土地を貸す事例と4つの計算方法による借地料の相場

土地を貸す

土地の活用を考えたとき、一般的な賃貸経営では多額の初期投資が必要です。
それゆえ収入も大きくなるのですが、状況によってそれが難しい場合、土地のまま貸す方法なら少ない負担でできます。

土地を貸す方法には、借主が建物を建てる前提で貸す方法と、土地のまま貸す2つに分けられ、それぞれに特有のメリットやデメリットがあります。
ここでは建物を含むので宅地を前提に、その地代の計算方法も合わせて説明し、農地を貸すことについてはこちらで解説しています。

農地を貸す7つの事例と収入、相続前に貸すメリットデメリット
農地は食料自給率維持のために残すべきという意向と、後継者がいない現実とのギャップが大きく、相続によって活用されなくなることが問題となっています。その解決方法として、手放すことなくできる貸すことによる活用方法を紹介します。

借主が建物を建てる場合の例

建物には、住宅、店舗、事務所、倉庫、工場などの種類がありますが、多いのは住宅と店舗でしょう。

戸建住宅用に貸す

ある程度都市部から近い、または交通の便がよければアパートやマンションが考えられますが、人口の少ない地域なら集合住宅は不向きで、戸建向けの宅地提供が無難です。
いずれにせよ、店舗や事務所が業績で閉鎖されるのとは違い、住宅を新築する人はかんたんには家を手放さないので、長期間の契約になるのも魅力です。

ただし、個人用の戸建住宅用の宅地は、あまり広すぎると借り手が付きません
普通は50坪でも十分な家が建ちますから、田舎で地価が安いとはいえ、200坪や300坪にもなると借りづらく、分筆が必要になるでしょう。

その結果、残りが不整形になったり、契約期間がズレてしまい、用途が限られたりするデメリットもあるので、借地権付き分譲住宅用地として、業者向けに貸す方法も考えられます。

高齢者向け集合住宅用に貸す

高齢者向け集合住宅とは、一般には医療や介護サービスが付いた、高齢者を対象にした賃貸住宅のことです。
資金がないと経営できる規模ではないので、介護事業者などの法人が対象です。

これは、むしろ田舎の静かな土地の方が高齢者向けの住宅として需要がありますが、質のよいサービスを提供するためには人材確保が必要で、地域性がネックになる可能性もあります。
また、規模が小さいと投資効率が悪く、対象が高齢者なので高層化もできないことから、アパート等の集合住宅よりも広い土地を必要とします

店舗用に貸す

沿道で交通量がそれなりにあれば、コンビニやレストラン、ガソリンスタンドなど、出店用地としても需要があります。
建物は事業者が建てますし、土地の整地代金等は事業者が立て替えて、賃料から控除される契約形態が多く、土地の所有者の持ち出しがない点も魅力です。

その一方で、強引な値下げ交渉や、経営状況ですぐに撤退する可能性などリスクも多く、途中解約も踏まえて損益分岐点の把握が必要になります。
なお、事業用定期借地契約になるので、契約満了後は更地にして返されます。

建物を建てる場合の注意点

建物は借主が建てるので、土地の所有者が用途を考える必要はありません。
ただし、空き地なら何でも建物を建てられるわけではなく、最低でも次の点についてはチェックしておく必要があります。

  • 電柱が近く電気が問題なく引けること
  • 水道管とガス管が埋設されている道路から近いこと
  • 建築基準法の接道義務を満たしていること
  • 隣地との境界がはっきりしていること

これらのチェック項目は、地目が宅地(過去に建物が建っていた)ならクリアしているはずですが、雑種地など宅地以外では確認しておきましょう。

また、貸した土地に建物が建つと、借主に借地権が発生します。
借地権は非常に強い権利で、基本的に借主保護の性質がありますから、長期間に渡って貸さなければならないことは注意が必要です。

それがネックであれば、需要が減ることや借地料が安くなることを前提に、定期借地契約の利用を考えます。

借主が建物を建てない場合の例

土地だけを貸すとしたら、借主は土地に「建物以外の何か」を置きたいからです。
しかし、建物以外で置くものは限られており、自動車や資材くらいでしょう。

他には、空き地を利用した太陽光発電も需要があり、地価が安い田舎の方が適しているという強みを持っています。
地価の安さは投資コストの削減に繋がるだけではなく、太陽は都会でも田舎でも同じように照らされるので、障害物の少ない田舎こそメリットが大きいからです。

