太陽光発電に土地貸し。地目別の注意点や賃借料について

土地を貸す

太陽光発電は日照だけで利益を生み出すことができる事業で、周りに障害物が少ない田舎なら、なおさらのこと適しています。
しかし、家庭で屋根に設置するような小規模なシステムならともかく、土地に発電パネルを敷き詰めて行うのは、それなりの投資を必要とするのでためらうでしょう。

土地で行う太陽光発電(野立てと言います)では、一般に1kWあたり15㎡前後の広さと30万円程度の初期費用で行われます。
仮に100坪(約330㎡)で行うには、20kW以上のシステムになりますから、単純計算でも600万円以上の資金を用意しなければならず、かんたんな話ではありません。

自分で投資するのが不安なときは、太陽光発電を始めたい人に土地を貸して、その収益から地代を受け取る方法もあります。
また、これまでは土地を貸したくても需要がなかった立地で、新たなニーズを見出すこともできるかもしれません。

自分で始める場合とどのような違いがあるのかと合わせて、その特徴を確認してみましょう。

産業用

太陽光発電に必要とされている土地

極端に手入れの必要がない土地であれば、太陽光発電が可能で収益も得られます。
ですが、自分で行う場合と違って、他の土地も選べる借主の目はシビアです。

条件1.周りに障害物がなく日当たりが良い

大前提として日当たりがよく、終日発電できる障害物のない土地を求められます。
これはかんたんなようで意外と難しく、最も重要なので厳しくチェックされます。

日本は山が多いので、自分の土地に立って周囲を見渡したとき、地平線まで見渡せることなどほとんどなく、東か西のどちらに山がある場合も少なくありません。
南は山があっても太陽高度が高いのでクリアできますが、東と西の山は太陽を隠してしまい、それだけ日射量が失われるのです。

ただし、発電パネルは南に向けますし、太陽高度が低い朝と夕方は、全体の発電量に占める割合が小さいため、極端に山が近くなければ問題とされないのが通常です。

条件2.発電量を下げる著しい落葉や降雪がない

自然現象なので止めようもないですが、発電パネルに落ち葉や雪が積もると、影になって発電量が低下します。

落葉は周囲の落葉樹を確認すれば容易に判別できますし、降雪も気象データから大体の予測はできるでしょう。
目安として、降雪は10cm以上では著しく発電に影響すると言われています。

条件3.電柱が近くにあって送電可能

発電した電気を売るためには送電設備が必要で、付近に電柱がなければ新設することになり、新設費用は一般に申し込んだ事業者の負担です。
電力会社が負担するとしたら、電柱の新設で複数の家に電気が通じるなど、公益性が認められる場合ですから、売電目的で電柱を建てるといった場合は自己負担でしょう。

したがって、最初から近くに電柱がある土地を理想とし、不足する場合でも敷設費用ができるだけ小さいと推定される土地が好まれます。

条件4.整地コストが小さい

土地には宅地や雑種地、農地、山林、原野と幅広く存在し、太陽光発電の設備がそのまま設置できるとは限りません。
宅地に整地の問題があることは少なく、他の地目では特有の事情が存在します。

これは地盤の影響が大きく、発電パネルを設置する架台の固定が容易なほど適しています
他にも、伐採を必要とする山林では、伐採+整地コストでは高すぎて敬遠されます。

土地を貸すメリットとデメリット

メリットとデメリットについては、基本的には金銭的な面ですが、貸す行為そのもので発生する借主の権利も踏まえておかなくてはなりません。

メリットについて

自分で太陽光発電を行うのと比べ、土地を貸す場合は太陽光発電の設備コストなしに安定収入を得られます。
整地費用の負担に問題は残りますが、仮に貸主負担だとしても地代で調整できますので、最終的に持ち出しにはならないはずです。

地代については、太陽光発電では売電金額(年間)に応じた一定率にする契約方法もあり、地価を基準にすると安くなりすぎる場合は有効な方法です。

また、太陽光発電の設備は建物ではないので、民法上の賃貸借として扱われます
この点は、借主寄りで契約期間が長い借地権よりも、貸主にメリットでしょう。

デメリットについて

地代収入よりも売電収入の方がはるかに高く、借主が太陽光発電を考える土地であれば、自分で投資した方が断然利益が出ます
土地を貸すことでローリスクのメリットはあっても、確実にローリターンになり、運用益で見ると最適とは言えません。

