アパート・マンション経営の利回り(土地活用)

利回り
土地活用の1つとして、アパート・マンション経営は魅力的な選択肢です。
何もしないで持っているだけの土地は、毎年税金を取られるだけの存在でしかなく、収益を生み出す土地に変えるには、賃貸物件を建てると効率がよいからです。

また、建物があることで、税制面でも優遇を受けられ、現在だけではなく相続時においても大きな評価減=相続税が安くなる効果もあります。
マンションのように建築費が高い建物はリスクが大きく、戸建賃貸では得られる収益に限度があることが、中間的なアパートが好まれる理由にもなっています。

しかし、アパートやマンション経営を始める前に、経営として成り立たなければ、借金だけが残りますから、最も重要な収支予測の一環として目安にされるのが利回りです。
今回は、アパート・マンション経営の利回りを取り上げてみました。

なお、土地活用としてのアパマン経営を想定しているため、土地は所有、建物は建築するものとします。
また、実際の建築費は業者によって幅があり、土地を仕入れて行う投資の場合は、建築費もよりシビアに見なければならず、その判断基準には差があります。

利回り計算と参考家賃

この記事で使用している利回りは、以下の条件を前提に計算しています。

  • 表面利回り(建築費と満室の家賃収入)で計算
  • 土地の取得費用はなし
  • 坪単価:木造40万円、鉄骨造50万円、RC造60万円
  • 都市圏の坪単価は1.2倍
  • 坪単価には付帯工事費も含まれる
  • 建築費は部屋の坪数×坪単価で計算
  • 共用部分の面積は考慮しない

ワンルール・1K・1DK:平均25㎡・約7.6坪
1LDK・2K・2DK:平均40㎡・約12坪
2LDK・3K・3DK:平均50㎡・約15坪
3LDK・4K・4DK:平均70㎡・約21.2坪

利回りの計算方法

表面利回りの計算はとても単純で、建築費に対する家賃収入の比率です。
家賃収入は満室時を前提としているため、戸数分の家賃で求められます。

表面利回り=(家賃×戸数×12ヶ月)÷建築費×100%

具体的に次のようは条件で利回りを計算してみましょう。

  • ワンルーム6戸
  • 木造
  • 都市圏(坪単価1.2倍)
  • 家賃相場6万円
建築費=部屋の坪数×坪単価×戸数
=25㎡×0.3025×40万円×1.2倍×6戸
=2178万円
家賃収入=家賃×戸数×12ヶ月
=6万円×6戸×12ヶ月
=432万円
表面利回り=家賃収入÷建築費×100%
=432万円÷2178万円×100%
=19.83471%

家賃相場の参考になるサイト

利回りを計算するためには、想定建築費の他に想定家賃収入が必要で、各地域の家賃相場を求めなければなりません。

当然ながら家賃相場は都道府県の格差があり、さらに都道府県の中でも格差はありますが、この記事では東京23区、名古屋市、大阪市、郊外・地方に分けています。
自分の土地がある地域に限定した家賃相場は、個別に探してみましょう。

以下、家賃相場を調べるために参考にできるサイトを紹介しておきます。

ホームズ
スーモ
アットホーム

ホームズ以外は新築を選べないので、家賃相場が低くなることに注意してください。
他、参考になるとすれば、いい部屋ネットとマイナビ賃貸ですが、どちらのサイトでも物件単位なので、大まかな相場なら上記で十分でしょう。

いい部屋ネット
マイナビ賃貸

地域毎の間取り別利回り

土地の取得費用が不要なので、地価が高い地域ほど利回りが上昇します。
人口が多く家賃相場の高さも有利に作用しますが、その代わり競合物件は多いです。

アパート経営の利回り

【東京23区アパートの利回り】

間取り 家賃相場 木造利回り 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 7万円~8万円 23%~26% 19%~21% 15%~18%
1LDK・2K・2DK 8万円~11万円 17%~23% 13%~18% 11%~15%
2LDK・3K・3DK 11万円~14万円 18%~23% 15%~19% 12%~15%

【名古屋市アパートの利回り】

間取り 家賃相場 木造利回り 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 5万円~6万円 17%~20% 13%~16% 11%~13%
1LDK・2K・2DK 6万円~8万円 12%~17% 10%~13% 8%~11%
2LDK・3K・3DK 8万円~9万円 13%~15% 11%~12% 9%~10%

