シェアハウスや福祉施設など、空き家活用の8つの事例

空き家

今、田舎では実家を相続しても、活用ができなくて困っている人が大勢います。
思い入れのある実家を処分することのためらいがあり、仏壇のある実家にはお盆や法事で帰省することもあって、なかなか手放せないからです。

しかし、田舎の空き家問題を放置できない政府は、空き家特別措置法を制定し、自治体が空き家への対策を合法的に行える体制作りを強化しました。
倒壊等の危険がある空き家に対しては、自治体判断で強制撤去も可能になっています。

このような時代背景の中、古くなっていない空き家でも何か活用方法を考えなくては、やがて自治体から指導・勧告・命令といった処分を受けることになります。
人の住まない家は劣化が急速に進むので、使えるうちに手を打ちましょう。

なお、ここでは住居以外を含めた実際の事例や各地の取り組みを中心に紹介しています。
より体系的な活用方法の一覧はこちらをご覧ください。

空き家の活用方法一覧とその特徴
親から相続した、予期しない転勤が決まったなど、家を持て余して空き家にしてしまうのは、維持費がかかるだけに少しもったいないでしょう。 何とか...

賃貸物件として貸す

田舎暮らしが見直されるようになって、都市圏からの移住が少しずつ進んでいます。
現役をリタイヤして、余生を静かに過ごしたいという希望が主ですから、当然アパート等の集合住宅よりも戸建が対象になりやすいのは言うまでもありません。

ところが、田舎には空き家が多数あっても、不動産市場が活性化しておらず、借りたい側と貸したい側のマッチングが機能していませんでした。
そこで登場したのが、全国の各自治体やNPO等が提供している空き家バンクです。

もちろん、空き家バンクが自治体主体でも、自治体が不動産会社の代わりに仲介業を行うわけではないので、不動産会社の介在は不可欠になります。
しかし、自治体が介在する安心感は、借りたい側に大きく作用するでしょう。

また、これまでの賃貸は、貸主が物件を管理し、必要ならリフォームをして借主に提供する必要があり、田舎の実家にお金をかけたくない心理から敬遠されていました。
現在では、借主が改修を行う「借主負担DIY型」の賃貸形態が注目されています。

1.空き家バンクの活用

JOIN

多くの自治体が、空き家対策として空き家バンクを設置しており、その数は500にもなるとされるので、まずは実家のある地域で、空き家バンクを確認してみましょう。

JOIN ニッポン移住・交流ナビ‐空き家バンク・住まい
住み替え・二地域居住‐空き家バンク情報

空き家バンクへ登録するメリットは、単に借主とのマッチングを図るだけではなく、リフォーム等で出費があるときに、費用の助成・補助をしてくれる点です。
すべての空き家バンクで改修費用の助成・補助制度があるとは限りませんが、制度があるなら利用しない手はありません。

なお、現在は自治体単位の空き家バンクですが、早ければ2017年度には、空き家バンクの全国版をスタートさせる動きがあり、今後は空き家バンクへの登録も一元化されていくと思われます。

借主負担DIY型とは?

空き家となった田舎の実家を賃貸する場合、これまでは貸主である所有者が、内外装の修繕を行い、きれいな状態にしなければなりませんでした。
これは貸主の義務ではなく、単に慣習的なものですが、きれいな物件から借り手が付く実情を踏まえればやむを得なかったのです。

借主負担DIY型においては、居住に支障があるほどの大きな修繕でなければ、そのまま借主に引き渡し、借主が自分で修繕しながら居住する形態です。
借主負担DIY型のメリットは双方に大きく、賃貸市場の活発化が期待されています。

【貸主のメリット】

  • 住める状態なら修繕費用が発生しない
  • 借主が修繕するので長期契約になりやすい
  • きれいになって返ってくる可能性がある
【借主のメリット】

  • 自分好みに修繕できる
  • 修繕費が借主負担なので家賃が安い
  • 自己修繕に対して原状回復が必要ない

もっとも、借主負担DIY型にしても、貸主としても承服できない修繕はあり得るため、事前に修繕可能箇所の取り決めは必要です。
それでも、空き家から収益を得られ、管理も借主がしてくれるとなれば、借主負担DIY型の賃貸経営は、むしろ貸主にとってありがたいでしょう。

2.シェアハウスによる賃貸

田舎は賃貸物件が充実しておらず、特に単身者には不都合が大きい土地です。
そこで空き家活用の1つとして、シェアハウスで賃貸する方法も使われています。

元々シェアハウスは地域性が特定されるものではないですが、核家族化が進んだ現在では、家族連れですら田舎の空き家は広すぎる嫌いがあります。
無論、単身者では言うまでもなく、賃料の安いシェアハウスにも需要がある図式です。

シェアハウスにした場合、1人でも入居者がいれば家賃収入があるので、一種の集合住宅のように収益低下のリスク分散ができます。
また、複数の入居者がいれば、1軒で貸すよりも合計家賃が高く取れます。

もっとも、他人同士でうまくいかなければシェアハウスは成り立たないので、安定収入は難しいかもしれませんが、少しでも足しになれば損はありません。

3.改装可能にして店舗用に貸し出す

立地がかなり限定されるとはいえ、好きに改装して良いという条件なら、田舎の風情を生かしたまま、出店したい事業主がいる可能性は考えられます。
この場合、躯体(主要構造)以外は原形を失いますが、そこは割り切りが必要です。

