利用しながら、各部屋には独立して家賃を発生させる形態の賃貸住宅です。
よく似た形態にルームシェアがあって、両者は混同しやすいので違いを確認します。

ルームシェアとシェアハウス

ルームシェアの場合には、1つの物件全体に対して発生する家賃を、シェアする複数人(ルームメイト)が共同生活しながら分割して負担します。
ほとんどが家族・知人・友人で、いずれにしろ契約するのは1人ですから、ルームシェアは賃借人の任意で行われ、1人で住むのも複数人で住むのも賃借人の自由です。

一方のシェアハウスですが、各部屋の住人に対し、個別で賃貸借契約を結びます。
リビングなどの一部は共同で利用するとしても、契約上は個別の賃借人として存在するため、家賃も個別ですし新たな入居者を決めるのも大家です。

入居者同士は他人も多く、したがって、シェアハウスでは個別の賃借人同士を管理する体制が必要となり、住人は個別契約であること、管理が必要なことが異なると覚えておきましょう。

シェアハウスの事例

シェアハウスが少しずつ広がる過程において、多種多様なシェアハウスが生まれました。
住居としての目的はもちろんあるのですが、住居+αの部分を求める層も増えていることから、シェアハウスの事業者は、コンセプトを先に決めて運営しています。

コンセプトの分類は無数にあるため、住居としてのシェアハウスにするか、+αに該当するコンセプトを持つシェアハウスにするか、経営者としては悩みどころでしょう。

住居としてのシェアハウス

住居としてのシェアハウスは、男性か女性に限定した形態が典型的です。
他人同士ではプライバシーの問題から男女混合に支障があること、風紀が乱れやすいといった理由で、どちらかの性別に限定して募集するケースが多く見られます。

ただし、女性限定物件のニーズはあっても、男性専用物件はごく僅かしかありません。
女性の中には、1人暮らしに不安があって、シェアハウスに住みたい層が存在するのに対し、多くの男性はその不安がないからです。

コンセプトを持つシェアハウス

漫画家を目指す若者に向けた「トキワ荘プロジェクト」、エンジニアや起業家、芸術関係、建築関係など、最初から共通点を持つ人を対象にしたシェアハウスもあります。
同じ分野・趣味に関わる人が集まることで、ディスカッションしたり互いに刺激し合うなどのメリットも多く、仲間を呼び込んだりする集客効果も望めます。

その他にも、体験農業付きシェアハウス、シングルマザーが互いの子育てを支援しながら共同生活するシェアハウス、国際交流や語学勉強のために国籍を問わないシェアハウス、フリースペースでイベントを開催しているシェアハウスなど、コンセプトは様々です。

メリットデメリット

戸建てやマンションの賃貸と比べて、シェアハウスでは経営的な側面で、メリットもデメリットも幅が広がります。
つまり、大きなメリットと大きなデメリットを併せ持つ賃貸経営となります。

メリット

シェアハウスのメリットは物件の収益性を最大限に高めることができる点です。
1軒を1人(1組)に貸すのではなく、部屋それぞれが賃貸の対象になることは、単純な増収だけではなく、賃貸経営には欠かせない空室リスクにも影響します。

総収入が上がる

1軒を貸したときの家賃よりも、複数人に割安で貸した総家賃の方が大きくなります。
したがって、費用対効果が高く、好転すれば改修費にもお金をかけられるようになって、さらに家賃を高くできるようになっていくでしょう。

空室リスクに強い

シェアハウスでは、誰かが退去しても他の人が借りている限り、家賃収入が確保できます。
空き部屋があっても収入が確保できる点は、賃貸経営において非常に大きいメリットです。

多目的のニーズがある

シェアハウスを求めるニーズは、単に居住したい人だけではなく、旅行・出張・出向などで一時的な利用を考えている人、交流を目的にしている人など、通常の賃貸住宅とは異なったニーズを持っています。

デメリット

シェアハウスのデメリットは、以降で述べるようにメリットと表裏一体です。
デメリットをどのように感じるかは人それぞれですが、主なデメリットは管理面にあるため、集合住宅の賃貸経営と同様に、管理委託することで負担は大幅に減ります。

入居者間のトラブル

シェアハウスでどうしても避けられないのが、入居者間のトラブルです。
他人同士が同じ屋根の下で住む以上、トラブルは避けられないのですが、定期借家契約を使うと最小限に抑えることは可能です。