【大阪市アパートの利回り】

間取り 家賃相場 木造利回り 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 6万円~7万円 20%~23% 16%~19% 13%~15%
1LDK・2K・2DK 7万円~8.5万円 14%~18% 12%~14% 10%~12%
2LDK・3K・3DK 8.5万円~9.5万円 14%~16% 11%~13% 9%~10%

【郊外・地方アパートの利回り】

間取り 家賃相場 木造利回り 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 3万円~4.5万円 12%~18% 10%~14% 8%~12%
1LDK・2K・2DK 4.5万円~6万円 11%~15% 9%~12% 7%~10%
2LDK・3K・3DK 6万円~7万円 12%~14% 10%~11% 8%~9%

マンション経営の利回り

【東京23区マンションの利回り】

間取り 家賃相場 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 9万円~11万円 24%~29% 20%~24%
1LDK・2K・2DK 11万円~15万円 18%~25% 15%~21%
2LDK・3K・3DK 15万円~18万円 20%~24% 17%~20%
3LDK・4K・4DK 18万円~23万円 17%~22% 14%~18%

【名古屋市マンションの利回り】

間取り 家賃相場 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 5.5万円~6.5万円 15 %~17% 12%~14%
1LDK・2K・2DK 6.5万円~9.5万円 11%~16% 9%~13%
2LDK・3K・3DK 8万円~12万円 11%~16% 9%~13%
3LDK・4K・4DK 9万円~13万円 9%~12% 7%~10%

【大阪市マンションの利回り】

間取り 家賃相場 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 6万円~7万円 16%~19% 13%~15%
1LDK・2K・2DK 7.5万円~10万円 12%~17% 10%~14%
2LDK・3K・3DK 8.5万円~12万円 11%~16% 9%~13%
3LDK・4K・4DK 9万円~13万円 9%~12% 7%~10%

【郊外・地方マンションの利回り】

間取り 家賃相場 鉄骨造利回り RC造利回り
ワンルール・1K・1DK 4万円~6万円 13%~19% 11%~16%
1LDK・2K・2DK 6万円~8万円 12%~16% 10%~13%
2LDK・3K・3DK 7.5万円~10万円 12%~16% 10%~13%
3LDK・4K・4DK 9万円~12万円 10%~14% 9%~11%

利回りの傾向

一般的には、間取りを狭くして、小さい部屋を数多くするほうが利回りは上がります。
その理由は、家賃相場が部屋の面積に比例せず、部屋の大きさが2倍になっても、家賃を2倍にはできないからです。

また、建築費の高いRC造で低い家賃では最も利回りが低く、建築費が安い木造で高い家賃なら最も利回りは高くなります。
建築費は地域格差が小さいので、早い回収なら全国的に木造アパートが有利です。

ただし、同じ広さの部屋だとしても、木造よりもRC造のほうが家賃は総じて高くなりますし、木造は建築物としての耐久度が低く、家賃の下落も早いことを踏まえれば、総合的な利回りの幅はそこまで大きくなりません

利回りを比べると、どうしても利回りの高さを取りたくなりますが、借りる人がいてこその利回りであることを忘れないようにしましょう。
地域ニーズを満たさない物件は、借りる人が少なく家賃を下げても入居率が上がりにくいので、結果的に利回りは大きく下がります

表面利回りと実質利回りの差

利回りには表面利回りと実質利回りがあり、表で示してきた利回りは、単純に建築費と満室の家賃収入から求めた「表面利回り」です。
アパート・マンション経営で発生する、諸費用を考慮した利回りが「実質利回り」です。

表面利回り=満室時家賃収入÷建築費×100%
実質利回り =((家賃収入×入居率-諸費用)÷(建築費+建築諸費用))×100%

土地活用でアパート・マンション経営を考えるとき、表面利回りの目安として都市圏なら15%~20%、地方でも10%~15%はないと、投資としての魅力は薄いと言われます。
というのも、満室を前提とした表面利回りは、最高値でしかないからです。

