家を貸す方法。初めてでも失敗しないための10のステップ

家を貸す
家を貸すと決めていても、身内や知り合いが借りてくれるケース以外は、自力でできることは少なく、不動産会社の力を借りなくてはなりません。
そして、入居希望者が見つかっても、やはり不動産会社の力が必要です。

逆を言えば、賃貸経営に関する多くの業務は委託できる受け皿があり、最初に不動産会社に依頼してしまえば、あとはその会社の案内の元に進みます。

この記事では、家を貸すための手順について、不動産会社選びに始まり、入居者との契約、賃貸経営としての業務までを細かくまとめていますが、絶対的なものではなく、一般的な流れとして捉えてください。
また、大まかに流れを掴んでおく程度でも問題はありません。

1.不動産会社の候補を探す

不動産会社の存在自体は、駅など最寄りの商業地でよく見るでしょうし、家を購入したときの不動産会社やタウンページを見て探す方法もあります。
また、賃貸物件のポータルサイトで、地域の賃貸物件を探してみると、個々の物件で取り扱いをしている不動産会社が確認できます。

注意したいのは、不動産会社ならどこでも賃貸物件を扱っているとは限らず、売買専門や管理専門の不動産会社もあります。
ですから、賃貸物件を扱っている不動産会社を選別することが先決です。

2.賃料査定

どの不動産会社でも、賃貸物件を扱うときに賃料査定をしてくれるので、次の選択をする基準として、賃料査定を依頼することができます。
ただし、これは必須でもなければ、一括査定のサービスを利用して、候補を選び出す手段を兼ねることもできます。

無料賃料査定

賃料査定には2つの方法があり、簡易査定と詳細査定と呼ばれます。
複数の不動産会社に依頼するなら簡易査定を、ある程度絞り込んでから詳細査定というのも1つの手です。

・簡易査定
登記事項証明書(登記簿謄本)や地図、外観・内観の写真など、資料だけで大まかな賃料を査定します。
適切な賃料とはブレが出ますが、目安を確認するには有効です。
・訪問査定
簡易査定で使用する資料に加え、建築図書など物件の詳細を確認する資料も使います。
また、実際に物件を見て、賃料の上げ下げをするので、具体的な根拠に基づく家賃を得られます。

なお、複数に賃料査定を依頼する場合でも、高い査定がよいわけではなく、あくまでも適正な家賃が求められます。
いくら高い家賃で貸し出しても、入居希望者が現れなければ収入はなく、安い家賃で貸し出すと予定の収益が狂ってしまうからです。

そう考えると、低い家賃で貸し出した方が、収入がまったく得られないリスクを避けられますが、家賃を下げるのはかんたんでも上げるのは難しいので、判断を誤らないようにしたいものです。

3.不動産会社の選択

賃貸物件では、地域密着型の不動産会社の方が、入居者を案内するときなど、入居者からの質問に即答できて優位性があるのは確かでしょう。
しかし、営業力(営業資金)や管理業務を引き受けてもらえるか、サブリース契約が可能かどうかなど、すべてにおいて地域密着型が優れているとは限りません。

特に、現在遠隔地に住んでいて、自分で管理ができない状況なら、必ず管理委託をすることになりますので、管理委託が可能かどうかは要チェックです。
入居者がいれば住んでいることで管理しているのと同様になりますが、特に空室時に放置状態では家が傷むからです。

不動産会社の選び方で迷うようなら、以下の記事を参考にしてみてください。

不動産屋の選び方-免許番号や大手or地域密着等5つのポイント
「不動産屋さん」とは聞きなれた言葉ですが、どういう会社なのかまで理解している人は多くないかもしれません。 かんたんに言うと不動産を...

4.不動産会社との契約

入居者を斡旋してもらうための契約を不動産会社と結びます。
契約には媒介(仲介)と代理の2つあり、それぞれの違いは次の通りです。

・媒介契約
不動産会社に入居者を募集してもらい、大家が入居者を決定して契約します。
大家の手間は掛かりますが、自分で納得した入居者を選べます。
・代理契約
不動産会社に入居者を募集してもらい、不動産会社が大家の代理となって、入居者を決定して契約します。
大家としてほとんど何もせず楽ですが、希望しない入居者に貸してしまうこともあります。

貸したい家が遠隔地の場合、信用できる不動産会社なら代理契約になりますし、それほど離れておらず、不動産会社とのやり取りが苦にならないなら媒介契約になります。
媒介契約でも代理契約でも、大切なのは自分の希望を明確に告げ、希望に一致しない入居希望者を仲介されないようにすることです。

