家や土地の売却方法。査定から引き渡しまでの一連の流れ(仲介)

売却方法

不動産の売却には大きく4つの方法がありますが、大半は仲介で取引され、ここではその流れを紹介します。
(4つの方法はこちらをご覧ください)

買取・仲介・個人売買など不動産を売却する4つの方法
家や土地を売りたいと思ったとき、誰でも最初に思いつくのは不動産会社に相談することですが、その時点で仲介を前提にしているのではないでしょう...

ただし、家が立っていれば宅地と分かりますが、土地の場合は農地や山林といった特殊な地目も存在するので、売却の流れが一様に進むわけではありません。
不動産取引としての通常の流れに加え、特殊な土地はそれぞれに対応が必要です。

宅地、雑種地、原野については、概ね障害はないのでこれらを共通に扱い、農地と山林では後半で扱っているのでご確認ください。

1.不動産会社による価格査定

最初に行うのは、売りたい家や土地がどのくらいの価値を持っているのか、不動産会社に調べてもらう価格査定と呼ばれる手順です。
不動産の売買には相場があり、必ずしも固定資産税のような指標とは一致しません。

土地の場合には建物への評価がないので、立地と広さだけでかんたんに求められそうですが、それだけでは決まらず、査定する人でも前後します。
本来の意味での土地の評価は、その土地を最大限に利用すると仮定し、得られる価格を基準として考えるのですが、その計算は難解で、不動産鑑定士のような専門家を必要とするだけではなく、仮定する「最大限利用」が人によって違うのが理由です。

家の場合はもっと複雑で、今の時点で新築で建てた場合の金額から、築年数やリフォームの有無を考慮して試算されます。

いずれにしても不動産会社の価格査定は、周辺の取引事例なども参考に実勢価格で求め、より現実的な価格を提示してくるのが通常です。
真の意味での家や土地の評価がどうであれ、実際に売買に適した金額でなければ意味を持たないので、不動産会社の査定価格は合理的だとも言えます。

査定する不動産会社がすべて同じ価格を提示してくるとは限りませんが、それでも、ある程度の範囲に収まることは予想できます。
正確な相場を知るには、できるだけ多くの情報を得るしかないので、複数の不動産会社にまとめて依頼できる、一括査定サービスも便利です。

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2.不動産会社との媒介契約締結

媒介契約とは、不動産会社に売り出しを依頼し、買主を仲介してもらうための契約で、契約の方法には3種類あります。
必ずしも査定を依頼した不動産会社に依頼しなくても構いませんが、普通は査定依頼した不動産会社になるでしょう。

3種類の媒介契約は、それぞれに次のような特徴を持ちます。

  • 専属専任媒介契約:販売活動のすべてを特定の不動産会社に依頼
  • 専任媒介契約:販売活動を特定の不動産会社に依頼して自分でも販売可能
  • 一般媒介契約:複数の不動産会社に販売活動を依頼して自分でも販売可能

一見すると、複数の不動産会社に競合させる一般媒介契約が優れているように思えますが、そうとも言えず、不動産会社も一般媒介契約を嫌がります。
また、媒介契約は売れるまで続くものではなく、原則として3ヶ月間で更新していく契約であるため、不動産会社に不満があれば更新せずに変えることができます

最初は、専属専任または専任で媒介契約を結んでも、任せて売れなければ不動産会社を変えるか、一般媒介契約に変更して複数契約するなど対策していきます。

3.売り出し前の価格決定

不動産会社と媒介契約を結んだら、いくらで売り出すか決めます。
高い売り出し価格で売れれば理想的でも、現実はうまくいかないので、査定価格を基準にして若干高めに設定する方法が多く用いられます。

その理由は、買主との価格交渉において、必ずと言うくらい値下げを余儀なくされるからで、あらかじめ可能な値下げ幅を価格に上乗せしておく戦略がとられます。
この考え方は、可能な限り高く売ることを前提としているので、売り出し価格が高い分だけ、売れるまでの期間は長くなる可能性があります。