表面利回りの高さに目がくらんで建てたものの、実質利回りが伴わず赤字経営に転落すると、取り返すのは容易ではありません。
実質利回りが5%まで下がってしまえば、回収に20年かかるということです。
5%どころか、1%や2%では、回収の見込みがないのも同然です。

例えば、入居率が平均で50%なら、それだけで実質利回りは1ケタまで下がります。
加えて諸費用の支払い、将来の修繕費などを考えると、表面利回りが机上の空論になりやすいことには十分注意しましょう。

参考までに、発生する諸費用と、目安について以下説明しておきます。

初年度にかかる諸費用

初年度にかかる経費は物件で異なり、大きい出費となるのは不動産取得税です。
投資額(建築費)に加算しなければならない費用ですが、条件次第で不要なケースもあるので、見積もりを誤らないようにしたいところです。

不動産取得税

不動産取得税は建物の評価額×3%で、建物の評価額は建築費×50%~70%と考えてよいため、建築費ベースでは2%程度です。
不動産取得税には大きな軽減があり、40㎡~240㎡までの部屋(共用部分は部屋の面積に応じた比率で加えられる)には、1戸1,200万円の軽減があります。

アパートの評価額が、1戸1,200万円超は考えられないので、40㎡~240㎡までの部屋は不動産取得税がかからないと思って問題ないです。
その結果、ワンルール・1K・1DKでは、ほぼ40㎡未満で課税対象、1LDK・2K・2DKでは微妙なライン、2LDK・3K・3DKではほぼ40㎡超で非課税です。

マンションの場合、坪単価と間取り次第では、1,200万円を超える部屋が出てくるかもしれず、その場合には、1,200万円を控除した金額に課税されます。
(3LDKクラスの部屋なら坪単価60万円~70万円で1,200万円を超えます)

ワンルーム等の小さい部屋は表面利回りが高いと説明してきましたが、不動産取得税が発生するので、それだけでも実質利回りは大きく下がります。

登録免許税・司法書士報酬

登記手続きで課税され、建物の評価額×0.4%(概ね建築費の0.24%程度)です。
どのようなアパートやマンションでも課税されるため、必ず実質利回りを下げますが、登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、司法書士報酬も別途発生します。

司法書士の報酬は、固定額ではなく、10万円~20万円程度だと想定できます。
そこで、登録免許税とアバウトに合算しても、建築費の1%程度を考えておけば、それほど大きくは外れないでしょう。

ローン関係の諸費用

ローンで借りるときの事務手数料、保証料、団体信用生命保険料となりますが、金融機関によって現金支払いにするのか、金利に組み込むのか違います。
しかし、事務手数料については、現金払いとしている金融機関が多いです。

仮に事務手数料だけだとしても、数万円の金融機関もあれば、借入金額の一定率(2%程度)という金融機関もあって一様ではありません。
借入金額や金融機関が決まらないと、正確には計上できない費用です。

毎年にかかる諸費用

初年度にかかる諸費用の他に、毎年かかる諸費用が実質利回りを下げていきます。
しかも、家賃収入とは連動しない経費が多く、空室が目立ち始めると、毎年かかる諸経費が負担になって経営は悪化します。

固定資産税・都市計画税

毎年かかる諸費用の代表格は、固定資産税と都市計画税です。
これらの税金は、土地と建物の価値に応じた価格であるため、土地は地域格差が大きく、建物は年々減っていく性質を持ちます。

土地の税金は、アパートやマンションを建てることで住宅用地特例が適用されます。
住宅用地特例は、戸数×200㎡の範囲で高い特例率が適用され、敷地が広大地でなければ、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3まで軽減対象です。

したがって、現在(土地)の税額をそれぞれ1/6と1/3にするだけで求められ、地価の変動がない限り、毎年固定額が実質利回りを下げます。
表面利回りが高い都市圏は地価が高く、土地の税金は実質利回りを大きく下げますが、都市圏は入居率が高いので、トータルでは高い実質利回りが見込める傾向です。

逆に建物の税金については評価額次第で、地域格差が小さい性質から、家賃収入が少ない地方ほど、実質利回りに対する影響が大きくなります。
ただし、建物の税金は徐々に減っていくので、その影響度も小さくなっていきます。