太陽光発電用に貸す

太陽光発電に使われる設備は、構造物でありながら建物としての扱いを受けません。
したがって、送電するための電柱が近くあれば、地目を問わず貸すことができます

また、事業として安定性がある点は、貸主の利益でもあるのでよいことずくめのように思えますが、太陽光発電が将来も安定だとは限らず、動向は要チェックです。
なお、太陽光発電は概ね10年で採算が取れる計算なので、確実に10年以上の賃貸借契約になると考えて間違いありません。

太陽光発電用に土地を貸すための条件などポイントは、こちらで解説しています。

太陽光発電に土地貸し。地目別の注意点や賃借料について
土地を貸すことは低リスクを優先した活用方法で、中でも太陽光発電は立地が不利でも成り立つメリットがあります。ここではそれ以外に求められる条件などをみてみましょう。

駐車場として貸す

駐車場の場合は、投資コストが小さい代わりに収入も少なく、利回りは一般にあまり高くないのが特徴です。
駐車場用地としての提供は、借主の視点では駐車場経営のコスト増になり、十分な集客が望めない環境ではシビアになります。

あまりに田舎になると集合住宅も少なく、各家庭にスペースもあるため、需要を見込めませんが、住宅が密集した地域や小規模な商業地など、人が集まりやすく駐車場経営が成り立つ地域なら貸せる可能性はあります。
都市部であればコインパーキング用地にもなるでしょう。

資材置き場として貸す

資材置き場はどの地域でも条件が限定されており、資材の置き場所に困っている会社が近くにないと、安定的には成り立たちません。
その代わり、近くで一時的な開発工事などによって、資材や工事車両の保管に対する需要が生まれるので、不確実ですが地域によっては需要があるでしょう。

また、資材置き場では、資材の運搬に不都合がない道路と間口があれば済むので、整地も不要な場合も多く、大抵の土地で貸し出せるメリットもあります。
ただし、一時的な資材置き場として貸す場合には、短期の使用目的であることや建物を建てないことなど、契約には十分に注意を要します。

建物を建てない場合の注意点

土地だけで貸すときは、建物が建てられない契約にすることが大切で、仮に認めるとしても、簡易で容易に撤去可能な仮設の建物に留めるべきです。
その理由は、建物所有を目的とする土地利用を認めると、借地権が発生するからです。

借地権の契約期間は30年以上を原則とするので、短期の賃貸借契約で土地を貸したつもりが、深く考えずに建築を承諾した結果、借地権を主張されて土地を返してもらえない事態も十分考えられます。
当然ながら、建物を建てるには地主の承諾を必要としますが、最初から建築を許さない契約にしておくことも対抗策になります。

土地を貸すことのメリットとデメリット

遊んでいる土地を有効活用することは、メリットの方が大きいはずです。
土地を放置するデメリットは大きく、短期的に土地が高騰して売却益を得られる特殊な状況を除くと、マイナスしか生み出しません。

土地を貸すメリット

賃料が安くても、税負担の足しにはなりますので、収支としては確実に改善します。
土地を貸す場合には、地盤に不安がなければほとんど投資を必要とせず、基本的には長期間の賃貸借契約により安定収入を稼げます。

また、土地に建物が建つと、固定資産税が最大で1/6、都市計画税が最大で1/3まで減るので、それだけでも税負担が減り、地代の手残りが増します。
税金よりも安い地代はあまり考えられないので、プラスにはなるはずです。

もう1つ見落としがちなメリットがあり、それは借主が土地を使用することで、ある程度は土地の管理も同時にしてもらえる点です。
放置された土地は、雑草が生い茂り不法投棄の温床になりやすく、遠隔地なら管理を委託しなければならないくらいで、貸していると手間や委託料が省けます。

土地を貸すデメリット

確実に言えるのは、他人に貸すことで契約期間中は土地を自由にできなくなる点です。
契約行為はお互いを信じてされるため、貸主の都合で一方的に明け渡しを求めるのは、契約の前提となる信義則に反しています。
特に建物の所有を目的とした借主に貸す場合は、借地権を避けて通れません。