早く売りたいなら、査定価格かそれよりも低く売り出して、購入希望者をできるだけ集め、その中で高く買ってくれる買主を選ぶ戦略もあります。
両方同時に行えないため、どちらが優れているかは不明ですが、負うべきリスクを価格で考えるか期間で考えるかによって戦略は変わるでしょう。

なお、売り出し価格は、下げることがあっても上げることはまず考えられません。
心情的には高くして売れなければ値下げとなりますが、価格が高いときに潜在的な買主を逃している可能性を考えると、売り出し価格は慎重に決めるべきです。

4.不動産会社による営業活動

売り出し価格が決まって、媒介契約した不動産会社による営業活動が始まります。
一般媒介契約の場合は自分でも行うことになりますが、専任の場合はここはほぼ任せるだけです。

不動産会社の営業活動は何パターンも考えられますが、概ね次のような活動です。

  • 近隣への広告(チラシ)
  • 自社の顧客への紹介
  • 自社ネットワークやサイトでの掲載
  • 不動産情報誌への掲載
  • レインズ(指定流通機構)への登録

この中で聞きなれない言葉にレインズへの登録があります。
レインズというのは全国規模の不動産流通システムで、他の不動産会社からも売り出されている不動産を参照することができるようになっています。

つまり、買主を他の不動産会社からも紹介してもらえる便利なシステムで、売主にとっては全国的に売られるのと同義なので、大きな意味を持ちます。
ところが、媒介契約をした不動産会社にしてみれば、買主からの仲介手数料を他社に奪われるリスクから、レインズへ登録せずに自社で買主を見つけようとします。

しかし、売主にとって広く流通させる利益を失わせる結果になるため、専属専任媒介契約と専任媒介契約には、契約後一定期間でレインズへの登録義務があります

5.購入希望者への内見

土地だけなら勝手に見に来てもらえばよいですが、家の場合は購入希望者が事前に家を見に来るのが普通で、これを内見と呼びます。
賃貸では空の状態で見てもらうのが一般的ですが、現在住んでいる状態でも行われ、その場合は家族の誰かが対応します。

内見は、購入希望者と不動産会社の担当者(買主側の仲介業者が別ならそれぞれ)が立ち会い、購入希望者の質問に答えます。
この後買主は交渉する可能性があり、売主としては家のアピールができる最高のチャンスでもあります。

また、家を売ると決めたら、汚さないように注意しなければならず、何度も内見に来たのに続けて話が流れると、精神的にもダメージを受けます。
内見は事前に不動産会社からアポがありますから、入念に掃除して向かい入れます。

内見日を留守にする場合

内見日に不在でも、不動産会社に鍵を預けて対応してもらうこともできます。
売主がいた方が、購入希望者の細かい質問に答えられて好ましいですが、外せない用事があるなら仕方ありません。

むしろ、用事があるからと内見を断ると、買主を逃してしまう可能性も考えましょう。
なぜなら、購入の決め手は、内見したときの第一印象になる例は多いからです。

既に住んでいない場合でも、可能なら内見に立ち会った方が無難で、購入希望者の質問に不動産会社の担当者が応えられず、がっかりさせてしまうのは避けたいものです。

6.買主と売買価格の交渉

不動産会社へ買主(この時点では購入希望者)から打診があると、売主へ連絡が入ります。
多くの場合は、購入希望価格が売り出し価格と離れており、交渉での調整になります。

売主と買主の利益は反しますので、売主はより高く、買主はより安く交渉していきます。
どうしても折り合う価格が見出せなければ、交渉は決裂してまた新たな買主が現れるのを待ちます。

ただ、売り出し価格という上限額を提示してしまっている売主は、買主の希望価格がブラフでも、値下げ以外の交渉はできない立場です。
価格交渉で売り出し価格よりも上がるとすれば、どうしても買いたい買主が複数現れた場合くらいで、そのようなケースは限られます。

