新たな土地活用、野立て太陽光発電とは?

田舎の土地

太陽光発電は、日照があれば場所を選ばず成り立つ発電方法なので、一般に考えられる建物の屋根への設置以外にも、空き地でも行うことができ、「野立て」と呼ばれます。

【野立ての設置事例】

  • 土地の広さ:450㎡(約136坪)
  • パネル出力:30kW
  • 設置費用:1,107万円(36.9万円/kW)
  • 発電量:年間約30,000kWh(1kWあたり1,000kWhを想定)
  • 売電金額:年間103.68万円(平成26年度買取価格34.56円)
  • 利回り:約9.4%

参考資料:経済産業省 太陽光発電市場の動向

2006年以降人口減少が続き、土地価格が下がる一方の日本では、空き家が社会問題になっています。

相続などで田舎の地主になったものの、仕事や家族の都合で住むこともできなければ、賃貸需要もない。
そんな家が空き家のまま放置されることで、周囲への悪影響の他、本人も固定資産税という負担を強いられています。

一般的に土地は都市部へのアクセスがよいほど価値が高いとされています。
しかしこの太陽光発電においては、周辺に建物がない田舎ほど有利という逆の側面を持っているため、田舎の新たな土地有効活用の手段としても注目されているのです。

現在では、大企業が資本力を生かし、広大な土地に太陽光発電パネルを敷き詰めて、大量に電力を売るメガソーラーと呼ばれるビジネスも行われるようになりました。

なお、太陽光発電は土地の地目によらず可能ですが、ここでは特別な条件が付かない宅地を前提に、その可能性について考えます。

産業用

太陽光発電の概要

化石燃料(石油など)の枯渇が懸念されてから、国は再生エネルギーへの転換を政策としており、その中の1つに太陽光発電があります。
太陽光発電によって生み出された電気は、電力会社が一定の価格で買い取る買取制度が設けられてから、個人・法人問わず普及が進みました。

太陽光発電は、太陽光発電パネルという太陽電池が搭載されたパネルを太陽に向け、太陽光を受けて発電します。
発電された電気は、自家用として消費した場合は余った分が、規模が大きくなれば発電した電気のすべてを電力会社に売ることが可能です。

国は太陽光発電を普及させるにあたり、普及意欲を促進するため、投資する設備費に対して長期的に利益が生まれる買取価格を設定しました。
その基準は、概ね10年間で設備費の回収ができる計算になっています。

大量生産による生産効率の向上から、設備費は年々減少しており、つれて買取価格も下落していますが、10年で回収という基準は変わっていません。
つまり、太陽光発電の基準モデルは、10年あれば元を取れて、以降は導入者に純利益をもたらす仕組みで考えられているのです。

太陽光発電のメリットとデメリット

どんな制度にもメリットとデメリットがあり、太陽光発電も例外ではありません。
導入を検討する際は、事前に両方を確認しておく必要があります。

太陽光発電のメリット

太陽光発電には多くのメリットがありますが、代表的なのは次のような点です。

・自然エネルギーを利用する
電気を生み出すには、何らかのエネルギーを変換するのが原則です。
しかし、太陽光発電ではエネルギー源が無限に降り注ぐ太陽光なので、調達コストがまったくありません。

・地価に影響されない
田舎の土地では最も大きいメリットで、都会でも田舎でも太陽は同様に大地を照らすので、地価の安い田舎でも収益が落ちない特性を持ちます。
むしろ、障害物のない田舎ほど、効率的に発電が可能なくらいです。

・メンテナンスの労力が少ない
屋外に設置する設備なので、土埃等の汚れや、舞い落ちた枯葉、鳥のフンなどが表面に付くのは避けられません。
そのため、定期的に清掃をするに越したことはないことは否めませんが、それ以外には日常的にメンテナンスを必要としないメリットがあります。

・買取制度がある
いくら太陽光発電で発電しても、買い取ってくれる相手がいなければ自分で消費するしかなく、家庭で消費できる電力はたかが知れています。
電力会社に一定の価格で買い取らせる国の制度が、太陽光発電で利益を生み出せる根拠になっています。