また、契約前には、不動産会社がどのような募集活動と状況の報告をしてくれるのか確認しておきます。
広く募集するのが大家の理想ですが、不動産会社としては、間に他の不動産会社が入らず、自社で入居者を見つけるのが、仲介手数料の面で理想です。
そのため、他の不動産会社が介在しないように、募集活動を限定する可能性があり、その点は注意しておきましょう。

契約に必要なもの

口約束で契約する不動産会社があるくらいで、契約に必要なものは決まっていません。
必要になるとしたら次のようなものです。

  • 間取り図
  • 案内図
  • マンションの場合は管理規約と使用細則
  • 設備関係の書類(一覧や説明書など)
  • 入居者案内で使う鍵
  • 本人確認書類
  • 印鑑

5.貸し出し前の準備

自分では我慢できる不便さも、他人には我慢できずにクレーム化することもあって、貸し出す前には居住環境を整える準備が必要です。
可能であれば、即入居できる物件としてアピールしたいところです。

  • 電気ガス水道を使用可能にしておく
  • 家の中には荷物を置かない
  • 入念に清掃をしておく
  • 必要ならリフォーム
  • 火災保険に加入しておく

電気ガス水道については、内見時(または設備の動作確認時)に必要としますが、電気と水道は使用可能でも、ガスは使用可能な状況を求められるとは限りません。
ガスを使える状態で放置しておくのは、防犯上の危険が大きいからです。

したがって、止めておいて入居時に開栓してもらう(してあげる)流れも多いです。

なお、基本的には入居者ごとに毎回鍵の交換をする(そうしないと入居者が不安に思う)ので、交換費用も発生すると思っておきましょう。

鍵の交換は、入居時に行うか退去時に行うかのどちらかです。
その費用を、借主が負担するか大家が負担するのかも契約次第で、入居時に余計な費用負担をしたくない借主の心情を考えると、借主負担だとしても退去時でしょうか。

6.貸し出し条件の設定

賃貸物件では、家賃以外にも多くの条件を付けて入居者を募集します。
条件は色々と考えられますし、大家が自由に決めて問題ないので例を示しておきます。

  • 契約形態:普通借家契約か定期借家契約
  • 契約期間:通常は2年
  • 保証:保証人または保証会社の利用
  • 火災保険:火災保険への加入を条件とするかどうか
  • 敷金礼金:それぞれ何ヶ月分にするか
  • 原状回復:借主にどこまで義務を負わせるか
  • その他:ペットや喫煙の可否

条件は多いほど入居希望者を制限しますが、それまで自分または家族が住んでいた家を、赤の他人に貸すのでどうしても条件を付けたくなるでしょう。
参考までに、決めるときの目安や考え方を説明しておきます。

契約形態

「普通借家契約」「定期借家契約」の違いは重要なので、必ず意識しておくべき内容です。

普通借家契約は、契約期間に関係なく、原則的に大家から更新を拒めませんので、入居者が住み続けたいと言えば、ほぼ無期限に契約が更新されます。

定期借家契約では、更新の概念がなく契約期間によって契約終了になることから、再契約しない限りは退去してもらうことが可能です。
決まった期間だけ家を貸したいときには、定期借家契約で契約するのがベターです。

その代わり、借主の立場では、もっと住み続けたいのに大家から再契約しないと言われるリスクを伴いますので、普通借家契約よりも賃料が安くなる傾向があります。

契約期間

普通借家契約なら1年以上、定期借家契約では自由に決めることができ、借主に事情があって短期間にするときを除くと、2年契約にすることが多いです。
借主がどのくらい住みたいかにもよるので、協議して決めればよいでしょう。

保証

家賃の滞納があったとき、借主に代わって請求先となるのが保証人や保証会社で、どちらも利用しない契約は可能ですが、滞納リスクが大きいです。
普通は借主との契約のときに、保証人を立ててもらうか保証会社と契約してもらいます。

保証会社を使うメリットは、確実な家賃の回収ができること、滞納が借主と保証会社との関係になること、保証人を立てられなくても入居可能とアピールになるなどです。
しかし、保証料の分だけ借主の負担が増すので、一律で保証会社にするのか、保証人を立てられないときだけ保証会社にするのか決めておきましょう。

火災保険

借主が火事を起こすと、焼失した部分に対して契約上の原状回復を請求できます。
しかし、その費用は高額になりやすく、借主が支払えない可能性もあるため、入居の条件として、借家人賠償責任という特約が付いた火災保険に加入してもらいます。

敷金礼金

敷金と礼金は、概ね2ヶ月分という相場があって、絶対的なものではありません。
ただし、敷金を安くしすぎると、退去時の清掃費用や原状回復費用が不足して、別途請求しなくてはならなくなるので、ある程度は確保しておくべきです。