ですから、売り出し価格の設定は、その後の価格交渉も踏まえて決めなくてはならず、ほぼ売り出し価格では売れないと考えておくべきです。
それほど売り出し価格のの決定は重要で、査定価格も真剣に確認する必要があります。

なお、交渉しないことを前提に、売り出し価格で購入する買主だけを紹介するように不動産会社に頼めますが、買主が現れる可能性はかなり低くなるでしょう。

7.売買契約の締結

買主との交渉を経て売買価格が決まれば、いよいよ売買契約の締結に進みます。
契約行為は当事者の合意さえあれば成立するので、売買契約は必ずしも書面でなくても問題ないですが、大きな金額が動く不動産では書面での取り交わしが普通です。

売買契約書は不動産会社が作成し、内容を相互に確認して署名押印していく流れです。
売買契約書を取り交わすと、お互いに法律的な義務が発生するので、契約違反にならないように努力しなくてはなりません。

売買契約によって、買主から売主へある程度まとまった手付金が支払われます。
この手付金は、売却代金の一部ではなく、解約しないための保証金のような意味しかないですが、解約がなければ最終的には売却代金の一部として精算されます。

また、不動産会社は売買契約が成立した時点で、仲介手数料の請求権を得ます。
手付金の方が仲介手数料よりも多いのが通常ですから、仲介手数料の支払いに困ることはないとしても、売買契約で半分、決済後に半分という形態も多くあります。

手付金の扱いについて

一般的には、手付金の額を売買価格の1割程度以上にしておく方法が使われます。
どちらかが解約を申し出るとき、相手に手付金を支払う方法が用いられるので、手付金が少なすぎると解約しやすくなってしまうからです。

  • 買主からの解約:売主に支払った手付金を放棄
  • 売主からの解約:買主から受け取った手付金を倍返し

このように、解約する側が手付金と同額を失うようになっており、あまりにも高額な手付金は、お互いのリスクを高めると同時に安すぎても解約リスクがあります。
そのため、売買価格の1割から2割程度までが、妥当な手付金とされています。

決済までは時間がかかる

売買契約をしても、すぐに決済されるかどうかは買主の都合によります。
もちろん、決済日を踏まえて売買契約されるので、あまりにも待たされるようなら最初から契約しない選択もありますが、売り逃したくなければ我慢するしかありません。

ほとんどの場合、即金で支払える額ではなく、ローンで用意するには金融機関の審査があって、それも通過するとは限りません。
ローンを利用する買主には、2ヶ月程度は期間を与えないとならず、その間拘束される不利益を受けますが、仕方がないでしょう。

8.決済と登記

不動産取引では、余程の少額でない限り、決済を振込による確認で行うので、多額の現金を持ち歩くことはありません。
売買代金の授受以外にも、所有権を売主から買主に移転させる登記手続きを必要とし、どちらかを先にしてしまうと詐欺ができてしまう性質から、登記は決済と同時に行うことが理想です。

しかしながら、代金の授受と登記を(買主)一人で同時に行うのは物理的に不可能なので、信頼できる第三者であり、登記手続きを依頼できる司法書士に託されます。
よって、売主と買主、それぞれの不動産会社の担当者(売主と買主で共通の場合もある)、司法書士による同席で決済が行われるのが通常です。

登記にもいつくつか種類があり、多くて所有権移転登記、抵当権抹消登記、抵当権設定登記の3つです。
抵当権抹消登記は売主が売却によってローンを完済した場合、抵当権設定登記は買主がローンで融資を受けた場合に行われます。

どの登記も、すべての必要書類は決済の場でそろえられ、司法書士が確認します。

決済は売却代金の振込による確認を必要とすることから、銀行の一室を借りて行い、銀行員が介在して入出金の確認を相互に行いますので、登記は司法書士が必要書類を持って法務局に行くのをその場で待つか、解散して後日連絡されるどちらかでしょう。