また、太陽光発電は最初の10年が回収期間で、その後に利益を上げる事業計画が多いことから、契約期間が10年未満とは考えられません。
民法で許される最大の20年間と考えるべきで、20年間土地を自由にできない点が、将来に障害とならないか確認を要します。

なお、土地を貸すことについてはこちらで詳しく解説しています。

土地を貸す事例と4つの計算方法による借地料の相場
土地をそのまま貸すことができれば、費用負担を負うことなく収益源を作れる上、場合によっては税金も軽減できます。田舎でもできるパターンと収入例について調査しました。

地目別の注意点

太陽光発電自体は土地を選びませんが、地目によっては太陽光発電に適さない、または利用できないケースもあります。
地目別に注意点をまとめてみましたので、自分の土地と比べてみてください。

地目 注意点
宅地 特になし。宅地になっているからには以前に建物があったはずなので、電気も引かれているはず。
雑種地 建物を建てる場合ほどではないが、発電パネルの架台固定のために地盤に問題があれば改良が必要になる。
農地 転用に許可が必要。転用できない農地なら貸すことはできない。転用許可が下りても地盤改良を必要とすることが多い。
山林 樹木が邪魔な場合は伐採するので届出か許可が必要。1ha以上の規模で造成をするなら開発許可も必要。
原野 雑種地と同様に地盤改良の可能性がある。

宅地以外は、太陽光発電には欠かせない送電線の敷設を考えなくてはなりません。
これは借主が考えるべき点ですが、近くに電柱がなければ、引き込み用のポールを設置しなくてはならず、設置が他者の所有地にならないか等の配慮もあります。

地代収入と収入事例

地代の決め方には、固定資産税や地価を基礎とした一定率、年間売電金額の一定率といった方法が使われており、当事者が合意すれば自由に決められます。
調達価格等算定委員会の資料からは、年間の地代が中央値・最頻値共に150円/㎡というデータがあり、この数字は参考になるでしょう。

収入事例として、地代を150円/㎡とした場合と、年間売電金額の一定率にした場合を計算してみますが、結局は150円/㎡の場合でも、年間売電金額に対する比率で表されることから、両者は割合の違いでしかありません。

【モデルケース】

  • 1,000㎡の土地(302.5坪)
  • 67kWのシステム容量(15㎡/kW)
  • 年間発電量は67,000kWh (1,000kWh/kW)
  • 年間売電金額2,315,520円(買取価格34.56円)

このシステムでは、1,000㎡で年間売電金額が2,315,520円ですから、1㎡に換算すると、約2,315円/㎡になります。
したがって、150円/㎡の地代は150÷2,315=6.48%で、この割合はそれほど低い地代ではなく、3%~10%の間なら適切と言えます。

ただし、例では年間150,000円の地代が、固定資産税分にもならないなら考えものです。
固定資産税をベースにした地代は、税額の3倍~5倍が相場と言われているので、どちらが高くなるか計算して地代交渉に臨みましょう。

また、一般に太陽光発電の利回りは10%程度で、地代として利回りの1%(売電金額に対しては10%)を買主が了承するかどうかは別です。

まとめ

太陽光発電用の土地として貸すのは、自分で設置費用を負担せずに、売電収入の一部を地代として受け取ることができる手堅い活用方法です。
しかし、リスクは増えても、自分で行った方が10倍以上は収益を見込めるので、可能なら自分で始められないかも比べてみるとよいでしょう。

こちらでは自分で太陽光発電を行う場合に知っておきたい知識をまとめています。

新たな土地活用、野立て太陽光発電とは?
太陽光発電には土地に架台を使ってパネルを並べる「野立て」と呼ばれる方法があり、新たな土地活用方法として広まっています。ここでは必要な設備や収支、それを支える売電制度などの基本をまとめて紹介します。

基本的な考え方としては、太陽光発電用の土地は電柱が近くにあって、周りに何もないほど好条件で、田舎でも十分に成り立ちます。
土地を貸す場合でも、20年間は使わないと思える土地にしないと、いざ処分したいときに動けませんし、相続が視野に入るなら家族の都合も考えておきましょう。

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