礼金については減少傾向にあり、1ヶ月分や1ヶ月分未満としている契約も多いです。
また、アパートと違い、戸建てやマンションは短期契約が少ない傾向にあるので、長期的に見れば礼金の有無は収支に大きく影響せず、借り手が付きにくいことが予想される場合は、礼金なしのアピールも検討してみてもよいでしょう。

原状回復

退去時には、部屋の原状回復をして大家に返すことを契約書に定めますが、その範囲について決めておくものです。
普通はクリーニング費用程度で、故意・過失が大きい破損等は借主負担とします。

勘違いしやすいのは、原状回復義務とは入居前と同様の状態に戻すものではなく、入居期間を考慮して、通常起こり得る劣化を差し引いた回復義務です。
例えば、2年前の入居時に壁紙を張り替えて貸したからといって、退去時に壁紙の張り替えを請求できるものではありません。

2年間も生活していれば、壁紙が日照で変色したり、少しくらいの汚れがあったりするのは普通のことで、すべて元通りに戻させるのは過剰請求と考えられています。
ただし、借主が常識的な清掃すら怠り、張り替えを余儀なくされるような、ひどい汚れがある場合には、過失があるとして請求は可能です。

その他

ペットや喫煙の可否と書きましたが、それ以外にも女性限定など、入居条件を決めるのは大家の自由です。
心配ならいくらでも条件を付けられる代わりに、入居希望者が少なくなることだけ注意して、絶対に受け入れられない条件だけは付けておきましょう。

7.入居者募集と審査

不動産会社と契約し、入居条件を決めると、不動産会社は入居者の募集を開始します。
提出している間取り図や案内図、外観の写真などから広告を作成し、店頭広告、インターネット広告、情報誌への掲載などをしてくれます。

自社サイト以外にも、賃貸物件を扱うポータルサイトや指定流通機構(レインズ)への登録など、不動産会社によって営業範囲は異なります。
どのような営業をしてくれるのか、契約前の段階で確認しておくべきです。

また、不動産会社は営業地域の情報に詳しいので、入居者の絞り込み、賃料の設定といった素人には判断が難しい点もアドバイスを受けることができます。
参考にしながら、需要にマッチした物件として広告できるようにしたいところです。

不動産会社に入居希望者が現れると、家を見てもらう内見が行われます。
内見は一般に不動産会社が対応しますので、大家が立ち会う必要はありませんが、その代わり鍵を不動産会社に預ける必要があります。

大家の仕事は、入居者の審査にあり(媒介契約の場合)、入居者の属性(年齢や勤務先など)や保証人を確認して貸すかどうか決めます。
もっとも、あらかじめ不動産会社に希望を伝えておくことで、まったく希望に合致しない入居者は弾かれますので、大家に確認するほどの入居希望者なら、契約になるのかもしれません。

8.賃貸契約

入居条件が合う希望者が現れると、いよいよ借主として契約を結びます。
その前に行わなくてはならないのが、重要事項説明という物件についての説明です。

説明の受けていない不具合が、入居してから発見されるのでは、契約行為の信義上も問題がありますし、借主は当然責任を負いません。
不動産会社の仲介を受けていれば、不動産会社が重要事項の説明を行ってくれますが、それ以前に大家が不動産会社に伝えていないと、借主に伝わらないことを意識しましょう。

契約書の作成は不動産会社が行ってくれるので、大家は契約書に署名捺印する程度です。
契約は不動産会社で対面して行うこともありますし、借主と会わずに書面だけですることもあります。

書面でする場合、多少の違いはあるかもしれませんが、基本的には次のような流れで契約書を取り交わします(送付としているのは遠隔地を想定しています)。

  1. 契約書2部に借主が署名捺印する
  2. 借主が不動産会社に送付
  3. 不動産会社から大家に送付
  4. 大家が署名捺印して1部を不動産会社に送付
  5. 不動産会社が写しを保管して原本を借主に送付

この手順を踏むと、大家と借主が契約書原本を1部ずつ、不動産会社が写しを1部持つことになり、契約書の紛失や偽造等のトラブルにも対応できます。
ちなみに、原則的に契約更新のときにも同様の手順で契約書を再度取り交わします。

9.引き渡し

契約上は、入居日から家賃が発生するので、入居日に鍵を渡すことで引き渡します。
退去時の原状回復でトラブルにならないように、入居にも立ち会って、状態をお互いに確認しておくのがよいとされます。

しかし、入居時の立ち会いは省略されることも多く、不動産会社(管理会社)が対応してくれないのなら、借主から強く求められない限り必要ともいえません。
むしろ、自分のほうが心配なら、積極的に立ち会えばよいでしょう。