・補助金制度がある
太陽光発電の設備が安価になったことで、国の補助金制度は打ち切られました。
しかし、各自治体においてはまだまだ補助金制度が残っていますので、該当する地域なら初期コストを減らせます。

太陽光発電のデメリット

メリットばかりにとらわれず、デメリットを知っておかないと、何事も上手くいかないので、しっかりと認識しましょう。

・買取需要が必要
せっかく発電しても、その地域を管轄する電力会社が電力を必要としていなければ、売電量を制限されたり、買い取ってもらえなかったりする可能性があります。
電力会社の動向は揺れ動いているので、この点は常に気にしておくべきでしょう。

・設置後の日照の変化
いくら田舎の土地でも、10年先20年先というスパンでは、周りがどうなっていくか未知数で、思いがけず太陽光発電パネルに影ができる可能性もあります。
事前の予測は不可能で、できるだけ開けた場所に設置するくらいです。

・不動産の流動性が落ちる
太陽光発電は、平均で10年程度の償却期間を必要とします。
その間に土地を処分したくても、設備投資をすれば回収前に撤去しなくてはなりませんし、撤去費用も発生します。
不動産の流動性が落ちるという点では、デメリットになります。

・パネルで光が反射する
太陽光のすべてをパネルが吸収することはできず、光がどうしても反射してしまいます。
反射した光が隣家に向けばトラブルを招きますし、道路に向かっていれば交通安全上の問題にもなりかねません。

・場合によって地盤改良が必要
宅地の場合には、家が建てられる地盤なので改良は必要ないでしょう。
田畑では地盤が軟らかすぎて、パネル設置用の架台を取り付けるための地盤改良を必要とするケースが見られます。

太陽光発電に必要な設備

太陽光発電は、発電パネルだけでは成り立たず、他にも多くの設備を必要とします。

仕組み
※画像はグローバル エコ イノベーションジャパン株式会社様より

・太陽光発電パネル
モジュールとも呼ばれ、太陽電池を複数集めてパネル状になっています。
太陽光を受けて作られた電気は、発電パネルから接続箱に送られます。
発電パネルには種類があり、性能が高く発電量が大きければそれだけ高価になります。

・接続箱
発電パネルからの電気を集め、続く集電箱に送る装置ですが、規模が大きいシステムでは、複数の接続箱が必要になり、パワーコンディショナーと一体型もあります。

・集電箱
接続箱からの電気を集め、続くパワーコンディショナーに送る装置で、小規模なシステムでは設置されないこともあります。

・パワーコンディショナー
発電パネルで作られる電気は、直流のためそのままでは家庭用に使えませんし、電力会社に買い取ってもらえません。
パワーコンティショナーは、直流から交流に変換するための装置です。

・キュービクル
太陽光発電システムの出力が、50kW以上の場合に必要になる装置です。
50kW以上では高圧にしなくてはならないため、キュービクルで変圧します。

・売電メーター
太陽光発電システムから、どのくらいの電力が売られているか計測します。
一般家庭では、電力会社からどのくらい買っているか買電メーターで計測するので、その逆だと思えばわかりやすいでしょう。

・その他の設備
発電パネルを設置する架台、発電量や売電量をチェックするためのモニタ、各機器を接続するケーブル、野立てでは盗難防止のためのフェンスなどが必要です。

太陽光発電の買取制度

発電容量 買取期間 買取価格
余剰買取 10kw未満が対象 10年 出力抑制あり:35円
出力抑制なし:33円
全量買取 10kw以上が対象 20年 29.16円

※買取価格は平成27年7月以降の金額、全量買取は税込価格

太陽光発電で利益を出すには、国が定めた買取制度によって、電力会社に電力を売る必要があります。

2種類の買取制度

2009年11月から開始された買取制度には、太陽光発電システムの出力によって、余剰買取と全量買取という2種類の制度に分かれ、両者の違いは買取価格と買取期間です。
余剰買取が10kW未満になっているのは、一般家庭での利用を想定しているからです。
余剰買取では、発電した電力を家庭内で消費し、余った電力を電力会社に売ります。
小規模であるため、屋根や小さな土地に発電パネルを設置する運用で利用されます。