ちなみに、初回(建築した翌年)における税額の目安は以下のとおりです。

建物税額=建築費×0.6×0.8×0.017×1/2
※0.6は建築費に対する固定資産税評価額の一般的な割合
※0.8は初年度の経年減点補正率
※0.017は固定資産税+都市計画税の税率
※1/2は新築建物における軽減措置(40㎡~240㎡)

事業税・所得税・住民税

アパートやマンションの収益に課税され、毎年確定申告によって納税義務を負います。
収益次第で納税額は変わるので、実質利回りが高いほど税額は多くなり、特に累進課税となる所得税は影響が大きいです。

ただし、事業税は290万円の控除があり、所得税については、建物の減価償却費を経費算入できることから大きく圧縮されて、必ず発生するとは限りません。

管理委託費

自分でアパートやマンションの管理を行うなら不要な費用で、遠隔地で経営する場合や経営の手間を省きたい場合に管理会社へ委託します。
管理委託費の相場としては、一般的に家賃の5%と言われています。

仮に管理費用が家賃の5%であれば、家賃収入が95%に減ってしまうので、表面利回りの時点から0.95倍にして考えることも可能です。
表面利回りが20%なら19%、10%なら9.5%となります。

火災保険料・地震保険料

入居者に加入してもらう火災保険とは別に、所有者が建物全体にかける保険で、長期間一括で支払うと安くなりますが、資金的に厳しいなら年払いも可能です。
また、一括で支払った場合でも、年度ごとに1年分の経費算入ですから、毎年かかる諸費用と扱っても差し支えありません。

補償内容で保険料が変わってくる性質があるため、一概に実質利回りへの影響は算出できず、地震保険の保険料は地域格差も大きいので、加入する保険会社や補償内容を決めてから、1年分の保険料額を求める流れになるでしょう。

その他の費用

共用部分の水道光熱費、電灯交換・通信費などの雑費、不動産会社に支払う広告料(特別な広告を依頼している場合)、会計業務を税理士等に依頼してした場合の報酬など考えられますが、これらは必要に応じて個別に見積もります。

将来かかる諸費用

将来かかる諸費用とは、主に建物を修繕または建て替えする費用です。
新築から10年もすると、壁や屋根の塗り替え・補修といった一時的な修繕費用が発生し、30年もすればRC造以外は建て替えが必要です。

区分所有者が積み立てる分譲マンションと異なり、アパートでは所有者が全体の修繕費を1人で負担しなくてはならず、家賃の何%かを、マンションにおける修繕積立金のようにキープしておかなくてはなりません

マンションの場合には、管理費・共益費・修繕積立金などの名目で、入居者に負担してもらうか、あらかじめ家賃に含めておいて別途積み立てておきましょう。

具体的には家賃の5%程度だと考えられますが、家賃には地域格差があるのに対し、建物の修繕費に大きな地域格差はなく、都市圏と地方で比率は変わるでしょう。
都市圏では低めに、地方では高めに確保することになります。

仮に6万円の家賃で5%なら月3,000円、10戸のアパートで月に30,000円、年間36万円を積み立てると、10年後には360万円です。
それだけでは不足するとしても、将来の借入金を小さくできるメリットは大きいです。

まとめ

土地を所有しているときのアパート・マンション経営は、表面利回りが高くなります。
しかし、実質利回りを考えたとき、諸費用は何とか見積もることができても、入居者がどのくらい見込めるかは、つい予測が甘くなりがちです。

新築時は入居率が高くなるので、当初は余裕の経営になっても、気付けば周りの新築物件に入居者を取られ、建物は古くなって修繕費がかかり…と、アパート・マンション経営は徐々に収入と支出のバランスが崩れていきます。

ですから、新築当初の収益をピークと考えられるかどうか、古くなってきても空室を増やさないために、随時費用をかけられるかどうかがポイントです。
10年先、20年先の利回りまで想定して、手を出すべきかどうか考えてみましょう。

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土地はあくまで保有する資産の1つで、自己使用や現金に切り替える売却も、“資産活用”の1つです。
その上で、一般的に土地活用と呼ばれる賃貸経営を行うのであれば、1つでも多くの可能性を探り、十分検討することが欠かせません。
賃貸経営は数十年の長期的な運営となるため、スタートしてからの方向転換は困難で、最初の準備にすべてがかかっていると言っても過言ではないのです。

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