10.管理と運営

入居後には家賃の集金(滞納対応)、借主からのクレーム、設備トラブルへの対応などの管理業務もしなくてはならず、いつも都合のよい借主ばかりとは限りません。
こうした管理業務は負担が大きく、しかも離れて住んでいれば到底できないものです。

収益性は若干犠牲になりますが、大家として必要とされる管理ができないのであれば、管理会社へ委託することも考えてみましょう。
サービス内容によって管理委託料は異なりますが、家賃の5%程度が相場です。

清掃

戸建てやマンションでは、入居者が生活上必要な清掃を行うものです。
特に戸建ては、入居後に大家が敷地内に入るのを嫌がる人もいるからです。

ところが、まれに戸建てで草刈りをどうするか、後からトラブルになることがあります。
家を貸している以上、その敷地も使用権を与えているのですから、使用者である借主の責任で行うように、契約で明記しておくべきでしょう。

ただし、庭木の剪定については、業者に依頼するので大家の責任になると思われます。
また、マンションの共用部分については、管理費を家賃に上乗せするとしても、所有者が管理費を支払い、管理会社が清掃するのが普通です。

これらを考えると、戸建てやマンションで清掃の手間を考える必要はそれほどありません。
あるとすれば、空室期間に良好な状態を維持するための清掃で、頻繁にするものではないですし、管理会社に委託すればかんたんな清掃はしてくれます。

集金

大家にとって最も頭が痛いのは家賃の滞納で、相手が人だけに非常に厄介です。
催促するのも嫌ですし、一度滞納すると繰り返すことが多いからです。

滞納を繰り返し、いっそのこと退去して欲しい借主でも、退去してもらうには裁判に訴えて判決が必要になるという、非常に面倒な手順です。
そのため、粘り強く請求していくしかないのですが、管理会社に委託して催促を任せ、どうしても支払わないときに法的手段という流れが楽です。

クレーム対応

クレーム対応は、正当な要求かどうかの判断も含め、できればしたくない業務です。
家や設備へのクレームだけではなく、近所からクレームが入る場合もあって、貸す前は馴染みのご近所さんなら、自ら対応しないわけにもいかないでしょう。

ただし、借主と協議すれば解決できるクレームについては、対人スキルに自信がなければ、集金と同様に管理会社を受け皿として、管理会社から判断を求められる運営にしたいところです。

設備トラブル

設備にトラブルが起きた場合、借主の悪意で壊したなど、特別な事情がなければ、大家の責任で修理・交換を行います。
備品レベルの設備(例えば電球など)は、借主が自主的に交換する場合もありますし、管理会社に委託して実費請求してもらえば問題ないはずです。

しかし、専門業者に依頼しなければならない修理・交換については、管理会社の独断は許されず、基本的に大家の業務として欠かせません。
それでも、判断をするだけで、業者の手配や施工の段取りは管理会社に任せ、実費請求をしてもらう形にすることは可能でしょう。

契約更新(再契約)

普通借家契約の契約更新、定期借家契約の再契約は、入居時の契約と流れは変わらず、大家の仕事は契約書に署名押印するだけです。
契約書も不動産会社に作ってもらえばよく、何も手間はかかりません。

その代わり、不動産会社を介在させることで、更新手数料(更新料ではなく契約業務の依頼で発生する事務手数料)や再契約なら仲介手数料が発生します。
借主に負担させることの多い費用ですが、大家が負担することもあります。

会計・確定申告

賃貸経営は事業として確定申告する必要があり、確定申告するからには、収支を帳簿に残しておく業務が発生します。
確定申告で帳簿を提出するのではなく、帳簿の保存制度があるからです。

しかし、簿記の知識もなければ、帳簿を付けたことのない人にとって、帳簿付けは極めて面倒な作業な上に、確定申告まであるのですから、ハードルが高い人には税理士事務所・会計事務所が委託先になるでしょう。

まとめ

大家の仕事は、家を貸す前も貸してからも、意外に多いと思ったのではないでしょうか。
委託すれば軽減されるとはいえ、その分収益が悪化することを考えると、どうしてもできない部分は委託、自分でできる部分は自分で行う切り分けも必要です。

自分で汗をかくほど、経営スキルが身について、後に生かされていきます。
すべてを自分で行う大家から、サブリースで丸投げする大家まで千差万別ですが、成功しても失敗しても、自分で判断して得られた結果なら納得できるのは言うまでもありません。

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簡易査定なら情報を入力するだけで、その日の内に連絡が来る会社も多く、売却相場がすぐに分かります。

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