売買代金以外のお金も必要

売買代金の決済が終わると、続いて諸費用の精算を行います。
土地や空き家の場合には公共料金が発生していることは少ないので、固定資産税(都市計画税を含む)のみが対象ですが、直近まで住んでいるなら公共料金も清算します。

固定資産税は売買しても支払義務者は変わらず、1月1日時点での所有者が支払う税金なので、売主が支払わなくてはなりません。
ですから、所有権の移転日以降に相当する金額が、買主から売主に渡されます

また、不動産会社への仲介手数料が全額支払われていなければ、決済後に支払います。
他にも司法書士への報酬もありますが、一般には買主負担の契約が多いようです。

9:買主への引渡し

決済が終わると(厳密には所有権移転登記が終わると)、その土地や家は買主のものになります。

土地の場合は、そこに売主の所有物がないことを事前に確認しておくだけで事足りますが、家の場合は事前に引っ越しを済ませ、売買契約で定められた必要な修繕等があれば、すべて完了しておかなくてはなりません。

ただし、事前に引渡しの猶予を定めている場合はその限りではありませんし、決算後に売主側で解体を行う契約なども考えられます。
いずれにしても、決算日には買主の物になることが前提なので、何らかの事情でそうできないのであれば、事前に話をつけておかなければトラブルとなるので注意が必要です。

通常の方法であれば、事前に引き渡せるまでの準備を済ませ、決算日当日は鍵を買主に渡すだけで引き渡しは終了です。

農地と山林の場合の売買手続き

土地の地目の中で、農地と山林は特殊な扱いを受け、農地は法的な保護が、山林は伐採関係や独特の事情が存在します。

農地を売る場合の注意点

農地は食料の自給という大きな目的を持つことから、法律で売買が制限されています
価格が安いので不動産会社があまり取り扱わず、斡旋をしている農業関連の機関や個人売買での取引も考えられるので、その場合は手順が大きく変わります。

また、農地を農家に売る場合には地域の農業委員会で売買許可が、農地を転用して農家以外に売る場合でも、農業委員会の転用許可が必須になります。
いずれの許可も、許可を受けずにされた売買行為は無効になるので注意が必要です。

それ以前に、農業委員会の許可がないと、所有権の移転登記が受け付けてもらえませんから、許可申請を避けることはできません。
しかも、許可を前提とする売買契約を締結してから農業委員会への許可申請になり、売買や転用の許可が下りなければ、話が流れてしまうと覚えておきましょう。

山林を売る場合の注意点

山林の売買においては宅地等と大きく変わりませんが、山林では樹木と土地が別に扱われ、価値も別々に考えられている点に注意が必要です。
山林を扱っている不動産会社は少なく、山林の専門業者に仲介を依頼する方法が有効で、仲介手数料の取り扱いも変わってきます。

また、山林は境界が不明瞭で、面積も登記簿と一致しないなど、越えなくてはならないハードルが少なくありません。
しかしながら、実際に測量や境界確定をすると、その広さから膨大な資金が必要で、コストに見合わない現実から、登記簿上の面積で売買されています。

なお、通常は、樹木をそのままに丸ごと売ってしまうので意識しませんが、売却による所得は樹木と土地で分けて考える特殊な申告方法になります。

まとめ

家や土地の売却とは結局のところ、その不動産の所有権移転を目的とした金銭のやり取りです。
すべては買主へ所有権を移転するために、価格査定から引渡しまでの一連の流れが必要で、特に農地では法律に従った特別な手続きが必要なので気を付けましょう。

売主としてはどの手順においても気を抜けませんが、1つは売買契約の成立、もう1つは決済の瞬間が最も緊張するタイミングです。
不動産の売買は日用品のように手軽には行えず、買主が見つかるまでに数ヶ月から数年、買主が見つかっても決済までに時間がかかってしまいます。

また、場合によっては測量や境界確認なども必要になり、宅地はもちろんのこと、行政の許可が必要な農地ではなおさら時間がかかると考えておいた方が無難です。

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