ターゲットが限られる

シェアハウスの利用者は、基本的に単身者で、若い世代や外国人に多くあります。
とりわけ日本では、人的交流に積極的な人が少ないですし、外国人は観光客も含め増加していますが、どうしても不安が残るかもしれません。

管理が大変になる

複数人が住むと、それだけクレーム対応・設備管理が多くなることは避けられません。
住人同士がコミュニティとなって自ら解決してくれる環境が理想で、そうでなければ大家として対応する手間が増えるので、一軒貸しと比べてかなり大変です。

必要な条件

元々の知り合い同士がシェアハウスを立ち上げるケースを除き、他人を集めてシェアハウスに住んでもらう前提を考えると、独立した居住空間としての個室と、共用部分のそれぞれに対して投資が必要になるでしょう。

個室

7.5㎡~12.5㎡が半数以上を占めており、畳なら4畳半~8畳弱程度です。
共用部分も生活空間になるため、シェアハウスでは個室の広さはあまり問われない傾向にあるようで、7.5㎡以下でも成立します。

リビングを除くと、どの部屋も4畳半~8畳で構成されている家は多いですし、部屋の大小は家賃に反映させるとよいので、広さの面では問題にならないでしょう。
広すぎる部屋があるときは、間仕切りを作って2部屋にすることも考えられます。

また、シェアハウスへのアンケートでは、そのまま住むことができることを理由としているデータもあるため、家具などの備え付け物件が人気は高くなります。
身一つで出入りできる方が、短期的な契約では理にかなっているからです。

よって、エアコン、ベッド、机・椅子、クローゼット、インターネット回線端子くらいは必要で、可能なら小型でもテレビ・冷蔵庫といった家電もあるとなおよいです。
唯一、寝具については他人が使ったものを使いたくない人もいるため、ベッドだけ用意して持ち込み可能にするか、退去の都度クリーニング・新調となります。

個室の鍵について

シェアハウスは、他人同士が集まって暮らす空間であることを考えると、ドアに鍵がない状況は、セキュリティー的に不安がありますし、盗難騒ぎなど余計なトラブルを招くので、個室に鍵を付けておくのは当然かもしれません。

予算的に可能であれば、カードキー(カードではなくても電子キー)にしてあげると、物件として大きなアピールポイントになります。
なぜなら、個室の鍵は玄関の鍵と違って、内部の人間からピッキングが可能になるため、シリンダー錠はセキュリティーへの不安が大きいからです。

カードキーを使うと、入居時・紛失時の再登録など面倒も増えますが、ニーズが高いことだけは念頭に入れて鍵を考えてみましょう。

共用部分

入居者全員が使うリビングダイニング、キッチン、風呂、トイレについては、設備の質=物件の質といってよいくらい、重視するべきポイントです。
実際にも、物件紹介で使われる画像には、共用する設備を写したものが多いです。

また、共用部分の設備を考えるときは、住人が家族ではなく、他人同士であることに十分配慮しないと、入居者が長続きしません。

リビングダイニング

ソファ、テレビ、テーブル・椅子、エアコンは必須でしょう。
その他で必要だとすれば、シェアハウスは利用者の年齢層が若いので、Wi-Fi接続できるように、無線ルータを用意してあげると親切です。

キッチン

満室になったときの人数によりますが、冷蔵庫・炊飯器・電子レンジ・ガスコンロは、目安として5人あたり1台は用意したい設備です。
なお、火災リスクを減らすために、IHを導入するのも1つの手でしょう。

風呂

風呂を複数用意するのは、現実的に費用は大きいとはいえ、利用に時間がかかる設備ですから、シャワールームだけでも増設してあげると便利です。
また、脱衣所に鍵を付けた方がよいのは言うまでもないでしょう。

トイレ

トイレは生理的な現象なので我慢ができず、複数用意するべき設備と言えます。
それ以前に重要なのがトイレの音で、トイレを流した後の排水音は構造上仕方なくても、トイレ中の音が漏れるのは、女性なら敬遠して長く住んでくれません。

その他

日常的に利用する設備として、洗面所、洗濯機(乾燥機)、掃除機など、人数によって複数あった方が便利な設備は、できるだけそろえたいところです。
他には、ダイヤル錠式のかんたんな仕組みで構わないので、施錠できるポストは、プライバシーの点からニーズが高い設備です。

