用途地域とは?その種類と制限・確認方法について

用途地域
自分の土地の上に何を建てるのかは、原則として所有者の自由であるはずです。
しかしながら、現実には用途地域と呼ばれる規制によって、建てられる建物は制限され、違反すると罰則もあります。

では、なぜ自分の土地なのに、建物を自由に建てることができないのでしょうか?

その答えはこれから説明していくのですが、建物の制限は、土地活用において非常に重要なポイントになるテーマです。
また、土地の売却においても、建築の可否は商談に直結するでしょう。

ですから、自分の土地がどのような制限を受けているのか知り、法令を順守した適切な土地活用を考えてみましょう。

用途地域とは

用途地域は、土地利用の用途(建てられる建物)を制限するルールのことです。
用途地域によって、自由に建物を建てることができないのは、まちづくりを計画的に行い、皆が住みやすい環境整備と、効率的な公共投資を可能にするためです。

例えば、戸建て住宅が集まる住宅街に、巨大な商業ビルができたとします。
商業ビルのテナント施設で利便性は高まるかもしれませんが、ビルの陰になった住宅は日当たりが悪くなり、これは日照権の侵害に該当するでしょう。

また、ある日突然、自宅の目の前に工場ができたらどうしますか?
工場が機械工場なら騒音が問題になり、工場が化学工場なら異臭が問題になるはずで、住環境が著しく劣化して、住みにくい地域になります。

このように、土地利用の用途が大きく異なるときは、それぞれを別の地域に集めた方が、適正な環境を整備しやすくなることは間違いありません。
そのルールが用途地域で、住宅系7種、商業系2種、工業系3種の計12種類あります。

用途地域が定められる土地

用途地域は、すべての土地に定められているわけではありません。
用途地域が定められている「市街化区域」と、定められる可能性のある「非線引き区域」ならびに「準都市計画区域」が対象です。

都市計画 区域区分 用途地域
都市計画区域 市街化区域 定める
市街化調整区域 原則定めない
非線引き区域 定めることができる
都市計画区域外 準都市計画区域 定めることができる
準都市計画区域外

表中、見慣れない用語も多々ありますのでかんたんに説明していきますが、用途地域が関係する「市街化区域」、「非線引き区域」、「準都市計画区域」に注目してください。
なお、自分の土地で用途地域を確認する方法は後半で説明します。

都市計画区域

広域的なまちづくりの範囲として、一体の都市を包括的に指定した区域です。
1つの都市計画区域が複数の自治体にまたがる場合や、1つの自治体で都市計画区域と区域外に分かれる場合もあるので、都道府県や市区町村の境界に一致するとは限りません。

都市計画区域は、市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域に分かれます。
これらを区域区分(または線引き)と呼び、三大都市圏と政令指定都市を含む都市計画区域は区域区分されていますが、地方では区域区分されていないケースも多いです。

・市街化区域
既に市街化しているか、おおむね10年以内に市街化が推進される区域です。
市街化が前提なので、市街化区域には用途地域が定められます。
・市街化調整区域
市街化区域とは反対に、市街化を抑制する目的で定められる区域です。
特別な事情を除き建物を建てられないので、原則として用途地域は定められません。
・非線引き区域
市街化区域と市街化調整区域のどちらにも区分されていない区域です。
したがって、市街化の推進・抑制は明示的に区分されませんが、用途地域を定めることにより、市街化をコントロールすることが可能になっています。

都市計画区域外

都市計画区域に含まれない区域で、本来は市街化を予定していません。
都市計画区域外となるのは、一般に農村・山村・漁村などの人口が少ない地域や、原野・山林のように居住地ではない地域です。

しかしながら、都市計画区域内よりも規制が緩いことを利用して、場合によっては、無秩序な開発が進みやすいケースも存在します。
例えば、郊外を走る高速道路のインターチェンジ周辺で商業施設が増えたり、リゾート地への外資投入により、建物が急激に増えたりする状況です。

こうした地域は、都市計画区域に含めるほどではないとしても、放置することで用途の混在が発生しやすく、準都市計画区域として指定されます。
準都市計画区域も、用途地域で市街化をコントロールできるようになっています。