しかし、元々使用していない土地ならこの点は問題にならないでしょう。
問題になるとしたら、相続が発生し、次の代が土地の利用方法を変えたい場合です。

よくあるのは、親の財産の大部分が土地で、相続税を支払う現金が足りなくても、土地を貸しているので売却できずに相続人が困るケースです。
土地の賃貸借は長期契約なので、相続は考えておく必要があります。

土地を貸したときの収入の相場

土地には減価償却の考えがないので、土地を貸した収入は地代、主な支出は固定資産税や都市計画税になって収益の計算は容易です。
ところが、新規に土地を貸す場合、地代をいくらにするかは実に難しい面があり、算出方法にはいくつか種類があります。

より正確な地代を求めるには、不動産鑑定士による鑑定を必要としますが、地代は貸主と借主の合意があればよいので、概算で決めても問題ないでしょう。
また、賃貸借契約において、前払い的な一時金があれば賃料から控除し、預かり金的な一時金があれば、その運用益相当分を賃料から控除するとされています。

積算法による算出

積算法では決まった式があり、次のように地代を計算します。

地代=更地価格×期待利回り+必要経費(公租公課)

必要経費となる固定資産税等が別に加えられているので、単純に期待利回りを得られることになり、この計算式は貸主寄りです。
ここで、期待利回りの根拠を必要としますが、収益還元法という難しい計算を利用しなくてはならず、素人にはハードルが高いので、概算で2%程度とされています。

もっとも、借主の得られる利益によっても地代は変化するべきでしょう。
貸主の期待利回りを押しつけても、借主の負担が大きすぎて事業が成功せず、撤退されてしまうと意味がなくなってしまうからです。

更地価格の求め方は、こちらで紹介しています。

土地価格の相場や評価額を調べる5つの方法
土地価格を知る方法はいくつかあり、多くは無料で利用できます。それはそれぞれに必要性があるからですが、どれを選べばいいのか?各特徴と利用方法をまとめました。

賃貸事例比較法による算出

賃貸事例比較法とは、他の土地で新規に賃貸借契約された地代情報を収集し、適切な地代を求めていく手法です。
類似した取引でなければ参考にならず、地域性から取引事例が少ない田舎だと、比較的難しい方法と言えます。

いわゆる周辺相場を利用する方法なのですが、立地や形状によっても地代が変わる点を踏まえると、やはり適正な地代を求めるのは困難です。
しかし、地代の参考として、周辺の取引事例を調べるのは多いに意義があるでしょう。

収益分析法による算出

収益分析法による算出では、土地に賃貸用の建物を建てたと仮定して、得られる収益から地代を求めていく方法です。
この場合、店舗など借主の事業予想収益を基礎とする手法と、アパートやマンションなどの賃貸住宅による貸主の事業予想収益を基礎とする手法に分かれます。

どちらの手法でも、仮想の収益を使うので素人向きの算出方法ではなく、専門家による評価を必要とするでしょう。
また、建築可能な建物は、土地によって高さや容積率・建ぺい率という制限があり、予想収益も変わっていくため、制限の範囲内で可能な建物とされます。

公租公課の一定率

一般には、固定資産税と都市計画税の合計額を3倍~5倍した金額を地代とします。
更地の標準税率は、固定資産税は1.4%+都市計画税0.3%=1.7%なので、固定資産税評価額の5%~8%程度になります。

ただし、田舎では都市計画税が適用外の地域もあり、税率も条例で定められているため、多少の変化があることには注意が必要です。
また、計算方法が簡便である代わりに、適正な地代にならない可能性も残されています。

まとめ

使う予定のない土地なら、安い賃料でも貸すことで大きなメリットをもたらします。
無駄に税金を支払うだけの状態から、収益物件への喜ばしい変化です。
ただし、土地で貸すのと建物前提で貸す違いは、よく把握しておかなくてはなりません。

土地だけで貸すなら、一時使用目的に限定した契約で短期間の賃貸も可能です。
対して建物が建つ場合には、事業用でも最短は10年、一般用には30年以上の契約になるため、次世代のことも考えて貸しましょう

貸主でも借主でも、相続が発生すると権利関係も引き継がれますから、相続する予定の家族が土地をどうしたいのか、事前に聞いておくのも大切です。

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