定期借家契約

シェアハウスの賃貸借契約は、圧倒的に定期借家契約で結ばれます。
これは、契約終了時に再契約しないことで、トラブルを起こす入居者を退去させる理由と、シェアハウスでは1年未満の短期契約も十分あり得るからです。

アンケート調査においても、1ヶ月~1年未満が6割を超えており、契約終了の度に再契約していくのは面倒ですが、定期借家契約はリスク回避にも繋がるので、必須だと思って考えた方がよさそうです。

なお、定期借家契約は普通借家契約に比べて、家賃相場が低いデメリットがあります。
それでもシェアハウスの場合は、複数の部屋から賃料収入があるので、定期借家契約でも十分な収入になるはずです。

はじめ方

シェアハウスの経営では、管理まで自分でするのか、管理は外部に委託するのかで運営方法が分かれる点は、他の賃貸経営と同じです。
管理委託するかどうかは、コストと手間の交換ですから、物件が遠い場合はもちろん、物件が近くでも面倒なことが嫌いなら検討の余地はあります。

シェアハウス経営の流れ

最初にするべきは、ターゲットの選定(性別・年齢層など)です。
とりあえず個室を作り、きれいにリフォームするだけでも、汎用的に使えるシェアハウスを作ることはできますが、それだけではどこにでもある物件になりがちです。

共用設備にお金をかけるのか、セキュリティーに気を配るのか、スタイリッシュにするのかなど、限られたお金を配分していく上で、先にターゲットを決めておかないと、誰にとって暮らしやすいシェアハウスなのか、軸があいまいになってしまいます。

次に、ターゲットに合わせたリフォームを行い、物件として情報発信するには、シェアハウスを専門に扱うポータルサイトが便利でしょう。

ひつじ不動産
TOKYO SHAREHOUSE
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問い合わせや入居希望があれば、物件案内や賃貸借契約を行わなくてはなりません。
仲介業者と契約する方法もありますが、シェアハウスには、ローコストを求めている層が少なくないため、敷金・礼金・仲介手数料があるだけで敬遠されやすくなります。
どちらも一長一短ですから、ここは経営者判断が問われるところです。

シェアハウスとして稼働し始めると、残りは管理の問題です。
ここから自分で管理するか、管理を委託するか分かれますので、別々に説明します。

自分で管理する

シェアハウスの共用部分は、入居者全員が利用する設備ですが、管理は大家の仕事です。
アパート経営なら月に1回程度外回りの清掃で済んでも、シェアハウスでは頻繁に内部の清掃をしないと、きれいに使う意識の低い入居者はすぐに汚します。

併せてゴミ出し等も必要になってくるので、管理に訪れる頻度はかなり高いです。
また、他人同士が近い距離で接するシェアハウスでは、トラブルを回避するためのルール決めや周知も必要になり、それでも起こるのがトラブルです。

これらをすべて自分で管理するのは大変ですが、その分だけ利益が出る方法で、対象物件が比較的近くにあって、対応がスムーズに行えるなら検討してもよいでしょう。

管理を委託する

シェアハウスの管理は、一般の賃貸物件管理とは異なる性質を持っています。
そのため、管理委託料は10%から20%以上取られるケースもあって、収入が多いシェアハウスといえども、管理委託するにはそれなりの稼働率を必要とします。

また、シェアハウス管理のノウハウがある管理会社、シェアハウス専門の管理会社が見つかればよいですが、そうとも限らないでしょう。
灯台下暗しで、シェアハウスの運営会社が管理業務を扱うケースもあります。

シェアハウスの管理委託 むらびと

結局、シェアハウスのことはシェアハウスを運営している事業者が一番詳しいわけで、管理業務を扱っていないか、運営会社を調べてみるのも有効です。

まとめ

シェアハウスは、トラブルが増えそうなこと、管理委託料の相場が集合住宅よりも高いことで、敬遠する投資家もいるようですが、需要があるからこそ伸びている分野です。
一軒貸しではニーズがない空き家でも、シェアハウスなら道が開けます。

ただし、リフォーム・設備面での投資は、一軒貸しよりも多くなるので、費用対効果をよく考えておかないと、いくら家賃収入が多いシェアハウスでも、失敗したときのダメージは大きいでしょう。

また、家族が住む家とシェアハウスでは、プライバシー・セキュリティーの重要度がまるで違いますから、入居者視点で設備を考えてあげることが大切です。

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