地域地区と用途地域

用途地域は、都市計画区域内で土地の利用目的を定め、都市環境の保持を目的とする地域地区の1つとして存在します。
地域地区の中でも、住居・商業・工業の適正な配置を目的とするのが用途地域です。

地域地区は用途地域を含めて21種類あり、1つの土地に重複して指定されるケースも少なくありません。

【地域地区の種類】

  • 用途地域
  • 特別用途地区
  • 特定用途制限地域
  • 特例容積率適用地区
  • 高層住居誘導地区
  • 高度地区又は高度利用地区
  • 特定街区
  • 都市再生特別地区、居住調整地域、特定用途誘導地区
  • 防火地域又は準防火地域
  • 特定防災街区整備地区
  • 景観地区
  • 風致地区
  • 駐車場整備地区
  • 臨港地区
  • 歴史的風土特別保存地区
  • 第一種歴史的風土保存地区又は第二種歴史的風土保存地区
  • 緑地保全地域
  • 流通業務地区
  • 生産緑地地区
  • 伝統的建造物群保存地区
  • 航空機騒音障害防止地区又は航空機騒音障害防止特別地区

例えば、観光都市に行くと、歴史的建造物が保存されていたり、景観に配慮された建物が並んでいたりするのを見たことはないでしょうか?
これは、伝統的建造物群保存地区景観地区として、自治体が指定しているからです。

地域地区は指定されない土地もありますが、法律上、少なくとも市街化区域には用途地域を指定するものとされているので、市街化区域は必ず用途地域が指定されます。
また、準都市計画区域にも、地域地区の一部を定めることが可能です。

用途地域の種類

12種類の用途地域は、無条件に建てられる建物、条件付きで建てられる建物、建てられない建物が決められており、かなり細かく規定されていますが、細かい条件は抜きにして、概要を表にすると次のとおりです。

住宅等 店舗等 事務所等 ホテル・旅館 遊戯施設・風俗施設 公共施設・病院・学校等 工場・倉庫等
第一種低層住居専用地域 ○※1 × × × × △※5 △※6
第二種低層住居専用地域 ○※1 △※2 × × × △※5 △※6
第一種中高層住居専用地域 ○※1 △※2 × × × △※5 △※6
第二種中高層住居専用地域 ○※1 △※2 △※3 × × △※5 △※6
第一種住居地域 ○※1 △※2 △※3 △※4 △※5 △※5 △※6
第二種住居地域 ○※1 △※2 △※5 △※6
準住居地域 ○※1 △※2 △※5 △※6
近隣商業地域 ○※1 △※5 △※6
商業地域 ○※1 △※6
準工業地域 ○※1 △※5 △※6
工業地域 ○※1 △※2 × △※5 △※5
工業専用地域 × △※2 × △※5 △※5

※1:兼用住宅は非住宅部分の床面積、用途に制限あり
※2:床面積、階数、種類の全部または一部に制限あり
※3:床面積、階数の両方または一方に制限あり
※4:床面積に制限あり
※5:床面積、種類の両方または一方に制限あり
※6:床面積、種類、原動機、作業場、作業内容の全部または一部に制限あり