一方、全量買取では、発電してもすべて電力会社が買い取ってくれますが、規模が大きくなるため、一般家庭での設置に向いていません。
発電パネルが数多く必要で、遊休地や大きな建物の屋上など、ある程度の広さを要します。

買取価格の推移

買取制度開始当初は、1kWhあたりの買取価格が48円でしたが、年々その価格は下落して現在に至ります。
その理由は、設備費が安価になり、高い買取価格を維持すると不公平感が増すからで、太陽光発電はどの時点で始めても、概ね同じような収支になることを想定しています。

平成27年度 平成26年度 平成25年度 平成24年度
余剰買取
(10kW未満)
出力抑制あり:35円
出力抑制なし:33円
37円 38円 42円
全量買取
(10kW以上)
~6/30:29円+税
7/1~:27円+税
32円+税 36円+税 40円+税

なお、現在の制度になる前は余剰電力買取制度というもので運用されており、その経緯や今後の予想はこちらにまとめています。

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太陽光発電の収入と支出

太陽光発電の収入は、言うまでもなく発電した電気を売ることによる収入です。
支出には初期費用とランニングコストがあります。

収入

あくまでも一般的な数値ですが、出力1kWに対して得られる年間の発電量は、約1,000kWhと推定されています。
実際には、もう少し発電するようで、メーカーの公表値も1,000kWhを超えています。
しかし、地域や天候に左右されますし、発電パネルの方角や傾斜角による影響度を考えると、1,000kWhが妥当と考えられています。

仮に30kWのシステムで買取価格が27円/kWとすると、30kw×27円×1.08×1,000kWhで、年間87万4,800円の売電収入となります。

初期費用

太陽光発電では、初期費用が総コストのほとんどを占め、設備費用と設置費用(工事費)を加えた金額です。

目安として、前述の経済産業省の資料によれば、10kW未満では38.5万円/kW(新築物件)、10kW~50kW未満では36.9万円/kWです(いずれも平成25年10~12月期)。
実勢価格としてはもう少し低く、1kWあたり30万円付近になっています。

太陽光発電システムの価格や工事費など、初期費用の相場
太陽光発電では、投資のほとんどが初期費用で、初期費用の相場を持っていないと、回収の試算がまったく立たず、初期費用の見積もりは非常に重要で...

ただ、規模や工事する業者によっても総額は違いますし、土地によっては造成費が必要になり、初期費用はケースバイケースです。
詳細を知りたい場合は、以下のような一括見積サイトを使い、個別に見積もりを取る方が確実でしょう。

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ランニングコスト

発電パネルの耐用年数は、20年から40年と言われていますが、故障しなくても性能が劣化することで交換を考えなくてはなりません。
その他には、パワーコンディショナーを含めた付属設備の交換、定期的な点検費用、発電パネルの清掃などが発生します。

これらの費用をまとめると、総コストの1%程度(10kW未満の場合)とされており、利回り(10%前後)を考えると十分に支払える金額です。

まとめ

太陽光発電は燃料を必要とせず、クリーンなエネルギーで、日照が確保できて極端にコストをかけて設置するのでなければ、手堅い投資方法です。
土地によっては、朝夕しか日があたらない、今後周りに建物が建つ予定など、十分な日射量を得られないケースもあるため、採算性の検討は必須です。

(発電量他チェック項目はこちらで紹介しています。)

太陽光発電を始める前に確認したい、発電量や採算の計算方法
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また、買取制度は国が定めたルールなので、急に立ち消えになる心配もありません。
ただし、電力会社の動向や買取制度の改正は常にチェックして、想定外にならないように気を付けることが大切でしょう。

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太陽光発電を始めるには、パネルなどの設備費用、設置と電気関係の工事費用、場合によって土地の造成やフェンスなどの整備費用が掛かります。
また設置するプランも1つではないので、どこの依頼するかで質や費用が違ってきます。

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