また、どのような方法でも賃貸物件で貸し出した場合は、実家として使えませんから、荷物を完全に引き上げるつもりなら、住宅でも店舗でも同じことです。
店舗の場合は、むしろ借り手が付くかどうか問題なので、あまり期待せず自由度の高い賃貸物件としてアピールすれば、結果的に店舗になることもある程度でしょう。

公共用途に利用してもらう

田舎の空き家の数に対して、需要の絶対数が少ない事情から、すべての空き家が住居用に使われるのではなく、公共の場として再利用する試みもあります。

4.コミュニティスペース

小林ふれあいの家

地域住民が集まり、ふれあうためのコミュニティスペースとして、空き家を自治体やNPO法人等に使ってもらう形態です。
地元貢献の側面から、収益を考えるのではなく空き家を有効活用することが目的です。

世田谷区社会福祉協議会  小林ふれあいの家

こうした利用方法は、例えば持ち回りで参加者の家に集まって活動しているような、小さなサークルなどが、活動拠点に困って使用したいケースが多いでしょう。
また、単に近所の集会場所としても利用価値は高く、空き家が無駄になりません。

元々は、住居として使っていた家を、改装することなく引渡し可能で、管理にしても使用者や地域の有志に行ってもらうなどすれば、運営費用もタダで済みます。
基本的には寄贈ですが、使用貸借契約が可能かどうかは団体に確認してください。

5.移住者の体験用住宅

宇和島体験住宅

各自治体は過疎化による税収入の低下から、移住対策事業として、田舎暮らしの体験用住宅の提供や体験ツアーを盛んに行っています。
大抵は数日から数ヶ月間を、無料または安価に貸し出す方式が採用されています。

こうした活動が知られていないのは、自治体が公費(税金)を使って行える広報活動に限界があり、ホームページ等の限られた媒体しか利用できないことが理由です。

しかし、空き家バンクは空き家対策・移住推進事業の1つとして行われ、体験用住宅や体験ツアーも同じく事業の一環として行われていますから、空き家バンクがある自治体なら体験用住宅の需要もあるはずで、自治体に確認してみましょう。

なお、体験用住宅として専用に提供するのはあまり意味がなく、最終的には移住者に借りてもらうことが目的です。
そのため、特に事情がなければ空き家バンクに登録しつつ、体験用住宅としての提供も可能な意向を主催者に伝えることになるでしょう。

6.会員制の民宿にした事例もある

荒蒔邸

古民家の活用事例として、NPO法人の会員に限定した民宿として貸し出しているケースがあり、国土交通省の資料にも掲載されました。
NPO法人にグループで申込み、数千円の安価な宿泊費で提供するものです。

NPO法人遊楽 里美古民家の宿「荒蒔邸」

大きな古民家ですが、開業資金の約半分(200万円)を行政から補助してもらい、様々な田舎体験を提供する拠点として活用しています。
営利が目的になるような宿泊費は得られないとしても、地域に貢献すると判断されれば、行政から大きな補助を受けられる端的な事例です。

7.文化施設への提供

町並み資料館

全国的な広がりではないですが、一部の地域では資料館や図書館等の文化施設として、空き家を活用している事例もみられます。

小浜西組町並み協議会 町並み資料館

店舗を改装した例もありました。

こすみ図書

個人で行うには荷が重く、管理も必須となる性質上、運営してくれるNPO法人等に預ける形になってしまいます。

それでも、実家が文化施設として利用されるなら、亡くなった親も喜んでくれるでしょうし、 図書館などは活字離れが進む子供たちにも役に立つでしょう。

8.福祉・医療分野に提供

高齢化が進んだ田舎こそ、福祉・医療分野における活用ニーズは高いと考えられます。
実際にも、空き家を利用したフランチャイズ型のデイサービス事業をしている企業がありますし、福祉分野での活用を目指した空き家バンクもあります。

空き家バンクで福祉のまちづくりを考える会

文化施設への提供と同様に、運営してくれる団体等がなければ難しい活用方法です。
その地域の活動状況に依存するので運任せですが、借り手がまったくつかない実家をいつまでも放置できないなら、こうした活用ができないか確認してみましょう。

まとめ

親が住んでいたからといって、相続した実家も人が住むことを前提としていたのでは、人口流出が止まらない田舎の事情を考えると厳しい現実があります。
住む人が減ったからこそ空き家が増え、それが社会問題にすらなっているのです。

もちろん、空き家バンクなどのマッチングを活用して、移住者に積極的な働きかけをしてもらい、賃貸物件として成立するなら所有者としては望ましい結果です。
それでも、賃貸だけに目を向けて結果的に空き家が続けば、所有者には何のメリットもなく、古びていく実家を見続けるしかありません。

考え方によっては、最初は無料で地域貢献に貸し出し、活動が定着するのを待って、賃料交渉や買い取り交渉に進む手法もあるでしょう。
いずれにせよ使ってこその家ですから、単なる家財の倉庫にしてしまうのは、不動産としても地域としても損失が大きく、活用方法の見直しが求められています。

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