以下は、土地活用の視点で解説しているため、建築可能な建物すべてには触れていないことに注意してください。

・第一種低層住居専用地域
高さ制限(10mまたは12m)から3階以下の低層住宅に限定され、住環境の保護が最優先される地域で、土地活用も賃貸住宅経営や青空駐車場がメインです。
店舗や事務所は、小規模な兼用住宅で特定条件を満たさなければ建てられません。
・第二種低層住居専用地域
第一種低層住居専用地域と異なるのは、小規模な店舗が建築を許されることで、日常生活に深く関連する店舗だけが、2階以下を条件として営業可能です。
したがって、小規模な店舗用途の事業用賃貸が土地活用に入ります。
・第一種中高層住居専用地域
高さ制限はなくなり、他の規制で高さが制限されなければ、4階建て以上のマンションを建てられる地域で、賃貸住宅経営の柔軟性が広がります。
また、店舗の床面積と業種も緩和されるため、事業用賃貸の可能性も広がるでしょう。
・第二種中高層住居専用地域
店舗の要件が緩和され、多業種化・大規模化されますが階数は2階以下です。
また、比較的小規模な2階以下の事務所が建築可能になる点と、土地活用としてはレンタル収納スペース(倉庫業を営まない倉庫)が設置できるようになります。
そのため、バラエティに富んだ土地活用が考えられ、頭を悩ませるかもしれません。
・第一種住居地域
ここから住居「専用」ではない地域で、店舗や事務所の階数制限がなくなります。
店舗や事務所の広さも上限が拡大され、ボーリング場などの遊戯施設や、ホテルや旅館も条件付きで建築可能になるので、かなり用途が混在してきます。
きちんとマーケティングを行い、ニーズを見誤らない土地活用が求められます。
・第二種住居地域
大規模な店舗まで建築可能になり、事務所の床面積要件がなくなります。
遊戯施設の範囲が拡大され、カラオケボックス等も可能になるため、大規模な工場や危険物を多く扱う施設、風俗施設以外は、ほとんど何でも建てることができます。
一般には利便性の高い地域で、土地活用にとってプラス材料が多いでしょう。
・準住居地域
劇場や映画館が建てられること、自動車修理工場の床面積要件が緩和される以外は、第二種住居地域と大きく変わりません。
土地活用においても、第二種住居地域と同様に選択肢の多い地域です。
・近隣商業地域
ここから商業系の用途地域に入り、店舗の床面積要件がなくなります。
風俗施設の一部が限定されるだけで、商業施設の制限はありません。
中心市街地の周辺に存在しますが、地方都市では必ずしも発展していないので、第二種住居地域や準住居地域とニーズは変わらないかもしれません。
・商業地域
工場以外の制限はなく、商業施設の集積で中心市街地を形成している地域です。
必然的に慢性的な駐車場不足を招きやすく、コインパーキングでの活用も考えられるところですが、上方向の空間が無駄になるので、テナントビル等も候補にしたい立地です。
商業地域ともなると、土地信託の可能性が出てくるのもポイントでしょう。
・準工業地域
商業地域と同様にほぼすべての建物が建てられる地域で、危険性の大きい工場や大量の危険物を扱う施設だけが制限を受けます。
商業エリアと工業エリアの緩衝地帯に該当する位置付けですが、そこまで工業を意識する必要はなく、需要があれば商業施設の立地も十分可能です。
・工業地域
工場の制限がなくなる一方、病院が建てられず、店舗の床面積要件も復活します。
住宅に制限はないとはいえ、一般住宅やサービス付き高齢者向け住宅は需要が少ないと考えられ、事務所や工場の社員寮用地など、ニーズは限られるかもしれません。
・工業専用地域
専用住宅・兼用住宅に関係なく、工業専用地域は住宅の建築が禁じられています。
福祉施設、物品販売業や飲食業の店舗も建てられないので、土地活用の範囲が制限されるだけではなく、工業用途なら貸地にも広さを求められることが多いでしょう。

用途地域による制限

用途地域で決められているのは、住居・商業・工業における建物の“用途”でしたが、その他にも規制をかけて、自由な建築を制限しています。そうしなければ、市街地の適正な環境が保たれないからで、主に次のような制限があります。

  • 建ぺい率:敷地に対する建築面積
  • 容積率:敷地に対する延べ床面積
  • 高さ制限:絶対高さ制限、道路斜線、隣地斜線、北側斜線
  • 防火地域と準防火地域:耐火構造、防火構造
  • 日影制限:日陰になる部分の時間を考慮

こうした制限をクリアして建物が建てられるとしても、そのすべてを土地の所有者が把握していることは少ないでしょう。
特に、高さ制限が入ると、敷地上で建物を建てられる空間が、斜めに切り取られた3次元空間となるため、素人がイメージするのは非常に難しいものです。

最低限、覚えておきたい制限としては、敷地をどのくらいまで建物に使えるか(いわゆる建坪)を示す建ぺい率と、延べ床面積・階数に影響を与える容積率です。
住居向けの用途地域は建ぺい率・容積率が小さく、商業向けの用途地域は、中心街がそうであるように、建ぺい率・容積率の大きさから高層建築物が増えます。

用途地域の確認方法

自分の土地に用途地域が指定されているのか確認したいときは、役所(都道府県または市区町村)の窓口で都市計画図を閲覧する方法もありますが、それでは不便なので、次のいずれかで都市計画図が提供されていないか確認しましょう。

  • PDF等の電子データ
  • ブラウザで閲覧できるWebシステム

提供方法は自治体次第なので、問い合わせるか公式HPなどで確認してください。
今回は、Webシステムで用途地域を確認する方法を紹介します。

都市計画図のWebシステムを探す

まず、「自治体名 都市計画図」と検索してみましょう。
今回は、千葉県柏市を例に説明するので、「柏市 都市計画図」と検索します。

「都市計画図等の閲覧について – 柏市」というページが検索されるので開いてみると、柏市ではPDFデータとWebシステムの両方で提供されていることがわかります。
他の自治体でも同様とは限らず、いずれか一方のケースが多いです。

柏市Webサイト

画面中ほど、「都市計画情報配信サービス」のリンクをクリックします。
利用条件が表示され、画面の下に「同意する」と表示されているのでクリックします。

同意画面

画面が変わり、色の付いた大きな地図が表示されれば正しい結果です。

柏市都市計画情報配信サービス

自治体が採用している都市計画図のWebシステムは、外部委託によって作成または運営されているものなので、委託業者によって仕様が異なります。
ですから、紹介するシステムは一例で、自治体が変わればシステムは全く異なります。

ただ、用途地域を確認する上では、ある程度共通化されており、それは用途地域が「地図上で色分けされている」ことです(PDF等の電子データでも同じです)。
用途地域は12種類あるので、地図上も12色で用途地域を表します。

柏市都市計画情報配信サービスの使い方

柏市のシステムでは、初期状態で「柏5丁目付近」が中央に表示されます。
画面中央、赤い十字マーク付近は薄いピンク色、左上(北東)はオレンジ色の帯を挟んで緑色、画面右側は黄色にオレンジ色の帯が走っています。

これらの色の違いは、それぞれの用途地域が違うことを示しています。
画面左側の操作ツールでは「広域図表示」となっているので、下にある「表示設定」をクリックすると、どの色がどの用途地域に該当するのか表示されます。

表示設定画面

地図画面では、色だけではなく線が引かれており、例えば、画面中央の赤い十字マーク付近は、色が薄ピンク色、赤色の横線、緑色の縦二重線になっています。

これらは、特定の地域地区に指定されていることを意味し、画面左側の表示設定から確認すると、色が薄ピンク色は「第二種住居地域」、赤色の横線は「準防火地区」、緑色の縦二重線は「第二種高度地区」だとわかります。

さらに、地図上をクリックすることで、別ウィンドウで詳細情報が表示されます。
以下は、画面中央の赤い十字マーク付近(柏5丁目付近)をクリックした結果です。

詳細情報

画面上、最も重要なのは左上の表で、区域区分、用途地域、その他の地域地区がすべて表示されるため、土地がどのような位置付けになっているか一目瞭然です。
用途地域だけ、「第二種住居地域(60/200)」のように括弧つきの数字となっていますが、これは括弧内の左が建ぺい率、右が容積率を示しています。

なお、都市計画図は都市計画区域の詳細を示すものなので、自分の所有する土地が含まれていないときは、都市計画区域外で用途地域を意識する必要はありません。
また、都市計画図に含まれていても、無色(白色)のときは、市街化調整区域もしくは用途地域の指定がない非線引き区域なので、用途地域を考えなくても大丈夫です。

まとめ

自分がイメージする土地活用の未来予想図と、現実が一致するとは限りませんが、それ以前の問題として、思いどおりの建物を建てられないこともあります。
絵にかいた餅とならないために、良く勉強して土地活用を計画しなくてはなりません。

用途地域を始めとする法律上の土地規制は、いくら勉強してもキリがないほど難解ですから、どうしても諦めてしまいがちです。
だからといって、放置では何も進まないので、最低限の知識は得ておくべきでしょう。

もしくは、信頼できるパートナーに相談しながら、自分の土地で何ができるのか、確認した上で土地活用を考えることが大切です。

関連記事